クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!

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203話 殲滅力

おっ!?
目の前が急に明るくなってきたな?
大樹海を進んでいると急に木々がなくなり拓けた場所にでた。
拓けた場所はかなりの広さだ。町一つ位はあるかもしれない。
そしてその中には明らかに自然物と思えない木の構造物がある。まあ、お世辞にも家とは言えないが雨風位は防げそうだ。

因みにここまではニキスの[無音移動][幻隠]発動からの[影移動]で敵の背後に移動、[アサシンエッジ]でのワンパンキルだけで来た。
もはやルーチンに入ってたし、そもそもニキスの隠密・奇襲をメインにした戦い方とこの大樹海が相性良すぎるんだよな。
その方法でニキスに倒されたレッドオーガ、実に40体近くは血の一滴も残さずラズリの腹の中に消えていった。
猫の魔物であるニキスや兎人族のテッシィさんも匂いは残ってないっていうくらいだから相当なものだろう。
これがラズリの優秀さ故の結果なのか、それとも単に食い意地を張っているだけなのかは判断を付けかねるけどね。

「これは………………オーガの棲みかなのか?この規模は本当に一万いるかもしれない。」
 
中では数匹のレッドオーガが歩いている。
さて、今みたいにこちらの存在がバレてなくて、相手が集団で固まってるときは初手範囲殲滅系魔法と相場が決まってる気がする。
うちのパーティーなら誰がいいか…………?うーん、うちの面子の魔法は戦闘外や支援においては非常に優秀だが、影も樹も時空間も殲滅的な意味では火力不足だなぁ。

「ふぅ。何時までも足手まといじゃありませんよ?ここは私に!」

そう言って自信満々に声をあげたのはエミリアさんだ。
うん。正直戦力的に言って今まで役に立ったことは一度もなかったから予想外だ。

「すいませんがヒスイさん、拓けた場所からオーガ達を逃がさないように周囲の隣接した樹で柵を作ってくれませんか?出来れば火に強い植物で。」

「う~ん?かまわないけど?幹の保水量が多くて燃えにくいウォレシュの樹で囲えば良いのね?[プラントウォール]」

結構簡単にヒスイが魔法を発動させるが結構なレベルの魔法だと思うんだけどなぁ。
というか火に強い植物って、エミリアは火魔法使えないし、恐らくレッドオーガも火魔法を多用して来ることは無さそうだけど………。

「[ショートポータル]」 

エミリアさんが発動させたスキルは前に僕らとレベリングしたときに覚えたスキルの一つで、確か視界内の一定の距離範囲内に、生き物と魔法以外の物を転移させることの出来るポータル一対設置するスキルだったか?
エミリアはおもむろに懐から沢山の瓶を取り出すと瓶を割り中身の液体を手元にあるポータルの中に放り込んでいく。もう片方の出口のポータルは何処だろうか?

「ここで![ウィンド]」

エミリアさんは風魔法の[ウィンド]をオーガ達の棲み家の上の方に放つ。
よく見るとそこにはポータルのもう一つの出口があった。
そしてそのポータルから出てきていたのは、先程エミリアがもう一つのポータルに放り込んだ液体だ。
[ウィンド]は液体にぶつかり広範囲に液体をぶちまける。

「さっ!ここで誰か火魔法を!」

…………風下だからかオーガの棲み家から先程の液体の臭いが流れてきた。
うん。これ油だわ。
オーガの村をまるごと油で丸焼きって、元王女として大丈夫なんだろうか?進むべき道を間違えている気が…………。
全員がドン引きしてエミリアさんを見ていると慌てたように弁解する。

「いや!私なりに役に立てる方法を考えた結果なんですよ!?こっちは確実に無傷ですし、油のコストも少ないですし!そりゃ私も結構酷い方法とは思いますが私達の安全には変えられないじゃないですか!?ね!ね!そうですよね!?」

………………。

「まあ、もうエミリアが油を撒いてしまった以上この方法しかないですね。オーガ達も異変を感じたのか家から出てきている個体も居ますし、これ以上時間を掛けるとヒスイの[プラントウォール]の存在もバレてしまいかねません………。えい、[ファイヤーボール]」

リリアが油に火を着けた。
一瞬でオーガ達の作った家々を火に包む。

「私は引き続き油を投下しますので風魔法を持つ人は風を送り込んで火力をどんどん上げてください♪」

………………………はぁ、風魔法を発動させるか。

三分経った頃だろうか?
もはやオーガの村の真っ赤に燃えており、中に居たオーガのほとんどは死んだ様に見える。
しかし、突然目の前の樹の壁が破壊される。
そこに居たのは先程までの個体より大きく筋肉質なオーガ、恐らくはジェネラルレッドオーガだろう。

「流石にこれだけ広範囲に壁作ったからね。耐久力は少し落ちるわ。しかもこんだけ周囲が高温なら更に耐久力も落ちてるしね。ただのレッドオーガならともかく上位種なら破られるわ。」

その他の場所からも樹の柵を破りジェネラルオーガとからくも生き残った普通種のレッドオーガが出てくる。
思ったより結構生き残っていたらしい。
しかもジェネラルオーガにいたっては火によるダメージもほとんど見られない。

「さぁーてようやくまともな戦闘かな?」

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