家族に愛されすぎて困ってます!

甘草 秋

8話 親父の登場



「はぁ〜。まったく、瑠奈姉は......」

 お風呂での騒動があった後、俺は部屋で一息置いていた。
 何故かパトカーが来た事は言わないでおこう。

「さて、ゲームでもするか」

 俺に勉強という概念はない。ゲームが全てだ。
 でも、授業にはちゃんと出席してるぞ!
 俺は基本的に授業で覚えるタイプだ。予習復習なんてどうでもいい。

「おっ!ヒデやってるな」

 ヒデとは、今俺がハマっているサバイバルゲームの中での友達だ。

ハタ)今日も一緒にやらないか?
ヒデ)ごめん。これから課題やらなきゃいけないんだ。

「課題かぁ。てことは学生か?」

ハタ)分かった!頑張れよ
ヒデ)おう!

「まぁ、たまにはソロもいいか」

 ヒデと一緒にやれず残念だったが、意外とソロも面白かった。
 その日は2時間ぼっちでプレイした。





ー翌朝

「ちゃん......!ねぇ......!春お兄ちゃんてば!」
「ん......?んん......誰?」
「春お兄ちゃんが世界で一番愛している人だよ!」

 重い身体を起こし、眠たい目を擦りながら可愛い声がする方に目を向ける。
 そこには、妹の真子がいた。

「え......?あ、ああ、真子か。おはよう。誰かと思ったよ」
「酷い!最愛の妹が分からないなんて!」
「無茶言うなよ。こっちは寝起きだぞ」
「......まぁ良いけど。ほら、起きて!朝ごはん出来てるよ」
「真子が作ったのか?」
「うん!お母さんに少し手伝ってもらったけど」
「そうか。それは楽しみだな」
「早く早く、冷めちゃうから!」
「分かった分かった。......よいしょっと」

 真子と一緒に一階のリビングへ行く。

「おはようー」
「よぉ、春鷹。朝から真子に起こしてもらうとか憎たらしい奴だな」
「ん?何の事だ............!?う、嘘だろ..................お、親父!」

 リビングのソファに座り、缶ビールを手に朝から飲んでいるこのおっさん。
 母さんと同じくらいの歳なのに、まるで20代を思わせるような容貌。
ー俺の親父だ。

「お、親父。帰ってたのか......」
「おう、久しぶりだな。海外の出張から帰って来たぞ」
「そ、そうか。お疲れ」
「なぁ春鷹」
「な、何だよ......」
「お前、昨日瑠奈と一緒に風呂入ったらしいな......」
「......へぇ?......い、いや、あれは不可抗力というか。瑠奈姉が勝手に入って来たんだよ」
「ほぅ......?瑠奈、そうなのか?」

 親父は、リビングのテーブルで朝食を食べている瑠奈姉に確認を求めた。

(頼むぞ瑠奈姉!俺は信じている。真実を言ってくれよ)

 瑠奈姉の頬は赤く染まる。両手を頬に当て、照れているのをあざとく隠している。

「春の......すごく大きかった............」
「何ぃぃぃいぃ!?」
「瑠奈姉!誤解を招くような言い方はやめてくれー!勘違いされるだろ!」
「春鷹ぁ......」
「ひ、ひぃ!」

 親父がなんか怖いんですけどー!燃えてる、親父が燃えてる!誰か消化器を持ってきてくださーい!

「一応聞くが、何処が大きかったんだ?瑠奈」
「背中だよね?背中だと言って!」
「......そんなの............言えない......」
「貴様ぁぁぁあぁ!俺の瑠奈ぉ!」
「いやぁぁぁぁあぁ!!」

 俺の親父は、俺が母さん達に愛されていることに嫉妬している。
 故に、家族の中で唯一の同性なのに俺の事を敵視しているのだ。








 その日の朝。変な声が聞こえると二度の通報があった事は、近衛家では誰も知らない。








ー投稿休んですいませんでした!



 






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