異世界スキルガチャラー
URスキル【ドッペルメイカー】&〈魔眼の双騎士〉
「シーヴァ!さっさとこの雑魚片付けないと!下がまずいことになってる!」
「分かってるさ!良いだろう、秘めたる力を見せつけてやろうじゃないか!」
シーヴァが眼帯に手をかける。
「シーヴァ、今はカッコつけてる場合じゃないって分かってるよね?」
「ああ承知しているとも!ここは任せろ!ゼーテ!民衆と、あの旅人2人の救出の役は譲ってやる!」
その言葉を聞き、ゼーテも「任せろ」という不敵な笑みを浮かべ、地上へ急降下を始めた。
「さあ、下衆で脆弱な小鳥ども!我が魔眼の威力、とくと味わうがいい!」
着けていた眼帯を外し、左眼が露わになる。
そういえば説明していなかったが、シーヴァの瞳は美しい金色だ。
何故今ごろこんな話をするかというと、眼帯を外したシーヴァの左眼は、瞳全てが闇を思い浮かばせる完璧な黒をしており、そこから漆黒のオーラが放出され続けているからだ。
地上に降り立ったゼーテが最初に目にしたのは、ヘルドーベルの死骸の山と、おびただしい数の血痕だった。
それだけでも驚愕には充分だったのだが、その次に目に入ったものに、彼女は言葉を失った。
数時間前、カフェで出会って挨拶を交わし、何となく特別席チケットを渡した少年。
先程グリフォンの群れの接近をいち早く察知し、ゼーテ達に警告した少年。
確か、ケイトと言ったか。
彼が、大量に増殖しており、ヘルドーベルを次々と殺害している。
URスキル【ドッペルメイカー】
自分と身体能力、魔法、スキルなどのステータスが全て同一の分身を500体まで出現させる能力。
分身の数が増えるほど消費MPが高くなり、大雑把な命令しか聞かなくなる。
啓斗は、100人の分身を出現させ、「【緋色ノ銃弾】を使いヘルドーベルを全て倒せ」という命令を与えた。
分身達は、その「人形」というに相応しい無慈悲さとカウンター能力を以てヘルドーベルを打倒していった。
馬車の上から本物の啓斗がゼーテに声をかける。
ゼーテは馬車に飛び乗った途端、早口で質問し始めた。
「ねえ!ケイトとか言ったわね!アンタ、何者!?こんな魔術、見たことも聞いたこともない!」
そんなゼーテを手で制し、啓斗は冷静な口調で言う。
「このグリフォンとドーベル、ただ偶然同時に出現したわけじゃないだろう?何か理由があるはずだ」
その言葉に、ゼーテの思考のスイッチが
切り替わる。
「そうね。そういえば、ヘルドーベルは召喚獣だったはず。ということは……」
「今、ドーベルを常時召喚し続けている術師か何かがどこかにいる、というわけか」
しかし、この量の群衆の中、その人物を発見するのはほぼ不可能に近い。
しかし、このまま行けばドーベルは延々と現れ、耐えきっても逃げられる。
2人が頭を悩ませていると、ルカが地面を指差さしてポツリと言った。
「ねぇ、あそこに魔法陣があるよ」
それを聞いたゼーテが、指さされた地面に目を凝らす。
「……あるわね。隠匿魔法で巧妙に隠されてるけど、結構大掛かりな魔法陣が」
啓斗には見えなかった。恐らく、「魔法の気配」のようなものを感じ取る力が別世界人の啓斗には少ないのだろう。
「私がやる。2人は待ってて」
ゼーテは馬車から飛び降りると、魔法陣のすぐ近くに駆け寄る。
(間違いない。ヘルドーベルをこの一帯に無差別召喚する呪文が込められてる)
それを確認し、ゼーテは静かに右目の眼帯を外す。
ここでゼーテの瞳の説明もせねばなるまい。ゼーテの瞳の色は、鮮やかなマリンブルーである。
そして、眼帯を取った右眼は、白目があるべき場所が真っ黒であり、瞳は煌めく白銀だった。
白銀の瞳を魔法陣に向ける。
すると、一瞬で魔法陣は消滅した。
【破呪の銀眼】、それがこの瞳の通称である。
効力は、自身に害意がある呪文、魔法の効果を消失させるというもの。
「これで、もうあの犬共は増えないわね」
ゼーテはニコリと笑う。
すると、上空から高速で次々とグリフォンが落下してきて地面に激突してきた。
上を見上げると、ドヤ顔をしたシーヴァがこちらを見ている。
【力操の黒眼】、対象の物体にかかる引力を自在に操ることができるという能力。
これにより、無理やりグリフォンたちを叩き落として地面に激突させたというわけだ。
この2つの能力、一見無敵だが、使用すると肉体に異常な負荷がかかる。
王国2強のこの双子でも、使用は2分が限界である(世の中そう上手くはいかないものなのだ)。
この能力から、この双子は「魔眼の双騎士」と呼ばれている。
グリフォンが潰し損ねたドーベルは、啓斗の分身が命令通り(血だらけになりながら)始末した。
啓斗が分身達を消すのと、双子が眼帯を着け直すのは同時だった。
こうして、魔物のパレード襲撃は一応終わりを迎えた。
双子と啓斗の活躍により、兵士と騎士の怪我人数名、一般人の被害者無し、死者数0と、被害は最小限に抑えられた。
魔法陣を設置した魔術師は、ついに見つからなかった。
啓斗とルカは、シーヴァとゼーテに強引に王宮まで連れ込まれていた。
なんと国王が直々にお礼を言いたいということらしい。
王宮の最上階(5階だ)にある巨大な扉が轟音を立てて開くのを、啓斗は苦笑いしながら、ルカはポカンとしながら見つめていた。
「奇襲は失敗に終わりました。しかし、異界の住民らしき人物の発見に成功しました」
活気が戻った街の路地裏、黒いフードに顔を包んだ謎の人物が誰かと連絡を取っていた。
通信機器は何も持っていない。魔法による通信のようだ。
『ほう。それは、今回の失敗を埋められる人材なのだろうな』
「はい、同時に100体の分身人形を操る技量があります」
『ふむ……少々興味はそそられるな。更に調査せよ』
「仰せのままに」
『ただし、もしもう一度失敗すれば……分かっているな?』
その言葉に、フードの人物は身震いした。
「……承知しております」
『期待しているぞ。では、また会おう』
「はっ。失礼します。魔王様」
そうして通信は途切れた。
フードの人物は、沈みゆく夕日を一瞥すると、王宮に向けて歩き出した。
「分かってるさ!良いだろう、秘めたる力を見せつけてやろうじゃないか!」
シーヴァが眼帯に手をかける。
「シーヴァ、今はカッコつけてる場合じゃないって分かってるよね?」
「ああ承知しているとも!ここは任せろ!ゼーテ!民衆と、あの旅人2人の救出の役は譲ってやる!」
その言葉を聞き、ゼーテも「任せろ」という不敵な笑みを浮かべ、地上へ急降下を始めた。
「さあ、下衆で脆弱な小鳥ども!我が魔眼の威力、とくと味わうがいい!」
着けていた眼帯を外し、左眼が露わになる。
そういえば説明していなかったが、シーヴァの瞳は美しい金色だ。
何故今ごろこんな話をするかというと、眼帯を外したシーヴァの左眼は、瞳全てが闇を思い浮かばせる完璧な黒をしており、そこから漆黒のオーラが放出され続けているからだ。
地上に降り立ったゼーテが最初に目にしたのは、ヘルドーベルの死骸の山と、おびただしい数の血痕だった。
それだけでも驚愕には充分だったのだが、その次に目に入ったものに、彼女は言葉を失った。
数時間前、カフェで出会って挨拶を交わし、何となく特別席チケットを渡した少年。
先程グリフォンの群れの接近をいち早く察知し、ゼーテ達に警告した少年。
確か、ケイトと言ったか。
彼が、大量に増殖しており、ヘルドーベルを次々と殺害している。
URスキル【ドッペルメイカー】
自分と身体能力、魔法、スキルなどのステータスが全て同一の分身を500体まで出現させる能力。
分身の数が増えるほど消費MPが高くなり、大雑把な命令しか聞かなくなる。
啓斗は、100人の分身を出現させ、「【緋色ノ銃弾】を使いヘルドーベルを全て倒せ」という命令を与えた。
分身達は、その「人形」というに相応しい無慈悲さとカウンター能力を以てヘルドーベルを打倒していった。
馬車の上から本物の啓斗がゼーテに声をかける。
ゼーテは馬車に飛び乗った途端、早口で質問し始めた。
「ねえ!ケイトとか言ったわね!アンタ、何者!?こんな魔術、見たことも聞いたこともない!」
そんなゼーテを手で制し、啓斗は冷静な口調で言う。
「このグリフォンとドーベル、ただ偶然同時に出現したわけじゃないだろう?何か理由があるはずだ」
その言葉に、ゼーテの思考のスイッチが
切り替わる。
「そうね。そういえば、ヘルドーベルは召喚獣だったはず。ということは……」
「今、ドーベルを常時召喚し続けている術師か何かがどこかにいる、というわけか」
しかし、この量の群衆の中、その人物を発見するのはほぼ不可能に近い。
しかし、このまま行けばドーベルは延々と現れ、耐えきっても逃げられる。
2人が頭を悩ませていると、ルカが地面を指差さしてポツリと言った。
「ねぇ、あそこに魔法陣があるよ」
それを聞いたゼーテが、指さされた地面に目を凝らす。
「……あるわね。隠匿魔法で巧妙に隠されてるけど、結構大掛かりな魔法陣が」
啓斗には見えなかった。恐らく、「魔法の気配」のようなものを感じ取る力が別世界人の啓斗には少ないのだろう。
「私がやる。2人は待ってて」
ゼーテは馬車から飛び降りると、魔法陣のすぐ近くに駆け寄る。
(間違いない。ヘルドーベルをこの一帯に無差別召喚する呪文が込められてる)
それを確認し、ゼーテは静かに右目の眼帯を外す。
ここでゼーテの瞳の説明もせねばなるまい。ゼーテの瞳の色は、鮮やかなマリンブルーである。
そして、眼帯を取った右眼は、白目があるべき場所が真っ黒であり、瞳は煌めく白銀だった。
白銀の瞳を魔法陣に向ける。
すると、一瞬で魔法陣は消滅した。
【破呪の銀眼】、それがこの瞳の通称である。
効力は、自身に害意がある呪文、魔法の効果を消失させるというもの。
「これで、もうあの犬共は増えないわね」
ゼーテはニコリと笑う。
すると、上空から高速で次々とグリフォンが落下してきて地面に激突してきた。
上を見上げると、ドヤ顔をしたシーヴァがこちらを見ている。
【力操の黒眼】、対象の物体にかかる引力を自在に操ることができるという能力。
これにより、無理やりグリフォンたちを叩き落として地面に激突させたというわけだ。
この2つの能力、一見無敵だが、使用すると肉体に異常な負荷がかかる。
王国2強のこの双子でも、使用は2分が限界である(世の中そう上手くはいかないものなのだ)。
この能力から、この双子は「魔眼の双騎士」と呼ばれている。
グリフォンが潰し損ねたドーベルは、啓斗の分身が命令通り(血だらけになりながら)始末した。
啓斗が分身達を消すのと、双子が眼帯を着け直すのは同時だった。
こうして、魔物のパレード襲撃は一応終わりを迎えた。
双子と啓斗の活躍により、兵士と騎士の怪我人数名、一般人の被害者無し、死者数0と、被害は最小限に抑えられた。
魔法陣を設置した魔術師は、ついに見つからなかった。
啓斗とルカは、シーヴァとゼーテに強引に王宮まで連れ込まれていた。
なんと国王が直々にお礼を言いたいということらしい。
王宮の最上階(5階だ)にある巨大な扉が轟音を立てて開くのを、啓斗は苦笑いしながら、ルカはポカンとしながら見つめていた。
「奇襲は失敗に終わりました。しかし、異界の住民らしき人物の発見に成功しました」
活気が戻った街の路地裏、黒いフードに顔を包んだ謎の人物が誰かと連絡を取っていた。
通信機器は何も持っていない。魔法による通信のようだ。
『ほう。それは、今回の失敗を埋められる人材なのだろうな』
「はい、同時に100体の分身人形を操る技量があります」
『ふむ……少々興味はそそられるな。更に調査せよ』
「仰せのままに」
『ただし、もしもう一度失敗すれば……分かっているな?』
その言葉に、フードの人物は身震いした。
「……承知しております」
『期待しているぞ。では、また会おう』
「はっ。失礼します。魔王様」
そうして通信は途切れた。
フードの人物は、沈みゆく夕日を一瞥すると、王宮に向けて歩き出した。
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コメント
ノベルバユーザー267627
魔王さんは女性がいいなぁ〜笑
黒烏
小説家を褒めよう さん
ご指摘ありがとうございます。修正しました
小説家を褒めよう
一部ゼーテがテーゼになってる