異世界スキルガチャラー

黒烏(クロイズク)

地龍鎮圧戦 6

「何ぃっ!?」
「わわわわわー!!!」

震度5強ほどと思われる強大な地震が発生。
揺れに驚いて足を滑らせたマリーの体を慌てて抱き抱えるシーヴァ。

「ふぅっ、危なかった。大丈夫かい?」
「うんっ!ありがとうおにいちゃん!」
「……よし、じゃあグラグラが収まるまで待とう」

マリーを抱えたまま少し上空に飛び、揺れの影響を回避する。
そのままゼーテと連絡を取った。


ゼーテは、現在地龍ルカの背後にいた。

『ゼーテ、そっちは無事か?地震でダメージを受けたりしてないか?』
「ん、大丈夫。私はずっと飛んだままだから、正直竜巻を避けるのに集中してる」
『そうか。マリーの魔法玩具達はどうなってる?』
「結構な量到着してる。各々で攻撃してるけど、効いてる感じしないわね」
『やはりか。………なっ!?』
「ちょっと、どうしたの!?」
『地割れだ!そこら中で地割れが起きている!』

シーヴァの声を聞き、ゼーテは眼下を見た。
すると、街の至る所の地面に亀裂が入ったり、ずれて隆起や陥没している場所が出来上がっていた。
全てに共通するのは、断層から必ず土が見えていること。
すると、地龍ルカの翼から、無数の微小な球体が散布され、土に埋め込まれた。

「クオオオオオオオオ!!!!」

もう一度地龍ルカが号令のように咆哮する。
すると、攻撃は地震が本命ではないことが判明した。
地面に着弾した球体から、一瞬で無数の巨大樹やコケ、花などが育つ。
街を覆うほどの大自然が広がった。

「都会が、一瞬で……大森林に変貌………か」
『うっはー!なるほど!地面を露出させて、そこに樹木の種を散布ですか!凄いですね!』

そう、断層と化した地面に埋め込まれたのは地龍ルカの体内で作られた「世界の種」である。

『えーっと、わ、聖龍なだけあってスキルの量が物凄い!今のは……ありました。能力名は、【無限植物生成プラント・パラダイス】』

無限植物生成プラント・パラダイス
地龍専用スキル
体内で無尽蔵にこの世のあらゆる植物に成長する「世界の種」を生成できる。
種は地面に植えたあとに地龍本体または地龍に認可された者が号令をかけた瞬間に最盛期まで成長する。

『これと組み合わせるのが……恐らくこの【植物プラント共鳴レゾナンス】でしょう』

植物プラント共鳴レゾナンス
地龍専用スキル
能力範囲内の植物を自在に操ることが出来る。
ツタやツルを伸ばして敵を捕らえたり、樹木を組み合わせてゴーレムのようにすることも可能。
また「世界の種」で作った植物に光合成をさせて生成した養分を吸収することによって体力を回復できる。

「……嘘だろ?倒す目処が一向に立たないんだが」
『そうですねぇ……。まあ、色々手段はありますよ?』
「例えば?」
『翼を吹っ飛ばして更なる散布を阻止しながらこの森林を消し去って戦うとか、一気にスキルで押し切るか……』
「……なるほど。地道にやるか力押しか、ってことか」
『まあ、取り敢えず少し戦ってみないことにはどうとも言えません。まず、接近を』
「了解」

啓斗も、ようやく行動を開始する。
地龍ルカまでは少々遠いが、加速スキルを使えば飛行できなくても接近は容易だ。
【ダッシュアップ】を使って木々の合間を縫って走る。
すぐに、地龍ルカの姿がはっきり見えるほどの位置に到達した。
しかし、そこから状況が一変した。

「くそっ!邪魔だ!どけぇっ!」
『樹木製のゴーレム、しかも大群ですか。これはめんどくさいですね』

巨大樹を無理やり組み合わせて出来上がったと見えるゴーレム達が啓斗の前に立ちはだかる。
動きはぎこちないが大きさが桁違いであり、もし捕まりでもすれば人間の体など一瞬で握り潰せるだろう。

「俺も敵として認識されてるのか……。俺は………俺は!必ずルカを守ると、誓った!」
「それを邪魔する貴様らを、許容するわけには行かないんだよ!」
「全てを焼き溶かす紅蓮の業火!喰らえ!【融解灼熱メルトフレア】!!!」

啓斗が魔法を唱え、胸の前に両手を構える。
極大の火球が瞬時に形成され、そのままゴーレム達に放たれた。



灼熱の火球は、通過する物体全てを焼きながら地面に着弾する。
すると、着弾した位置から円状に炎が広がる。
火炎は、啓斗に伸びてくる植物、ゴーレム、建造物すらも全てを焼き消しながら広がる。

「一気に進むぞ!時間が足りない!」
『啓斗様……?あの、随分と性格がお変わりになられましたね?』
「うるさいぞ!元々俺はこういう性格なん……うっ!?」
『け、啓斗様…?』

啓斗は、いきなり強烈な頭痛に襲われ、一瞬意識が飛んだ。











「おいおいおいおいおい。そりゃあだぜ?なあ、「冷静君クレバー」?」
「……ここは?」

意識が戻ったと思ったら、啓斗は真っ暗な空間にいた。
目の前には、先程見た牢屋にいたホッケーマスクの男が立っている。

「俺らは「感情を分割」する代わりに閉じ込められてやってんだ。もし、テメェがこれ以上キレるんなら、俺を解放することになる」
「……なあ、お前達は何者なんだ?」
「おいおい、まだ思い出してねぇのか。じゃ、もういいわ。勝手にやらせてもらうぜ」
「何を言って………ぐ……ああ………」

啓斗が戸惑っている間に、ホッケーマスクは啓斗のみぞおちに思いっ切りボディブローをかました。
あまりの激痛に膝から崩れ落ちる啓斗。

には悪いが、しばらく暴れさせてもらうぜ。テメェはそこで寝てな」
「が……はぁっ…………」










『啓斗様ー?』
「あ?問題無しだ。さっさと接近して、ルカを助ける。単純明快にやるぞ」
『りょ、了解です!』
「MPの減りを随時報告してくれ。最短ルートで進む。敵は倒す」
『分かりました。現在のMPは…6900です』
「オーケー。んじゃあ、ブッ飛ばして行くかぁ!!」

明らかに雰囲気が変わった啓斗。
不敵な笑みを浮かべ、攻撃も豪快に変化した。
具体的な例を上げると、得体の知れない敵の弱点をいちいち探すより、圧倒的火力で吹き飛ばす、という戦法になった。

「邪魔だ!カカシ共!!」
『あのぉ、啓斗様ー?』

ナビゲーターの声は啓斗に届いていないようだ。
ナビゲーターは、啓斗の変化ぶりに明らかな違和感を抱く。

(これは、何かありますね。ああ、もう!早く情報下ろしてくださいよ!このままじゃ大事故に繋がりかねないですよぉ!)

そんなナビゲーターのイライラなど露知らず、目の奥に怒りの炎を秘めた啓斗は、森の中を進撃する。

「久しぶりのシャバだ!また牢に戻る前に大暴れさせてもらうぜ!存分にな!」

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