チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

新たな物語

〜暗い闇の奥〜

カチャリ…

冷たい金属音が響き、また静寂が訪れる。
そして、弱々しい声が静寂の水面に波紋を立てた。

タスケテと。














さて、皆さん。お久しぶりです。
ツカサです。
時が流れるのは早いもので、この世界で生まれてからもう18年経ちました。
何の因果か名前はツカサのままです。ありがとうマイマザー。
さて、転生してからの展開を大雑把に話していこうか。

まず、俺が転生した先は人族の村である「ナハル村」という所だ。
両親の名前が父はカイル、母はハヤ。
父は赤髪のイケメン。母は黒髪巨乳の美人だ。
羨ましい。非常に羨ましい。
母乳を貰っていた時、役得だったのでそれで水に流してやろう。

さて、俺の容姿はどうなったのかというと。
赤髪で父と母の顔を割って足したようなイケメンに…なる事は無かった。

まさかの白金色の髪に赤い瞳のイケメンだった。イケメンでよかったが、トゥループラチナの遺伝子、しつこすぎである。
両親が本当に自分の子供か怪しんでたぞ。
紫の瞳は無くなったが、力を入れると左の瞳だけ紫色になるため完全に無くなったわけでは無いようだ。

さて、そんな俺は村の中で少し浮いたと言えば浮いたが、特に虐められるという訳でもなく街で全寮制の学園に通いながら友達を作りながらも平穏な18年間を過ごした。

そして今日はステータス鑑定の日だ。
ステータス鑑定の日というのは学園を卒業すると同時に行われる行事であり、ここで人生が決まる事もあるほどらしい。

内容はそれぞれの故郷に戻り、教会でステータス鑑定を行う…という名前通りな行事だ。
この行事、実は楽しみでありながら不安でもある。
何故なら、髪の毛が白金色で赤瞳なのだ。
種族がトゥループラチナと表示されてみろ。
迫害確定である。
後は、称号がどうなるかだ。
鑑定は使える事を確認しているが、人生に1度のステータス鑑定の日である。
せっかくなのだからこの世界において人生の分かれ目と言われる行事を楽しまない訳にはいかないので自分のステータスは知らない。

怖い。でも、今の自分がどれくらいの強さなのか少し楽しみである。
筋トレはしていたが、魔物と戦った事は無い。
(それどころか人とも戦った事が無い)

そんな状態のステータスがどれくらいなのか気になるのだ。



「…という訳で、現在教会に向かっております」
「ねぇ。誰に話しかけてるの?」
「知らね」

現在、幼馴染と一緒に馬車に揺られております。
隣の家の子で同じ日に産まれた女の子。
その名も「レシィ」である。
茶髪のショートカットで制服が眩しい。
顔は美人というより可愛い系だ。

まあ、それはさておき。

「とりあえずさ…離れてくんね?」
「いーや☆」

近すぎである。
好意MAXなのはありがたいのだが、付き合っても無いのにイチャイチャしまくりのバカップルと大して変わらない距離だ。しかも…

「今…夏だぞ?それも猛暑だぞ?正直暑いんだが」
「いーや☆」

何が「いーや☆」だ。
俺は暑さが苦手なのだ。代謝が良く、しかも熱が体の中に篭るタイプであるため、すぐ熱中症になる。
トゥループラチナの『スキル:健康体』のおかげでこの世界に来てから熱中症になった事は無いが、それでも暑いものは暑いのだ。

「肩が触れ合うぐらいの距離で我慢しろください」
「はーい!」

少し真面目に言うとあっさり従ってくれる。
相変わらず俺のツボを抑えている。
これだから俺も強く注意できないのだ。

(まあ、この後どうなるかでこの先ずっと幸せかどうかが決まるわけだが…)

自分の種族がトゥループラチナと表示されただけならば種族が違うというだけで済む。
だが、称号に魔神や世界を殺せし者なんてモノが付いていた日には全世界から狙われる。

(だが、なんとかなるだろう)

俺にはトゥループラチナの不死能力がある。どうなるかは分からないが、生きていれば儲け物だ。
そういうわけで、俺は今の所誰とも付き合っていないのだ。
少し凹むが、俺は前に進まないとならないのだ。
あのいじりがいのある友達と、再会した時にガッカリさせないように。


〜数時間後〜

「着いたぞ〜」
馬車のおっさんが村への到着を俺達に知らせる。
「あっ、着いたねツカサ!早く行こっ!」
「おい!引っ張るなって!」
レシィが俺の手を引いて教会へ駆け出す。
(もっとゆっくりしたかったんだがなぁ…)


10分ほど走り続けて、教会に着いた。
俺は汗が少し額に浮かんでいるくらいで、レシィは息が少し上がっている。
(レシィ体力ありすぎだろう…)
前世の女の子では考えられない馬力だ。

「…行くよ!」
レシィが深呼吸して教会の扉を開く。
するとそこには、村の人達が勢揃いしていた。

「「「「学園卒業おめでとう!!」」」」

(こりゃ驚いた…)

サプライズというやつだ。
レシィも驚いて口を開けたまま固まっている。

(…というか…)
村の人達は神像への道を真っ直ぐ開けており、その神像の前には鑑定のアイテムを使用する神父がおり、後には騎士が控えている。

(この構図は…まるで結婚式じゃねぇか!)

神父の後に控えている騎士を除外すると完全に結婚式である。

(これは…親父のせいだな)

両親の姿を目で探すと、すぐに見つかった。
そこには、下を向いてプルプル震えている親父と号泣している母さんの姿。
だが、俺は知っているのだ。
親父は泣いているのを我慢しているのではなく、笑うのを我慢していることを。

(この後平穏に鑑定が終わったら一発殴ろう。そうしよう)

俺はため息をつき、レシィの手を取って。

「ほら、行くぞ?」

レシィに微笑を向けた。

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