異世界戦国記

鈴木颯手

第二十三話・藤左衛門家2

「ぐへへへへへっ、良く決断してくれたな信繫。それに信秀よ」
なんだこいつ?あからさまに上から見やがって。
現在俺は頼伴が籠る古渡城にいる。頼伴は部屋に入った俺と信繫に今のように言ったがあまりにも舐めすぎだろう。
それに加えて此奴の両脇には十代前半と思われる少女二人がいた。顔が似ていることから終いと思われる。その双子を先ほどから此奴は胸や尻を触り下種な目で見ていやがる。つまりこっちにすら目線を合わせていない。
俺は見えていないうちに後ろで青筋を立てて刀を抜こうとしている護衛を必死で宥める。
「(落ち着け!今ここで切ったら大変な事になる!)」
「(離してください!此奴殿を侮辱しているんですよ!)」
「(切れるなら俺が切りたいところだ!でもそれが出来ないんだよ!)」
俺も若干キレているとはいえここでやるわけにはいかない。ここで切ってしまえば俺たちが一方的な悪者となってしまい、藤左衛門家の吸収は実力行使に頼らざるを終えない状況となる。それは不味い。ただでさえ信友と敵対しているのにこれ以上むやみに敵を増やしたくはなかった。
そんな俺に気付いたのか頼伴はこちらを不思議そうに見てきた。
「どうしたのかな信秀よ。この姉妹を持つこの俺が羨ましいか?」
「(殿、やはりこいつは切ります)」
「(だから早まるな!しばらく待て!)いえ、何でもありません」
「そうですか。それにしてもそなたが率いてきた兵は少なすぎますな。私に協力したいというからには千は連れて来るべきだったな」
別にあんたに協力するわけではない。信繫に協力しているのだがあえて言わない。ここで敵対する意味がないからな。それにしても良頼は何を考えてこんなやつを嫡男にしたのか分からないな。信繫の方が当主としての力量は高そうなのにな。まあ、他家の事に首を突っ込むつもりはない。むしろ何もなければ簡単に吸収できたから問題はないな。
「まあ、期待はしないが俺のために働くように」
頼伴は終始この態度で俺は中からあふれ出そうになる怒りと青筋を立てて刀を抜こうとする家臣を抑えることで終わるのであった。

















「信繫が頼伴についただと!?貴様は何をやっていたんだ!」
熱田城で信繫合流の報を受けた良宗はあまりの事に報告した家臣を怒鳴りつけた。
「で、ですが我々も信繫が合流するとは思わなかったのです…」
「そのくらい予測しろ!」
理不尽な良宗の言葉に家臣はただ謝り続けるしか出来ずその間良宗は怒鳴り続けた。
やがて落ち着いてきたのか息を荒げながらも上座に座り直した。
「…で?報告は以上か?ならさっさと出ていけ!貴様の顔など見たくない!」
「そ、それが。もう一つ報告が…」
「…なんだ?」
「百名ほどではありますが黄の生地の織田木瓜の旗があったという報告が…」
「なっ!?」
良宗はあまりの出来事に思わず立ち上がってしまう。織田木瓜は織田家が主に使う旗であり黄色の旗を使っているのは織田弾正家のみであった。つまり織田弾正家の兵が合流しているという事である。
「よ、頼伴の奴我々の問題に他家を突っ込ませるのか!今すぐ攻め落とすぞ!兵を出せ!」
「し、しかし信秀が味方に付いているとなると西から敵兵が来る可能性が…」
「それよりも先に粉砕してくれる!急げ!」
「は、ははっ!」
こうして良宗は出兵を決意し自分に賛同する者全て、総勢千五百の兵を率いて頼伴の籠る古渡城へと兵を進めるのであった。

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