【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間
もう一つの物語.25
「ナナさん。ミルからの話は解りました。貴方たちの事は信用いたします。それで、何か有るのですよね?」
フェムがナナに切り出してきた。
「えぇまずは、最初に確認させて下さい。」「なんでしょうか?」「リン=フリークスとミトナルさん達と、貴方たちの関係は秘密なのでしょうか?」「そうですね。私達に秘密にする必要はありませんが、彼と彼女にとっては秘密にした方がいいかもしれません。」
「そうですか、私は、リン=フリークスの父親と母親と懇意にしていました。その為に、彼は従兄弟と思っています。」「そうなのですか?」
明らかに、女性陣が安堵の表情になる。「一つは、ミトナルさんの手紙で書かれていたかわかりませんが、リン君の父親と母親と弟が、とある貴族の子息に殺されました。」
ナナは一息入れてから話を続けた「ミトナルさんの両親もその貴族に殺されました。」
「証拠は有るのですか?」「いえ、証拠はありませんが証言があります。リン君の家族のときには、見ていた子が保護されています。」「そうですか、すみません。話を続けて下さい。」
ありがとう。と小さくつぶやいていから、ナナは話を続ける「その貴族を追い落とす協力をお願いしたいと考えています。」
フェムが一同を代表して話をする事にした「話は、分かりましたが、具体的に何ができるのでしょうか?その貴族を追い落とすのが私達に何の利益が有るのでしょうか?」「それは、わかりません。ミトナルさんは、貴女たちが力になってくれるはずと言っていました。」「・・・それで、その貴族は?」「アゾレム男爵家です。リン君のターゲットは、その息子のウォルシャタと取り巻きの合計10名のようです。これを御覧ください。」
ナナは、一枚の紙を出してきた。そこには、10名の男性の名前とステータスが書かれている。その横に、異世界の文字で”タチバナ”などと日本名が書かれている。
「なっ10名。揃っているの?」フェムがメモを見てそんな声を発している。
ナナはもう一枚のメモを取り出した「こちらは、私もアルドも見ておりません。ミトナルさんから、貴女達にだけ見せて欲しいと言われています。」
ナナからフェムはメモを受け取って、皆でミルことにした。そこには、先程のメモと同じ内容が、日本語でしっかりと書かれていた。注意書きで、『パシリカ後のステータスで多分レベルは上がっている。奴らは人を殺してレベルアップしている』と書かれていた。
「ナナさん。事情は解りました。どうやら、私達の敵と、ナナさんやミルとリン君が狙っている人間が同一グループらしいです。協力できる所は協力致します。」「ありがとうございます。早速ですが、私からの依頼は3つです。」
そこで、皆を見回して「一つ目は、アゾレムに敵対する貴族。具体的には、ミヤナック家やウォード家に繋げてほしいのです。ネタとしては、『アゾレム男爵が行っている不正の証拠がある』です。」「二つ目は、教会の有力者に繋げて欲しいです。相手に、ボルダボ家が居る事から、同じかそれ以上の格を持つ家。そうですね。コンラート家などと話ができれば嬉しいです。」「三つ目は、リン君に力を貸して欲しい。これは、私の独断です。彼とミルちゃんは、二人でアゾレムの息子のウォルシャタと取り巻き達を捕らえようとしています。彼のステータスを見れば、出来ないとは思わないのですが、相手が同等の場合には、数が力になってしまいます。その時に、彼の仲間が居れば、話が違ってくると思っています。」
「ナナさん。一つ目と二つ目を叶えた時に、貴女はどうするのですか?」「その疑問は最な事だと思います。私は、ニノサとサビニが残した、証拠を持って、アゾレム男爵家を潰しにかかります。」「・・・それは、ナナさん。貴女の命を狙われる行為である事は認識しているのですよね?」「もちろんです。私は、ニノサとサビニの為ならこの命位では返せない恩義があります。」今まで黙っていたアルドが口を開いた「ナナさんのいう事を補足すると、俺は、リン様に何もかも預けた。死ねと言われたら死んでもいいと思っている。俺の部下だけじゃなく、家族を含めて助けてくれた恩義に報いるには、俺にできる事は、それくらいしかない。」
重い空気が流れる。「ルナどうする?」「う~ん。ハー兄様に聞く位なら問題ない。ただ、私が何にも知らないでは、話しにならないと思う。」「フレットは?」「そうだね。ボルダボが相手なら、父様も重い腰を上げるだろうけど、ルナと同じ意見で。内容がわからないと話が出来ない。」「と、言うことですが、ナナさん。アルドさん。どうですか?」
「アルド。私は、話してもいいと思っている。」「そうだな。でも、この書類の内容はかなり”やばい”ぞ。内容を話して、この娘達が危険に晒されでもしたら・・・。俺は、リン様になんて謝っていいのか・・・。」
「アルドさん。それは大丈夫です。私達は、そんなに”ヤワ”じゃありません。」イリメリが力強く答える。ナナは、実際に目の前に座る少女たちが、年齢通りのステータスだとは思っていない。多分、ミルと同じだと思っていた。
「それは大丈夫だと思う。多分、ミルちゃんと同じだと思う。」「・・・そうか、それもそうだよな。」
ナナは、書類の中身を語りだした。横領から始まって、守備隊の人数を嵩増しして、その差分で出来た武器を北方連合国のパーティアック国に横流ししている事。不可侵協定を結んでいるエルフの森への侵攻およびエルフや獣人を奴隷にして、他国に売っている事。ボルダボ家と結託して、領民から教会にお布施を強要し、それを懐に入れている事。小さくは、産出している食物を過小に評価して税を免れて、村々には過大評価した分の税を徴集する。そして、ポルタ村への無慈悲な戦闘行為による。村人の大量虐殺。村にあった教会も壊されている。
これらの事がまとめられている。最後のポルタ村の事だけは、ドラウがまとめた物だ。
話を終えて、ナナは皆の顔を見てみる。「どうでしょうか?協力をお願い出来ないでしょうか?出来ないのなら、この話は一切忘れて下さい。」
イリメリが立ち上がって「ナナさん。一つだけ確認させて下さい。」「なんでしょう?」「この話が進んで、アゾレムが窮地に陥った時に、リン君は安全なのでしょうか?」「わかりません。」「え?」「安全だとは思いたいですが、この書類の出処を探っていけば、自ずと答えが出てくるでしょう。ですので、出来る限り、カモフラージュできる状況を作りたいのです。」「・・・そうですか、ルナ。フレット。フェム。私は、賛成だよ。」
「そうね。手詰まりな感じがしていたから、丁度いいかもね。」サリーカは、賛成の様だ。確かに、ここに集まっている女性陣で、異世界でどうやって名前を売ろうか考えていた。まずは、フェムの店を利用して、異世界の料理を再現してみているが、たしかに、ニグラでは有名にはなっているが、それだけだ。何かをしなければ、話しにならない事はここ数週間で痛いほど感じていた。
「うん。私は賛成ってよりも、率先して動きたい」タシアナは、自分の両親がもしかしたらと考えたら、火中の栗でも拾いに行きたい気持ちになっている。今が不幸かと聞かれるとそんな事はない。孤児院で弟や妹と過ごしている。園長もやさしい人で父親に会えたような感じなっている。でも、それとこれは別で、両親の仇を取りたいと思っていた。真偽の確認は必要だろうが、可能性の一つとして、アゾレム男爵の関係者に殺されたと考えていた。
「そうだね。最終的には、ハー兄様が判断する事だし、紹介する位なら大丈夫だと思う。」「私も同じだね。父様の判断にはなるけど、紹介して場を作る位ならできるかな。」
「ありがとうございます。」ナナとアルドは、頭を下げた。
三つ目の話しに関しては、保留となった。リンとミルが、望んでいるのなら手を貸す。こちらから敵対することはないという事だけは約束するとなった。
後日に、ルアリーナとフレットは約束を守った。別々でも良かったのだが、話は一度にしたほうがいいと言われて、全員が集まっての話になった。ナナとしては腹の探り合いもいいが、毎回それだと疲れてしまう。アルドは、そもそも腹の探り合いが出来ない。直球勝負の方が性に合っている。
ナナも、ここまで来たら直球勝負をした。書類を提示して、これでアゾレムを追い落としたい。できるか?できないか?
ミヤナック家の代表は、次期当主のハーコムレイがでてきていた。教会からも、コンラート家以外にも数家会合に参加している。ナナは、教会筋に、サビニの遠縁が居る事に気がついたが、それはスルーする事にした。
ハーコムレイが書類を一瞥してから、ナナに問いかけた「これを、ニノサが調べていたのか?」「そうなります。」「そうか・・・。おぃ。あの馬鹿を呼んできてくれ。奴に預けるのがいいだろう。」
従者の一人が部屋からでていった。戻ってきた時に、青年と少女を連れてきた。ナナは、彼をひと目見て誰だか解った。ミヤナック家は大物を連れてきた。それが率直な感想だ。
「ローザス。どうおもう?」「う~ん。僕としては、ニノサの事も気になるけど、そのリン君が気になるね。な。アデレード!」「はい。彼は、間違いなく、私の命の恩人です!」「だって、ハーレイ。僕としては、この件だけじゃなく、彼に大きな借りが有るのだよ。彼の望むようにしたいと思うけど、出来そう?」「あぁ最低でも、今の当主は交代で、男爵から准男爵にはできるだろう。普通に考えて、アゾレム領は没収だろうな。」「うんうん。それじゃ、ハーレイ。コンラート。仔細任せる。来月に開かれる、御前会議で投下しよう。」「あぁわかった。面倒だけど、しょうがないな。これですこしでも膿がでてくれればいいけどな。」
話がまとまった。来月に開かれる御前会議で、陛下の前でアゾレムの罪状を発表する事になる。その準備に動く事が決定した。
詳細な役割が決められて、ニノサの文章をハーコムレイに託したナナが立ち上がって退席しようとした時に「あぁ今は、ナナの方がいいのかな?」「何でしょうか?ローザス様。」「あ・・・まぁいい。ナナさん。一つお願いが有るけどいいかな?」「出来ない事もありますが、なんでしょうか?」「そういう所は変わらないね。あの馬鹿の影響なの?」「・・・・。」「まぁいい。頼みっていうのもそんなに難しい事じゃない。アデレードを、リン=フリークスの所に届けてほしいのだよ。」「え?」「あぁアデレードは、僕の妹だけど、次の御前会議で、継承権を放棄して、王族から席を抜くから、リン=フリークスが気に入ったら、正妻でも妾でも構わない。捨てるのなら、捨ててもいい。好きにしてくれと伝えて欲しい。」「ローザス殿下。言っている意味がわからないのですが・・・。」「そうか、そうだな!『今回の書類の礼として、アデレードをあげる』と伝えてくれればいい。いいよな。アデレード。」「はい。お兄様。」「え?それでいいの?」
ナナは軽いパニックになってしまっているが、兄妹の中では何かもう決まっているようだ。断る事など出来ないが、リン君になんて言おう。ミルちゃんに恨まれそう。そんな事を考えてしまっていた。ナナは。断る事も出来ない状態で、アデレードを預かる事にした。
会議室から出て「アデレード様。本当によろしいのですか?」「ナナ様。妾の事は、アデレードとお呼び下さい。」「いや、しかし・・・。」「いいのです。妾が自ら望んだことです。できるなら、リン=フリークス様のお役に立ちたいのですが・・・。それでなければ、生きている意味がありませんので、どこかで自害致します。」「解りました。解りました。取り敢えず、会えるかわかりませんが、リン君達がアデレード様を拒否しても、私は何も出来ませんけどいいですよね?」「えぇそれで構いません。」「はぁぁわかりました。(なんか、このまま行くと、あの娘達も着いてくるとかいいそうだな・・・。)」
ナナは、行きとは違う意味で、気持ちが重たかった。行きはうまくいくか解らない事で気がかりだった。行きは、なんとか時間をかければ、なんとかなると、思っていたので、ある程度は気持ち的には楽だったが、帰りは大きな荷物を持つことになった準備などは、アデレードが率先してやってくれるので、問題はなかった。そして、ナナのニグラでの懸案事項であった事が一つ片付いた。アデレードが住むための家がニグラの街中に用意されていたのだ。そして、そこの使用人はナナも見たことがある人間たちで構成されていた。ナナがその疑問をアデレードに伝えると、『リン=フリークスがどんな血筋で、その血筋の関係者を探して匿っていた』と事も無げに言ってきた。そして、『多分、本人以上に本人の血筋の事は知っている』と語った。
ナナが、ミヤナック家との会談を待っている間に全部準備が整っていたようだ。
全てを諦めて、ローザスが用意した、アデレードの家に入って、ナナはリンに連絡を取る事にした。ナナは、連絡する為に、ワクの分身体を影の中に入れていた。
「ワク。リン君に『ニグラでの用事は終わった』と連絡して」「はぁーい。行ってきます。」
「ナナ様。今のは?」「気にしなくていい。見なかった事にして」「解りました。」
それから、5分後にワクが戻ってきた。「あるじさまがこっちに来るって!」「はい。ありがとう。」
魔法陣が出現して、光りだした。ナナにはいつもの光景だから、気にもしていないが。アデレードは初めて見る現象にどうしていいのか戸惑っている。でも、顔は何かを期待している雰囲気があった。
光は一箇所に集まっていく、集まった所には、男女が立っている。ナナは、アデレードを見つめている。アデレードは、光の中に立つ男女を見つめている。今にも泣き出しそうな顔で・・・。
男が、手で光を払いのける動作をすると、光が霧散するようになった。一瞬の暗転で視力を失いつつも、アデレードは一言「リン様・・・。」か細くそういうのがやっとのようだ。そして、駆け出して、リンに抱きついた。
「やっとあえた・・・王子様!」
フェムがナナに切り出してきた。
「えぇまずは、最初に確認させて下さい。」「なんでしょうか?」「リン=フリークスとミトナルさん達と、貴方たちの関係は秘密なのでしょうか?」「そうですね。私達に秘密にする必要はありませんが、彼と彼女にとっては秘密にした方がいいかもしれません。」
「そうですか、私は、リン=フリークスの父親と母親と懇意にしていました。その為に、彼は従兄弟と思っています。」「そうなのですか?」
明らかに、女性陣が安堵の表情になる。「一つは、ミトナルさんの手紙で書かれていたかわかりませんが、リン君の父親と母親と弟が、とある貴族の子息に殺されました。」
ナナは一息入れてから話を続けた「ミトナルさんの両親もその貴族に殺されました。」
「証拠は有るのですか?」「いえ、証拠はありませんが証言があります。リン君の家族のときには、見ていた子が保護されています。」「そうですか、すみません。話を続けて下さい。」
ありがとう。と小さくつぶやいていから、ナナは話を続ける「その貴族を追い落とす協力をお願いしたいと考えています。」
フェムが一同を代表して話をする事にした「話は、分かりましたが、具体的に何ができるのでしょうか?その貴族を追い落とすのが私達に何の利益が有るのでしょうか?」「それは、わかりません。ミトナルさんは、貴女たちが力になってくれるはずと言っていました。」「・・・それで、その貴族は?」「アゾレム男爵家です。リン君のターゲットは、その息子のウォルシャタと取り巻きの合計10名のようです。これを御覧ください。」
ナナは、一枚の紙を出してきた。そこには、10名の男性の名前とステータスが書かれている。その横に、異世界の文字で”タチバナ”などと日本名が書かれている。
「なっ10名。揃っているの?」フェムがメモを見てそんな声を発している。
ナナはもう一枚のメモを取り出した「こちらは、私もアルドも見ておりません。ミトナルさんから、貴女達にだけ見せて欲しいと言われています。」
ナナからフェムはメモを受け取って、皆でミルことにした。そこには、先程のメモと同じ内容が、日本語でしっかりと書かれていた。注意書きで、『パシリカ後のステータスで多分レベルは上がっている。奴らは人を殺してレベルアップしている』と書かれていた。
「ナナさん。事情は解りました。どうやら、私達の敵と、ナナさんやミルとリン君が狙っている人間が同一グループらしいです。協力できる所は協力致します。」「ありがとうございます。早速ですが、私からの依頼は3つです。」
そこで、皆を見回して「一つ目は、アゾレムに敵対する貴族。具体的には、ミヤナック家やウォード家に繋げてほしいのです。ネタとしては、『アゾレム男爵が行っている不正の証拠がある』です。」「二つ目は、教会の有力者に繋げて欲しいです。相手に、ボルダボ家が居る事から、同じかそれ以上の格を持つ家。そうですね。コンラート家などと話ができれば嬉しいです。」「三つ目は、リン君に力を貸して欲しい。これは、私の独断です。彼とミルちゃんは、二人でアゾレムの息子のウォルシャタと取り巻き達を捕らえようとしています。彼のステータスを見れば、出来ないとは思わないのですが、相手が同等の場合には、数が力になってしまいます。その時に、彼の仲間が居れば、話が違ってくると思っています。」
「ナナさん。一つ目と二つ目を叶えた時に、貴女はどうするのですか?」「その疑問は最な事だと思います。私は、ニノサとサビニが残した、証拠を持って、アゾレム男爵家を潰しにかかります。」「・・・それは、ナナさん。貴女の命を狙われる行為である事は認識しているのですよね?」「もちろんです。私は、ニノサとサビニの為ならこの命位では返せない恩義があります。」今まで黙っていたアルドが口を開いた「ナナさんのいう事を補足すると、俺は、リン様に何もかも預けた。死ねと言われたら死んでもいいと思っている。俺の部下だけじゃなく、家族を含めて助けてくれた恩義に報いるには、俺にできる事は、それくらいしかない。」
重い空気が流れる。「ルナどうする?」「う~ん。ハー兄様に聞く位なら問題ない。ただ、私が何にも知らないでは、話しにならないと思う。」「フレットは?」「そうだね。ボルダボが相手なら、父様も重い腰を上げるだろうけど、ルナと同じ意見で。内容がわからないと話が出来ない。」「と、言うことですが、ナナさん。アルドさん。どうですか?」
「アルド。私は、話してもいいと思っている。」「そうだな。でも、この書類の内容はかなり”やばい”ぞ。内容を話して、この娘達が危険に晒されでもしたら・・・。俺は、リン様になんて謝っていいのか・・・。」
「アルドさん。それは大丈夫です。私達は、そんなに”ヤワ”じゃありません。」イリメリが力強く答える。ナナは、実際に目の前に座る少女たちが、年齢通りのステータスだとは思っていない。多分、ミルと同じだと思っていた。
「それは大丈夫だと思う。多分、ミルちゃんと同じだと思う。」「・・・そうか、それもそうだよな。」
ナナは、書類の中身を語りだした。横領から始まって、守備隊の人数を嵩増しして、その差分で出来た武器を北方連合国のパーティアック国に横流ししている事。不可侵協定を結んでいるエルフの森への侵攻およびエルフや獣人を奴隷にして、他国に売っている事。ボルダボ家と結託して、領民から教会にお布施を強要し、それを懐に入れている事。小さくは、産出している食物を過小に評価して税を免れて、村々には過大評価した分の税を徴集する。そして、ポルタ村への無慈悲な戦闘行為による。村人の大量虐殺。村にあった教会も壊されている。
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話を終えて、ナナは皆の顔を見てみる。「どうでしょうか?協力をお願い出来ないでしょうか?出来ないのなら、この話は一切忘れて下さい。」
イリメリが立ち上がって「ナナさん。一つだけ確認させて下さい。」「なんでしょう?」「この話が進んで、アゾレムが窮地に陥った時に、リン君は安全なのでしょうか?」「わかりません。」「え?」「安全だとは思いたいですが、この書類の出処を探っていけば、自ずと答えが出てくるでしょう。ですので、出来る限り、カモフラージュできる状況を作りたいのです。」「・・・そうですか、ルナ。フレット。フェム。私は、賛成だよ。」
「そうね。手詰まりな感じがしていたから、丁度いいかもね。」サリーカは、賛成の様だ。確かに、ここに集まっている女性陣で、異世界でどうやって名前を売ろうか考えていた。まずは、フェムの店を利用して、異世界の料理を再現してみているが、たしかに、ニグラでは有名にはなっているが、それだけだ。何かをしなければ、話しにならない事はここ数週間で痛いほど感じていた。
「うん。私は賛成ってよりも、率先して動きたい」タシアナは、自分の両親がもしかしたらと考えたら、火中の栗でも拾いに行きたい気持ちになっている。今が不幸かと聞かれるとそんな事はない。孤児院で弟や妹と過ごしている。園長もやさしい人で父親に会えたような感じなっている。でも、それとこれは別で、両親の仇を取りたいと思っていた。真偽の確認は必要だろうが、可能性の一つとして、アゾレム男爵の関係者に殺されたと考えていた。
「そうだね。最終的には、ハー兄様が判断する事だし、紹介する位なら大丈夫だと思う。」「私も同じだね。父様の判断にはなるけど、紹介して場を作る位ならできるかな。」
「ありがとうございます。」ナナとアルドは、頭を下げた。
三つ目の話しに関しては、保留となった。リンとミルが、望んでいるのなら手を貸す。こちらから敵対することはないという事だけは約束するとなった。
後日に、ルアリーナとフレットは約束を守った。別々でも良かったのだが、話は一度にしたほうがいいと言われて、全員が集まっての話になった。ナナとしては腹の探り合いもいいが、毎回それだと疲れてしまう。アルドは、そもそも腹の探り合いが出来ない。直球勝負の方が性に合っている。
ナナも、ここまで来たら直球勝負をした。書類を提示して、これでアゾレムを追い落としたい。できるか?できないか?
ミヤナック家の代表は、次期当主のハーコムレイがでてきていた。教会からも、コンラート家以外にも数家会合に参加している。ナナは、教会筋に、サビニの遠縁が居る事に気がついたが、それはスルーする事にした。
ハーコムレイが書類を一瞥してから、ナナに問いかけた「これを、ニノサが調べていたのか?」「そうなります。」「そうか・・・。おぃ。あの馬鹿を呼んできてくれ。奴に預けるのがいいだろう。」
従者の一人が部屋からでていった。戻ってきた時に、青年と少女を連れてきた。ナナは、彼をひと目見て誰だか解った。ミヤナック家は大物を連れてきた。それが率直な感想だ。
「ローザス。どうおもう?」「う~ん。僕としては、ニノサの事も気になるけど、そのリン君が気になるね。な。アデレード!」「はい。彼は、間違いなく、私の命の恩人です!」「だって、ハーレイ。僕としては、この件だけじゃなく、彼に大きな借りが有るのだよ。彼の望むようにしたいと思うけど、出来そう?」「あぁ最低でも、今の当主は交代で、男爵から准男爵にはできるだろう。普通に考えて、アゾレム領は没収だろうな。」「うんうん。それじゃ、ハーレイ。コンラート。仔細任せる。来月に開かれる、御前会議で投下しよう。」「あぁわかった。面倒だけど、しょうがないな。これですこしでも膿がでてくれればいいけどな。」
話がまとまった。来月に開かれる御前会議で、陛下の前でアゾレムの罪状を発表する事になる。その準備に動く事が決定した。
詳細な役割が決められて、ニノサの文章をハーコムレイに託したナナが立ち上がって退席しようとした時に「あぁ今は、ナナの方がいいのかな?」「何でしょうか?ローザス様。」「あ・・・まぁいい。ナナさん。一つお願いが有るけどいいかな?」「出来ない事もありますが、なんでしょうか?」「そういう所は変わらないね。あの馬鹿の影響なの?」「・・・・。」「まぁいい。頼みっていうのもそんなに難しい事じゃない。アデレードを、リン=フリークスの所に届けてほしいのだよ。」「え?」「あぁアデレードは、僕の妹だけど、次の御前会議で、継承権を放棄して、王族から席を抜くから、リン=フリークスが気に入ったら、正妻でも妾でも構わない。捨てるのなら、捨ててもいい。好きにしてくれと伝えて欲しい。」「ローザス殿下。言っている意味がわからないのですが・・・。」「そうか、そうだな!『今回の書類の礼として、アデレードをあげる』と伝えてくれればいい。いいよな。アデレード。」「はい。お兄様。」「え?それでいいの?」
ナナは軽いパニックになってしまっているが、兄妹の中では何かもう決まっているようだ。断る事など出来ないが、リン君になんて言おう。ミルちゃんに恨まれそう。そんな事を考えてしまっていた。ナナは。断る事も出来ない状態で、アデレードを預かる事にした。
会議室から出て「アデレード様。本当によろしいのですか?」「ナナ様。妾の事は、アデレードとお呼び下さい。」「いや、しかし・・・。」「いいのです。妾が自ら望んだことです。できるなら、リン=フリークス様のお役に立ちたいのですが・・・。それでなければ、生きている意味がありませんので、どこかで自害致します。」「解りました。解りました。取り敢えず、会えるかわかりませんが、リン君達がアデレード様を拒否しても、私は何も出来ませんけどいいですよね?」「えぇそれで構いません。」「はぁぁわかりました。(なんか、このまま行くと、あの娘達も着いてくるとかいいそうだな・・・。)」
ナナは、行きとは違う意味で、気持ちが重たかった。行きはうまくいくか解らない事で気がかりだった。行きは、なんとか時間をかければ、なんとかなると、思っていたので、ある程度は気持ち的には楽だったが、帰りは大きな荷物を持つことになった準備などは、アデレードが率先してやってくれるので、問題はなかった。そして、ナナのニグラでの懸案事項であった事が一つ片付いた。アデレードが住むための家がニグラの街中に用意されていたのだ。そして、そこの使用人はナナも見たことがある人間たちで構成されていた。ナナがその疑問をアデレードに伝えると、『リン=フリークスがどんな血筋で、その血筋の関係者を探して匿っていた』と事も無げに言ってきた。そして、『多分、本人以上に本人の血筋の事は知っている』と語った。
ナナが、ミヤナック家との会談を待っている間に全部準備が整っていたようだ。
全てを諦めて、ローザスが用意した、アデレードの家に入って、ナナはリンに連絡を取る事にした。ナナは、連絡する為に、ワクの分身体を影の中に入れていた。
「ワク。リン君に『ニグラでの用事は終わった』と連絡して」「はぁーい。行ってきます。」
「ナナ様。今のは?」「気にしなくていい。見なかった事にして」「解りました。」
それから、5分後にワクが戻ってきた。「あるじさまがこっちに来るって!」「はい。ありがとう。」
魔法陣が出現して、光りだした。ナナにはいつもの光景だから、気にもしていないが。アデレードは初めて見る現象にどうしていいのか戸惑っている。でも、顔は何かを期待している雰囲気があった。
光は一箇所に集まっていく、集まった所には、男女が立っている。ナナは、アデレードを見つめている。アデレードは、光の中に立つ男女を見つめている。今にも泣き出しそうな顔で・・・。
男が、手で光を払いのける動作をすると、光が霧散するようになった。一瞬の暗転で視力を失いつつも、アデレードは一言「リン様・・・。」か細くそういうのがやっとのようだ。そして、駆け出して、リンに抱きついた。
「やっとあえた・・・王子様!」
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1万
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2.3万
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9,711
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