喚んで、育てて、冒険しよう。
165
イベント当日。 イベント開始自体は午後三時からとなっているので、まだ時間がある。 ゴールデンウィーク初日のなんとも微妙な時間帯から開始されるが、イベントに参加しているプレイヤーはどうせ初日は何処にも出かける予定を作っていないだろうから気にもしないか。 まぁ、翌日のイベント開始時間は午前九時と早まっているが。あまり時間を置くと身体が鈍ってしまうからか?
「さて、と」
時間を確認し、あと一時間半も猶予があるので夕飯を先に作る事にしよう。 取り敢えず、出来立てでなくとも旨くいただける物でも作ろうか。 時間を置けば旨くなる物という事で、カレーを選択する。 玉ねぎ、人参、ジャガイモを洗って適当に切っていく。玉ねぎとジャガイモは皮は剥いたが、人参は面倒だったので綺麗に洗って皮ごと使う事にする。 切ったそ玉ねぎと人参をバターを引いた鍋に入れて炒める。ある程度火が通ったら小麦粉を入れて煎る。市販のルーをそのまま使用してもとろみはつくが、俺が作る場合は基本的に水が多い。 そうなると当然少しさらさら度合いが強いので、敢えて小麦粉を使ってとろみをつけるようにする。
小麦粉が狐色になったのを確認し、水を少しずつ投入しながら掻き混ぜる。 水を入れ終えたらジャガイモを入れて、ぐつぐつと煮えるまでの間に鶏肉を切っていく。 皮ごと一口サイズに切り、ぐつぐつとなり始めた鍋にぶち込む。鶏肉が煮えた頃を見計らって、市販のルーを投入する。辛さは中辛。 ルーを投入し、更に味に深みを増す為にウスターソースと味噌を少々入れる。そこからある程度煮詰めて、火を止め蓋をする。 蓋をした鍋をあらかじめ用意していた新聞紙に包み、更にその上からバスタオルを巻き付けて座布団の上に乗せる。 新聞紙に包む事で保温され、煮崩れせずに、それでいて鍋を焦げ付かせる事無く味を染み込ませる事が出来る。 所要時間は僅か三十分足らず。夕飯の準備は終了。
「よし、じゃあ次は遅めの昼飯でも食うか」
まだ昼食を食べていなかったので、俺は冷蔵庫の中にある昨日の夕飯の残りを取り出してそれを電子レンジで温める。因みにメニューは八宝菜だ。 温めた八宝菜と茶碗に盛った白米を食卓に持って行き、冷蔵庫から麦茶を取り出してコップに注ぐ。
「いただきます」
焦らず、よく噛んで食べる。 食べ終えた頃には時間まで残り三十分になったので、食器や調理器具を洗って部屋に戻る。 ベッドに腰掛けて軽く小休止を取りながら、DGを手に取り昨日届いたメッセージを再確認する。
前日に届いたメッセージは運営からであり、イベントにおける所属組の通知であった。 俺達春花岫燈は白組となった。また、メールで確認した所、ツバキ達のパーティーは紅組で、姉貴もまた紅組だった。プレイヤーの中で一、二を争うカンナギと、台所戦争でも、そしてPvPでも勝った事のない姉貴と言う強敵達が敵側に回ったと知った瞬間だった。
だが、その代わりに風騎士リースは白組だという事もメッセージでどの組になったか確認して来たので分かっている。リースはカンナギと同程度の実力を有しているので、競技内容によっては頼りになるだろう。
また、召喚戦隊サモレンジャーは青組。機甲鎧魔法騎士団とゴダイ達は黒組だそうだ。サモレンジャーは今回オフの姿で参加するのか、はたまたサモレンジャーとして参加するのか、謎である。 機甲鎧魔法騎士団はモミジちゃんを筆頭に腕の立つ者が所属するパーティーで、油断出来ない。 ゴダイ達は筋力にモノを言わせる競技なら強敵になるだろう。
こう組分けを知ると、いい具合に戦力が分散しているのが分かる。流石に開発運営も一所に強者を集めかねない完全なランダム抽選的な選出方法は選ばなかったようだ。
「っと」
机の上においていたタブフォが鳴動する誰かからメールが届いたようだ。 誰からのメールか確認しようと手にした瞬間、またもや鳴動する。 俺は今し方届いたメール二通を確認する。 一件は椿からで、もう一件は姉貴からだった。
『同じ組じゃなかったけど、お互いに頑張ろうぜ。 で、もし同じ競技に当たったら全力で相手をしてやる。 覚悟しておけよ? 』
椿からのメールはそのような文面が書かれていた。 何回か一緒に遊んだり、PvPをしたりする仲なので、手の内や相手の行動が互いにある程度分かるようになっているからな。棒倒しとか騎馬戦とかの直接対決の競技で相対したら厄介な相手になる。 だが、それは椿の側も同じ事だ。こちらとしても負けてやるつもりはないので、全力で相手をする。
『そうだな。 お互いに頑張ろう。 お前こそ覚悟しとけ。』
そうメールを返し、今度は姉貴の文面を確認する。
『そう簡単にやられるなよ』
短い文ながらも、ひしひしと姉貴の威圧が感じられるものだった。 違う組なら叩き伏せるとか言っていたしな。 姉貴相手に勝てるヴィジョンはないけど、自分が姉貴に勝つ事に固執する必要はない。 今回は四組による団体戦だ。俺が姉貴と対峙したら、俺が姉貴の相手をして同じ組の奴の邪魔をされないように時間を稼ぐ事くらいは出来る。 実に消極的だが、組に貢献出来るならばそうした方がいい。姉貴の性格から粗方どんな競技に出そうかは予測出来るからな。姉貴が出る競技に敢えて俺もいくつかに出る事にした方がいいだろう。 ただ、気持ちまで消極的にはならないようにするが。
『そっちがな』
挑発には挑発を返しておく。 あくまで時間を稼ぐとしても、姉貴に勝ってやるぐらいの意気込みを持たなければ姉貴の相手は出来ない。 少しでも気遅れすれば姉貴はそこを突いて一気に終わらせに掛かって来るからな。 そうならないように、気持ちだけは積極的に行こうと思う。
「そろそろSTOの世界に行くか」
時間も残り十分となったので、俺はベッドに横たわり、DGを被ってSTOを起動する。
「さて、と」
時間を確認し、あと一時間半も猶予があるので夕飯を先に作る事にしよう。 取り敢えず、出来立てでなくとも旨くいただける物でも作ろうか。 時間を置けば旨くなる物という事で、カレーを選択する。 玉ねぎ、人参、ジャガイモを洗って適当に切っていく。玉ねぎとジャガイモは皮は剥いたが、人参は面倒だったので綺麗に洗って皮ごと使う事にする。 切ったそ玉ねぎと人参をバターを引いた鍋に入れて炒める。ある程度火が通ったら小麦粉を入れて煎る。市販のルーをそのまま使用してもとろみはつくが、俺が作る場合は基本的に水が多い。 そうなると当然少しさらさら度合いが強いので、敢えて小麦粉を使ってとろみをつけるようにする。
小麦粉が狐色になったのを確認し、水を少しずつ投入しながら掻き混ぜる。 水を入れ終えたらジャガイモを入れて、ぐつぐつと煮えるまでの間に鶏肉を切っていく。 皮ごと一口サイズに切り、ぐつぐつとなり始めた鍋にぶち込む。鶏肉が煮えた頃を見計らって、市販のルーを投入する。辛さは中辛。 ルーを投入し、更に味に深みを増す為にウスターソースと味噌を少々入れる。そこからある程度煮詰めて、火を止め蓋をする。 蓋をした鍋をあらかじめ用意していた新聞紙に包み、更にその上からバスタオルを巻き付けて座布団の上に乗せる。 新聞紙に包む事で保温され、煮崩れせずに、それでいて鍋を焦げ付かせる事無く味を染み込ませる事が出来る。 所要時間は僅か三十分足らず。夕飯の準備は終了。
「よし、じゃあ次は遅めの昼飯でも食うか」
まだ昼食を食べていなかったので、俺は冷蔵庫の中にある昨日の夕飯の残りを取り出してそれを電子レンジで温める。因みにメニューは八宝菜だ。 温めた八宝菜と茶碗に盛った白米を食卓に持って行き、冷蔵庫から麦茶を取り出してコップに注ぐ。
「いただきます」
焦らず、よく噛んで食べる。 食べ終えた頃には時間まで残り三十分になったので、食器や調理器具を洗って部屋に戻る。 ベッドに腰掛けて軽く小休止を取りながら、DGを手に取り昨日届いたメッセージを再確認する。
前日に届いたメッセージは運営からであり、イベントにおける所属組の通知であった。 俺達春花岫燈は白組となった。また、メールで確認した所、ツバキ達のパーティーは紅組で、姉貴もまた紅組だった。プレイヤーの中で一、二を争うカンナギと、台所戦争でも、そしてPvPでも勝った事のない姉貴と言う強敵達が敵側に回ったと知った瞬間だった。
だが、その代わりに風騎士リースは白組だという事もメッセージでどの組になったか確認して来たので分かっている。リースはカンナギと同程度の実力を有しているので、競技内容によっては頼りになるだろう。
また、召喚戦隊サモレンジャーは青組。機甲鎧魔法騎士団とゴダイ達は黒組だそうだ。サモレンジャーは今回オフの姿で参加するのか、はたまたサモレンジャーとして参加するのか、謎である。 機甲鎧魔法騎士団はモミジちゃんを筆頭に腕の立つ者が所属するパーティーで、油断出来ない。 ゴダイ達は筋力にモノを言わせる競技なら強敵になるだろう。
こう組分けを知ると、いい具合に戦力が分散しているのが分かる。流石に開発運営も一所に強者を集めかねない完全なランダム抽選的な選出方法は選ばなかったようだ。
「っと」
机の上においていたタブフォが鳴動する誰かからメールが届いたようだ。 誰からのメールか確認しようと手にした瞬間、またもや鳴動する。 俺は今し方届いたメール二通を確認する。 一件は椿からで、もう一件は姉貴からだった。
『同じ組じゃなかったけど、お互いに頑張ろうぜ。 で、もし同じ競技に当たったら全力で相手をしてやる。 覚悟しておけよ? 』
椿からのメールはそのような文面が書かれていた。 何回か一緒に遊んだり、PvPをしたりする仲なので、手の内や相手の行動が互いにある程度分かるようになっているからな。棒倒しとか騎馬戦とかの直接対決の競技で相対したら厄介な相手になる。 だが、それは椿の側も同じ事だ。こちらとしても負けてやるつもりはないので、全力で相手をする。
『そうだな。 お互いに頑張ろう。 お前こそ覚悟しとけ。』
そうメールを返し、今度は姉貴の文面を確認する。
『そう簡単にやられるなよ』
短い文ながらも、ひしひしと姉貴の威圧が感じられるものだった。 違う組なら叩き伏せるとか言っていたしな。 姉貴相手に勝てるヴィジョンはないけど、自分が姉貴に勝つ事に固執する必要はない。 今回は四組による団体戦だ。俺が姉貴と対峙したら、俺が姉貴の相手をして同じ組の奴の邪魔をされないように時間を稼ぐ事くらいは出来る。 実に消極的だが、組に貢献出来るならばそうした方がいい。姉貴の性格から粗方どんな競技に出そうかは予測出来るからな。姉貴が出る競技に敢えて俺もいくつかに出る事にした方がいいだろう。 ただ、気持ちまで消極的にはならないようにするが。
『そっちがな』
挑発には挑発を返しておく。 あくまで時間を稼ぐとしても、姉貴に勝ってやるぐらいの意気込みを持たなければ姉貴の相手は出来ない。 少しでも気遅れすれば姉貴はそこを突いて一気に終わらせに掛かって来るからな。 そうならないように、気持ちだけは積極的に行こうと思う。
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