【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

ホレイズ領解放

アドゥナに集った貴族共は全員処罰する事が決まった。これは、僕が決めた事ではなく、ローザスとハーレイと話し合って、陛下と宰相に話をして了承した。問題は、勝敗ではなく、勝った後の事になってしまっている。
貴族の数が極端に少なくなってしまう。6割が居なくなってしまう計算になってしまうらしい。領地の安定化統治が難しくなってしまうと陛下と宰相が話をしている。
「ねぇアデレード。貴族が少なくなると、安定統治が難しいのはなんで?」「あぁリンはそうじゃったな。貴族が領地支配をしているのは・・・。」
アデレードが教えてくれたのは、トリーア王家が支配している地域は大きくなってしまっている。その為に、王家からの指示が末端まで行き渡らなくなるので、段階的に指示が出来るような体制になっているのが大きな理由だ。他にも、徴税の事や物資の融通の件などが理由としてあるらしい。
「ねぇアデレード。それって、全部神殿が解決しない?」「どういう事じゃ?」
僕の提案は至ってシンプルだ。ミヤナック領やウォード領でやっている事をギルド主体ではなく、王国主体でやってもらう。実質的には、僕が動く事にはんるだろうけど、王国からの指示で僕達が動くという事だ。領内に、転移門トランスポートを作る事で、移動による伝達時間の差をほぼゼロに出来る。物資に関しても、転移門トランスポートを使う事で運び込みが容易に出来るようになる。徴税だけは問題は残るが、入植地や元貴族領には、責任者や代官を置かなければならないのでそれは変わらない。ただ、代官を同じ家が締めるのは問題になるだろうから、中央からの派遣とするようにすれば、今までのような問題は起きにくくなるだろう。
神殿の内部が複雑になりすぎるのなら、今までの街単位で階層を作ってもいい。マガラ神殿の地下一階と地下二階は、今ほぼ使われていない。以前は、駆け出しの冒険者が素材の採取などを行っていたが、今ゴッドケープ島で行うように案内している。その為に、地下一階と地下二階を、街へつながる転移門トランスポートの場所として解放してもいい。段階的に、転移門トランスポートが設置している場所に、地下一階と地下二階に移動するだけの場所を設置して、そこから各街に移動する様にすればいい。
「確かに、リンが言っているとおりじゃが・・。」「何か心配事?」「あぁマガラ神殿内部に貴族やそれに関係するものたちが行き来することになるがいいのか?」「いいんじゃない。転移門トランスポートを使うのは平等だって事を徹底すればいいだろうし、貴族連合を打ち破る事になる僕達に、それでも貴族だから融通しろとか言ってこないでしょ?」「あっ確かにそうじゃない。」「でしょ?」「あぁ父上と兄上に提案してみる。」「うん。それで良かったら、まずはホレイズ領を解放しよう。いい加減、眷属を戻してあげたいし、統治を委ねたいからね。」「わかった。」
その話があった翌日に、王城に呼び出された。僕とミルとイリメリとタシアナで行く事にした。顔パスに近いかたちで、会議室に通された。
「侯爵。ご無沙汰しております。」「宰相。いや、ウルコス殿。今日は、あぁ統治の方法に関してですね。」「えぇ陛下とローザス様は後ほど来られます。それまでに、問題になりそうな事をお聞きしようと思っております。」「あっはい。大丈夫です。なんでしょうか?」
宰相からの質問は、主に、転移門トランスポート設置に関する条件の様な物だ。設置出来る数は制限があるのか?設置できる場所には制限はあるのか?ギルドカード以外では通過できないのか?
「実はですね。今まで、ギルドが流してきた情報は操作しておりまして、転移門トランスポートは、設置の制限はありません。マガラ神殿内ならどこにでも設置出来まして、数は今の所制限の様な物はありません。相手側の設置の条件としては、あまり遠く離れているのは無理なようです。トリーア王家内と考えてもらえれば大丈夫です。設置場所は、僕かマヤなりが一度訪れた場所という制限が付きます。そして、最後の質問が一番お聞きした事だとは思うのですが・・・。」「はい。流石に、トリーア王国全員にギルドに登録せよとはいえないもので・・・。」「そうでしょうね。それで、カードなのですが、実は、必要ないのです。」「え”?」「転移門トランスポートは、誰でも通れるのです。ただ、セキュリティの観点や誰でも通れるとなると、関係ない場所にいきなり行けてしまう事から、カードを作成して制限していたのです。」「そうだったのですね。」「はい。今、ウルコス殿がいらっしゃる海岸街の別荘地帯に誰でも入れるとなったら護衛の人数や警備体制を見直す事になってしまうと思います。」「たしかに・・・。」「ですので、出来ますが、やらないほうがいいと感じています。」
「そうですね。」「それに、全員が登録する必要はないでしょうし、前に、パシリカを受ける子供達用に作成したカードでもいいわけです。」「それはどういった物なのでしょうか?」「一日だけ使えるカードや特定の転移門トランスポートだけ自由に使えるようにしているカードなどです。」「ほぉーー」「それに、街から出るときにだけ使うのなら、例えば、街に数枚カードを配布しても良いでしょう。それか、ギルドカードの様な高機能ではなく、簡易版の例えば、ホレイズ街関連だけに通れるカードとかを領民証として渡してもいいと思いますよ。」
宰相は、すこし考えてから「ありがとうございます。領民証として渡す事を考えたいと思います。それで、もし領民証みたいな形になった時には、領内にはいる時にチェックなどを行う事は出来るのですか?」「勿論です。カードをかざすと内容をチェック出来るようになる魔道具はすでにあります。」「そうですか・・・まずは、その辺りからでしょうかね。」「そうですね。本当は、人頭税なんかの徴収や犯罪歴なんかも扱った方がいいのでしょうけどね。」「・・・・・。それが出来たら、王国の管理はすごく楽になりますね。」「えぇ銀行機能も付ける事が出来ますから、そうしたら、ギルドから王国に銀行機能を移動させてもいいですよ」
「侯爵。銀行機能は、魅力的ですが・・・。トリーア王家ではなく、侯爵が興す国で行って下さい。陛下にも同じように進言致します。」「そうですか?」「はい。武力に寄る後ろ盾が絶対的に必要になりますし、信頼性の問題もあります。トリーア王家がダメという事ではなく、侯爵の暴力にトリーア王家が耐えられるとは誰も考えないでしょう。」「そんな事はしませんが、納得しました。」「でも、ギルドポイントは素晴らしい仕組みですね。」「そうですか?」「はい。私も今までは、従者に銀貨数枚と銅貨を大量にもたせていたり、大きな物を買いに行くときなどは、金貨を持たせていましたが、ギルドカードを持っていけば、それで済んでしまいますからね。それに、私のカードは私だけが使えるのもすごくいいです。」「えぇ」「個人的な疑問なのですが、例えば私が死亡したときなどは、どうなるのでしょうか?」
「あ、そうでした。イリメリ。ウルコス殿に、パーティ機能を説明して・・・。」
宰相の疑問は最もだと思う。死んだ時に、溜まっているギルドポイントがどうなるのかは気になる所だ。それに関しては、タシアナとイリメリとサリーカとアデレードと話しをして決めている。パーティが組まれた場合には、パーティないでのポイントの移動は出来る。ギルドにカードを持って来て、死亡が確認出来る事実が提示できれば、それでポイントの移動は行える。まずは、パーティが優先で次に家族となるが、家族を証明出来る方法がないために、これをどうしようかと思っていたが、アデレードが家族は人頭税の支払いで調べる事が出来るだろうという事だったので、調査を行ってからポイントの振替を行う事になった。これらをイリメリがうまく説明している。
「侯爵。領民証にも同じ機能を付与できますか?」「どうタシアナ?」「うん。出来るよ。ようするに、ギルドカードからギルドランクと踏破記録を除けばいいんでしょ?」「そうだね。ウルコス殿。出来るらしいです」「ありがとうございます。」
一旦、宰相は部屋から出て、僕達だけが残された。暫く、イリメリがタシアナと今後の作業を確認していた。ミルは、僕の横から微動だにしない状態でいる。ここでは護衛としての役目は必要ないんだけどなと思いながら、ミルだからいいかなと思っていた。
しばらくしてから、陛下とローザスと宰相が戻ってきて、先程宰相とした話を再度行う事になった。そこに、アデレードが合流して、僕達の提案を議題として提出した。流れ的には、僕達の提案通りで問題はなさそうだという事だが、実際にやってみないと解らない事が多いので、内乱で混乱している時間を利用して、ホレイズ領内で実証実験を行う事になった。主要な貴族はアドゥナ領に引っ込んだままだし、それ以外の貴族も僕達が屈服している。転移門トランスポートの設置も出来ているので、問題になりそうな事は、代官の人選だが、これも今のまま行う方向で概ね大丈夫だということだ。アデレードが、ホレイズ領の現状をまとめてくれていたので、大いに説得力を持たせられた。
その上で、ホレイズ領は暫くの間は王家の直轄領とする事が決定して、ローザスに管理が委ねられる事になった。
後は、大筋は陛下が決定したので、残りの詳細な部分は、ローザスとアデレードで決める事になった。僕は、決定に従って転移門トランスポートを設置したりするだけの”はず”だ。
「リン=フリークス。ところで・・・。」「ローザス。改まってなに?」
「あぁそのなんだ・・・。悪いな。」「だからなに?」「おまえに何もかも押し付けるような形になってしまったなと思ってな。王家としては、本来なら俺等が動かなければならない事だからな」
陛下も宰相もローザスが言いたい事が解っているようだ。そして、皆が申し訳なさそうになってしまっている。
「ローザス。いいよ。それを言うなら、僕も侯爵になっているから無関係じゃないからね。それに、トリーア王家が安定してくれる方が僕としても嬉しい。」「そういうと思ったが、それでもな。リン=フリークス。何か、俺に出来る事はないか?」「そうだね・・・・。」
ローザスにお願いする事かぁ今のところ何かに困っている事はないし・・・な。
「わかった、ローザス。これは貸しにしておくから、いずれ返してくれ!」「おまえに借りか・・・。ま、もう何個も借りを作っているから、今更増えても痛くはないな。」「そうだろう。でも、しっかり利息を取るからな。」「あぁいずれ、利息を含めて返してやるからな。」「了解。期待しているよ。そうだね。今は婚約だけど、婚姻になった時の祝いは期待していいんだよな?」「あぁ期待していろ。ハーレイとウォードにも声かけて、最高の物を用意してやる。」「そりゃぁ嬉しいな!でも、その時には、各地の変わった食材とかの方が嬉しいな。」「ハハハ。解った、今から大陸中から食材を取り寄せておいてやる。だから、絶対に、負けるな。生きて帰ってこい」「勿論だよ。まだまだやりたい事があるからね。」
フラグにならないように祈りつつ。会談を終えた。
ニグラのギルド支部に戻ったら、アッシュからアドゥナで動きがあったと報告が上がった。さて、最後の街を攻略する為に出かけますか・・・。
立花ウォルシャタ達は、北方連合国ノーザン・コンドミニアムに逃げ出したようだ。可能なら捕縛したいけど、今は無理するときじゃない。まだまだ追い詰めていかないとならない。
「ミル。」「なに?」「アドゥナに行く。」「了解。勿論、一緒に行くよ。」「うん。イリメリ。フェム。ヴェスタ街の二人にも連絡しておいて、元凶を叩きに行く。結果を見たいのなら、帯同を許可するとね。」「ん。了解。聞いてみる。」
「タシアナ。悪いけど、マガラ神殿に残って、領民証の発効を行ってくれる?」「了解。」
「アデレードとルナとマルティンも悪いけど、ニグラに残って、ローザスやハーレイやウォード伯爵との連絡をお願い。もう何もないと思うけど、万が一があるからね。」「「「了解しました」」」
「サリーカ。」「なに?」「アルマールとフレットとカルーネに現状を連絡しておいて、奴らは北方連合国ノーザン・コンドミニアムで国を作る見たいだってね。」「了解。」「それから、三塚マニュエルを捕縛して心を負っているけど、見に行く?」「う~ん。どうでもいい。あんなヤツ。でも、リンが行くなら私も行くから連絡は頂戴。」「わかった、多分、行くとしても、この内乱が終わってからだけどね。」「そうだね。リン。ありがとう。」「ううん。」
「さて、それじゃ行きますか。逆賊共が立てこもる最後の街。アドゥナ街を攻略する為に!」

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