求夢の平凡な世界
ボードゲームの戦い その③
小田原剛毅は目を覚ました。
時間は放課後……「あっ! 部活!」と大声を出してしまう。
しかし、彼は奇妙な事に気づいた。
「柔道着? なんでだ?」
どうして、自分は柔道着に着替えて教室で寝ていたのか?
部活の途中で抜け出して、教室で寝ていた?
「……何かおかしいなぁ」
――――バサッ
彼が立ち上がると同時に机から本が落ちた。
真っ赤な奇妙な本だった。
「なんだこれ?」と剛毅はページを捲る。
『ルール① このページを読むと同時にゲームは開催される』
『ルール② このゲームはシンプルな陣取りゲームである』
「ルール③ 白は面、赤が裏 勝敗は多数決によって決定される』
「意味がわからねぇ……誰かのイタズラか?」
剛毅は本を机に置くと「そんな事より部活部活……と」と教室の外に向おうとした。
しかし、できなかった。
「うわぁ、なんだ? お前等?」
女子が2人。教室の掃除で使う箒を自分に向けている。
そう思った次の瞬間――――
バキッ!
剛毅は目から星が飛び出るかと思った。
箒で本気で頭を殴られた。 額が割れ、血で視界が赤く染まっていく。
それを同時に剛毅の正気を失われ、ひ弱であるはずの少女たちに襲い掛かった。
その視界の隅、赤い本の次のページが見えた。
『注釈 このゲームは人間界で最も有名なゲームである』
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
小田原剛毅の追体験を終えた求夢は自分の席に座った。
彼の記憶にあった赤本のルール。
『ルール① このページを読むと同時にゲームは開催される』
『ルール② このゲームはシンプルな陣取りゲームである』
「ルール③ 白は面、赤が裏 勝敗は多数決によって決定される』
そして――――
『注釈 このゲームは人間界で最も有名なゲームである』
「なるほど」と求夢は唸った。
「わざわざ人間界と来たか。なら、このゲームのプレイヤーは? 神様とか、宇宙人か?」
ガラガラ……と入り口が開く。
ぞろぞろと人が入ってくる。先ほど、学校から飛び出したはずの剛毅も戻ってきている。
その全員が白目を剥き、野生動物が威嚇のように「グルグル……」と喉を鳴らしている。
「……10人、11人、なるほど。大体の状態は把握した。重要なのは席順か」
求夢の言葉を途切らせるためか、10人以上のクラスメイトたちが一斉に襲い掛かってくる。
「ここは赤の世界。つまり裏側か……これを白の世界に戻してやればいい。なるほど……確かにコイツは有名なゲームだ」
そういうと求夢は駆け出した。
狙いは視線の端。 さっきまでは存在していなかった物体が――――白い本が近場の机の上に現れた。
それを奪うと、大きく後ろに飛ぶ。 一気に自分の席まで戻った求夢。
だが、暴走したクラスメイトたちも速い。 一斉に暴力的な攻撃を――――
「このゲームの正体はオセロだ」
求夢は自分の席の後ろ。その机の中に白い本を入れた。
周囲が突然、眩い光に包まれる。
「赤の僕は、白に挟まれて元に戻る」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「それでどうなったんだ?」
父親である達也の言葉に求夢は首を傾げる。
「どう? ……とは? どうにもなってないけど?」
「いやいや、その話が本当なら赤い世界で狂っちまったクラスメイトたちはどうなんだった? 集団行方不明なんて話は聞いていないぞ」
「さぁ?」と求夢は肩を竦める。
「みんな普通に学校に通って、普通に授業を受けて、普通に帰宅してるよ」
「……お前、自分の能力を使って、そのクラスメイトたちが別人と入れ替わってないのか、確かめてはないのか?」
「……」と求夢は少し考えるようなポーズと取ると――――
「さぁ? 知りすぎるのも怖くてね」
そう言った。
時間は放課後……「あっ! 部活!」と大声を出してしまう。
しかし、彼は奇妙な事に気づいた。
「柔道着? なんでだ?」
どうして、自分は柔道着に着替えて教室で寝ていたのか?
部活の途中で抜け出して、教室で寝ていた?
「……何かおかしいなぁ」
――――バサッ
彼が立ち上がると同時に机から本が落ちた。
真っ赤な奇妙な本だった。
「なんだこれ?」と剛毅はページを捲る。
『ルール① このページを読むと同時にゲームは開催される』
『ルール② このゲームはシンプルな陣取りゲームである』
「ルール③ 白は面、赤が裏 勝敗は多数決によって決定される』
「意味がわからねぇ……誰かのイタズラか?」
剛毅は本を机に置くと「そんな事より部活部活……と」と教室の外に向おうとした。
しかし、できなかった。
「うわぁ、なんだ? お前等?」
女子が2人。教室の掃除で使う箒を自分に向けている。
そう思った次の瞬間――――
バキッ!
剛毅は目から星が飛び出るかと思った。
箒で本気で頭を殴られた。 額が割れ、血で視界が赤く染まっていく。
それを同時に剛毅の正気を失われ、ひ弱であるはずの少女たちに襲い掛かった。
その視界の隅、赤い本の次のページが見えた。
『注釈 このゲームは人間界で最も有名なゲームである』
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
小田原剛毅の追体験を終えた求夢は自分の席に座った。
彼の記憶にあった赤本のルール。
『ルール① このページを読むと同時にゲームは開催される』
『ルール② このゲームはシンプルな陣取りゲームである』
「ルール③ 白は面、赤が裏 勝敗は多数決によって決定される』
そして――――
『注釈 このゲームは人間界で最も有名なゲームである』
「なるほど」と求夢は唸った。
「わざわざ人間界と来たか。なら、このゲームのプレイヤーは? 神様とか、宇宙人か?」
ガラガラ……と入り口が開く。
ぞろぞろと人が入ってくる。先ほど、学校から飛び出したはずの剛毅も戻ってきている。
その全員が白目を剥き、野生動物が威嚇のように「グルグル……」と喉を鳴らしている。
「……10人、11人、なるほど。大体の状態は把握した。重要なのは席順か」
求夢の言葉を途切らせるためか、10人以上のクラスメイトたちが一斉に襲い掛かってくる。
「ここは赤の世界。つまり裏側か……これを白の世界に戻してやればいい。なるほど……確かにコイツは有名なゲームだ」
そういうと求夢は駆け出した。
狙いは視線の端。 さっきまでは存在していなかった物体が――――白い本が近場の机の上に現れた。
それを奪うと、大きく後ろに飛ぶ。 一気に自分の席まで戻った求夢。
だが、暴走したクラスメイトたちも速い。 一斉に暴力的な攻撃を――――
「このゲームの正体はオセロだ」
求夢は自分の席の後ろ。その机の中に白い本を入れた。
周囲が突然、眩い光に包まれる。
「赤の僕は、白に挟まれて元に戻る」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「それでどうなったんだ?」
父親である達也の言葉に求夢は首を傾げる。
「どう? ……とは? どうにもなってないけど?」
「いやいや、その話が本当なら赤い世界で狂っちまったクラスメイトたちはどうなんだった? 集団行方不明なんて話は聞いていないぞ」
「さぁ?」と求夢は肩を竦める。
「みんな普通に学校に通って、普通に授業を受けて、普通に帰宅してるよ」
「……お前、自分の能力を使って、そのクラスメイトたちが別人と入れ替わってないのか、確かめてはないのか?」
「……」と求夢は少し考えるようなポーズと取ると――――
「さぁ? 知りすぎるのも怖くてね」
そう言った。
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