異世界スキルガチャラー

黒烏(クロイズク)

シーヴァ 「貸人」

啓斗はルカの病室へと戻り、ルカとゼーテ(といつの間にかいたマリー)に事情を説明してシーヴァの病室に来るよう伝えた。
ルカとマリーはすぐに首を縦に振ったが、ゼーテは何やら渋い顔をしている。

「ゼーテ、シーヴァがお前にも来て欲しいと言ったんだ。来てくれないか」
「行くわよ、そんな風に言われなくても。でも、これだけ言っとく」
「私とシーヴァはこれから話す出来事を出来ればの。そこ、頭に入れといて」

それだけ言ってゼーテは他3人を置いてさっさとシーヴァの病室に行ってしまった。

「ゼーテさん、さっきから様子がおかしいみたい。心配だよ」
「俺もだ。しかし、どうにも俺達じゃ深入りできない領域らしい。シーヴァの話を聞けば、少しは役に立てるかもしれないと思ってはいる」
「そうだね。じゃあ、行こっか」
「まっくろおにいちゃんのおはなしきくー!!」

マリーは非常に俊敏に啓斗とルカの間を駆け抜けていく。
2人もそれに続いた(ルカが服の裾をこっそり掴んできたのを啓斗は知らないふりをしてやり過ごした)。





「さてさて、語り手の僕、補足してくれるアシスタントのゼーテ、物語を聞いてくれるいわば「観客」の立ち位置の君達が揃ったね」
「これから僕が話すのは、ヴァーリュオン王に代々仕える騎士の家柄、ナイトブライト家に生まれた双子の物語だ。じゃあ、早速始めよう」
「いや、ちょっと待ってくれないか」

啓斗はシーヴァが話し始めようと深呼吸した瞬間にそれを止めた。

「ん?何か質問でも?」
「いや、そうじゃないが……とにかく待て。おい、ナビゲーター、聞きたいことがある」

腕時計に向かって呼び掛けると、数秒遅れて数秒遅れて(のホログラム)が現れた。

『お呼びですかー?今ですね、ちょっと掃除してるんですよ。用件をお早めにお願いします』
「ああ、すぐ済む。例の【解析】の結果を俺以外に見せることは可能か?」
『あーはい、出来ます出来ます。啓斗様が頭ん中で許可出せばオッケーです。もう無いですか?ホントに忙しいんですよ』
「ああ、もう無い」
『了解です。じゃ、失礼しますねー。あー……もっと広範囲拭ける道具無かったっけかなー………』

ぶつぶつ独り言を言いながらナビゲーターは消えていった。

(よし、じゃあまずはシーヴァに【完全パーフェクト解析・アナリシス】を使って……)

啓斗は解析能力を発動させた「眼」をシーヴァに向ける。
解析結果はこうだ。


シーヴァ・ナイトブライト
種族  ヴァーリュオン人
Lv59(80)
HP:4200/4200
MP:1400/1400
P・ATK:B
M・ATK:B
DEF:C
DEX:C
SPD:C
LUK:E

魔法属性適正
火:C 水:C 風:C 土:C 光:F 闇:S 無:B

状態
【臓器損傷・体力消耗】
完治まで残り278時間22分39秒

特殊スキル
魔力レンド・アン貸借ド・ボロウ(貸人レンド)】
貸人レンド」と「借人ボロウ」の2人の人物が揃って初めて発動する。
貸人レンドの魔力を一部、又は数割、他人に「貸す」ことが出来る。
魔力を「借りた」側は借人ボロウとなり、貸人レンドが「貸した」魔力が能力に上乗せされる。

借人ボロウはいつでも貸人レンドに借りた魔力を返すことが出来るが、借りた日数に対する「利子」を支払わなければならない。
完済期限を過ぎても(利子を含め)借りた魔力を返せない場合、借人ボロウは魔力全てを強制的に「徴収」される。
全ての能力含めても完済に届かない場合、魂が貸人レンドに吸収されて借人ボロウは死亡する。
ただし、期限を設定していない限りは完済の必要は無い。

現在の貸与日数:2612日
貸与魔力数:Lv21相当
必要返済魔力数:Lv51相当(Lv30相当の利子)


固有スキル
【力操の黒眼】
所有者の右眼に宿る魔眼の力。
発動すると射程範囲内の「引力」を自在に操作することが出来る。
射程範囲は所有者前方から放射状に約30メートル。
12時間に2分までは肉体への負担が少ないが、2分を超えると肉体に多大な負荷がかかる。
使用にMPは消費しない。

【破呪の銀眼】
現在「借人ボロウ」ゼーテ・ナイトブライトに貸与中。



この結果を啓斗はシーヴァ、ゼーテ、ルカに見せた。
ルカは内容がよく理解できないらしく首をひねっていたが、双子の顔色はドンドンと悪くなっていった。

「う……そ……よ……こんな、こんな……………」
「ゼーテ、落ち着け。僕は完済期限とやらを決めてない。まだ手はある」
「あ、ああ…………ああ………」
「ゼーテ?……おい、気をしっかり持て!お前がおかしくなる理由なんて無いだろう!?」
「やっぱり、私が役立たずの足手まといだから……?だから、こんな事に……?」
「ゼーテ、おい!?今ここでそれはマズイんだ!!」

ゼーテはガックリと膝をつくと、ガタガタと震えながらすすり泣き出した。
その姿は、今まで見てきた気の強く何者にも屈しなさそうなゼーテのイメージを一瞬で消滅させる程のものだった。
シーヴァはそれを見て大きな溜息をつくと、啓斗達に言った。

「僕は確かに、ゼーテに魔力を一部「貸与」したさ。だが、断じて自分の利益のためではない」
「正直言って、このまま魔力をゼーテに譲渡出来ればどれだけいいかと考えている」
「全ては妹のためだ。これまでも、これからも、僕は妹の為に行動を選択する」

シーヴァは、小さな子供のように体を小さくして泣いているゼーテの美しい銀髪に手を置いた。

「ゼーテは、昔から自分が「無力で無意味な人間」と思い込まされて育ってきたんだ。これから話そうと思っていたのに、発作の方が先に出るとはな」
「シーヴァ、すまない。俺が興味本位でお前達の能力なんて詳しく分析したばかりに……」
「いやいや、謝ることは無い。これから行動を共にする仲になるのだから、逆に隠しておいてはいけないものだ」
「ゼーテがこうなったから少々話がぼんやりする所があると思うが許してくれ」

そう言うとシーヴァは、泣きじゃくるゼーテの頭を撫でながら静かに話し始めた。

「この物語は、ある騎士の家柄に産まれた双子の10年間の幼少期の話だ」
「そう、全ては僕が珍しい才能を持って産まれてしまったところから始まった。この忌々しい「魔眼」の才能を」

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