ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~

佐倉唄

5章5話 最強の高みで、特務十二星座部隊の2人は――



 コロシアムのVIP席。
 そこには2人組の男女が座っていた。

「ハハッ、ロイのヤツ、入学早々、面白いことをやるようだな」

 快活に笑い、獅子のように、ニッ、と、歯を剥き出す。
 その男は、ロイをこのグーテランド七星団学院に招待した張本人、エルヴィス・ウォーウィナー・ライツライトである。

 王室の直属部隊である特務十二星座部隊に所属しているキングダムセイバー。
 そんな彼がわざわざ、学院内部では盛り上がっているとはいえ、たかが学生同士の決闘を見物しにやってきた。

 その意味は1つしかない。

「さぁ、ロイ、あの時、オレとお前が初めて会った時から、どのぐらい強くなったかを見せてもらうぞ」

「――――」
「自分に惚れている女1人も守れないようなら、最強なんて、夢のまた夢だからな」

「――――」
「なぁ、〈矛盾する2人の最強の1人〉である、アリシア?」

「あらあら、うふふ。エルヴィスさんは、ずいぶんとロイ・グロー・リィ・テイル・フェイト・ヴィ・レイクを気に入っているようですわねぇ」

 ダークな茶色の長髪に、サファイアのような蒼に近い瞳。身長は驚くべきことにイヴよりも小さい。胸もおしりも薄いし、顔だって、あどけなさが残るような童顔だった。

 どこからどこを見ても、紛うことない幼女。
 この幼女のことを、あのキングダムセイバーのエルヴィスが最強と呼ぶ。

 つまり、自分よりも強い、と。

 そう――、そうなのだ――。
 この幼女、アリシアは、特務十二星座部隊に所属していて、星の序列第2位でコードネーム【金牛】を司るオーバーメイジなのである。

「あいつの目を見ればわかる」
「――――」

「あいつは、いずれオレに追い付き、そしてオレを追い越す少年だ」
「まぁまぁ! それはずいぶんと愉快ですわぁ」

 言うと、アリシアは幼女のくせに、色気たっぷりに、艶やかな花唇の端を緩める。

「でも、あの少年、まだエクスカリバーのスキルを封じられたままなのでしょう?」
「ああ、そのとおりだ。だが、恐らく今日、この日、ロイが勝てるか否かで、あいつがエクスカリバーの使い手として真に相応しいか否かが決まるだろう」
「うふふ、なら、私も少し、あの少年が勝つ方に賭けてみましょうか」

 2人はどちらも、エクスカリバーのスキルを使えないのにロイが勝てるのか? なんて、無益なことは言わない。疑問に思わない。

 スキルが使えない。それは厳然な事実で、もう現時点ではどうしようもないことだ。

 ゆえに、手持ちのカードだけでどのように勝つか?

 それだけが、2人にとって重要なのである。

 真の強者とは、必ずしも強い者ではない。たとえ力で劣っていても、知恵や機転などで、最終的には勝つ者を強者と呼ぶ。
 だからロイがエクスカリバーを十全に使えなかったとしても、知恵や機転を利かせて勝てたなら、ロイはこの場において強者に足りうる。

「おっ、始まるようだな」
「えぇ、そのようですわぁ」

 刹那、コロシアムの熱気、そして決闘者であるロイとジェレミアに送られる声援が最高潮になった。声とは、音とは空気の振動。よって、誇張ではなく本当に、声援でコロシアム全体が揺れたような気がした。

 理由は自明。
 2人が入場ゲートから姿を現したのである。

 ロイは白い騎士学部の制服を着て、
 ジェレミアは黒い魔術師学部の制服を着て、

 2人揃って、正反対の方向からステージに上がり、相まみえる。

「――自分の真価を示せるのは、常に自分自身だけだ」
「ええ、ええ、そのとおりですわねぇ」

「ロイ、お前には聞こえないだろうが、ここから、VIP席から、最強の一角の高みから、お前の真価、見定めさせてもらうぞ」


コメント

  • 空挺隊員あきち

    あれだね、ロクでなし魔術講師と禁忌教典のやつみたいだね、特務十二星座部隊ってやつ、あったよね、ロクアカにも

    0
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