転移世界 与えられたのは100×∞連ガチャ!

黒烏

ナビゲーターの異世界講座 2

『はいはいじゃあドンドン行きますよ!』
『私が【技能変貌スキルメタモル】のサービスを啓斗様に提供する代わりに、集めていただきたいものの話です』
『俗称は「世界の鍵」。なんかそれっぽいでしょ。まあ、名前の通り「鍵」でして、結構小さいんですが私にとってかなり重要なんですよ』

一応言っておくが、ナビゲーターはこの約15分の間ほとんど休憩なしで喋りまくっている。

『この世界に5本ありまして、それぞれが重大な役割を持っています』
『1本1本に名前がついており、「天の鍵」、「地の鍵」、「力の鍵」、「聖の鍵」、「邪の鍵」です』
『天と力の鍵の場所は分かってるんですけど、他3本についての情報が私のデータベースに無いんですよー』

そう言ってナビゲーターは頭を掻きながら苦笑いする。

『で、効果なんですが、1本1本また使い方が違うんですよ。具体的な内容は手に入れてからでいいですか?何せ人間にぶっ刺したりする鍵もありますし』

普通の口調で生々しいことを簡単に口にする所もナビゲーターの特徴だろう。
啓斗はもう慣れたので(彼の状況対応力も傍から見ればツッコミどころ満載なのだが)変には感じなかった。

『別に急いでる訳じゃないんで、旅しながら1本ずつ探して頂ければ結構です』
「……そういえば例の「契約書」みたいなのに「魂の処遇」が何やらと書いてあったが、アレは?」
『ああ、お気になさらず。もし啓斗様が途中で力尽きておっんだら、魂は私が頂いてスナっちの餌にしますよってことです』
『その前に復活系の魔法を使える人を仲間にするなりスキルをガチャで出すなりして下さいね!』

流石に今のセリフは聞き逃せない。
啓斗は口を挟まざるを得なかった。

「おいおい、ちょっと待て。俺が死んだらあの犬に喰われるってのか?」
『はい。でも、そうならないよう私も願ってるんですよ?だって、啓斗様の魂がウチの子に丸呑みされるのなんて見たくないですもん』

飄々とそう言ってのけるナビゲーターに、啓斗は何か薄ら寒いものを感じた。

『ささ、鍵の話はまた後ほど。次は魔法についての解説を致しましょう!!』



『まず、ステータス画面にも表示されてましたよね。魔法の基本属性は、火・水・風・土・光・闇・無の7つです』
『属性それぞれに適正レベルのランクがあります。ランクが高いほど対応する属性の威力も高くなる仕組みですね』
『ま、啓斗様は魔法の適正とか関係なくガチャで出せば使えるようになりますから、お仲間さんとか敵とかの得手不得手を観察するのに役立つんじゃないでしょうか』
『で、氷とか雷とかそういう魔法は基本属性の複合やらで使うんですよ。詳しいロジック教えてもいいですけど、何千通りってありますよ?』
「………遠慮する」
『ですよねー』


『それと、魔法には階級があります。威力で段階分けされてまして、最下級が「初級魔法」で、そこから「中級魔法」、「上級魔法」、「超級魔法」、「達人級魔法」、「戦術級魔法」、「厄災級魔法」、「禁忌級魔法」の8階級に分かれます』
『例えば「ブレイズ」は初級魔法ですし、ゼーテさんが使ってた「シャイニング・レイ」は達人級に相当します』
『次にスキルについてですね。スキルは、魔法を含めた「適正がある程度必要な特殊な技」のことです。その上で習得難度が高かったり資質が必要なのが「特殊スキル」で、生まれつきや本当に特別な状態で覚醒したりするのが「固有スキル」です』
『スキルに関してはこの世界では明確な区分があるわけじゃないんです。この特殊とか固有って名称は私が啓斗様のような方々に把握して頂くために用意した名称ですので、あしからず』

そこでようやくナビゲーターは一息置いた。

『ふぅ、ちょっとだけ喋り疲れました。今日はこのへんにしときますか。ということで、はいまたワープ!!』

啓斗はまた視界が眩み、思わず目を閉じた。
また目を開けると、さっきまでいた部屋の中に戻っていた。

「みんなの様子を見に行くか。ついでに朝飯だな」

グイッと伸びをして、啓斗は半壊しつつも機能を保っている城の廊下へと出た。











「ふー、ひと仕事終わったし休憩したいんですけどー……」
「今更なんの御用ですか?わざわざ天界警備隊のボス、ミカエルさんがこんな所に来るなんて」

ナビゲーターが休憩場所にしている真っ白な空間。
その天井らしき場所が扉のように開き、1人の男が降りて来た。
その姿はまさに「天使」と呼ぶにふさわしいだろう。
巨大な純白の翼を背中に持ち、光の輪が頭上に輝いている。
更に、黄金に輝く鎧を身につけており、腰にはサーベルを提げている。
非常に長身であり、顔もかなり端正だ。

ゆっくりと降下して着地したミカエルをじっと見つめるナビゲーター。

(マジでめんどくせぇ。ああいうお偉いさんが私のところに来る時は絶対に私にとって嫌なことが起きるんですよねー)

そんな心の声は一切表情に出さず、ナビゲーターは笑顔でミカエルに声を掛ける。

「おや、ミカエル様ではありませんか。こんな追放の果ての場所にどんな御用でしょうか?」

ナビゲーターの言葉に、ミカエルは低くハッキリとした声で応える。

「貴様の処遇について判断しに来た。話を聞かせてもらうぞ、イヴよ」
「イヴ、ですか。懐かしい呼び方ですね。最近は「あの女」とか「ガキ」とか「小娘」、それ以外には「ナビゲーター」って呼ばれ方しかされませんでしたからね」
「ちょっと他の方々に注意してくださいよ。電話しても皆さん態度すごい悪いんですから」
「そうなのか。ふむ、考えておこう」

ミカエルは素直に返事をした。

(どうやらこのミカエルさんは、他の天使共と比べると話が通じるっぽいですね)
(ここは丁寧に応対して摩擦なく追い返すのが得策でしょうか)
(ああ、なんで私が他の天使のご機嫌取りをしなきゃいけないんですか……)

内心で毒を吐きまくりながらも、笑顔でナビゲーター、「イヴ」はミカエルと会話を続ける。

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