求夢の平凡な世界
美術室の怪
川島 求夢
田所 彼方
柊 智和
関川 勇次
中杉 竜輝
この5人は放課後、美術室にいた。
授業の課題。その提出日が今日。
その途中、彼方が言い始めたのだ。
「ねぇ、何で5人なの?」
最初は意味の分からなかった。
5人、それの何が問題なのか?
だが、確かにおかしい。
課題は、2人1組になって、交代で互いの顔を描くというもの。
だったら、どうしてみんな輪になっている。
――――いや、そもそもの前提がおかしい。
どうして5人いる?
「確か、居残りって4人だったはず……」と智和が言った。
「1人増えてる? そんな馬鹿な」と勇次は笑った。
「……」と竜輝は無言。キョロキョロと周囲の様子を窺っている。
「あれ、おかしいな。私だけ? この教室に入って、それからの記憶が曖昧なんだけど……」
全員が無言で同意した。
「そうだ、誰が誰とペアだったのか? 互いに描いていた絵を見れば……」
そう提案した彼方の言葉が止まった。
その瞳には恐怖が浮かんでいる。
それは感染するかのように他の4人にも伝わった。
全員の絵。キャンパスに描かれていたはずの絵が髑髏に変わっていたのだ。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
ドアも窓も開かない。壊そうと思っても壊れない。
スマホは電波が届かない(いまどき、そんな場所があるとは思ってもみなかった)
不思議とお腹も空かない。喉も渇かない。トイレにも行きたいとは思わない。
まるで時間が止まったかのようだ。
ただし、精神以外は――――
感覚で言えば、閉じ込められてから3時間は経過しているだろう。
「なぁ……正直に言っていいか?」
竜輝が全員を見渡した。
「この中で1人増えてる。でも、全員がクラスメイトだ。みんな、間違いないだろ?」
全員が頷いた。
「だったら、さぁ……1人だけおかしいヤツがいるじゃないか?」
竜輝が彼方を指差した。
「2人1組……だったらどうして、1人だけ女子・・が混じってるんだ。俺たちゃ、席の順番で席を決められたんだぞ!」
「ちがう! 私は! 私は違う……」
彼方は弁明の言葉を出そうとする。でも、何も出てこなかった。
――――その時だった。
「1ついいか?」
そう言ったの求夢だった。
「僕たちは5人じゃなくて6人だっただろ?」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「求夢くん、起きなさいよ求夢くん」
すやすやと寝息を立てていた求夢が目を覚ました。
どうやら放課後、自分の机に伏せて居眠りをしていたみたいだ。
「おはよう……えっと…誰だっけ?」
頭をポリポリとかきながら尋ねる。
「なぁに、まだ寝ぼけているの? クラスメイトの水瀬 琴葉よ」
まだ、寝ぼけているのか求夢は――――
「あぁ、そっか……君が6人目か」
その言葉に琴葉は「?」と疑問符を浮かべた。
「もう、美術の課題は今日までよ。他の4人は先に行くってよ」
「そっか……ところで琴葉さん」
「なに? 求夢くん」
「今日はサボりませんか?」と求夢は笑顔を見せた。
田所 彼方
柊 智和
関川 勇次
中杉 竜輝
この5人は放課後、美術室にいた。
授業の課題。その提出日が今日。
その途中、彼方が言い始めたのだ。
「ねぇ、何で5人なの?」
最初は意味の分からなかった。
5人、それの何が問題なのか?
だが、確かにおかしい。
課題は、2人1組になって、交代で互いの顔を描くというもの。
だったら、どうしてみんな輪になっている。
――――いや、そもそもの前提がおかしい。
どうして5人いる?
「確か、居残りって4人だったはず……」と智和が言った。
「1人増えてる? そんな馬鹿な」と勇次は笑った。
「……」と竜輝は無言。キョロキョロと周囲の様子を窺っている。
「あれ、おかしいな。私だけ? この教室に入って、それからの記憶が曖昧なんだけど……」
全員が無言で同意した。
「そうだ、誰が誰とペアだったのか? 互いに描いていた絵を見れば……」
そう提案した彼方の言葉が止まった。
その瞳には恐怖が浮かんでいる。
それは感染するかのように他の4人にも伝わった。
全員の絵。キャンパスに描かれていたはずの絵が髑髏に変わっていたのだ。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
ドアも窓も開かない。壊そうと思っても壊れない。
スマホは電波が届かない(いまどき、そんな場所があるとは思ってもみなかった)
不思議とお腹も空かない。喉も渇かない。トイレにも行きたいとは思わない。
まるで時間が止まったかのようだ。
ただし、精神以外は――――
感覚で言えば、閉じ込められてから3時間は経過しているだろう。
「なぁ……正直に言っていいか?」
竜輝が全員を見渡した。
「この中で1人増えてる。でも、全員がクラスメイトだ。みんな、間違いないだろ?」
全員が頷いた。
「だったら、さぁ……1人だけおかしいヤツがいるじゃないか?」
竜輝が彼方を指差した。
「2人1組……だったらどうして、1人だけ女子・・が混じってるんだ。俺たちゃ、席の順番で席を決められたんだぞ!」
「ちがう! 私は! 私は違う……」
彼方は弁明の言葉を出そうとする。でも、何も出てこなかった。
――――その時だった。
「1ついいか?」
そう言ったの求夢だった。
「僕たちは5人じゃなくて6人だっただろ?」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「求夢くん、起きなさいよ求夢くん」
すやすやと寝息を立てていた求夢が目を覚ました。
どうやら放課後、自分の机に伏せて居眠りをしていたみたいだ。
「おはよう……えっと…誰だっけ?」
頭をポリポリとかきながら尋ねる。
「なぁに、まだ寝ぼけているの? クラスメイトの水瀬 琴葉よ」
まだ、寝ぼけているのか求夢は――――
「あぁ、そっか……君が6人目か」
その言葉に琴葉は「?」と疑問符を浮かべた。
「もう、美術の課題は今日までよ。他の4人は先に行くってよ」
「そっか……ところで琴葉さん」
「なに? 求夢くん」
「今日はサボりませんか?」と求夢は笑顔を見せた。
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