転移世界 与えられたのは100×∞連ガチャ!

黒烏

帰還 ヴァーリュオン 下

「……っていうことがあったの」

ルカはゼーテに昨日の騒動について話していた(マリーは現在寝ている)。
ゼーテは最初から最後まで黙って聞いていたが、ルカが話し終わった後にゆっくり口を開く。

「……目の前で最愛の人達が殺される。それは、人間として死ぬより辛いことだって私にも分かる」
「私も、目の前で両親を魔物に殺されたの」

突然の告白に、ルカは目を見開いた。

「ルカ、あなたはこれから何を目標に生きるつもりなの?」
「……分かんない、かな」

弱々しい笑みを浮かべて視線を逸らしたルカの顔を無理やり目を合わさせる。

「な、なにするの!」
「ルカ、よく聞いて。人を失った悲しみっていうのは日を追うごとに強くなるもの」
「でも、それを和らげてくれるのは「いつも隣にいる人」よ」
「あなたは、まだ全て失ったわけじゃない。今、一番あなたの心の拠り所になってるのは誰?」

その問いに、ルカは力強い口調で

「ケイト君で間違いないよ」

と答える。

「でしょうね。彼にとってもあなたは心の拠り所だと思う。異世界人だから、身内なんて1人もいないもの」
「こんなこと言うのはアレだけど、私もいつも隣にシーヴァがいたから悲しみを乗り越えられた」

絶対あいつには内緒よ、と顔をほんのり赤くしながら言うゼーテにルカはコクンと頷いた。

「あ、もちろん彼以外も頼ってくれて全然構わないけどね」
「私も、あの暗黒バカもいつでも力になるわ」
「わたしもー!」

いつの間にか起きていたマリーが後ろからルカに抱きつく。

「おにいちゃんがねー、ココロがいたくなったらぎゅーってするといいって言ってたよー」

背中に頬を擦りつけてくるマリーの頭を撫でながら、ルカはゼーテに笑いかけた。

「うん、私は絶対大丈夫。こんなに頼もしい人達がいるんだもんね!」
「そうね。……じゃあ、3人でお茶でもしに行きましょうか。今日も奢ってあげる」
「ホント!?やっった!!」

マリーを真ん中にして手を繋ぎ、3人は王城を後にした。





「なるほど。マギクニカに行って総合データベースを使用したい、ということだね?ケイト君」
「はい」

啓斗は、シーヴァの仲介で(何故かレイザック団長を超えて)ジェイド王にマギクニカへ向かう許可をに行っていた。

「うーん、けっこう難しい相談だ。総合データベースは世界中の情報を詰め込んだものと言ってもいい」
「一民間人が使おうとすれば、5分の使用で1000万ルーンは取られる」

いきなり提示された巨額に、啓斗とシーヴァの両方が思わず息を呑んだ。

「まあ、そうだねぇ…。一応交渉はさせるよう指示するが、あまり期待はしないでくれ」
「ああ、すまない。今ちょっと立て込んでるから、今日はこの辺で失礼するよ」
「シーヴァ、ケイト君にパスポートを渡してやってくれ。出発は10日後だ」
「承知しました。ほら、ケイト受け取れ」

シーヴァに小型の冊子を渡される。
ヴァーリュオン公認の証の印がしっかりと押されているパスポートをポケットにしまった。
その間に、ジェイド王はいつもの瞬間移動で消えていた。

「さーて、出発まで10日もある。どうだい?今日明日はゆっくり休んで、あとは鍛錬でもしないか?」
「旅をするなら色々必要だ。服とかカバンとかな。今から買いに行くぞ!」

言うやいなや啓斗に合図してシーヴァは走っていく。

「おい!シーヴァ!そのいつも後ろの人間置いていく癖をやめろ!」

大急ぎで「ダッシュアップ」を発動して啓斗はシーヴァを追った。














「いやぁ……まさか海のド真ん中にワープさせられるとはね」
「……私は街の辺境だったわ。危うく正体がバレるところよ」

常夜の孤島にて、2人の悪魔は会話を交わす。

「あっはは。やっぱ予想外の出来事って最高だよねー。ねぇ、そう思わない?」
「……私は全くそうは思わないわね。世界を奪いたい私にとって、想定外はあまり良い印象はないんだけど」
「もう……つまんないなぁ。世界征服なんて、魔王様に任せとけばいいんだよ」

「おや!中々面白い話をしているじゃないか!私も混ぜたまえ!」

いきなり空中から声が聞こえ、ベルフェゴールとマモンは上を見上げる。

「ルシファー……物理的に人の上に立つって、かなり失礼なことよ?」
「おや、失敬失敬。一応、対等の立場と認めた君らだからこそ謝ろう」

その男、ルシファーは2人の間に降り立つ。
彼は、服装で見ると「紳士」というのが合っているだろう。
その色を勘定に含めなければの話だが。
彼は、黄金色に光るのスーツを上下に身につけてネクタイを締め、同じく金のシルクハットを被り、更にステッキを持っている。
髪も黄金色であり、暗闇の中でギラギラと光っている。
白目の中の瞳は紅く、まるで吸血鬼のようだ。

「相変わらず派手好きだねルシファー。で、何の用?どうせ招集命令でしょ?」
「ふん。魔王様の命令だから仕方なく、こんな雑用を引き受けたんだ。さっさと城へ行くぞ。なんでも、今後の動きを決めるそうだ」

そのままルシファーは空中を魔王城の方へ歩いていった・・・・・・
ベルフェゴールとマモンも、それに続いて魔王城へと向かっていった。

「あーあ、またレヴィちゃんに絡まれたらやだなー」
「あら?ハプニングが好きなんでしょ?」
「あの子だけはどうにも苦手なんだよねー」

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