家族に愛されすぎて困ってます!
27話 お土産選ぶのって結構楽しいよね
「春ちゃん!お母さんと一緒に、あそこのお土産屋さん見に行こ!」
「うん」
 近衛家一行はへこんでいる親父を置いて、お土産屋に来ていた。
「春くん、これなんかどう?」
 早速、瑠美姉が持ってきたのは30個入りのラスクというお菓子だった。
 焼き上げられたラスクの上をホワイトチョコレートでコーティングしてあり、なんとも美味しそうだ。
「うん。いいと思うよ」
「本当!?じゃ、これにしーよぉー」
 瑠美姉はスキップしながらレジへ向かった。
 決めるの早いな。
「春お兄ちゃん。真子、このぬいぐるみ欲しい」
「ん?」
 続いて、真子が持ってきたものは、この地方のご当地キャラのぬいぐるみだった。
 人型でおでこの辺りには地図記号の温泉マークがあり、下はタオル1枚のみ、上は素っ裸という独特なキャラクターだ。
「じゃあ、お母さんに聞いてみよっか」
「うん!」
 真子はスタスタと母さんのもとへ向かった。
「た、たーくん」
「ん?どうしたの、里姉?」
「こ、これ......」
 里姉が持ってきたのは、カップルなどがよく買っている、お揃いのキーホルダーだった。ハート型で赤と青がある。
「私が赤で、たーくんが青ね」
「待って、姉さんそれ何処につける気なの?」
「え?もちろん学校に持って行く鞄だよ。だから、たーくんもつけてね」
「ダメ!姉と弟がお揃いのキーホルダーつけてたら、なんか複雑な関係だと思われるじゃないか!」
「別に大丈夫だよ。仲良しの姉弟って事にすれば、まぁいざとなったら、恋人ですって言えばいいか......」
「いいわけないだろ!別につけてもいいけど、俺は別の所につけるからな!」
「ブー」
 ......はぁ、まったく......。
「春」
「うわぁ!......な、何?」
 いきなり出てきた瑠奈姉に、不意に驚いてしまった。
「これはどう?」
「ん?............な、何これ?」
 瑠奈姉が見せてきたものは、芋虫型のホワイトチョコレートだった。抹茶味のチョコレートでできた葉っぱに乗っており、かなりリアルに再現されているのでじっくり見ないと区別がつかない程だ。
「可愛い」
「え......あ、うん。可愛いね」
「でも安心して、春鷹の方が可愛い」
「ありがとう。人工の芋虫型チョコレートに負けたら、俺はもうこの先の人生を生きていけないところだったよ」
 さて、俺も亜紀斗達へのお土産を選ぶか。
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