ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~

佐倉唄

5章10話 月明かりの下で、世界一幸せな一瞬を――(1)



 ロイが目を覚ますと、そこは寄宿舎の自室だった。
 制服は寝間着になっていて、自分の身体はベッドの上、布団の中に。
 挙句、ジェレミアとの決闘は放課後になってすぐ行われたはずなのに、今、窓の外を見ると月が綺麗な夜である。

「これは……?」

 その時、ロイの部屋のドアがノックされた。
 しかしロイが返事をする前にドアが開き始めるので、一瞬だけ、ロイは不思議がる。
 次の瞬間、ドアから入ってきたのはブロンドの美少女。

「シィ?」
「~~~~っ、ロイくん!」

 シーリーンは木の桶にぬるま湯を入れて、ふちにタオルをかけていたそれを落としてしまう。
 無論、ロイの部屋の床は濡れてしまうが、そんなのおかまいなしに、シーリーンはベッドの上で上半身を起こしているロイに抱き付いた。

 宝石を溶かして作った糸のような金の髪からはバニラの香り。
 初雪のように白い素肌からはミルクのような幼い匂い。

 シーリーンはパジャマ姿で抱き付いてきていて、小柄な体型に不釣り合いなまでのたわわに豊満な胸がロイに押し付けられていて、その場所はベッドの上。

 その事実を認めると、思わずロイは赤面してしまう。

「ロイくん……っ、ロイくん!」
「? し、シィ?」

 そこからロイはシーリーンを宥めて、決闘が終わったあとのことを聞いた。

 ロイは決闘が終わった直後に気を失って、今日まで1週間、目を覚まさなかったこと。
 その理由として、あと数分でも、医療魔術師がヒーリングするのが遅れていたら死んでいたぐらい、肉体がズタボロだったこと。
 あれ以降、シーリーンはジェレミアからも、彼以外からもイジメられなくなったこと。
 ロイの昼間の看病はクリスティーナがやっていたが、夜は自分が責任を感じて、代わりにやっていたこと。

「そっか……、もう1週間も経っていたんだね」

 ロイは窓から差し込む月明かりに照らされながら微笑む。
 シーリーンはその微笑みに、胸の奥が切なくなった。

 言おう。伝えよう。この想いを、ロイに告白しよう。
 シーリーンは、いったんロイから離れると、ベッドのふちに腰かける。そして、ロイの片手を自分の両手で優しく包むように握った。

「ロイくん」
「ん? なに?」

 優しい声で、ロイは言う。

「シィを助けてくれて、救ってくれてありがとう」
「うん、どういたしまして」

「すごく嬉しかった。本当に嬉しかった。こんなシィでも、ここにいていいんだ、って、認めてくれる人がいてくれて」
「だって、困っている人を見たら放っておけないからね」

 そう言われて、シーリーンの白い頬に乙女色が差す。
 瞳を潤ませて、熱っぽい視線をロイに向けた。
 顔が熱い。胸がドキドキと高鳴るのを抑えきれない。

「改めて、ロイくん」

「はい?」

「シィは、シーリーン・ピュアフーリー・ラ・ヴ・ハートは、ロイくんのことが好きです」


コメント

  • 空挺隊員あきち

    ロイぃ!おkしろ!おkしろ!頼むぅ!
    OKと一言!言うだけで!良いんだァ!

    0
  • ノベルバユーザー294662

    ついに告白!!!!!!ぅぅぅぅう

    4
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