家族に愛されすぎて困ってます!

甘草 秋

28話 母さん達の策略



「春ちゃん、選び終わった?」
「うん!」

 亜紀斗達へのお土産は入浴剤に決めた。
 ストレス解消や美容にも良いらしい。あーちゃんの分も買っておいた。

「よぉーし。じゃあ次は、晩御飯を食べよーう!」
「「「「おー!」」」」
「お、おー」

女子達のテンションが無駄に高い。もしかして、この後に何か......あるのか......?

俺の勘が何かを悟ったようだ。







「ふぅ〜。美味しかったねぇ」
「そうね。でも、私は春ちゃんの方が美味しかったわ」
「春雨の炒め物の事だよね!?」
「春くんの美味しかったな〜」
「どういう意味だ!」
「春、今度は私を頂いて......」
「頂かないです!」
「たーくん、私は?」
「両方、頂かないよ!」
「春お兄ちゃん、このぬいぐるみ嫌い」
「嫌うの早いな!!」
「ぐがぁ〜!......ぐがぁ〜!ふにゃふにゃ」
「お、おい親父、寝るなら温泉入ってからだろ」

 親父は酒で酔いつぶれたみたいだ。

「フフフ......」
「ど、どうしたの母さん?そんないかにも今から悪い事してやるぜぇ〜みたいな顔」
「春ちゃん!実はね、この旅館には家族風呂って言うのがあるの!」
「か、家族風呂?」
「今日の夜は、それを貸切にしたから。一緒に入ろ!」
「まさか......混浴か......!?」
「あ・た・り♡」
「私も入るよ!」
「私も」
「もちろん私も!」
「真子も!」

 やはり俺の勘は当たっていた。
 な、なんてことだ......妹は良しとして......母さんや姉さん達と入ったら、俺の理性が持つか分からない......。

「お、おい!親父!起きてくれ!」
「ぐがぁ〜ぐがぁ〜......ふにゃふにゃ」
「無駄よ春ちゃん。お父さんのお酒には、こっそりと睡眠薬を混ぜといたの」

 そう言って、母さんは怪しい薬包紙のようなものをちらっと見せた。

「う、嘘だろ......計画されていたのか......?」
「フフフ…」

 俺の親まじでやばいよ!

「だからほら、私達とゆっくり入ろ!」
「なんか企んでるんじゃないか?」
「そ、そんなわけないでしょ!春ちゃんってば、子供なんだから!」
「うーん......」

 正直、温泉には入りたい。でも、家族で裸の付き合いなんて............。

「せっかく、予約出来たんだよ!ねっ!」
「うーん......まぁ確かに、貸切にしたんなら使わないと勿体ないしな............入るか」
「やったー!ほら、はやくはやく!」
「お、おい!引っ張らないでくれよ」

 何でOKしちまったんだ、俺。




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