チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

門番さん

騎士達を皆殺しにした俺達(やったのは全部俺)は唇を交わした後、すぐ行動を開始した。
とにかく、これから動きやすくする為に顔を変える。
これはすぐに終わった。
トゥループラチナのスキル、《儀血血闘術》の1つである、《血粧術》を使えば5秒で終わる。
まず顔のパーツを変え、精悍な顔付きにした。髪は灰色で長めのオールバック、瞳の色は青で、肌は白かったのを肌色に変える。


「ふむ、流石俺。キャラクリを何度もやって来た腕は鈍ってないな。前は美青年系イケメンだったが、こっちはお兄さん系イケメンだ」
「私は前の方が好きですが…」
「二人きりの時は前の顔に戻すから許してくれ」
「言っておきたかっただけなので気にしないでください…私はどんな姿でもツカサ様を愛します」


特に意味もなくアカツキの頭を撫でる。元々微笑んでいた顔がさらに綻ぶ。可愛い。
あと、アカツキの9本ある尻尾も血粧術で1本にさせる。尻尾が1本だけなら普通の狐人である為、街にいても違和感は無いだろう。


さて…次に、生きていくには金が必要だ。
なので、まずは冒険者になるため"駆け出し冒険者の街フウ,,へ向かう。
山奥でスローライフでもいいのだが、せっかく異世界に転生したのだ。色々な人と触れ合い、楽しまなければ損である。
なお、高位の冒険者になって偉くなり、いつか会う友達に自慢したいという適当な理由も挙げられる。冒険者であれば力さえあれば楽に地位を上げられるし、権力者なんてめんどくさい事したくない。
以上が冒険者になろうと思った動機である。

進む方角は南西。
「フウ」という街は、だいたい馬車で1ヶ月程の距離だ。こんな距離、普通冒険者になる為だけに行こうとは思わない。
しかし、顔を変えているとはいえ近場の街で冒険者として活動すると学園での知り合いにちょっとしたキッカケでバレる可能性がある。
少しでも遠くへ行っておきたいのだ。

(俺に関して言えば馬車で1ヶ月の道なんて大した事無いしな)

ツカサのユニークスキルに「竜聖鎧」というものがあるのをご存知だろうか。
このスキルはツカサが前の世界に転生した直後、勇者の能力として世界から授かったスキルである。鑑定した際の詳細はこんな感じだ。


ユニークスキル:竜聖鎧
詳細:勇者「朝宮 司」に与えられた勇者の能力。両手の甲、両膝、胸、兜の額部分、背中に計7つの宝石が埋まった鎧を召喚する。宝石は全て七聖竜と呼ばれる竜達の魔石であり、魔石の力を解放する事で鎧が変形し七聖竜それぞれの力を扱う事ができる。
また、バイクにも変形可能だが、魔王討伐の旅においてあまり使われる事は無かった。

右手甲:炎聖竜の魔石
左手甲:水聖竜の魔石
右膝:闇聖竜の魔石
左膝:光聖竜の魔石
兜:地聖竜の魔石
胸:剣聖竜の魔石
背中:天聖竜の魔石



このユニークスキルで召喚できる鎧。なんとバイクに変形するのだ。


(カッコイイんだよ!でもなぁ…)

そう。非常にカッコイイのだが、詳細にもある通り魔王討伐の旅においてはあまり使わなかったのだ。
何故か?転移魔法が使える魔法使いがいたからだ。そりゃ使わなくなるだろう。
確かに魔力温存のため、遠い場所へ行く際は魔力を使い過ぎない程度の距離を転移で移動してバイクで移動することもあったが、それでも使う時間は大して長くもない。
それ故、操作技術が完全にペーパーなのだ。


(いつかは慣れないといけないから仕方ないんだけどな〜)

そういうわけで、現在道を目指して進んでいる。もうすっかり夜だ。
隣を見ると尻尾が1本になったアカツキが歩いている。もこもこフサフサな尻尾が左右に揺れており、触りたくなってしまう。


「なぁ、アカツキ」
「はい、何でしょう?」
「街に着いたら尻尾ブラッシングしてもいいか?」
「?」

フェンはキョトンとした表情を浮かべ、ツカサは苦笑する。

「ブラッシングとは何ですか?」
「んー…まあ、やってみれば分かるよ」
「楽しみにしておきます」

アカツキとツカサは微笑み合い、二人並んで歩き続ける。


(さて…そろそろ道に出る頃かな)

もし何かあった時の為、この世界の地図と周辺の地理は頭に叩き込んである。
俺の脳内マップではそろそろ道に出るはずだ。
世界地図は一応持っているが、結構この世界の世界地図は大雑把であり、街の位置くらいしか合っていない。
それでも充分なのだが、やはり日本に住んでいた頃のような完璧な地図が欲しくなってしまうのは仕方ないのだ。


「おっ!道が見えたな」
「やりましたね!」

時間にして夜の10時といった所だろう。
道の隅の方で俺達は野営の準備をする。
ここで役に立つのが《パンドラの箱》である。


《ユニークスキル:パンドラの箱》
神ですら手が出せないような危険な代物や、世界の負の遺産などが封印された禁忌の箱。
しかし、その本来の性質はどんなものでもどれだけでも収納し管理できる能力。スキルすら収納可能である。


俺は逃亡用に予めテントや食料をこのスキルの中に収納してあったのだ。
パンドラの箱とは前の世界で生まれてからの付き合いである。開けたのは魔王戦が最初だが。
なお、このパンドラの箱にはまだまだ大量にヤバそうな代物が眠っている。
人造神機やらホムンクルス製作やら全部ヤバそうだ。いつか全部手を出そう。

最後に魔眼で腹痛と下痢、便秘というサタンコンボな呪いを周辺に張り、テントの設営が完了した。
なお、テントは一つだけだ。仕方ないのだ。誰かと逃げるなどと思っていなかったのだから。
その為、テントは一人用の小さいものだ。
そして、事件は俺達が夕食(スープと干し肉、パンというthe保存食)を食べ終え、いよいよ寝よう!という際に起こった。


「よし!寝るぞ」
「はい」

アカツキが中に入って来る。
寝転がってもいないのにかなり狭い。
アカツキのべんぴんさんな顔が目の前にある。


「…こりゃ狭いな」
「そうですね」

布団を敷いてもういっぱいであり、かなり密着する事になるだろうが仕方ない。


と、いうわけで。

(現在抱き合って寝ております)

モフモフである!モフモフ天国である!
べっぴんさんな顔が目の前にあるが、それ以上に抱きつかれているため全身モフモフなのだ。
これはヤバイ、至高だ。モフモフだ。
あったかいモフモフが全身を包み込んでいるのだ。それに、アカツキの大きな胸が俺の胸に押し付けられており最高だ。
しかも、アカツキからいい匂いがする。


(何故だ…why…ずっと地下に閉じ込められていたはずなのに何故こんなにいい匂いがするのだ…)

世界には不思議な事がいっぱいである。
俺はあまりに気持ち良すぎるアカツキ抱き枕に意識を保つ事ができなかった。

────────────


────────


────




「…様」

誰かが俺の肩を揺らしている。
誰だぁ…我の眠りを妨げるのは…

「…サ様」

非常に美しい声だ。だが、我は騙されぬぞ。
日本にいた頃、声だけ可愛かったり綺麗だったりで顔は猿をボコボコにしたような奴がいた事を。

「ツカサ様」

「ん…?アカツキか?」

どうやら顔も美人だったようだ。許してやろう。アカツキの頭を撫でて起き上がる。
非常に寝心地が良かった。今夜からお主は我の抱き枕じゃ。

「もそっとちこう寄れ。おーよしよし。愛いやつめー」

「♪♪♪」

アカツキを抱き寄せて頭を撫でると、アカツキはツカサの手に頭を擦り付けて甘える。

(あ^〜癒されるんじゃ^〜)

10分ほどアカツキを堪能し、アカツキと共にテントから出る。
時間は大体6時か7時といった所か。
アカツキと一緒に背伸びをして大きな欠伸を1つ。いい朝だ。
収納しておいたパンを焼き、溶き卵を炒めてスクランブルエッグに。
Simple is best.
ウチのキツネ様も満足なようだ。

「スマンな。久々の飯だってのに昨晩は大した物を作ってやれなくて」
「いえ、ツカサ様が気にするような事は1つもありません。そもそも、私達は食べなくても生きていられるのですから」

俺は昨日、夕食を食べ終わった後に自分のステータスとアカツキのステータスの鑑定結果をアカツキに見せた。
その時に初めて知ったのだが、実は、不老系のスキルがあれば食事がいらなくなるらしい。

「今の俺達ってどんな体してんだよ…」

やはり、世界には不思議な事がいっぱいである。

「さて、そろそろ出発しようか」
「はい!」

先程、食器や調理道具は洗ってテントなどと一緒に収納した。
出発の準備は万端だ。


「竜聖鎧!」

ツカサはスキルを発動し、その身が白い全身鎧に包まれる。


「形態変化、エアバイク」

すると鎧がツカサの体から光の粒となって離れていき、目の前に光の粒が集まって形を象る。
ふと光の塊が強く光ったかと思うと、そこに現れたのは宙に浮いたタイヤの無いバイクのような縦長の乗り物。


「すごい…カッコイイです!」
「そうだろうそうだろう」

ツカサはついついドヤ顔になる。
ちなみに、このバイクは宙に「浮いている」が、「飛ぶ」事はできない。
せいぜい50cmが限界であり、速く進むには地面に近くなければならないのだ。
最高速度はとてつもなく速く、速度が砂漠や荒野などの地形に影響されないだけでも便利だが、宙に浮いているのだからロマン的に飛んでほしいとは思う。

さて、ここまで言えば分かるだろうがこのバイク。圧倒的に森との相性が悪い。
枝をへし折りながら進む事もできるだろう。
だが、そんな事をした日には顔面に枝が刺さりまくってウニのようになってしまう。
ハロウィンのガチコスプレイヤーもドン引きだろう。
そういうわけで、俺は道に出る事を優先したのだ。


(道にさえ出てしまえば後はぶっ飛ばすだけだしな〜最低速度から慣らしていってぶち抜けばすぐ着くだろ)

ペーパーであるツカサは安全運転を心掛ける。ちなみに、このバイクの最高速度は時速1万キロだ。
なお、魔法によって自分は勿論、周囲の風圧等もカットされているため事故さえしなければ快適な超速移動が可能である。

とにかく、ツカサがエアバイクの操縦席に乗り、アカツキを後に乗せる。

「そういえば、アカツキは馬車で酔った事はあるか?」
「うーん…特に無いと思います」
「そっか。慣れてないと酔うかもしれないから気持ち悪くなったら言えよ」
「えっ」
「よし!出発するぞ〜!」
「えっ!?ちょっと待ってください!心の準備g「ヒャッハアアアアアアア!!!!!」キャアアアアア!!!!」

アカツキが何か言っているが、無視だ無視。
どの道慣れてもらわねばならんのだ。
無理矢理にでも慣れてもらう。


〜12時間後〜

途中から俺の操作が慣れてきて、どんどんスピードを上げているとまさかの半日で街の入口が見える所まで着いてしまった。
アカツキも途中から慣れてきたのか最後の方は楽しくお話しながら走ってました。
背中に押し付けられてるアレの感触は良うございました。ごちそうさまです。

さて、現在私達は徒歩で入口に向かっております。街の近くの丘のような所でバイクから降りたのだ。
時速2000キロ以上で爆走する乗り物など怪しいことこの上ない。

当然、街に入るには門番に手続きしてもらう必要がある。もし、俺が門番をしていたとして、とてつもない速さで爆走する得体の知れない乗り物に乗った得体の知れない人物が街に入りたいだなんて言い出したら即御用である。

さて、この街について少し説明しよう。
ここは、"駆け出し冒険者の街フウ,,
山を丸く抉り取ったような地形の中にあり、冒険者ギルドが資金援助をしている「駆け出し冒険者」の為の街だ。
この街の面白い所は住民の7割が冒険者であるところであり、その理由は単純明快。
この街の近くは魔物がかなりの頻度で湧くのだが、その魔物達が全て弱いのだ。
魔物というのはその地の魔力が濃ければ濃いほど湧く頻度が高くなり、魔力が濃いほど強い魔物が生まれやすいのだが、この地は魔力が濃く魔物が頻繁に湧くというのに一切強い魔物が湧かないのである。

つまり、初心者冒険者がレベルを上げるのにはうってつけの場所だと言うわけだ。
他にも、冒険者から通行料を取ることが無い事や、身分証明書が無くても冒険者ギルドに加入する事を条件に通行料を取られることなく街に入れるというのも冒険者が多い理由の一つだろう。
ちなみに、未来ある若者達に投資するために職人や商人、料理人などもやって来るので商業もとても賑わっている。

未来ある駆け出し冒険者という光を求めて商人などが集まることから、一部では「光の街」なんて風にも呼ばれている。
…フウだけに、風ってな!HAHAHAHAHA!!

……わざとじゃないんだ、不可抗力なんだ。



さて、そんなこんなで門の前まで辿り着いた。30歳くらいの門番が立っている。

「身分を証明できる物は持ってるか?」
「いや、無いですね。後でギルドカードを作ろうと思っているから手続きをお願いします」
「そちらのお嬢さんは?」
「私も同じです」
「そうか。じゃあ、この誓約書に名前を書いてくれ」

俺とアカツキは名前を書いた。
勿論、俺は偽名である。
バイクで運転している間に考えたのだ。


「えーっと…アカツキと『サカツキ』だな。君達は恋人同士かい?やるなぁ、サカツキ君」
「はっはっは!!そういう門番さんこそ結婚してるじゃないか。左手の薬指。結婚指輪でしょう?」

門番さんの左手の薬指には装飾の無い銀色の指輪が輝いている。


「まあな。だが、そこのお嬢さんみたいに美人さんじゃあないよ。すっかりおばさんさ。」
「でも…?」
「幸せだ」
「「よしっ!」」

門番さんと熱い握手をする。
俺は門番さんと仲良くなった。




〜tips〜

《儀血血闘術:血粧術》
伝説の吸血鬼トゥループラチナの持つスキル《儀血血闘術》に秘められた力の一つ。
肉体に偽装の魔術が込められた血印を施す事で瞬時に姿形を変えられる。
これは誰かに触れられても解けることは無く、完全なる変装系スキルと言えるだろう。

《呪竜王の魔眼》
ツカサが生前持っていた呪竜王としての力を一つにまとめたスキル。
彼は想像を絶するほど強大な呪術から生まれた。彼の呪いには限りが無く、その気になれば世界すら呪い殺せるだろう。

「チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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コメント

  • 落合  葱

    マッハGoGoGoみてぇ(歳バレるwww)

    1
  • ノベルバユーザー262395

    世界すら呪い殺すってすごいな

    1
  • おたけT

    マッハ10のバイクw

    1
  • 真砂土

    でもその門番さんもいつかサカツキに殺されるんだろうな…

    1
  • ノベルバユーザー236961

    幼なじみの勇者どうしたら

    1
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