異世界スキルガチャラー

黒烏(クロイズク)

第十階層 テスターゴーレム

扉を開けると、そこは階段になっており、降りきった所に「第二階層」と書かれたプレートが付けられたドアがあった。

「嫌に親切だな。わざわざ階層まで書いてあるとは」
『確かに。ちょっと丁寧すぎるというか……』

取り敢えずドアを開けて先に進む。
また先程と似たような光景が広がっていた。

「まだ二階層だしな。そう劇的に景色が変わるわけもなし」
『でしょうね。なにせここは「無限ダンジョン」ですから』

第二階層は、スライムに加えてコウモリが敵に追加されていた。

【ケイブバット Lv5】

一匹一匹はスライムより弱いのだが、数が尋常ではない。
壁に不自然に空いた穴から大量に出現したり、天井に無数にいたりした。


「脅威ではないが、厄介極まりないな」
『てか、ウザいですね。弱いくせにワラワラワラワラ寄ってたかって襲ってきますし』
「一定範囲を攻撃できる低レアの魔法は…………お、あった」


Rスキル「バーン」
発動すると視界中央の空間に小規模の爆発を引き起こす。
初級なので威力はまだ低い。


『爆発魔法で「バーン」って吹き飛ばしちゃいます!?………なんちゃって』
「……同じダジャレが頭の中をよぎった俺も俺か」

そんなくだらない会話を交わしながらも啓斗はバーンを使ってコウモリ集団を吹き飛ばしていく。

「まだちょっとした腕試しという感じだな。そこまで強くない」
『そこはもうザコって言っちゃって良いんじゃないですか?マジ弱いですよ?』

スライムを潰し、コウモリを吹き飛ばしながらドンドンと先に進む。
あっさりと次の階層への扉へ到着した。

「さっさと行くか。時間も惜しい」
『なるべく無駄は省きたいですからね』

啓斗は第三階層へと足を踏み入れる。
第三階層は、特に第二階層との変化は見られなかった。

「……一気に進むか」
『賛成です』

啓斗はダンジョンを駆け抜け始めた。
どうやら、どの分かれ道を進んでも結局は扉に着くらしいことが分かったので、スピードを重視した形だ。
「ダッシュアップ」1つでスライムなどは振り切れる。
警戒は二の次にしてさっさと先に進んだ。



その結果、第十階層まで一気に降りてきてしまった。
何故、十階層で足を止めたかと言うと……

「いきなり視界が開けたな」
『完全に広場ですね。何かイヤーな予感が』

ナビゲーターの「イヤーな予感」は的中した。
壁の一部が開き、巨大なゴーレムが奥から現れたのだ。

「……マジかよ」
『デッカ!20mはありますよこいつ!』

ゴーレムは鉄製らしい見た目をしており、ガシャンガシャンと轟音を立てながら啓斗に接近してくる。

「第十階層ノ到達者ヲ確認。コレヨリ「試練」ヲ開始スル」

ゴーレムはいきなり拳を振り上げ、啓斗を叩き潰さんとしてきた。

「うおおっ!?」

思わず「ソニックブースト」を使って思いっきり後ろに飛び退いた。

「初撃ノ回避ヲ確認。戦闘力上位50%ト認識」

ゴーレムは両目と思わしき場所から光弾を次々に発射してきた。
光弾は真っ直ぐ、しかも高速で啓斗目がけて飛んでくる。

「おい、これが十階層のレベルか!?」
『ふはっ!すっげー!』

「ダッシュアップ」を持続的に使いながら光弾を避けていく。
ナビゲーターは懐から何やらタブレットを取り出す。

『アレですね。もう私がモンスターについての検索はやりますから、啓斗様は戦闘に集中してください』
「そりゃ、ありがたいな。じゃあ、これからずっと頼む」
『サーチスキルの意味無くなりますが、まあいいでしょう!』
『じゃあ、5秒お待ちを。この私専用サーチアイテムでちょちょっと調べますんで』

啓斗は、N魔法でゴーレムへの攻撃を試みるが、炎、氷、爆発も効果がない。

『はい、調査完了!読み上げますね!』
『名前は【テスターゴーレム】というらしいです。防御力が非常に高く、如何なる物理的、魔法的なダメージも通りません』
『私がいて良かったですね。唯一ダメージを与える方法が見つかりました』
『それは、奴の光弾を奴にぶつけること!あの弾は魔法障壁で跳ね返る性質があるそうです。ここまで言えばもうお分かりですね!?』

ナビゲーターの言葉で、啓斗は確かに理解した。
「ジャストシールド」で光弾を跳ね返し、ゴーレムに当てるのだ。

(だが、URスキルは1度で300MP消費する。ミスはできない)

光弾を未だ回避しながら啓斗はゴーレムの動きを見る。
どうやら頭部を啓斗にまっすぐ向けたあとにしか光弾を出せないらしい。
ならば、上手く一発だけしか出せない状況を作り出せれば消耗を最小限にして勝てる。

「よし、こうだ!」

啓斗は一定間隔を猛スピードで往復し始める。
ゴーレムは啓斗の動きに合わせて首を振るのだが、彼のスピードに追いつけていない。
ゴーレムが追いついてこないのを確認すると、啓斗はいきなりブレーキをかけた。
ゴーレムは情報処理が上手くいかなかったのか、スピードの遅い光弾を一発だけ発射した。

「ここだ!」

啓斗は一気に数十メートル跳躍した。
もちろんスキルの効果である。


Rスキル「ハイジャンプ」
単純にジャンプ力が上がる。
レベルが上がれば最大飛距離がアップする。


光弾の目の前まで跳び、バレーボールのスパイクのような構えを取る。
光弾に右手を叩き付けるのと同時に「ジャストシールド」を発動。
光弾をゴーレムに向けて跳ね飛ばした。

バリバリバリバリィィィィィ!!!!

電撃が駆け巡る音が響く。

「ギ……ガガガガ……」

ゴーレムは、操り人形の糸が切れたように崩れ落ちた。

「ふう……まあこんなもんだろ」

音もなく開いた奥の扉に向かって歩く。

『あっさりしてますねー。あ、一応言っときますね。残りMPは8800です』

戦いに余裕を見せる啓斗。だが、忘れてはいけない。
まだたったの十階層だということを。

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