異世界スキルガチャラー

黒烏

チェンジ・ザ・パーソナリティ

『さあ、啓斗様!集中してくださいよ!天の奴らは大体自尊心ハンパないんですが、実力もちゃんとしてますので!』
「ああ、何となく分かる。とにかく敵の戦力は把握しよう」

啓斗は向かってくるヴァルキリーに向かって【分析アナライズ】を行使した。


ランドグリーズ
種族  天使
Lv700
HP:9000
MP:3076
F・ATK:A
M・ATK:A
DEF:B
DEX:B
SPD:A
LUK:B

魔法属性適正
火:C 水:C 風:C 土:C 光:A 闇:D 無:B

状態:通常

特殊スキル

【戦乙女の加護】
データ無し


固有スキル

【シールドブレイカー】
データ無し


「……ナビゲーター、この「データ無し」っていうのはなんだ?」
『え? あ、いやそのー……【分析アナライズ】は本来、所持スキルの内容までは分からない能力なんですよ。啓斗様が使うにあたってちょーっと改造しまして、分析と同時に私のデータベースで対象の所持スキルを検索するようにしたんですね』
「つまり、お前のそのデータベースにアイツのスキルの記載が無いってことか?」
『はい。私のデータベースにあるのは、超級以上の悪魔を除いた「下界」にあるスキル全てまでなので、天界の奴らのまではデータに無いんですよねー』
「使えないな」
『いやいやいやいや! それでも97%は網羅してますよ!……って、話してる間に来たぁぁぁ!』

ランドグリーズが馬から飛び降りざま槍を投擲して攻撃してくる。
啓斗は間一髪それを避けたが、槍は壁を貫通して飛び、弧を描いてランドグリーズの手元に戻った。

「おいおい、空気読めよ」
『昔から、ほとんどの天使にはシャレが通じませんでしたからねぇ』
「へぇ、そりゃつまんなそうだな……うっ!?」
『わ、啓斗様!?どうかしました!?』

啓斗が頭を押さえて一瞬だけ膝をつく。
だが、すぐに体勢を立て直して家から脱出、大通りに出た。

(おーい、ボクだよ! 君の頭の中のお気楽な方! ねーねー、ボクに戦わせてよ!)
「……黙ってるように言っただろう」
(えー、ツレないなぁ。いいじゃーん、ボクだって外の世界見たい見たい見たーい!!)
「駄々っ子か!普通の状態ならまだしも、今は一手が生死を分ける戦闘中なんだぞ!」
(だからこそ!あのランドなんとかって奴が天界の一員なら、常に表に出てるキミの戦い方を把握してる可能性大! だからさ、チェンジお願い!)
『……なーるほど。確かに脳内音声さんの意見も一理あります』
「ナビゲーター、お前まで何言ってる!」
(うん、ナビちゃんのボクの呼び方については一旦置いといて……ね、良いでしょ!?)
「……死んだらお前のせいだからな」
(ヒュー、太っ腹ー!)

交渉成立(?)した瞬間に啓斗の視界が反転し、思わず目を閉じる。
次に目を開けた時には、目の光が変わっていた。

「……っしゃー!久々のシャバだぜー!!」
『わー、キャラ崩壊ってレベルじゃないくらい人格変わりましたねー』
「ん? まぁね。ナビちゃん、ボクの過去知ってるんでしょ? なら、大体想像つくと思うけど」
『ええまあ、いやそれにしても、何で声まで変わってるんですか!?』
「……ここが異世界だからじゃない? そうしとこうよ。深く考えるの面倒くさいしさ」
『同一人物には見えませんね。見た目が啓斗様だから辛うじて原型留めてますけど』

そんな会話を交わしている啓斗の姿は、一見しただけでは何も変わっていない。
だが、雰囲気の感じが普段の啓斗のように暗いものではなく気楽な感じを受ける。
さらに口元には常時笑みを浮かべており、心底楽しくて仕方ないと語っているようだ。
そして声が啓斗のものとは全く違う、少し高めのイタズラ少年のようなものに変化した。

「さてと、どう戦おっかなーっと」
『どんなスキルをご所望で? 持っている範囲で見繕いますが』
「おっ、マジで? じゃあ、ボクのお気に召すような奇想天外なのをお願いしようかな!」
『はいはい承りましたー。じゃあ、探す間は全力で避けてくださいよ!ほら、目の前に!』
「えっ、ちょっ、わぁぁぁ!!?」

啓斗(この状態を「啓斗」と称して良いのかまだ分からないが)が前を見ると、既にランドグリーズが眼前で槍を構えながら突進してきていた。

「わ、タンマタンマタンマ!!」
「死ね、裏切り者の加担者!」
「ぎゃー死ぬー! ……なーんて」

啓斗(便宜上一時的にこう呼ぶ)は派手に両手のひらを叩いて打ち鳴らした。
瞬間、この世のどんな生物が聴いても思わず耳を塞ぎたくなるような奇っ怪なノイズ音が空気中に放たれた。
元の状態の啓斗が使っていなかったスキル【ノイズィークラップ】である。

「ぐ……あっ!?」
「二ヒヒ、効果覿面てきめんだ、ねぇ!」

そのまま啓斗は動きが一瞬止まったランドグリーズに見事なローリングソバットをかました。
向こうも槍で辛うじて受け止めたが、数メートル後ろに後退させられる。

「ちぃっ、味な真似を!」
「やーれやれ、本当に宝の持ち腐れって奴? 自分にこんな天才的運動センスがあるのにアイツときたら魔法ばっか。それじゃつまんないでしょうに」

そのまま啓斗は首を回し、肩を回し、手首を回した。
そして、両手に1本ずつ魔法で形成されたナイフを出現させる。

「さあ、バトルスタートだ!ボクを楽しませておくれよ、ヴァルキリーさん!」

口の両端を吊り上げながら、啓斗は戦闘態勢に入る。
その目に宿る光は、単なる無尽蔵の好奇心か、もしくは別の期待なのか。






「ふーむ、スキルの見積もりはこんな感じでいいですかねーっと」
「ん? 啓斗様のステータス画面に変化がありますね。え、人格ってそこまで影響及ぼすんでしたっけ? 初耳です……」


藤崎 啓斗(人格変化)
種族  人間(異人)
Lv0
HP:1000/1000
MP:4720/10000
P・ATK:C→D
M・ATK:G
DEF:D→E
DEX:B→A
SPD:C→B
LUK:E→C

魔法属性適正
火:G 水:G 風:G 土:G 光:G 闇:G 無:G

状態
正常

以下変更点無し:省略


「攻撃と防御が下がってる代わりにスピード系統と幸運が激上がりしてますねー。確かに、いつもの啓斗様とは違ったものが見れそうです」

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