転移世界 与えられたのは100×∞連ガチャ!

黒烏

☆ 「ドッペルメイカー」&「ダブルアイズ」

「シーヴァ!さっさとこの雑魚片付けないと!下がまずいことになってる!」
「分かってるさ!ああ、クソ!こうなったらもう魔眼を使うしかない・・・・・・・・・・・!」

シーヴァが眼帯に手をかける。

「シーヴァ……今はカッコつけてる場合じゃないって分かってるよね?」
「ああ承知しているとも!ここは任せろ!ゼーテ!民と、あの旅人2人の救出の役は譲ってやる!」

その言葉を聞き、ゼーテも「任せろ」という不敵な笑みを浮かべ、地上へ急降下を始めた。

「さあ、下衆で脆弱な小鳥ども!我が魔眼の威力、とくと味わうがいい!」

着けていた眼帯を外し、右目が露わになる。
そういえば説明していなかったが、シーヴァの左目の瞳は美しい金色だ。
何故今ごろこんな話をするかというと、眼帯を外したシーヴァの右目は、瞳全てが闇を思い浮かばせる完璧な黒をしており、そこから闇のオーラが放出され続けているからだ。



地上に降り立ったゼーテが最初に目にしたのは、ヘルドーベルの死骸の山と、おびただしい数の血痕だった。
それだけでも驚愕には充分だったのだが、その次に目に入ったものに、彼女は言葉を失った。
数時間前、カフェで出会って挨拶を交わし、何となく特別席チケットを渡した少年。
先程グリフォンの群れの接近をいち早く察知し、ゼーテ達に警告した少年。
確か、ケイトと言ったか。
彼が、大量に増殖・・・・・しており、ヘルドーベルを次々と殺害している・・・・・・・・・


URスキル「ドッペルメイカー」
自分と身体能力、魔法、スキルなどのステータスが全て同一の分身を500体まで出現させる能力。
ただし、数が増えるほど、分身は大雑把な命令しか聞かなくなる。


啓斗は、100人の分身を出現させ、「C・バレットを使いヘルドーベルを全て倒せ」という命令を与えた。
分身達は、その「人形」というに相応しい無慈悲さとカウンター力を以てヘルドーベルを惨殺していった。
馬車の上から本物の啓斗がゼーテに声をかける。
ゼーテは馬車に飛び乗った途端、早口で質問し始めた。

「ねえ!ケイトとか言ったわね!アンタ、何者!?こんな魔術、見たことも聞いたこともない!」

そんなゼーテを手で制し、啓斗は冷静な口調で言う。

「このグリフォンとドーベル、ただ偶然同時に出現したわけじゃないだろう?何か理由があるはずだ」

その言葉に、ゼーテの思考のスイッチが
切り替わる。

「そう…ね。……そういえば、ヘルドーベルは召喚獣だったはず。ということは…」
「今、ドーベルを常時召喚し続けている術師か何かがどこかにいる…というわけか」

しかし、この量の群衆の中、その人物を発見するのはほぼ不可能に近い。
しかし、このまま行けばドーベルは延々と現れ、耐えきっても逃げられる。
2人が頭を悩ませていると、ルカが地面を指差さしてポツリと言った。

「ねぇ、あそこに魔法陣があるよ」

それを聞いたゼーテが、指さされた地面に目を凝らす。

「……あるね。隠匿魔法で巧妙に隠されてるけど、結構大掛かりな魔法陣が」

啓斗には見えなかった。恐らく、「魔法の気配」のようなものを感じ取る力が別世界人の啓斗には少ないのだろう。

「私がやる。2人は待ってて」

ゼーテは馬車から飛び降りると、魔法陣のすぐ近くに駆け寄る。
(間違いない。ヘルドーベルをこの一帯に無差別召喚する呪文が込められてる)
それを確認し、ゼーテは静かに左目の眼帯を外す・・・・・・・・
ここでゼーテの右目の説明もせねばなるまい。ゼーテの瞳の色は、鮮やかなマリンブルーである。
そして、眼帯を取った左目は、白目があるべき場所が真っ黒であり、瞳は煌めく白銀だった。
白銀の瞳を魔法陣に向ける。
すると、一瞬で魔法陣は消滅した。


「破呪の銀眼」、それがこの瞳の通称である。効力は、自身に害意がある呪文、魔法の効果を消失させるというもの。


「これで、もうあの犬共は増えないわね」

ゼーテはニコリと笑う。

すると、上空から高速で次々とグリフォンが落下、全てがヘルドーベルに命中している。
上を見上げると、ドヤ顔をしたシーヴァがこちらを見ている。


「力操の黒眼」、対象の物体にかかる引力を自在に操ることができる。


これにより、落下スピードと方向を操作してドーベルに当たるようにしたのだ。
この2つの能力、一見無敵だが、使用すると肉体に異常な負荷がかかる。
王国2強のこの双子でも、使用は2分が限界である(世の中そう上手くはいかないものなのだ)。
この能力を知っている一部の人物は、2人をまとめて「ダブルアイズ」と呼ぶ。
ただし、本人達は「ネーミングセンスがダサい」として変更を希望している。
グリフォンが潰し損ねたドーベルは、啓斗の分身が命令通り(血だらけになりながら)始末した。
啓斗が分身達を消すのと、双子が眼帯を着け直すのは同時だった。



こうして、魔物のパレード襲撃は一応終わりを迎えた。
双子と啓斗の活躍により、兵士と騎士の怪我人数名、死者0と、被害は最小限に抑えられた。
魔法陣を設置した魔術師は、ついに見つからなかった。


啓斗とルカは、シーヴァとゼーテに強引に王宮まで連れ込まれていた。
なんと国王が直々にお礼を言いたいということらしい。
王宮の最上階(5階だ)にある巨大な扉が轟音を立てて開くのを、啓斗は苦笑いしながら、ルカはポカンとしながら見つめていた。





「奇襲は失敗に終わりました。しかし、異界の住民・・・・・らしき人物の発見に成功しました」

活気が戻った街の路地裏、黒いフードに顔を包んだ謎の人物が誰かと連絡を取っていた。
通信機器は何も持っていない。魔法による通信のようだ。

『ほう。それは、今回の失敗を埋められる人材なのだろうな』
「はい、同時に100体の分身人形を操る技量があります」
『……!なるほど、それは期待できそうだ。今夜攫って来い。我が直々に見てやろう』
「仰せのままに」
『ただし、もしもう一度失敗すれば…分かっているな?』
その言葉に、フードの人物は身震いした。
「……承知しております」
『期待しているぞ。では、また会おう』
「はっ。失礼します。魔王様・・・

そうして通信は途切れた。
フードの人物は、沈みゆく夕日を一瞥いちべつすると、王宮に向けて歩き出した。

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コメント

  • ノベルバユーザー267627

    魔王さんは女性がいいなぁ〜笑

    0
  • 黒烏

    小説家を褒めよう さん
    ご指摘ありがとうございます。修正しました

    1
  • 小説家を褒めよう

    一部ゼーテがテーゼになってる

    1
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