クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!

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202話 狩りの仕方

「それでどうするの?あなた達が戦うって決めたのだから作戦はあるんでしょう?」

フイルミナさんの質問に対してリリアが答える。

「そうですね……。もし、仲間がやられそうになった場合お互いがフォロー出来るように基本的には皆さんで固まって行動しましょう。あとは………全員で戦っても勝てそうにない敵が居れば撤退しましょう。」

「は、はい。………それで具体的には?」

リリアの答えにフイルミナさんが更に作戦を詰めようとする。
しかし当のリリアは困惑顔だ。

「へっ?」

「その…………誰が前衛で誰が後衛とか、どんな方法でダメージを与えるとか、相手の弱点とか………。」

「フイルミナさんは前衛で戦士タイプですよね?リョンさん達も私達も戦士タイプの戦闘スタイルです。それなら私達はほぼ全員が物理の前衛タイプということになります。フォーメーションはほぼほぼ意味ないかと…………。あえて言うならエミリアは自衛手段が無いので気にしておいてあげてほしいです。」

「ぅっ!確かに………。」

地味なところで飛び火してエミリアさんが精神的にダメージを受けている。
僕らのパーティーの中で魔法を多用した戦い方をするのは、ニキスとヒスイとエミリアさんだけだ。
ニキスは物理による戦闘も行えるし、ヒスイは魔法によっても防御出来るしある程度なら高いステータスで押しきれる。
対してエミリアさんはステータスは高位の魔物を相手するには心もとないし、特別防御することに優れた魔法もないしな。樹と違って氷は衝撃吸収能力少なそうだし。

「そんな大雑把な…大丈夫かな………。」

リリアさんは普段は知的でクールだし、戦闘も繊細で華麗だけど、結構ポンコツだし、戦術面においては脳筋だったりする。
フイルミナさんはそんな僕らの様子を見て酷く不安そうにしている。
うん。やはりこの人は苦労人属性があるな。

「じゃあ、早速行きますか。」

「私たちが奴等の住み処まで案内しましょう。」

僕らはリョンさん達について大樹海の奥地に進んでいく。




<フイルミナ視点>

流石に不安が残るな。
いざとなれば引きずってでも無理矢理連れ帰ろう。
多分そこそこの実力者だとは思うんだが………まあ流石にSランクの魔物は倒せないだろう。
ある程度レッドオーガを倒せばリリアの恩人の無念も晴れるだろうし、レッドオーガ達もある程度ダメージを受ければレッドオーガ達も獣人達を襲うのを警戒するかもしれない。
適当に戦って様子を見てから、早めに帰還する方向に誘導しよう。
もしそれでも帰らないようなら申し訳ないがティシィを連れて帰ろう。
一番は仲間の命、流石に彼等の為にそれ以上命は張れない。

「そろそろ奴等のテリトリーだ。警戒しておけよ。」

リョンの声に思考を切り替え周囲の警戒をする。
[魔力探知]を発動させると早速探知範囲内に魔物の気配………この大きさはオーガだな。
しかも並のオーガよりかなり強い………Dランク下位程の強さがある。
これの上位種となるとかなりヤバイかもしれない。
というかそれより早く対応しないと!
と思ったが彼等のパーティーのリーダーであまり目立たない美月?が話し出した。

「ニキス気付いていると思うけどやれる?」

「任してくださいマスター!」

どうやら彼もニキスちゃんもレッドオーガの存在には気付いていたらしい。
ニキスちゃんは何らかのスキルないしは魔法を発動したのか影の中に沈んでいく。
すると[魔力探知]の範囲内にいたレッドオーガの反応が消える。

「えっ!」

美月達パーティーは何でもないようにレッドオーガの反応があった場所に向かう。
そこには首から血を吹き出して倒れているレッドオーガがいる。

「むふぅ♪森の中は影の宝庫ニキスの敵ではありませんね♪」

ニキスちゃんは誉めてほしそうに美月に擦りついている。
体には血が一滴も付着しておらず、先ほどの様子からしても恐らくは一撃…………「確かシャドウキャットはAランクの魔物だけど、影魔法を使った奇襲能力や影移動による逃走でまともに討伐することが出来ないことがAランクに指定された理由の多くを占めているので実質的な強さはBランク中位程度の強さな筈だ」とミレオンの奴が言ってたが、ニキスちゃんの奇襲能力が相性の良い相手とはいえDランクの魔物を抵抗も許さず一撃とは………。
そして彼等の仲間も驚いている様子はないし、彼等の強さは私の想像よりも更に強いかもしれない。
私と同等クラスの強さかと思っていたが、もしかしたらAランク上位の強さか?
あと、うちのティシィは「すごいウサ~」と間抜けに言っているがこのアホは例外だ。

「確かに肌が赤いオーガ………これがリリアの?」

「この血を吸ったような赤い肌………覚えてます。もしキングが現れたら私にやらせてください。あの世にいるあの人に今の私を見せたいので。………まあ、あのときの個体は死んでますし、別個体でしょうけど。」

………………。
もしかしたら………………いや、Aランク5,6人位居ればキングは倒せるだろうが、それも一万近い群れ居ないことを前提としたものだ。
リリアには申し訳ないが流石にキングは無理だろう。

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