チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

異次元店主

視界いっぱいに広がる密林。
そう、密林だ。空もあり、太陽もある。
密林だ。


「どうなってんだよここは…」

ここは地下か、もしくは山の内部のはずである。3人共マヌケのように口を開けて呆然とする。
ふと、アカツキが首をプルプルと振り、ツカサへ話しかけた。

「ツカサ様、とにかく転移版を起動させて1度撤収しましょう」
「ああ、そうだな。ここで突っ立ってても仕方ない。戻るか」

ツカサ達は転移板で出口に戻る。
すると、大聖堂の手前。門と大聖堂の中間にある庭園の真ん中までワープして来た。

「ここ雪で隠れてるけど、転移板だったんだな」

ツカサが地面の雪を払うと転移板の魔法陣が現れる。
(こんなの場所知らないと絶対見つからんぞ…)

「よし、帰るか」
「おう!」「はい」

さて、シャルさんに土産話でもしに行こう。
きっとビックリし、目を輝かせて話を聞いてくれることだろう。



「戻りました〜」
「たで〜ま」「お疲れ様です」

ツカサ達はギルドへ帰還し、各々ギルドの面々に挨拶する…と同時に歓声が起こった。

「「「おおおお!!!」」」
「戻って来たぞ!」「すげえ!生還しやがった!!」
「は…?」

ツカサ達が呆気に取られていると、奥からシャルさんが駆け寄ってくる。

「おかえりなさいです!サカツキさん、アカツキさん、フェンさん!!」
「あ…おう。それで、これは…?」

ツカサは呆気に取られながらシャルに今の状況の答えを訊ねる。

「それが…【FREE】が"羅生門,,に挑むって事を他の人に言っちゃったんですけど、それが思ったより広まっちゃって…テヘ☆」
「いや、テヘって…」

可愛いけども。まあ、いいだろう。
(別に俺達は被害を受けてないしな)

「三階層まで進みました。そこまでで見つけた魔物の魔石と…知らない魔物の目立つ物を取ってきたので買い取りお願いします」
「三階層まで進んだんですね…どうなってました?」

内部の様子の事だろうか…
隠す事では無いので包み隠さず伝える。

「1階層は情報通り門から入ってすぐの場所に鬼がいました。それと、探索隊が撤退したっていう騎士達。アレらを全部倒さないと先に進めないみたいですね」

早速シャルさんの表情が固まる。

「え"…あの白金ランク5人が撤退した騎士達をですか…?」
「ええ、その騎士達です。説明続けますよ?現れた階段を下ると迷宮ゾーン。あそこは最深部に行くのはそこまで難しくないです。魔物も出てきますが、金ランクでも倒せる魔物ばかりです」
「へぇ〜…ん?最深部に行くのは…?」
「ええ、難しいのはそこからでしょう。最深部にはミノタウロスロードとかいうでかいミノタウロスがいました。アイツは強かったな…騎士達よりかなり強いですよ」
「え"…」

シャルさんの顔が引き攣っている。
まあ、そりゃ引くわな。

「………サカツキさん達って…ホント何者なんです?」
「いやですね〜ただの上金ランク冒険者が率いるどこにでもいるパーティーですよ」
「いや、ただのどこにでもいるパーティーでは絶対できない偉業だと思うんですけど…」

シャルさんが何か言ってるが無視だ無視。
ツカサはフェンとアカツキと共にギルドを出る。

「まさかあんな風に歓声が上がるとは思いませんでしたね」
「ああ、この街からの俺達への評価は思っているより高いみたいだな。ま、悪いことじゃないし別に構わんだろ」
「そだな!歓声浴びるのは気持ちいいし!」

3人で特に用事も無く、雑談をしながら適当に夕方のラビスの街をぶらつく。
とある店が目に入り、ツカサは立ち止まる。

「…?」
「?どうした、サカツキ」

見た目はただの道具屋だが、なんとも言えないような雰囲気がある。
試しに鑑定を掛けてみるが…

「ふむ…二人共、面白い所を見つけたぞ」
「どうされたんです?」「なんだ?」
「ここだ」

ツカサは面白そうな物を見つけた顔をし、親指で道具屋を指さす。

「ここがどうしたんだ?」
「普通の道具屋みたいですけど…」
「まあ、見てみろ。付いてこい」

ツカサが道具屋の扉を開くと、中には素朴な道具屋の内装と綺麗な女性の姿。

「あら、いらっしゃい。ハンサムさんに美人さん方」

ツカサは女性が店主だと目星を付け、話しかける。

「あんた、エルダーエルフだろう?本当の売り物を見せてもらいたい」
「「え!?」」

後ろの2人が驚愕の声を上げる。
店主は笑顔のままだ。動揺などひとつも無い。

「……なんで分かった?」
「エルダーエルフの知り合いがいてな。エルダーエルフ独特の隠し魔力でルーンを描いた看板の店は間違い無くエルダーエルフの店だと聞いた」
「…なるほど、いいぞ好きな物を買っていけ」

突然、世界が紫色になる。
ところどころ空間がグネグネとうねり、棚に並ぶ商品が別の物へと変わる。

「なんだ!?ここ!?」
「何が起こって…」
「ここは次元の狭間だ。エルダーエルフは次元の狭間に本当の店を開く。エルダーエルフは収集癖があってな。そこで売ってるのはかなり珍しい物が多い」

ツカサは棚に並んでいる商品を眺める。

"アルバの兜,,
"ファフニールの角,,
"リッチキングの心臓,,
"ツチノコキングの皮,,
"神の心臓,,

どれも超弩級のレア物ばかり。
二人も物珍しそうに商品を見ている。
ツカサはとある商品に目を引かれる。

"ウロボロスの目,,

ホルマリン漬けにされた緑色の瞳の目玉。
ツカサはその膨大な魔力に惹かれる。

「これは…」
「ああ、それはウロボロスの目玉だ。正真正銘な」
「なんで人間大の目玉なんだ?ウロボロスはドラゴンだろ?」
「えっとだな…1度、目玉を変えてみようかなーっと思って手に入れたウロボロスの目玉を魔法で人間大に変えたのはいいんだが…気が変わってね」

エルダーエルフは基本いい加減で気が変わるのが早い。
今回もそういう事なんだろう。

「その目玉の力は保証するよ。力は1日1回しか使えないけどね」
「充分だ、何が欲しい?」

エルダーエルフの店は物々交換である。
お金を要求してくることもあるらしいが、あくまで金銭としてではなく、金属という物として要求する。

「……悩むな…そうだ!」
「?」

店主がポンッと手を叩く。
何を要求されるのだろうか。

「アンタの…目玉をくれ!」
「…分かった」
「「え!?」」

2人がまた驚愕の声を上げ、ツカサは店主が用意した椅子に素直に座る。

「トゥループラチナの目玉なんてアンタからしか取れないかもだからな〜♪」
「おい、右目だけだぞ」
「チッ…ケチな奴め」
「ついでに移植も頼む」
「はいよ〜」
「「ちょ…ちょっと!」」
「「ん?」」

トントン拍子でとんでもない話が進んでいく2人にアカツキとフェンが言葉を挟む。

「それって…大丈夫なんですか?」
「見えなくなったりしねーだろうな!?」
「大丈夫、大丈夫〜移植はやった事ないけど摘出なら慣れてるから〜」
「「「え"」」」

思わずツカサも2人と共に声を上げる。

「それに大丈夫だよ〜トゥループラチナは吸血鬼の血統の頂点。移植したらウロボロスの目玉の方が飲まれて目玉は元通り、スキルとして吸収されるだろうさ」
「そっか、なら大丈夫だな」
「「え"っ」」

フェンとアカツキがまたもや声を上げる。
うるさい奴らだ。

「んじゃ頼むわ」
「は〜い♪チクッとするよ〜」
「以前もそう言われて騙された事があるから信じんぞ」
「チッ…んじゃ行くね〜」
「はいよ…ん?何故腕を振り上げてる!?」

店主が舌打ちをして思いっきり腕を振り上げる。これはやばい、思いっきり行く気だ。

「聞こえな〜い!」
「おい!いくら俺でもそんな事されたら痛てぇんだぞ!!」
「えいっ!」
「ぐっ…ぐあぁ!」

ツカサの眼孔に思いっきり店主の指が突っ込まれる。店主の綺麗な顔や体が返り血で汚れ、床に血が飛び散る。
無茶苦茶しやがる。

「ふふふ〜痛い?」
「馬鹿野郎、さっさと抜きやがれ!」
「はいは〜い」

ズリュリとツカサの眼孔から目玉が抜き取られる。ガンガンとした痛みが右目の周辺に走り続けているが、なんとか我慢した。

「んじゃ、ウロボロスの目玉を移植するよ〜」

今度は優しめだった。
痛みで麻痺しているのかもしれないが…

「はい!終わったよ!右目はあと10分くらい開けないでね〜」
「はぁ…」

なんて無茶苦茶な奴だ。
エルダーエルフにはイカレた奴が多いと聞いたが、本当だったようである。


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