チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

クトゥグア

騎士は、ツカサ達の歩みが大聖堂の中央に差し掛かると同時に動きを見せた。
ギシリと金属の擦れるような音がし、騎士達は先程まで落としていた視線をツカサ達へと向け、静かに殺気を放った。
それでも進み続けるツカサ達。
止められるのなら止めていろという意思表示だ。
騎士達は各々の武器を構え、ツカサ達に向かって走り出した。

「来たな!」
「私は奥にいる後方支援役を倒しますね」
「ああ、頼む」

アカツキが軽い身のこなしで壁を駆け上がり、フェンは大剣を構える。

「新しい武器を試す時が来たな」

ツカサは声に喜色を少し浮かべる。
ツカサはフェンの襲撃以降、何もしなかったわけではない。

なんと、ツカサは《竜聖機鎧》に埋め込まれた七聖竜の魔石の魔力を応用して武器を生成できるようになったのだ。そのタネは、《儀血血闘術》が鍵となっている。

《儀血血闘術》とは、真祖の吸血鬼が持つ特殊能力の原型であり、全ての真なる吸血鬼が持つ能力の完成品だ。
そのスキルの内容は多岐にわたる。
戦闘系、操作系、幻術系、補助系、生産系などだ。今回使用したのは生産系にあたる、《血印付呪》と《血印創造》。

2つ共、自身の血で印を描き、そこに魔力を流すことで発動するスキルであり、前者は印を描いたモノに能力を付与、後者は印に流した魔力の量に準じて何かを創造するスキルだ。
ツカサはまず、《竜聖機鎧》の魔石に込められた魔力を使って《血印創造》を発動、武具を生成してから《血印付呪》で武具に能力を付与し、その生成方法を記憶させた印を《竜聖機鎧》の魔石に描いたのだ。
こうすることで、武器の生成を半自動化できる。かなり汎用性の高いスキルだ。
極めるとかなり面白くなるだろう。

そういうわけで、ツカサは魔石の数と同じ量…つまり、7つの武器を生成できるようになった。
もう武器無しで戦う必要は無いのである。

(武器を買えという話はいつもされたけど、それは違うんだよなぁ…)

実は、ツカサは1度武器を買っている。
その武器はどこに行ったのかというと…折れてしまった。
ポッキリと綺麗に折れたのだ。
ツカサの力が強すぎたのである。

(あの時の喪失感は凄かったなぁ…一振りだったし…)

だが、過去は過去だ。もうどうしようも無い事なのですぐに忘れる。
気を取り直して前方の騎士を見据える。
あと1秒とかからず攻撃されるだろう。
そして騎士が剣を振り上げ、振り下ろした瞬間…爆発が起こった。

キーーーーーーンと耳鳴りのするような凄まじい爆発音。
その中心にそれはいた。
銀色の竜を模した剣を持ったツカサの姿。

「クトゥグア」

それが炎聖竜の魔石から生み出された剣の銘。クトゥルフ神話に登場する生ける炎の神の名だ。
その剣はその名に相応しく炎を操る。
その剣を持つ者すら炎に変え、周囲も炎に変える。それは魔法ではない。
ただの現象。
炎が起こり、炎に変えるという現象を引き起こす剣。それこそがこの剣"クトゥグア,,だ。

ツカサが"クトゥグア,,を一振り、それだけで"クトゥグア,,から爆炎が上がり、5体の騎士達が赤熱した液体金属へと変わる。

「すっげえ!やべえなその剣!おっそろし!」
「俺もドン引きだよ…」

どうやらこちらも過剰戦力なようだ。
少し離れた騎士も少し鎧が溶けている。
恐ろしい火力だ。
これでも1番地味にしたはずの能力だというのにこの威力では、他のスキルもトンデモ火力になっているはずだ。

(バグってんじゃないか?)

ついついそんな事を思ってしまう。
だが、強いのはいい事だ。そう自分に言い聞かせて次の騎士へ"クトゥグア,,を振るう。

(アイツらは…大丈夫そうだな)

フェンは大剣で騎士達をバッタバッタと切り飛ばし、アカツキは壁を蹴って不規則な動きで魔法騎士達を翻弄し魔法を叩き込んでいる。

「俺も負けてられんな〜よっと!」

ツカサも剣を振るって騎士達を吹き飛ばす。
こうして、ほどなくして騎士達は全滅した。

「今回も一撃耐えれる奴はいなかったかぁ…ま、他のよりは硬かったしちょっとマシかな〜」
「よかったですね、フェン」
「ああ!よっしゃ!今日は頑張るぜ〜!」

フェンはちょっと硬い敵に出会えて少し満足なようだ。ゴキゲンである。
スキップでもしそうな勢いだ。

「そういえばツカサ様。何体かあの鎧を回収してましたがどうされるんですか?」
「ん?…ああ、後で改良する。やはり、鎧というのはロマンだ!徹底的にいじり倒す!」
「ふふっ…後で見せてくださいね」
「もちろんだ!」

帰宅が楽しみである。

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