チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

迷子

「ぐぎゃあああ!!!?」
「ぐえっ!?」
「ギッ!?」

影が高速で駆け抜け、次々と倒れていく人間たち。それの正体は黒塗りで刃が無いナイフを持ったツカサ。
ツカサは的確に首にナイフの腹を当てて意識を飛ばし、懐から紙を抜き取る。

「楽な作業だな…」

ツカサの抜き取った紙の数はもう10枚を超える。何故こんなに集まっているのかというと…

「出口が見つからん…」

絶賛迷子中である。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

side:アカツキ

「出口…出口……見つからないですね…」

アカツキも絶賛迷子中であった。
サラサラで流れるようなきつね色の髪を揺らしながら出口を探し、片手間に人間を倒す。

「ツカサ様…私は寂しいです……」

もし今尻尾が見えていたならば、ダランと垂れ下がっているであろうと容易に想像できるほど悲しそうな顔をする。

だが、これでも大成長しているのだ。
ツカサと出会った頃のアカツキは言葉に出さなかったものの、ベッタリで離れなかった…否、離れられなかったからだ。

触れ合っていないと、何処か遠くへ行ってしまいそうで。
故に、ツカサと離れても寂しいだけで済んでいる。これはいい成長だ。

「あぁ…ツカサ様…今夜はいっぱい…フフフ…」

………ツカサが今夜大変な思いをするのは明白である。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「…ハッ!?!?一瞬寒気が!!」

敵かと思ったが、そうではないようだ。
風邪だろうか。

「風邪どころか病気にならないんだけどな…っと。にしても紙集めるのより迷路の方がメインになってるな…」

子供の頃を思い出す。
ツカサは何だかんだで迷路を楽しんでいた。

(アカツキと迷路デートしたいなぁ…)

かなり限定的なデートではあるが、分かる人間は必ずいるはずである。

「…ん?あれか」

曲がり角を曲がると、通路の奥から光が差し込み、その奥には薄らと先程までいた抽選会場が見える。もう既に何人かゴールしているようだ。

「迷路で時間食ったからなぁ…」

そもそもスタート地点が何処か分からないのにどう進めと言うのだ。
ツカサが迷路を出ると、アカツキとフェンが駆け寄って来る。

「「お疲れ様(です)!!」」
「ああ!」

ツカサはアカツキの頭を撫で、フェンと片手でハイタッチする。

「遅かったじゃねぇか!アカツキ寂しがってたぞ!!」
「悪かったよ…ごめんな、アカツキ」
「いいえ、今幸せなので大丈夫です」

ウチのキツネ様は大変満足されているようだ。可愛い。

「ところで、サティナは?」
「それがよ…」
「まだ出てきて無いんですよね…」

(俺は結構のんびりやったつもりだが…サティナがまだ出てきてない?)

ツカサは怪訝そうな顔をして、「ひとまず出てくるのを待とう」と2人に告げて抽選会場のベンチに腰掛けた。


〜2時間後〜

「遅い…」
「フェン寝てますね…」

あまりにも遅すぎる。
やられたのではないかと思ってしまうほど遅すぎる。だが、サティナが入っていった迷路には大して強そうな奴はいなかった。

「あの子がやられるとは思えないんですがね…」
「同感だ」
「残り時間10分です」

そろそろやばい。
やられたのか…と諦めかけていたその時、4番の迷宮入口に変化が。

「やっと…出口が…みつ……ぐはっ」
「サティナ…」

随分疲弊している。
彼女の体に傷を負った形跡はない。

「サティナ、何があったんですか?」
「何回曲がっても…ずっと同じ道で…疲れました……」

(コイツ…まさか……)

ツカサとアカツキはこの時、同じ事を頭に思い浮かべた。

コイツ(この人)、方向音痴だ……と。

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