音楽がない異世界で音楽を

Ayaru.T

No.3___諦め





軽音部がない高校にいく、ということに落ち込んだ私は、最近毎日学校から帰ってきてはすぐに部屋に入ってベッドでゴロゴロしている。

こんな毎日でいいのだろうか…

以前はもっと毎日が楽しかった。

高校では軽音ができる!と希望をもっていた。

でも今ではそれがない分、自堕落な生活を送りがちだ。

休みの日は以前はライブに行ったりベースの練習をしたりしていた。

今はもうゲームとマンガだけで外出なんて一切しない。

…軽音を諦めたわけではない

でも、今はしたくない

それが本音だった





「あ〜あ、私があんな楽しい毎日だったらなぁ。」

―――先程まで読んでいた異世界物のマンガに目を向けながらそう言った瞬間だった。

眩しい光が早希を包んだ。











……


………目を開けたらそこは商店街のような場所だった。


ドンッ

「ちっ、邪魔な奴だな。」

ぶつかってきた男はそう呟きながら去っていく。

なんなんだ、と思いながら、混乱させた頭を落ち着かせるために周りを見渡す。

…どうやらここは日本ではないらしい。

日本では見かけないものばかりだ、

まず、周りを歩く人達はみんな何かしらの特徴がある。

全員動物っぽいのだ、獣人、とでも言うのだろうか…?

なんなんだろう、ふわふわの耳や尻尾はとても触りたくなる見た目をしており、特にキツネっぽい人の尻尾はふわふわふさふさしている。

自分のような純粋な人間は周りを見渡しても見当たらない。

単純にここにいないだけなのだろうか、、

もう少し周りを観察しようとおもって立ち止まってキョロキョロしていると、声をかけられた。

「あんた、ミミナシかい?」

ミミナシ、、?

何のことだろうか、私に獣の要素がないからそう聞いたのだろうか

単純に獣耳がない、という意味だと思った私は、そうです、と答えてしまった。

「ヒィッ」

…え?

「ミミナシ!!!誰か連絡!!あの人に連絡して!!」

ただただびっくりして動けなかった私とは反対に、即座に周りの人達が私を取り囲んだ。

――逃げられない。

このまま私はどうなってしまうのだろうか。

もし殺されるなら、最後にライブ見に行くんだったなぁ。

もしこのまま閉じ込められるなら、ベースとアコギ持ってくりゃよかったなぁ。

まぁでもベースなんか持ってきても一緒に演奏してくれる人なんていないよなぁ、じゃあ意味無いしアコギのがいいか。

なんてそんなことを考えていると、いかにもお偉いさん、みたいな人が歩いてきてこちらを見ていた。

周りの人達も道を開けているから少なくとも貴族か何か高貴な人なのだろう。

その人は銀髪で少しツリ目でキツい印象の男の人だった。

獣耳は見当たらない。

もしかして同じ地球人なのだろうか、

それともなにか隠す方法でもあるのだろうか。

「おいお前、こっちだ。ついてこい。」

そう言われ、ついていくしか道がないと悟った私は、素直に後ろについていく。

その男は小さな路地裏へ入っていき、私もその路地裏へ来るように小さく手招きしている。

なんなんだろうか、あんな小さな道に何があると言うのだろうか。

路地裏で私を殺そうとかそういう魂胆であろうか…、いや、でもそれだとあのような高そうな服でなくても…とぐるぐる考えた後、意を決して私も路地裏へ入っていった。

男の近くまで行くと、男はニヤッとして…



「テレポート」






どうも作者です。

はい、今回は異世界転移と、あの男ですね。

あの男は何の動物なのでしょうか、

主人公の運命を大きく動かす人物となっておりますので、今後も注目ですね!

それでは次回をお楽しみにっ

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