異世界転移するような人が平凡な高校生だと思った?
9話 第二の失敗
そこは神殿のような場所だった。周りには綺麗に咲いた白い花の花壇が道を作り、その円形の部屋から外を見ると結構な高さだと分かる。
つまりここは塔。しかもその最上階で下にはずっと階段と様々なドアがある。
 
 全然人気のないその場所に話し合う二人の姿があった。
「さて、ミスラくん。まずは面倒なお仕事ご苦労だった。」
そこには白髪をオールバックにしたおじさんがいた。だがその体はおじさんと言うには不釣り合いの肉体とオーラをまとっていた。
「いえ、そのようなことはありません。神王から賜ったお仕事を面倒などと。」
「.......ミスラくん、怖いから本音で話してくれ。」
「神王の前で偽りを話すなど滅相もございません。私、ミスラはお仕事をしながらいつもいつもこう思っておりました。あぁ神王、いつか絶対にころ....コホン  それより結果報告を。」
「今殺すって言おうとした!?ねぇ!ミスラくんごめんって!謝るから許して!!!あの世界の住人はほんとにこうでもしなきゃダメなんだって!」
神王の威厳はどこに行ったのか。ただのおじさんになってしまった。
「その理由が割と曖昧で私、ミスラはとてもとても悩みましたえぇそれはもう誰かさんを呪い殺せそうなくらいに。」
「怖い!怖いよ!分かったから教えるから!ちゃんと!」
「そうですか。ならば聞きましょう。何故あの地球という惑星の住民を転移させることがそんなに危ないのか。それと何故危ないのにあの地球の住人を転移させるのかも教えてください。」
「う、うむいいだろう。それほどの事を今回君はやってくれたからな。」
「.......」
転移させた人間にその場の勢いで力を渡してしまったとはあまり言い出しずらいミスラであった。
「まず、あの地球という惑星がある世界に魔力がないというのは勿論知っておるな?」
「はい」
「あそこには魔力がない。その代わりにあそこの住民が1つの魔力とは全く異なる。力ともなり助けにもなるものを生み出した。」
「それは....なんでしょうか?」
「科学だよ。ミスラくん。あの発展は魔力がないからこそ生んだ奇跡のようなものだ。あんなに興味深いものは無い。それにより魔法に匹敵するほどの兵器まで生み出すことが出来るんだからな。しかもそれを扱うのは材料と技術だけがあればある程度使えるという....」
「それは本当ですか?ですが魔法に匹敵すると言うのは言い過ぎでは?」
「いいや、もしかしたらワシの魔法にも近いほどの威力じゃ。」
「神王。それはありえません」
「まぁこればかりは見なければ分からないじゃろう」
すると神王が手をかざすとそこに映像のようなものが流れた。
「.....これは?」
「まぁ見ておれ」
そこには鉄の塊が空を飛んでいた。だが驚くのはそこではなかった。その鉄の塊が何かを下へ落とした。その物体を目で追っていき。地上にたどり着いたところで──
「────なっ!?」
ミスラは見た。あの空飛ぶ鉄の塊が落とした物体が爆発し街を飲み込み有り得ない程の範囲を消し飛ばし、消滅させるのを──
「核爆弾....というそうじゃ。」
「正直、驚きました。ここまでの爆発は神々の争いくらいでしか見ないと思っていましたが。」
「そうじゃな。じゃが、この爆弾もそうポンポン打てるものではないらしい。そこは流石にこっちとは違うところじゃな。」
神々の争いというのは勿論魔力を使ったものだが神界にいる限り神達の魔力は尽きない。これがどういうことを意味するかというと、単純に、どちらかが諦めない限りその戦争が一生続くのだ。だから神々の争いと言うのはタチが悪い。
「これを見てわかった通りこの世界の住人は魔力が無いことにより逆に魔力に頼らずにここまで技術を向上させた。これは本当に恐るべきことなのじゃ。こんな超人達が魔力のある場所に行ったら第二の戦力を手に入れるようなものじゃ。それだけで十分アドバンテージが違う。そして他の世界に魔力が無いところなどあるかのぉ?ミスラくん」
「ないですね。私の知る限り。」
「そうじゃ。そして魔力がある世界の住民を魔力のある違う世界に転移又は転生させても大して力は変わらぬのだよ。偉人なら別じゃがな。」
「なるほど大体見えてきました。それで今回このような仕事を私にさせたのですね。」
そう言えばあの世界に入った時、魔力が空気中に無いことにより少なからず驚いていたミスラである。違和感程度に感じていたが全くないとは思わなかった。もしあの状態で暮らすとなればミスラからしたら正直耐えきれないと思う。住んでないから分からないが。
「うむ。   ところでミスラくん転移させたという少年の話じゃが情報をくれんかね。一応こちらでも調べたいのじゃ。」
「....はい。分かりました。名前は佐野祐。年齢は──」
「佐野祐じゃとッ!?今、佐野祐と言ったかッ!?」
「は、はい 間違いなくそう言いましたが.....何か問題が?」
「いや....すまぬ。同姓同名などあの世界にはよくいるからな。続けてくれ。」
この時ミスラは表情には出ていないが、心臓バクバクであった。私が転移させた少年が実はなにか隠していたりしたら──と。
本来ならばそれくらいで別に怯えたりはしないミスラだが先程の核爆弾を見てからは完全に怖気づいていた。
「ね、年齢は10代後半でごく普通の高校生です。その人間の個人情報は完全に調べ尽くし体力、学力、などを、思考は完全とはいえませんが平凡そのものでした。」
「.....そうか.......ミスラくん」
「な、なんでしょうか」
久々に感じる神王の覇気にミスラは少々驚く。
「その者は....元気だったかの.....」
「え?」
予想もしない返答だった。それではまるで神王がその人間と知り合いみたいに──
「げ、元気でした。私の見立てが間違っていなければですが。」
「なら....良い。その者の情報は他にないか?」
「あ、あの......実はその少年に少々力を与えてしまいまして.....」
「なぁにぃぃぃぃぃ!?」
またも物静かそうな神殿に絶叫が轟くのであった。
つまりここは塔。しかもその最上階で下にはずっと階段と様々なドアがある。
 
 全然人気のないその場所に話し合う二人の姿があった。
「さて、ミスラくん。まずは面倒なお仕事ご苦労だった。」
そこには白髪をオールバックにしたおじさんがいた。だがその体はおじさんと言うには不釣り合いの肉体とオーラをまとっていた。
「いえ、そのようなことはありません。神王から賜ったお仕事を面倒などと。」
「.......ミスラくん、怖いから本音で話してくれ。」
「神王の前で偽りを話すなど滅相もございません。私、ミスラはお仕事をしながらいつもいつもこう思っておりました。あぁ神王、いつか絶対にころ....コホン  それより結果報告を。」
「今殺すって言おうとした!?ねぇ!ミスラくんごめんって!謝るから許して!!!あの世界の住人はほんとにこうでもしなきゃダメなんだって!」
神王の威厳はどこに行ったのか。ただのおじさんになってしまった。
「その理由が割と曖昧で私、ミスラはとてもとても悩みましたえぇそれはもう誰かさんを呪い殺せそうなくらいに。」
「怖い!怖いよ!分かったから教えるから!ちゃんと!」
「そうですか。ならば聞きましょう。何故あの地球という惑星の住民を転移させることがそんなに危ないのか。それと何故危ないのにあの地球の住人を転移させるのかも教えてください。」
「う、うむいいだろう。それほどの事を今回君はやってくれたからな。」
「.......」
転移させた人間にその場の勢いで力を渡してしまったとはあまり言い出しずらいミスラであった。
「まず、あの地球という惑星がある世界に魔力がないというのは勿論知っておるな?」
「はい」
「あそこには魔力がない。その代わりにあそこの住民が1つの魔力とは全く異なる。力ともなり助けにもなるものを生み出した。」
「それは....なんでしょうか?」
「科学だよ。ミスラくん。あの発展は魔力がないからこそ生んだ奇跡のようなものだ。あんなに興味深いものは無い。それにより魔法に匹敵するほどの兵器まで生み出すことが出来るんだからな。しかもそれを扱うのは材料と技術だけがあればある程度使えるという....」
「それは本当ですか?ですが魔法に匹敵すると言うのは言い過ぎでは?」
「いいや、もしかしたらワシの魔法にも近いほどの威力じゃ。」
「神王。それはありえません」
「まぁこればかりは見なければ分からないじゃろう」
すると神王が手をかざすとそこに映像のようなものが流れた。
「.....これは?」
「まぁ見ておれ」
そこには鉄の塊が空を飛んでいた。だが驚くのはそこではなかった。その鉄の塊が何かを下へ落とした。その物体を目で追っていき。地上にたどり着いたところで──
「────なっ!?」
ミスラは見た。あの空飛ぶ鉄の塊が落とした物体が爆発し街を飲み込み有り得ない程の範囲を消し飛ばし、消滅させるのを──
「核爆弾....というそうじゃ。」
「正直、驚きました。ここまでの爆発は神々の争いくらいでしか見ないと思っていましたが。」
「そうじゃな。じゃが、この爆弾もそうポンポン打てるものではないらしい。そこは流石にこっちとは違うところじゃな。」
神々の争いというのは勿論魔力を使ったものだが神界にいる限り神達の魔力は尽きない。これがどういうことを意味するかというと、単純に、どちらかが諦めない限りその戦争が一生続くのだ。だから神々の争いと言うのはタチが悪い。
「これを見てわかった通りこの世界の住人は魔力が無いことにより逆に魔力に頼らずにここまで技術を向上させた。これは本当に恐るべきことなのじゃ。こんな超人達が魔力のある場所に行ったら第二の戦力を手に入れるようなものじゃ。それだけで十分アドバンテージが違う。そして他の世界に魔力が無いところなどあるかのぉ?ミスラくん」
「ないですね。私の知る限り。」
「そうじゃ。そして魔力がある世界の住民を魔力のある違う世界に転移又は転生させても大して力は変わらぬのだよ。偉人なら別じゃがな。」
「なるほど大体見えてきました。それで今回このような仕事を私にさせたのですね。」
そう言えばあの世界に入った時、魔力が空気中に無いことにより少なからず驚いていたミスラである。違和感程度に感じていたが全くないとは思わなかった。もしあの状態で暮らすとなればミスラからしたら正直耐えきれないと思う。住んでないから分からないが。
「うむ。   ところでミスラくん転移させたという少年の話じゃが情報をくれんかね。一応こちらでも調べたいのじゃ。」
「....はい。分かりました。名前は佐野祐。年齢は──」
「佐野祐じゃとッ!?今、佐野祐と言ったかッ!?」
「は、はい 間違いなくそう言いましたが.....何か問題が?」
「いや....すまぬ。同姓同名などあの世界にはよくいるからな。続けてくれ。」
この時ミスラは表情には出ていないが、心臓バクバクであった。私が転移させた少年が実はなにか隠していたりしたら──と。
本来ならばそれくらいで別に怯えたりはしないミスラだが先程の核爆弾を見てからは完全に怖気づいていた。
「ね、年齢は10代後半でごく普通の高校生です。その人間の個人情報は完全に調べ尽くし体力、学力、などを、思考は完全とはいえませんが平凡そのものでした。」
「.....そうか.......ミスラくん」
「な、なんでしょうか」
久々に感じる神王の覇気にミスラは少々驚く。
「その者は....元気だったかの.....」
「え?」
予想もしない返答だった。それではまるで神王がその人間と知り合いみたいに──
「げ、元気でした。私の見立てが間違っていなければですが。」
「なら....良い。その者の情報は他にないか?」
「あ、あの......実はその少年に少々力を与えてしまいまして.....」
「なぁにぃぃぃぃぃ!?」
またも物静かそうな神殿に絶叫が轟くのであった。
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コメント
小説書いてみたいけど内容が浮かばない人
佐野祐にはどんな秘密が──(*・ω・*)wkwk
うぇーい乁( ˙ω˙ 乁)
ミスラ、、、オワタ\(^o^)/な……
シン
続き待ってます。