【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

幕間 暫定政権

新天地に着いて、生活が一変した。ここでは、俺たちが欲した物が用意される。”勇者”の称号を各々授かることになった。
それも、全て、パーティアック神からの神託があったからだ。その中で、三塚マニュエル森中フィリッチ川島マルビンが外された。今この地に訪れているものにしか”勇者"の称号が与えられないということだ。
俺たちは、立花を主席に置いた体制を作ることにした。別に祖国という気は全く無いので、トリーア王家がどうなろうと関係がないと思っている。俺だけではなく、7人の総意だ。でも、パーティアック教の司祭達はそうは考えない。政治的な問題もあるだろうが、俺たちを使って、トリーア王家に揺さぶりをかけたいようだ。
そこで、パーティアック教の司祭から提案されたのが、パーティアック国の中に、トリーア正統国を作るという話だ。別に、俺たちは”正統”などに拘らないが、立花が国王になるのにはいいことだと思っている。ただ、正統性を宣言するよりも、新しい国家であることを宣言するほうが好ましいと、西沢が交渉を重ねて、「アゾレム暫定政府」が誕生することになる。領地は、パーティアック国の王都の中に作る事になった。屋敷を一つ改修して暫定政府の居城となった
「西沢。なんで、領地をくれるって言ったのに断ったんだ?」「あ”?考えてみろよ、領地だけ貰っても、領民がいなきゃ自分たちで動かなきゃならないんだぞ?」「そういやそうだな。」「それにな。立花には言ってあるけど、この国全体を貰おうかと思っているんだよ。」「へぇそんな事が出来るのか?」「あぁ今山崎と冴木に調べさせている。」「何を?」「そうだな。おまえにも協力してもうかな。」「あぁいいぞ。」
西沢が調べているのは、パーティアック教と国が一枚岩なのか?そして、守備隊と僧兵の関係とかだ。今分かっているのは、対外的には、パーティアック教=国だが、内情は違うようだ。王族は確かに存在している。王族は、パーティアック教の司祭から証人を与えられる事で、教皇となれるのだ。従って、王族は教会関係者に頭を押さえつけられている形になる。この力関係は、守備隊と僧兵の関係に如実に現れている。権限や指揮系統は、二つに分けられているが、基本的に僧兵が守備隊に命令を出す。魔物退治などの場合、弱い魔物の場合には、僧兵が先に出る事はあるが、基本的には、守備隊に戦わせて、剥ぎ取った素材を僧兵が掠め取る。そんな上下関係になっている。街の中でも、パーティアック教の関係者が横柄に振る舞っている所を見るのは珍しくはない。リン=フリークスからの呼びかけに、パーティアック国が拒否をしたのも、パーティアック教が自分の教えが正しいという概念から拒絶反応を示したのだという。
「現状は解った、それで俺は何を調べればいいんだ?」「加藤には、王族の事を調べて欲しい。」「いいけど、俺、王族なんかに知り合いはいないぞ?」「あぁ大丈夫だ。今日の夜に、俺と立花が、ここの王族主催のパーティが開かれる。そこに、呼ばれているから、おまえが護衛としてついてきて欲しい。確か、おまえ魔法は4属性使えるんだよな?」「白魔法も使えるようになっているぞ」「それは丁度いい。それじゃ護衛役を頼むな」「了解。おまえと立花なら護衛なんて必要ないだろうけどな。」「そうだけど、体裁って物があるんだよ。」「そうか、わかった、それで、護衛役としては、魔法師で行くのか?剣士で行くのか?」「そうだな。剣士の格好の方がいいか、剣士だけど魔法が得意って事にしておいたほうがいいからな。」「準備しておくな。」「あぁ行く時に呼びにいく。」「りょうかい。」
それから、屋敷の中に有った装備を漁っていい感じになる物をさがした。従者として来ている人間に、教会に問い合わせをさせて、護衛として王城に行く事になるが、装備品の準備をお願いしたいと伝達させた。すぐに返事が来て、何軒かの店を紹介されて、そこで揃えてくれれば、支払いは教会が行うということだ。そう示された書簡も用意されていた。実用性よりもデザイン重視で考えればいいかどうせ、俺や立花に敵う奴なんて存在しないだろうからな。
◆◇◆◇◆◇◆◇
王族主催のパーティに参加してきた。西沢が、俺の事を教皇直轄の守備隊の隊長に紹介して、模擬戦を行うことになった。余興レベルの物だったが、ステータスのち外から楽勝だ。それから、王族や周りの貴族からチヤホヤされながら楽しい時間を過ごした。
翌日になってもそれは止まらない。何人かの有力な貴族の屋敷に招かれて食事会の予定が埋まっていく。西沢に話をしたら、何人かの貴族の屋敷に行く時には、西沢も一緒に行くということになった。
西沢は、貴族たちが教会に不満を持っていると確信している、それに楔を打ち込んで、亀裂を深くするのが目的のようだ。
この国の教皇は、たしかに教会から信認される必要がある。しかし、この国の教皇も貴族も無能な好色ばかりだ。妾を何人も持ち、子供の数が二桁というのも珍しくない。そのおかげで、立花の所には妻候補として女が毎日の様に送られてくる。俺たちも位がすこし下の貴族から娘をといわれることが多い。西沢から、女で容易くなびくと思われるのは安く見られるといわれて、嫁や妾は基本的に全部断る方針が伝えられた。女がほしければ、侍女にして夜の相手をさせろということだ。
王族や貴族との食事会にも飽きてきた。最近、街をふらついていると、俺等の事を監視している視線があることに気がついた。西沢にいうと、教会関係者が俺たちを監視していると云うことだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
西沢が、俺たちに集まってくれと言ってきた。まず冒頭で、立花が正式に勇者に認定されたことが報告された。パーティアック神からの神託が降りていたので問題はなかったが、信徒ではない物に神託が降りたのが、一部の教会関係者から疑問視する声があがっていたのだという。それで、西沢は立花をパーティアック教への帰依させた。その上でステータスを開示して、これが勇者でなくて何なんだという事や、トリーア王家の初代と同じジョブを持つ、立花こそ勇者に相応しいと認めさせた。トリーア王家では、今ウォーリアのジョブ持ちは存在しない。その為に、立花をトリーア王家の正統な後継者であると宣言させる事ができたのだという。
そして、細田と冴木が噂話しとして、先々代のトリーア王家の落胤が実は、立花の祖父だと噂としてばらまいていた。これに寄って、立花はトリーア王家を継ぐ資格があると認識させる事が出来た。王族は王族で、教会を追い落とすために立花を旗頭にする事を決めたようだ。西沢の所に打診があり、立花は勇者に認定されると同時に、王国から総大将に任命される事が決まった。実権は何もないらしいがそれでも、貴族の上に立って守備隊の隊長の上の役職らしい。それに合わせて、俺たちも守備隊の部隊を任される事になった。冴木なんかは、部隊が居ても邪魔だと公言している。
1ヶ月位の間従順に過ごしていた事がやっと目を出したと西沢は言っている。
その西沢から、王族や教会からの依頼として、魔物討伐や地方反乱の鎮圧を頼まれたらしい。それを、俺等で捌く事になる。
貴族達は、今新しい力を手に入れた事で高揚している。教会のちからを削ぐいいチャンスだ程度に思っているようだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
立花が勇者になってから、一ヶ月が経過した。俺たちも順次勇者認定されていく。魔物討伐の実績を示す事で教会が折れた格好になっている。その為に、教会にしっかり礼を伝える必要があり。立花を除く、6名で教会の司祭に面会を求めて、礼を伝えた。一番若い司祭が西沢と何かを話しているが、俺たちは、大司祭のありがたいお言葉を聴きながら、魔物の素材や魔核を教会に寄付した。そして、パーティアック教ではない、若い女を何人か連れてきて、改宗希望者という名目で司祭達に献上した。
数日後に、大司祭から、教会関係者だけで行われる祭事があって、それに俺たちを招待したいと連絡が入った。退屈な事は間違いないので、断ると思っていたが、西沢は、立花以外の全員で行くと返事を出した。そして、俺たちに、いつでも戦闘に突入できる状態で祭事に参加しろと言ってきた。
我らが知恵袋様は何か考えているようだ。それから、祭事の日まで、西沢から書簡を貴族や商人に持っていって欲しいといわれて使い走りをしていた。
祭事の当日にその意味が解った。
教会関係者が一同に集まる場所を、守備隊の装備を身にまとった者たちが急襲したのだ。手引したのは、俺たちではなく、西沢と話し込んでいた若い司祭だ。
大司祭や司祭が殺された事を確認してから、西沢は「大逆罪を犯した奴らを逃がすな!」
なんてことはない。貴族や王族をたらしこんで、教会関係者を殺させた。その上で、若い司祭が助かった唯一の司祭として、教会の実権を握る。教会関係者を、このクーデタに参加した守備隊に寄って惨殺されていく。その罪を、王族や貴族の爺共に取らせる。改めて、大司祭になった奴に、立花こそが教皇に相応しいと宣言させる。反対派になりそうな貴族や商人や教会関係者はクーデタで一掃しているので、問題なく通る。
立花は、教皇にはなったが、王国のトップにはならない。王族は生き残った6歳の子供をトップにして、西沢が宰相になって裏から操る事になった。
こうして、俺たちはパーティアック国を乗っ取る事に成功した。領民からは、横暴な教会関係者を一掃した事や、異教徒の教会を襲っても罪にならない事や異教徒なら奪って殺しても一切の罪には問わないと布告を出した事で、前の王族や教皇とは違うと思わせる事に成功した。
俺は、魔導部隊を率いる事になった。身分としては、王家に使えるい人間という事になる。
実際に、今までのパーティアック国の文官はそのままになっている。全員がクーデタを受けて従順な態度を示したので、そのまま職務を続けるように伝えた。守備隊は、軍に格上げして、役職を付ける事になった。このあたりは、細田が喜々としてやっている。
そして、クーデタから1週間が過ぎた時に、西沢に協力的だった。司祭が、自分の屋敷で女と寝ている状態で殺されているのが発見された。捜査を行った結果、司祭暗殺に関わったとして、残されていた教会関係者や立花や西沢に非友好的な貴族・商人、数百人が処刑された。これで、教会を立花が独裁的に王家を西沢の独裁する体制が確立した。
協力的な文官達を重用して、軍備を進めさせる事になった。トリーア王家を滅ぼすには兵数も足りない。まずは、国をしっかり作る事になった。そして、北方連合国ノーザン・コンドミニアムの国々を併呑していく事にした。兵数は少ないが、俺達が居れば、数千程度ならなんとかなるだろう。
北方連合国ノーザン・コンドミニアムには、20程度の国が参加している。それらの国を落としていく。
パーティアック国は、教会や王族や貴族は腐っていたが、人材は豊富のようだ。情報収集を行う部隊も持っていた。実際には、王族が大した指示もないまま眠っていたらしいが、細田がそいつらの再編して、周辺国の情報や、”転移者”達の情報を集めさせている。
まだまだ情報は少ないらしいが、今は、情報部隊が集めていた情報を精査する事を進めていると言っていた。
俺は、部隊を率いて魔物刈りを行っている。地方の村や街はまだ魔物に怯える日々になっているらしいし、魔物を狩れば感謝される上に、その村や街に女が居れば抱くことも出来る。魔物を倒した後で素材を売れば収入にもなる。暫くは、魔物刈りをして、部隊の練度をあげていく事になった。
山崎は、パーティアックに居た鍛冶屋達を使って武器を作る事にしたようだ。
それぞれが、役割を持って動き出した。これで、この世界を統一すれば、俺たちの勝ちは間違いないだろう。ウスノロ達がもしどこかで生きていても、国を持てつはずもなく、俺たちみたいに名前が知れ渡る事はないだろうからな。

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