チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

昼チュン、そしてパーティー結成

「ん…?ん"ーー…」

結局、昨日は明るくなり始めるまで寝られなかった。朝チュンならぬ、昼チュンというやつだ。


「おっ?」

ツカサの腕の中でアカツキが寝ている。
頭からは可愛らしいキツネ耳がピョコンと生えており、9本の尻尾がフサフサモコモコだ。
愛おしい。この女が俺の守るべき人なのだ、この女と昨日体を重ねたのだ、と胸が熱くなる。


(そういえば、昨日の夜ヤッてばっかりでブラッシングしてやれなかったな)

アカツキの頭を撫でながら、起きたらブラッシングしてやろうと心に決める。


「んう…?キュゥ?」

アカツキが目を覚ました。
どうやら起こしてしまったようだ。


「おはようアカツキ」
「んう〜ツカサしゃま〜」
「おっと…」

アカツキが首に手を回して抱きついてくる。
まだ寝惚けているんだろうか。
だらしなく顔が緩みきっている。


「わたし…しあわせです…」
「ああ、俺もだ」

そう言っておはようのキスをしていると…

コンコン

ドアがノックされた。
突然の出来事にビクン!と2人の体が跳ねる。


「お二人共〜もうお昼ですよ〜お楽しみだったのはいいですけど、もうそろそろ起きた方がよろしいのでは〜?」

ナタリちゃんが起こしに来たようである。
アカツキと2人で笑い合って、ナタリちゃんに返事をした。


「今行くよ!」
「はーい!お昼ご飯できてますから〜」

スキルで姿を変える。
窓を開けると、下の方からパンの焼けたいい匂いがする。
すげえ。これは絶対手作りだ。
本当にこの宿はアタリだったらしい。







…いや、1つ残念だった事がある。
それは食堂に向かった時の事だ。
どうやらご飯はナタリのお姉さんであるカリーさん(ナタリちゃんに教えてもらった)が作っているらしいのだが、食べに来てからずっと厨房で羨ましそうな…それでいて恨めしそうな目でずっと見てくるのだ。
確かにご飯は美味いのだ。
だが、食べずらいことこの上ない。


(なんでこの人モテないんだ…綺麗な上に料理も美味いのに…)

俺達はカリーさんの視線を浴びながら昼ご飯を完食した。


「美味しかったです♪」
「そうだな。めっちゃカリーさんが見てきてたけど」

「鹿の一休み」を出発した俺達は現在、冒険者ギルドに向かっている。
今日中に冒険者になってギルドカードを作っておきたいのだ。
門番さんにギルドカードを提出しないといけないし、一応ある程度生活できるくらいの金はあるのだが、やはり限界はある。
何個か仕事をしておきたい。


「着いたみたいですよ」
「おっ?みたいだな」

煉瓦造りの大きな建物。
流石は駆け出し冒険者の街。冒険者ギルドが大きく、何より綺麗だ。
俺達が冒険者ギルドに入ると鈴がなり、中にいる冒険者達全員から視線を浴びる。
アカツキには卑猥な視線が向けられ、俺には嫉妬などの視線が向けられる。


(これはお約束パターンかもな〜)

俺達はそれらの視線を無視して受付嬢さんのいるカウンターに進む。
すると、ハゲのオッサンが俺達の前に立ちはだかってきた。


「おい!依頼ならあっちだぜ?あんちゃん。そっちの嬢ちゃんはこっちで遊ばねぇか?そんなガキより……おい!」

俺の前にオッサンがいた気がするが、気のせいだろう。気にしない気にしない。
無視してアカツキを守るようにして受付に進む。


「おいコラ!聞けや!止まれ!…この糞ガキ!」

なんか聞こえるが、無視だ無視。


「この子と冒険者になりたいんですが…」
「えっ?あ…は、はい。登録ですね。ではこちらの紙に…「おいゴルァ!?無視してんじゃねぇぞゴラァ!?」あの…大丈夫です?」
「え?何がです?あ、この紙の項目通りに書いたらいいんですね?」
「あっ…はい…」
「ここで書いてもいいですかね?」
「いいで…「調子こいてんじゃねぇぞ!」あっ!危ない!」

ツカサの後頭部にオッサンの拳が振り下ろされる…だが、ビクともしない。オッサンがイタズラでデコピンでもしたんだろうか。
お茶目なヤツめ。
ツカサは無視を決め込む。


「おらぁ!このぉ!クソがァァァァ!!!」
「あの…ここなんですけど、こう書くっていうので合ってますかね?」
「えっ…あ、はい…」
「らしいぞ、アカツキ」
「わ、分かりました」
「ああああああ!!!!クソがああぁぁぁ!!!」
「あの…」
「えっ?」
「本当に…大丈夫ですか?」
「サカツキ様…私もちょっと心配なんですけど…」
「え?どうしたの?2人とも」

こうしている間もツカサは後頭部を殴られ続けている。必死にツカサの後頭部に拳を振り下ろすオッサンと、それを全て避けるでも無くむしろ全て命中しているにも関わらず完全に無視して紙に登録情報を記入するツカサ。
恐ろしくシュールである。

「「「ギャハハハハハハッ!!!」」」
「プッ…」
「クスクス…」

ギルドにいる冒険者全員爆笑。
そして、その笑い声が聞こえる度にオッサンの顔が凄い事になっている。


「あっ…記入終わりました」
「私も終わりました」
「ありがとうございます。サカツキ様とアカツキ様ですね。ギルド金庫は利用されますか?」
「ギルド金庫?」
「はい。冒険者のお金をギルドが預かり、保管するサービスです。どこの冒険者ギルドでもお金が取り出せるので便利ですよ。
報酬金をそのまま金庫に入れる事もできますし、登録すればギルドカードで金庫の残高をいつでも確認出来るのでオススメです」


(銀行口座みたいなもんか…楽そうだし使うか)


「それは便利ですね。それじゃあ頼みます。アカツキも使うか?」
「はい。私の分もお願いします」
「かしこまりました!では、ギルドカードを作成しますので30分ほどお待ちください」

受付嬢さんが後ろの方に下がっていく。
少しワクワクしてしまう。


(こういう身分証明書が作られる時って何故かワクワクするんだよなぁ…)

とりあえず、30分の暇つぶしタイムである。
この冒険者ギルドは酒場と合体したような作りになっており、受付カウンターとは反対にあるおっちゃんがグラス磨いてるカウンターで飲み物や食べ物を注文する事ができるようだ。


「麦茶ください。アカツキは?」
「私も同じ物で」
「おらぁ!このっ!クソが!」
「はいよ。にしてもあんちゃん…凄いな。色々と」
「凄いとは照れるな〜ありがとうおっちゃん!」
「いや、褒めて…いや褒めてるのか?んん?あれ?」
「凄いんだから褒めてるんじゃないです?」
「そうか…あんたがそう思うならそうなんだろうよ。ほい、麦茶」

おっちゃんはため息を吐いて麦茶を渡してくれる。

「ありがとう。代金は?」
「面白いもん見せてもらってるし、そのおかげでいつもより儲かってる。タダでいいぞ。気になるならギルドへの加入祝いだとでも思っとけ」
「そっか!おっちゃんも頑張れ!」
「おうよ」

人の好意は素直に受け入れるべきだ。
おっちゃんに感謝しつつ、麦茶を飲む。
なお、その間もツカサの後頭部には拳が打ち込まれている。
完全にコント状態。観客席は大爆笑だ。

「くっそぉ…おい!そこの女m…「あー。手が滑ったー」ブェア!!!」

アカツキの肩に掴みかかろうとした途端オッサンは床で足を滑らせ(拳で下顎を撃ち抜かれ)、周囲の机を巻き込みながら壁を突き破って行く。


(凄い音だな。やかましい!はしゃぐならもっと静かに出来ないものか…)

ツカサは自分が原因である事を棚に上げ、理不尽な事を考えていると、奥からさっき手続きをしてくれた受付嬢さんが何事かと走って出てきた。


「凄い音がしましたけど一体何…が…」

彼女の視界には、さっきまで大笑いしていたというのに表情を凍らせて静まり返った冒険者達と、その冒険者達全員の視線が向けられている拳を握ったツカサとその隣にいるアカツキ、そして大穴が空いた壁とツカサの方から壁に向かって一直線に木片が散らかった床が映っている。
受付嬢さんの顔が怖い笑顔になった。
ハハハ。ちょーコワイ。


「…サカツキさぁん?何したんですかぁ?」
「いやね。なんか先輩冒険者の方がはしゃいでたもんだから転ばないよう注意しようと後ろを向いたんです。そしたら案の定オッサンが床で足を滑らせまして。そんでハゲは周りの机を巻き込みながら壁をぶち抜いて行ったんですよ。な?お前ら」

ブンブンブン!!!
そこにいた冒険者全員が勢い良く首を縦に振ってツカサの大嘘を支持する。


「あ、ハゲが勝手にぶち抜いたんですから修理費は俺じゃなくてハゲに請求してください。俺は無関係ですからね」


((((お前が原因だろ!))))
この場の全員が心の中でツカサにツッコんだ。



それから10分程待ち、ようやくギルドカードが完成した。
銅製のドッグタグみたいな形状であり、荷物にはならなそうだ。


「こちらのギルドカードですが失くした場合、再発行には100アルナが必要ですので紛失にはお気を付けください。では、登録料として50アルナ頂きます」
「「ありがとうございます」」

アカツキと一緒にお礼を言って登録料を渡し、受付嬢さんからギルドカードを受け取った。
早速ギルドカードを首にかける。なんか知らないけどテンション上がってきた。


「それでは講習会を行いますね。お時間は大丈夫ですか?」
「えっ」
「この後他に予定はありますか?」
「ないですけど…」
「分かりました!では、行きましょ〜う!」
「ぐわああああ!!!引き摺るなあああ!!!」

アカツキは歩いて、何故か俺は引き摺られて会場に入り、講習会を受けた。

おおまかに内容を纏めるとこんな感じだ。
冒険者はランク制。
銅<上銅<銀<上銀<金<上金<黒金<白金の順番。要するに、貨幣と同じである。
受けられる依頼は原則自分と同じランクかそれ以下のランクの依頼。
ランクを上げるためには今のランクと同じ依頼を一定量こなすと参加できる昇級試験に合格する、もしくは功績をギルドに認めて貰う。この2つの方法があるらしい。
ランクアップでメジャーなのは昇級試験で、上のランクの冒険者との模擬戦らしい。
なお、「功績をギルドに認めてもらう」これはなかなか無いらしい。
まあ、これは別にいいだろう。

次に、依頼や報酬金について。
依頼は討伐依頼と納品依頼に分かれていて、討伐依頼は討伐証明部位という物を切り取って来ればいいらしい。
また、討伐証明部位は依頼を受けていなくても提出するだけで報酬が貰えるらしいので、魔物を討伐したら積極的に採取するといいらしい。
納品依頼はギルドに納品物を提出すれば受けていなくても自動で達成されるとのこと。


その次にパーティーやクランについて教えてもらった。
パーティーとは冒険者同士が同意し、ギルドに申請を出して組むチームの事だ。
最大5人。パーティーを組めば1つ上のランクのクエストも生死は自己責任で受けられるらしい。
クランはその上位互換のようなものであり、6人以上の加入希望のメンバーがいて、設立費用の1000アルナ払って設立できる。
ギルドでクランが承認されれば、ギルドがクランハウスという拠点の購入斡旋をしてくれたり、クラン未加入の冒険者を紹介してくれたりするらしい。

後は、モンスターを解体して持ってくればギルドが他より高値で買い取ってくれたり、オークションに代理で出品してもらって売れた金額の1部をギルドが受け取り、残りを提供者のギルドの金庫口座に入金してくれる…など色々な話を聞いた。

長かったが、面白い話が聞けたし色々参考になったので満足である。


「それでは、講習会は終わりです!ありがとうございました!」
「「「ありがとうございました」」」

受付嬢さんが会場を出ていく。
会場の空気が弛緩した。
俺達以外に参加者は5人ほど、全員男だったようだ。
その男達は講習会が終わってすぐアカツキに近付いて行き…


「「「俺とパーティー組んでください!」」」

アカツキをパーティーに誘っていた。


「え?えっと…」

チラッチラッとこちらを見るアカツキ。
前よりアカツキは人に慣れてきているが、まだ完全に人に慣れたわけでは無いらしく、強く出られないようだ。
だが、それも仕方ない。いや、むしろ早すぎるくらいだ。ゆっくり慣れていけばいいのだ。


(とりあえず、早くアカツキを助けよう)

ツカサはアカツキをパーティーに誘っていた5人とアカツキの間に強引に割り込み、手を差し出す。


「ほれ、行くぞ?パーティー組むんだろ?」
「は、はい!」

5人は舌打ちして離れていく。自分の荷物を取りに行ったようだ。
俺達は受付カウンターまで戻り、さっき俺の事を引き摺ってくれやがった受付嬢さんの受付でパーティー申請をする。


「パーティーですね。そう言うと思って用意しておきました!こちらの紙に項目通りに書いてください。あ、ココとココはギルドが記入するので大丈夫ですよ!」
「分かった」

なんだか視線を浴びている気がする。
だが殺気や危なそうな視線ではないし、どうでもいいので無視して記入していく。


「アカツキ、このパーティー名だけどどういう名前にしたいとかあるか?」
「サカツキ団で!」
「…却下だ」
「むぅ…」

アカツキにはネーミングセンスが無かったようだ。


(なんだよサカツキ団て…俺の自己顕示欲強すぎだろう…)


「うーん…じゃあFREEだ。名前はFREEにしよう」

俺は勇者という重責や使命から、アカツキは2000年以上の封印から解放されたのだ。
これから自由に生きるのだという希望を込め、俺達は「FREE」となった。

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コメント

  • 真砂土

    あれ…何故だろうどんどんコイツらに洗脳されていく気がする(悪ノリ)

    1
  • rui

    アルナ単価は、なんか読み間違えるね。何にとは言わないけど、いい意味で。

    1
  • solbird

    O53478さん

    君のような勘のいいガキは嫌いだよ(悪ノリ)

    2
  • O53478

    アルナ...ア ル ナ おや、まるでケツの(ry

    1
  • solbird

    笑った

    8
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