チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

予選

「こんなもんだ、そんな大した過去じゃない。神に騙された勇者ってだけだ」
「すげぇ人生送ってんな…」

今も充分すげぇ人生なんだがな。
フェンが頭をポリポリ掻く。

「まあ、なんだ。互いに色々あったと知れてよかったよ…改めてよろしくな」

フェンがツカサに片手を差し出し、ツカサはフェンの手を取る。

「こちらこそ」

2人で最後の一口を煽り、共にバーを後にした。



「よっしゃあ!!全員ぶちのめす!!」
「凄く気合い入ってますね…」
「…だな」
「ハハハ…」

ツカサ達は予選に向かっている途中で捕まえたサティナと共に予選会場にいる。
周囲には一般人と冒険者が入り乱れ、お祭り騒ぎだ。

「アカツキ、はぐれるなよ」
「フフッ…はい」

ツカサはアカツキと手を繋いで予選の受付へ向かい、それを見たフェンとサティナがジトっとした視線を向ける。

「よくあんな堂々とイチャイチャできるな…」
「病気ですね…」

だが、そんな視線をものともしないツカサとアカツキ。もう慣れた。

「すいません、予選に出場したいんですが」
「はい!では、お名前頂けますか?」

ツカサ達は受付に名前を伝え、会場の控え室へ通される。
すると、扉を開いた瞬間にやって来る殺気。
空気もどこか重い。
広さは体育館を思わせる広い空間。そこに100人以上の出場者達が武器の整備をしたり、瞑想?したりしている。

「血の気が多い奴らだな…」

喧嘩を売ってこないだけマシではあるが、空気が重いことに変わりはない。

(あと、臭い)

体育の後の男子更衣室のような匂いだ。
非常に汗臭い。

「う"っ…」
「ここで待つのか…臭いし空気は重いし最悪だな…」
「……まあ、我慢しましょう…」
「…だな」

サティナが凄い嫌そうな顔をしている。
獣人…しかも、人狼なので鼻がいいのだろう。
性能が良すぎるのも考え物である。

「あの…」
「ん?」

ツカサ達が空いているベンチを見つけ、座ると同時にどこかから声をかけられる。

「あなた…"彗星,,ですよね?」
「ええ…まあ、そうですが」

金髪碧眼、長い耳。どう見てもエルフだ。
鑑定結果もエルフと出ている。
ツカサは前の世界でもエルフと交流はあったが排他的な種族という印象が強く、この世界でも同じ認識なようだ。
この世界でもここまでフレンドリーなやつは中々いないだろう。

「すごい…僕、"彗星,,のファンなんです!握手してください!」
「お、おう…」

エルフがツカサの手を取り、握手を交わす。
訂正しよう、人間でもここまでフレンドリーな奴は中々いない。

「あ、僕の名前はセミールです。もし予選で当たったらよろしくお願いしますね!」
「ええ、よろしくお願いします」

ツカサは握手を解き、セミールが一礼して去っていく。するとサティナがプルプルと震え出し、突然声をあげる。

「あの人…"閃光,,のセミールさんじゃないですか…!?」
「…?誰それ」

ツカサ達は首を捻り、サティナを見つめる。
サティナは口の端を引き攣らせながら驚く。

「いいですか、"閃光,,というのは彼の二つ名です。黒金級冒険者のエルフで素早い動きが有名な冒険者なんですよ!」
「「「…ふーん」」」
「あ、あれ…反応が薄い…」

実際、「ふーん」としか反応できない。
鑑定した結果はバルンより少し上くらいだ。
アカツキとフェンも感覚的に強さは理解できているだろう。
フェンやアカツキが手加減して5分持てば100点満点というレベルだ。
弱い。

「あんま強そうじゃねぇな〜」
「ふぁっ!?」

これこれ、フェンさんや。いくら本当の事でも言っていい事と悪い事があるのですぞ。
そんなバカな事をしていると、突然勢いよく控え室の扉が開いた。
その奥には闘技場のスタッフが立っている。
(案内役って所かな…)

「皆様、本日は"ナハグル闘技大会,,にご参加いただきありがとうございます。出場者が揃いましたので、予選会場へご案内させていただきます」

スタッフが下がっていくと同時に出場者達がスタッフの後についていき、列を成す。

「圧巻だな…」
「凄いですね…」

ちょっと感動だ。
だが、感動もそこそこにしてツカサ達も出場者の波に乗っていく。

「な、なんか…緊張してきました……」
「大丈夫だろ」

フェン、フォローになってないぞ。

「お前なら絶対いいとこまで行くぜ?自信持てよ」
「うぅ…でもぉ…」

サティナは随分弱気だ。
それもそのはず、サティナ本人から聞いた話だがサティナはずっとソロで戦ってきたらしい。あまり冒険者がいない村で故郷を守る為に戦っていたようだ。他の冒険者の戦いを見た事が無い以上、自信が無いのは当たり前だ。

しかし、サティナのステータスはこの世界の冒険者の中ではかなり上位だ。
むしろ、上銀級冒険者までにしかなれない魔物ばかりの村で戦っていたにしては異常なステータス。
彼女のステータスはこちらだ。



サティナ

年齢:18

種族:ライカンスロープ

Lv.57
評価ランク:B
生命力:1886  魔力:1243
攻撃力:1697  防御力:1421

スキル:半獣化Lv.7、拳闘術Lv.5、体術Lv.5、爪術Lv5、身体強化Lv3


そう、今は弱い。
だが、上銀級冒険者で上金級の実力は明らかにおかしい。
(何かあるな…)

だが、分からない事を考えても仕方ない。
とりあえず予選を勝ち抜く事だけを考える。

「到着しました。では、試合メンバーの抽選を行います」

知らない間に目的地へ着いていたようだ。
スタッフの目の前には机に置かれた箱。
(くじ引き…?)

「こちらの箱から紙を1枚取っていただき、4つの迷路の中から紙に書かれた番号の迷路にお入りください。ランダムで迷路の中へ転移します。予選通過条件は簡単、紙を3枚集めて3時間以内にこの入り口から迷路を脱出してください。これは自分の紙も含まれます。紙には特殊な魔術加工をしてあるので、偽装する事はできません。では、1列になって紙を取って行ってください」

出場者達は大人しく1列に並び、紙を取っていく。そして、俺達の番。

「3番だな」
「1番です」
「私は4番ですね」
「俺は2番だ」

見事にバラバラ。
まあ、くじで決まったものはしょうがない。

「本戦で会おう」
「「「おう!((はい!))」」」

ツカサ達はそれぞれの迷路の入り口に入り、迷路の内部へ転送される。
(豪華な仕掛けだな。パッと見た限りダンジョンの転移板を使ってるのか)
ツカサは周囲を眺め、気配を探る。
トゥループラチナの索敵能力は半端ではない。特に人間相手だと無敵だ。
(近くに5。固まってるな…)

ツカサは久々に《儀血血闘術》を行使する。
スキル名は《血霧陰術》。自身の血を「光を吸収する霧」に変え、その中に身を隠すスキルだ。肉体も変異し、忍者のような見た目へと変わる。
忍者装束がはためく藍色のマントでグルグル巻きにされており、銀色の仮面と銀色の指甲が輝く。
仮面に空いたブーメラン状の穴の奥が赤くギラリと瞬き、肘に空いた穴から漏れ出す紅の霧に姿が消えた。

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