チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

予言

「FREE」というパーティーを組み上げた俺達は早速依頼を受けることにした。
俺達が受けられる依頼は銅ランクのものと上銅ランクのものだけだ。
金を稼いでおきたいので、最も報酬の高いゴブリン退治(上銅ランク依頼)を受けることにした。


「この依頼をお願いします」
「はい、かしこまりました!ゴブリン5体以上の討伐ですね。ゴブリンの討伐証明部位は?」
「耳です」
「正解!ですけど…大丈夫ですか?上銅の依頼ですよ?銀ランクのバルドさんを病院送りに出来るなら大丈夫でしょうけど…」

最後の方の言葉はちょっと何言ってるか分からなかったので無視する。


「大丈夫ですよ。危なくなったら逃げるので」
「絶対ですよ?気を付けてくださいね?」
「約束します」
「分かりました!この依頼お任せします!頑張ってきてくださいね!」

受付嬢さんの激励を受けた俺達はギルドを出て門へ向かう。


「おっ…来たか」
「どうも、門番さん。ギルド入りましたよ」
「そうか。んじゃ、さっさと手続きしちまうから2人共ギルドカード貸してくれ」

門番さんはギルドカードを受け取り、門の壁に掛けてあった紙に向かって30秒ほど何かを記入した後、戻ってきた。


「ほれ、これで手続き終了だ。ギルドカード返すぞ」
「ありがとうございます」

門番さんからギルドカードが手渡される。


「にしても…」
「ん?」
「2人共…雰囲気が微妙に変わったな」

門番さんが俺に近付き、俺に小声で…


「ヤッただろ」
「ヤッたぞ」

門番さんと2人で不敵な笑みを浮かべる。
こういうやり取り、ワテシ大好きです。


「そういや、2人は今日これからどうするんだ?早速依頼か?」
「ああ、今から行くんだよ」
「へぇー…熱心だな。気を付けろよ!」
「ああ!門番さんもな!」
「ここら辺には弱いのしかいねぇから大丈夫だ!こう見えても俺は元上銀冒険者だぞ?」
「なら安心だな!」
「任せな!」

門番さんに手を振りながら俺達は初めての依頼に出発した。


そして、1時間ほど経ち…

ツカサの周りには死屍累々の光景が広がっていた。
理由は簡単。トゥループラチナは吸血鬼の神であり、人の血の匂いに敏感で感覚が鋭い。
そして、ゴブリンは女を攫って凌辱したり拷問したりするのだ。
ここまで言えば分かるだろう。
犬すら分からないであろう血の匂いを辿り、ゴブリンの巣穴を見付けたのだ。
そして、現在その巣穴を潰している最中という事だ。


「これで138体目」
「こっちは135体目です」

かなり大きい巣穴だったようだ。最初はゆっくりしていたが、このペースでは終わる頃には明日の朝だと途中で気付き、それからは道路ですれ違ったゴブリンは駆け抜けながらすれ違いざまに殺し、小部屋の中のゴブリンはアカツキが幻術の炎で焼き殺す。
ゴブリンは知能が人間の6歳児並であり、アカツキほど幻術のレベルが高ければゴブリンなど幻術で簡単に脳を焼き殺せる。
そして、俺が死体をパンドラの箱で回収し後で耳を切り取るという作戦だ。


「ふぅ…ひとまず、あらかた終わったな」
「ええ、そうですね」

それでは、作業タイムである。
パンドラの箱からゴブリンの死体を取り出し、次々に耳を切り取っていく。


「そういえば…」
「どうした?アカツキ」
「ツカサ様が本当にこの街に来た理由は何ですか?」
「ふむ、というと?」
「ツカサ様は冒険者になるため、そして故郷から遠く離れるためにこの街に来たと言っていましたが、それならわざわざこの街で無くても良かったはずです。ここで冒険者のランクを上げるよりもっといい場所があるはずですが…」
「なるほどな」

確かに、その通りである。
正直、元々強いのであれば強い魔物がいる所に行った方が効率がいいのは当たり前だ。


「俺は本が好きでな。学園に通っている間、図書室に長くいる事もあった」
「…?はい」
「星の降る街という絵本を知っているか?」
「いえ…あまり本は読まないので」
「そうか…まあ、あまり有名ではないし仕方ない。その絵本はな。もうすぐ隕石が降ってくるという予言をされたとある街に住む人々の物語だ。ある者は恋人と手を繋ぎ、ある者は街から逃げ、ある者は慌てふためく。そして、最後には街諸共人々は隕石が激突した衝撃で潰されてしまうという話だ…
えげつない最後だが、読んでみるととてもロマンチックでオシャレな作品だ。1度は読んでみるといい」
「聞いてみると少し気になりますね」
「だろう?この絵本はパンドラの箱に入れてあるから後で貸そう。さて、ここからが本題だ。実はこの絵本、秘密がある」

俺は「星の降る街」をパンドラの箱から取り出し、ページをめくる。


「まずは1つ目。この絵本の2ページ目にある予言師が紙を持って人々の前で予言を読み上げるシーン。2つ目はもっと先のページにある隕石が街の目の前まで落ちてきているシーン。最後に、この絵本のカバーの裏だ。これらのどこに秘密があると思う?」
「いえ、分かりません。」
「実はな。これらのページは魔力を注ぎ込むと絵柄が変わる。または浮かび上がるようになっている」
「…!!」

フェンは驚いて目を見開く。
予言師のページには予言師が持つ紙に予言が浮かび上がり、隕石のページでは隕石に重なって竜が眠っている絵が浮かび上がる。


「しかも、カバーの裏に関しては予言師が持っていた紙に浮かび上がった内容と同じものが浮かび上がる」
「凄く凝ってますね」
「ああ、だがな。このカバー裏に書いてある予言がとんでもないんだ。読み上げよう」


『光の街に眠りし魔神の卵が降る。其れは大地に蔓延る魔の力を吸い上げる。その魔神、力を蓄え大地に解き放たれるは、すなわちこの世の終わり也』


「これって…あっ!」
「気付いたか?光の街、魔力は濃いのに弱い魔物しか湧かない理由、そしてこの街の周辺は空から何かが降ってきたかのような地形になっている。しかも『光の街』…あまりにもできすぎだ」

もしこの物語と予言が本物だとしたら…


「この街の下には、竜の魔神が眠っている」


それからはアカツキと話をしながらゆっくりと歩いて帰り、街に帰還した。


「お疲れさん!」
「門番さんもお疲れ様です!」

門番さんに挨拶して街に入り、ギルドへ向かう。
ギルドに入ると、そこにはソワソワしながら仕事をする受付嬢さんがいた。
受付嬢さんは俺に気付くと安心したような表情になり、そう思ったら頬をプクーっと膨らませた。


「サカツキさん!一体どこに行ってたんですか!?初めての依頼でゴブリンの依頼とはいえ、長すぎですよ!!」
「すいません。ゴブリンを探してたらゴブリンの巣穴を見つけましてね。潰すのに少々時間がかかりました」
「えっ…ゴブリンの巣を…潰した…?2人で!?ま、またまた〜冗談を言ってはいけませんよー」
「はい」

俺は肩に掛けた袋いっぱいに入ったゴブリンの耳を取り出す。
受付嬢さんの表情が固まった。

「サカツキさん…これ…」
「ゴブリンの耳」
「上の方だけゴブリンの耳で下は土だったり…」
「ゴブリンの耳」
「えっ…じゃあゴブリンの耳に似せた人の耳だったり…」
「怖っ!?疑いすぎでしょう!過去にどんな事があったんですか!?」
「だって!!初めての依頼でこんなに成果上げる人なんて滅多にいないですよ!?」

確かに、ちょっとやり過ぎたかもしれない。
だが、だからと言って疑いすぎである。
というか、この疑いようからこの人の苦労が伝わってくる。お疲れ様です。

「とりあえず、これで依頼達成という事でいいですかね?」
「えっ?あっ…はい。こちらが報酬金です。依頼達成条件として提出いただいた5つのゴブリンの耳以外の討伐証明部位査定が終わり次第ギルド金庫へ入金させていただきます。お疲れ様でした…」

ツカサは受付を後にし、グラスを磨くおっちゃんの前へ。


「お疲れさん。初日からゴブリンの巣を壊滅させるとは…あんちゃんやるなぁ!」
「ありがとう。注文は…エールと唐揚げ」
「私はエールとステーキで」
「はいよ」

注文を済ませて空いている席に座ると、昼間の講習会メンバー5人組がやってきた。


「ん?どうしたんです?」
「お前…どうせなんかズルしたんだろ!」
「ミシェアちゃんが困ってたろ!」
「そうだ!」
「絶対何かあるに違いない!」
「真面目に依頼をこなしてる奴らに謝れよ!」
「ははは」
「「「「「何笑ってんだクソが!」」」」」

5人組が怒り狂っている。
いやはや、いじりやすくていいな。


「クソッ!アカツキちゃん!こんな奴と一緒にいちゃロクなことがないぜ!俺達と一緒に行こう!」
「こんな奴…?」

あっ…アカツキの目が据わってきてる。
これはやばい。


「じゃあ、俺と戦ったらいいんじゃないか?申請すれば訓練所で決闘は許されているだろう?」
「は?何でいちいちそんな事…」
「お前らは俺がゴブリンの巣を壊滅させていないにも関わらず、壊滅させたと虚偽の報告を行った。そんな奴の近くにいてはアカツキにはロクなことが無い。だからお前らのパーティーに渡せと言いたいんだろう?」
「あ?…あ、ああ!そうだ!」


「だから俺は、お前らと俺とで模擬戦を行う。
そして審判に、俺がゴブリンの巣穴を壊滅させられるレベルかを判断してもらえばいいんだから模擬戦で証明しようぜって言ったんだ」
「あ…ああ!分かってるよ!やろうぜ模擬戦!」

「だが、こっちはアカツキを寄越せと言われているんだ。
俺としては大事な大事な仲間で『俺の女』だからな。やはりこちらとしても、お前らに何か要求したいわけだよ」


「お…おう!望むところじゃねぇか!」
「よし!交渉成立だ!」

バカで助かった。
俺は料理を食べ終え、席を立つ。


「お、おい!お前が勝ったらどうするんだ!」
「え?お前ら勝つんだろ?だったらいいじゃん言わなくて。
もしかしてビビってるのか?んなわけないよね!君から仕掛けて来たんだから」

「あ、ああ!当たり前だ!お前の自信、俺達が叩き折ってアカツキちゃんを解放してやる!」

おバカさん達がギルドから出ていく。
そして当の本人は微塵も心配していない様子。
ステーキをモキュモキュ幸せそうに食べてる。

まあ俺の戦い見てれば普通勝てるの分かるよね。鑑定なんてスキル無くても武器に重心持っていかれてる時点で雑魚だと素人でも分かる。


「という事らしいので訓練所貸してください」

という事でミシェアさんに申請を出す。

「わ、分かりました!でも…大丈夫ですか?サカツキさんとアカツキさん…多分カップルですよね?もし負けたら…」
「ん?…あぁ、別にいいんですよ。そもそもこの戦いは始める前から勝ってるので」
「でも…いくらサカツキさんがアカツキさんと2人でゴブリンの巣穴を壊滅させられるからって5対1は無理です」


「いいえ、そうじゃないですよ」

「え?」


「俺は模擬戦に勝ちます。そもそも、模擬戦で勝っても負けても別にいいんですよね」
「え!?じゃ、じゃあアカツキさんの事は…!」
「いいえ、アカツキは俺の女です。かけがえのない、たった一つの存在。
俺の女を物扱いした罪は重い。叩き伏せます。
そして、もし負けたとしても大丈夫です。さっき言ったじゃないですか。


『この戦いは始める前から勝っている』と」


「それって…」
「いいですか…」ゴニョゴニョ…

俺はミシェアさん?に耳打ちをし、ネタバレをしてしまう。
そして、目を見開いたミシェアさんにネタバレ料として後の手続きを任せて俺達は「鹿の一休み」へ向かった。




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コメント

  • 真砂土

    あれ?これはメンヘラの予感…

    1
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