【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

アドゥナ包囲戦

ヴァズレ街を占拠した事によって、立花ウォルシャタ達は、パーティアックに逃げた事に寄って暫くはこちらにも手出し出来ないだろう。暫くは、我が世の春を味わうのだろうか?
森中フィリッチ川島マルビンにも、同じように楽しい楽しい時間を提供する事にしよう。三塚マニュエルの牢獄の近くに入れる事にした。三塚マニュエルはすでに心が壊れる一歩手前まで来ている。今は、優しくする時だとおもい。腹いっぱい、美味いものを食わせている。それでも牢獄の鍵が開く度に小さく悲鳴を上げて逃げる様は滑稽以外の何者でもない。
新たに作られた、監獄は全部で9つ作ってある。3方向の壁に3づつの監獄を作成して、真ん中に尋問室の様な物を作ってある。尋問室は周りからは見えるが、中からは外が確認出来ないようになっている。所謂マジックミラーだ。
三塚マニュエル森中フィリッチ川島マルビンを、別々の壁際に入れる事にする。お互いに丸見えな状態で生活してもらう事にする。お互いに声が聴こえないように、遮音の魔法は監獄全体にかけてある。
そろそろ、僕達の正体が解ってもいいと思うけど、未だにわからないようだ。今日も尋問を行う。まずは、三塚マニュエルだ。
三塚マニュエルには、自分の罪が何なのかを一つ一つ語らせている。躊躇したら、腕か足か指か耳が飛ぶ事になる。飛んだ身体は、食材になって出て来るという仕組みだ。実際には、獣や魔物の肉をそれらしく見せているだけの物だが、これが結構堪えるようで、今では自分の罪を簡単に喋りだす。まだ異世界の罪だけだが、そのうち地球にいた時の罪も話し出すだろう。
次に、森中フィリッチの番だ。フレットを虐めていた張本人でもあるが、異世界では教会関係者でもある。ローザスに問い合わせをして、教会関係者の中での話を聞いてからにした。その為に、尋問は穏やかに行われた。三塚マニュエルの血が黒く固まっている部屋に座らせて、フェムやサリーカ達が再現に成功している地球の料理を振る舞う事にした。三塚マニュエルが、自分との待遇の違いを何やら叫んでいるが、そんな事を気にしてはいない。穏やかに話をすすめる事になった。森中フィリッチには、パーティアック教の事を聞く事にしている。そして、食事が終わる頃には、何もしないまま牢獄に戻すようにしている。
最後は、川島マルビンだ。川島マルビンがもっとも苛烈な尋問を受ける事になる。さっきまで、優雅とは言えないが食事を取っていた場所に連れて来られて、自分も同じようになると考えていたようだったが、川島マルビンに待っていたのは、手足を切り落とされ、男子の象徴を切り落とされて、目の前で連れてきたワーウルフに食わされる。男子の象徴以外は、何度も何度も繰り返し行う。だるま状態になった時に、目の前に食事を置いて、全部食べきるまで続けると宣言する。遮音の魔法を解いて、監獄中に悲鳴が響き渡るようにした。それを、昼夜問わず行う。別に必要ないが、仲間と思われる人間の人数と全員のスキル及びステータスを言い終わるまで攻めを続ける。気を失う事もあったが、強制的に起こして尋問を続ける。最初は、人権だなんだと騒いでいるが、三塚マニュエルが告白した、奴隷への残虐行為。領民への残虐な行為。それらで死罪にしても良いのだと告げると黙る。
「お前たち、いいのか?立花ウォルシャタがお前達をきっと殺す・・・。」「あぁそれを期待しよう。だけど、お前たちもよく考えろよ。ここに、監獄が”ここのつ”しかない意味をな。お前たち10人に対して、一つ足りないよな?」
今日は、ここまでにしておく、監獄があるブロックから出た「ねぇリン。9つの意味って?」「ん?なんにもないよ。なんとなく、いろいろ考えるだろうって思ってね。あいつらの事だから、誰かが裏切っているって考えるだろうからね。」「あぁでも、奴らは逃さないんだよね?」「う~ん。まだ迷っている。」「そうなの?」
ミルがすこしだけびっくりした顔になる。僕としては、最終対決の前に逃がしてもいいと思っている。それも、誰かと取引があって逃したと思われる方がいい。そうしたら、疑心暗鬼になってくれるのは間違いないだろう。そうならなくても、正直あのステータスでは対して怖くはない。慢心してはダメだとは思うけど、決戦前に奴らを解放する事で、不協和音が奏でられるのなら儲けものだからな。どうせ、後悔も反省もしないだろうから、きっちり殺してあげたほうがいい。
「うん。まぁ立花ウォルシャタ達はこれで暫くはおとなしくなるだろうから、その間に、アドゥナ領を攻略しちゃおう。」「そうだね。」
殺伐とした雰囲気の中とは思えない感じで、ミルが腕を絡めてきて、二人で歩いている。ニグラのギルド支部に戻ると、イリメリが駆け寄ってきた。
「リン。鉱山の中に、奴らを押し込んできたよ。最低限の生活の保証だけでいいんだよね?」「あぁそれで十分だよ。」
ニグラ支部の執務室に戻ると、レマーとヨフムが待っていた。二人から、連絡があるのだという。
「リン様。アドゥナを包囲する為にすすめていた街道封鎖ですが、封鎖は完了いたしております。」「そうだったね。それで何かあったの?」「はい。アドゥナ街から、10万近い守備隊が動き出しています。」「え?あいつらそんなに物資はないだろう?」「はい。内部に入り込んでいた眷属の情報から、物資を集める為に、動き出したと思われます」「そうか・・・・それで10万はまとまって行動しているのか?」
「・・・いえ、バラバラです。」「そりゃぁ困ったな。それじゃ、一網打尽には出来ないな。」「はい。すでに、いくつかの小隊は、眷属たちと戦闘に入って、全員を捕縛 又は戦闘不能にいたしました。」「そうか、こちらの被害は?」「ありません。」「それならいい。捕えた物は、そのままイスラ街送りにしてくれ。」「かしこまりました。」
「それから、まだ確認は取れていませんが、アドゥナの街から出ている守備隊の中にホレイズ伯爵が指揮している一団があるという事です。」「わかった、引き続き調べておいてくれ。」「はっ」
レマーとヨフムは、部屋から出て、前線に伝令に走った。
「どういう事なの?」「あぁ食料がなくなってきて焦っているんだと思うよ。」「そうか、封鎖し始めて3ヶ月位だって?」「そのくらいだね。それに、元々5~6万位しか養えない所に、30万近い数が入ればそりゃぁパンクするよ。それに、貴族も集まっているから余計にそうだろうな。」「あぁそうか・・・。」
どうしよう。一気に、アドゥナ街を攻めることもできそうだけど・・・。
「イリメリ。またひと仕事お願いしたいけどいいかな?」「なに?いいよ。」
イリメリには、眷属を率いて、アドゥナ街から出て居る守備隊の掃討をお願いした。一人では難しいだろうから、タシアナとサリーカとフェムにも協力してもらって、それぞれ1万の眷属を連れて、掃討をお願いする事にした。一般兵はそのままイスラ街に送って、最下層から始めてもらう。准男爵以上と家族は全員捕縛して、マガラ神殿の監獄に入れる事にした。死なないだけの食事を与えておく事にする。
そのお願いをした後で、イリメリとタシアナとサリーカとフェムから一つの提案があった。曰く「ホレイズ伯爵を捕えた者には、リンから褒美を出して欲しい」という事だった。別にそれはいいよというと、その褒美は、僕との一日デートだった。そんな事でいいのなら・・・というと、ミルが参戦を希望した。でも、ミルは僕と一緒に街道の片方に陣取り情報の集約を行う事になる。反対側は、エミール達が陣取る事が決定した。
◆◇◆◇◆◇◆◇
二日後に、エベンスから苦情とも取れる内容の連絡が来た
「急に数万人単位で送られても、収容場所が追いつかない」ということだ。イリメリ達が、ホレイズ伯爵が指揮して、そこから離れた人間たちを捕縛しては、イスラ街に送っているのだということだ。すでに、1万人程度送られてきて、パンク状態になっている。
急遽、監獄を作っては居るが、間に合いそうにないので、面談して問題がなさそうな人間は、そのまま他の街に移送していいかと相談されたので、許可をだした。
相手も残り8万程度になった所で各個撃破されていることがわかったのか、戦力の集中を行って、アドゥナ街とは違う街に入るようだ。それほど大きな街ではないので、8万の守備隊を食べさせるだけの食料はなく。不満を持った主事隊の人間や領民が逃げ出し始めている。ホレイズ伯爵は、見せしめに逃げ出そうとした守備隊と領民を殺して張り付けた、これがきっかけになって、逃げ出したり、近くで陣を張っているイリメリ達の隊に救援を求めてくる者が増え始めた。数日の内に、脱落者は5割近くになっている。領民に至ってはほぼ全員が逃げ出している状態になっている。ホレイズは占拠した代官の館で惰眠を貪っていた。数日前に、領内で見つけた女性を同衾させての所業だ。
イリメリ達は、ホレイズ伯爵がとどまっている街をどう攻めるかを相談していた。勝つのは難しくないが、領民に犠牲が出るのが問題だと考えていた。そこに、斥候に出ていた眷属から報告が入った。
『ホレイズ伯爵が殺された』
それだけで情報は十分だ。イリメリ達は街の門から入って、一直線に館に向かって包囲した。蟻一匹抜け出すことが出来ない状況にしてから、屋敷を訪問した。そこはもう誰も居ない状況だった。
唯一いたのは、ナイフを持ち。座り込んでいる女性と裸で首を切られてすでに死んでいるホレイズ伯爵だけだった。顛末は、裏切り者として張り付けにされた恋人の仇討ちを行ったということだ。女性は自ら志願して、ホレイズ伯爵と同衾して夜中にナイフで首を切って殺したのだ。その場で自分も自殺しようとした所を、駆け込んできたクーデターを企てていた一部の守備隊に諭されて、命を投げ出すことは思いとどまった。そこに、イリメリ達が殺到してきて、守備隊は逃げ出したが、女性はここで捕縛されて死刑にされてもよいと思ったんだということだった。
すぐさま、イリメリ達は、眷属に命令を出して街中に居る守備隊で抵抗の意思がない者は出てきて欲しいと呼びかけた。しかし、数十人規模から数百人単位での抵抗にあった。尽く打ち破った。無抵抗を決めた3万の守備隊はそのままマノーラ神殿に移動させられて、捕縛した人間や子爵や男爵は捕縛後にマガラ神殿に送られた。
こうして、貴族連合は、残された守備隊の1/3と3伯爵のうちの一人を失うことになった。
顛末を聞いたリンは、すぐさまイリメリ達にホレイズ伯爵の遺体を箱につめて、アドゥナ伯爵の元に送り届けさせた。そして、アドゥナ街に連なる街道の両脇を固めて、包囲していることが解るような陣をひいた。

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