名無しの英雄

夜廻

21話

俺らはドラゴンを苦労して引きずりながら首都に戻る

フラ鉱山の悲しい出来事の後俺らはギルドで報告していた
「受付さん、フラ鉱山に明らかにおかしい魔物がいたんですけど…」
「フラ鉱山ですか?……ならこちらの部屋でその魔物について聞かせてくださいませんか?」
「いいですよ」
そう言って部屋に入り、あったことを言う
「そんな事が…」
「ちなみにミスリルはいくら探しても無かったのですが…」
「多分その魔物が食べ尽くしてしまったのでしょう」
「えー……どうにかなりませんかね?」
「魔物が食べていたということはその魔物の皮膚はミスリルとかになってるのではないでしょうか?」
「あぁ……すごく硬かったです……」
「……なんでそんな落ち込んだ顔してるんです?」
「気にしないでください……」
「では…その魔物ですがギルドの方で買い取れるのですが…どうします?」
「ギルドで解体をお願いは出来ないでしょうか?」
そう、悲しい事に俺ではアレを解体するのにナイフはもちろん鎌でも切れない……
「はい、できますよ?ですが手数料がかかりますね」
「あぁ、ならやってもらってもいいですか?」
「はい、わかりました…その魔物はどこに?」
「あぁ、それならギルドの前に魔法で縛り付けて置いてあります」
「わかりました…一緒に来てもらって運んでもらえますか?」
「わかりました」
ドラゴンを運ぶのには相当な力がいる
まぁ結構デカいし、金属の塊だし…だから俺の鎌が弾かれたのは俺が決して非力だからじゃない……悲しいな…

ギルドにドラゴンを運ぶためにギルドの外に出るとドラゴンは人混みで見えなくなっていた
「すみません、ちょっと通させてください」
そう言って人混みの間を通っていく
やっとドラゴンが見えた
「受付さん、これです」
「…………」
「受付さん?どうしました?」
「なぁ、兄ちゃん。これアンタらが狩ってきたのか?」
厳ついおっちゃんが聞いてくる
「ええ、そうですけど…」
正確にはスズだが…悲しいので言わない……
「すげーな、これドラゴンだろ?お前さんドラゴンスレイヤーの称号を貰えるぞ」
「ドラゴンスレイヤー?ドラゴンを討伐した証ですか?」
「ああ、そうだ。冒険者なら憧れる称号の1つだな」
「へー、他には何があるんです?」
「知らないのか?他には神殺しとか有名だな」
「神ですか……」
実際神はこの世界にいる。だが、神を殺すとなると本当の英雄じゃないと出来ないし、悪神じゃなきゃいけないから難しいんだそう
厳ついおっちゃん談だ

「あ、受付さん?大丈夫ですか?」
受付さんの事を忘れてた
「……はっ!大丈夫です……ではコレをギルドの中に入れてください」
ドラゴンは大きいと言ってもギルドの扉の方が大きいので余裕で入る
「こちらの部屋に入れておいてください」
「わかった」
もちろんスズに手伝ってもらいながら部屋に入れる
「では、明日には解体出来てると思うので明日またギルドに来てください」
「わかりました」
俺とスズは宿に帰っていった

宿に着くと女将さんが
「アンタらドラゴン倒したんだって?すごいじゃないか!」
と言う
「……なんで知ってるんです?」
「そりゃ首都で今1番の話題だからね!」
「……」
マジか……冒険者の口の軽さはダメだなこれは
余計な事まで噂にならなきゃいいけど…
「そうですか……」
そう言って部屋に戻った

「主人様ー!どらごんすれいやーだって!カッコイイよ!」
「そうかいスズ……」
「元気ないね…?」
「あぁ、明日から憂鬱だな…」
今日も夜は更けていく

「名無しの英雄」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く