チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

世界の仕組み

「現在は、ダンジョンに来ております」
「?誰に言ってんだ?」
「知らね」

俺達【FREE】は"羅生門,,第三階層のジャングルエリアに来ている。
地下だというのに太陽がジリジリと照りつけ、蒸し暑い。

「うぅ…暑いです…」
「大丈夫か?」

アカツキは特に暑そうだな。
毛が沢山生えているというのは大変だ。

「にしても…ラドのダンジョン最下層にいたドラゴン級の魔物がさも当然かのように出てくるな…ここ、この世界の人間が攻略できるのか…?」
「バルンが英雄クラスだろ?なら無理だな」
「難しいでしょうね…あ、でも…」
「ん?」

アカツキが炎で魔物を倒しながら言葉を詰まらせる。

「最近、ナイルス王国で勇者が召喚されたらしいんですよね…確か、30人だったはずです」
「……召喚か…」
「はい。その勇者達が成長して、2ヶ月ほど前に同じくナイルス王国で現れたという噂の勇者が一緒になれば攻略できる可能性は高いですね」

(噂の勇者…レシィか……)

俺の故郷、ナハル村はナイルス王国の領地にある村だ。まず、彼女が噂の勇者である事は確定だろう。
問題は………

(いつ戦うことになるか…だな)

勇者と魔神。切っても切り離せない関係だ。
確実に戦うことになるだろう。

「にしてもよ」
「ん?」
「なんで、勇者ってのは強いんだ?神に選ばれたとか何とか言われてるけどよ…」

いい疑問だ。

「それについては、俺が教えよう」
「ツカサ、何か知ってるのか?」
「ああ」

勇者だったからな…
あれほど腐った仕事は無い。

「まず、勇者というのは神が決めるものじゃない。世界が選ぶ、現象なんだ」
「ん?どういう事だ?」
「世界というのは1つの生命体だ。そして、その世界という生命体は神が創り出していて、神によって世界は縛られている。この縛りは世界が創り出された目的によって様々だ。科学を発展されたら世界がどうなるか…とかな」

そう。世界は神によって縛られ、無意識に強迫観念に駆られている。

「この世界だと、魔神を送り込む…いや、正確には処分する為の世界だ。だからこそ、勇者なんてシステムが存在する」
「つまり、神の目的の為に世界は縛られていて、世界が神の目的の為に勇者を決めているという事ですか?」
「概ねその通りだ」

そして世界が勇者を決め、神が気に入った存在に《加護》を与えるのだ。
ツカサは《魔王の種》というスキルを持っていたが為に《加護》を与えられずに勇者として、呪われた竜として世界を救い、殺した。

「神は…魔神や、その系譜である魔王や魔物を目の敵にしている。自らとは違う存在でありながら同等の力を有する魔神をな」
「は!?ってことは…」
「ああ、そうだ。所謂、人種差別のような理由で神は世界の力を無駄遣いして勇者を生み出し、魔神や魔王を根絶やしにしようとしているんだよ」
「ですが、魔物や魔王は残虐な存在や本能的なものが多いですし…害をもたらすのであれば仕方ないのでは?降り掛かる火の粉を払うといいますし…」

そう、そこだ。
神の腐った部分はそこなのだ。

「そうだな、確かにそうだ。魔物や魔王、魔神は世界に害をもたらす存在だ。…だが、元からそうだったわけではなく、そうならざるを得なかったとしたら…?」
「あっ……」
「魔物の行う戦闘行為の殆どは自己防衛と何ら変わりない。残虐的な一面も野性的な部分から本能的に派生していったものだ。まあ、もっと本能的な魔物はじゃれてるつもりだったりする事もあるがな」
「「…………」」

2人が唖然とする。
世界の真実などそうそう知れる事ではない。
だが、時に真実とは単純でくだらなかったりするものだ。

「神が魔神を狩る、魔神は抵抗すべく魔物の国を作る、神と魔神が戦争する、魔物が神に恐れをなす、魔神の国から逃げ出す、逃げ出した魔物たちは国の外で独自のコミュニティを作り出す、国に入ってきた侵入者を殺して示威行為を行う…これが始まりだ。ほとんど神が悪いと言っても過言じゃない。魔物が世界に害をなす存在になったのは神の不始末…いや、こうなる事を予想してたのかもな」
「では…今まで殺していた魔物達は…」
「ああ、神によってそうさせられたんだ。しかし、今や殆どの魔物は世界の害となっている事は確かだ。それはもうどうしようもない…」

魔物達も、人間も、もうどうしようもない所まで来てしまっている。
自己防衛という大義名分がお互いに成立してしまっているのだ。この争いは終わらないだろう。

「だが、だからと言って神の所業を見過ごす訳にはいかない。しかも、今回の勇者召喚…30人等という無茶苦茶な数を召喚している。明らかに世界のエネルギーの無駄遣いだ」

たしかに、いい神もいるだろう。
手を取り合える神もいるだろう。
しかし、それ以上に頭の悪い馬鹿神が多すぎる。

「とりあえず、俺の当面の目標は俺達が落ち着いて生活できるように、神へお灸を据える事だ。その為にはもっと強くならんとダメだな」

(その為には…たとえ神を殺してでも…)

ツカサは眼光を鋭くさせ、その瞬間周囲にいた魔物達や動物が慌てて逃げ出す。

「あっ…やっちまったな…ま、フェンはそこまで無理して付いてくる必要はねぇよ。嫌ならその時はお留守番しててくれ」

ツカサはフェンを試すために少し突き放した言い方をしてみる。
だが、思ったよりフェンは冷静だ。

「ハッ…アカツキは行くの確定かよ。今の様子だと、初耳だろ?」
「ああ、そうだな…だが、コイツは俺の女だ。いつでも隣にいてもらわんとな」

ツカサとフェンはお互いに真剣な表情で向き合う。
そして、先に表情を崩したのはフェンだ。
フェンは真剣な表情から一転、笑顔を浮かべる。

「ハハッ!そーいやそうだったな!ふぅ…俺がここで引き下がると思ってんのか?意地でも付いてってやるよ!」

フェンは笑顔で自信満々に答える。
それでこそフェンだ。
ツカサも微笑を浮かべる。

「そうかよ。なら勝手に付いてこいや」
「望むところだ!」

俺達3人は"羅生門,,のさらに深淵を目指して歩き出した。

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