【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

マッシュホム街占拠

アドゥナの街からニグラ支部に着いて、まずしたことは、風呂に入る事だ。マヤとイリメリにラーロ宿屋ニグラ本店に向かった。正式には、ギルドが運営しているが、ラーロ宿屋の名前のままになっている宿屋の風呂場に向かった。まだ、日の高い時間帯にも関わらず結構な人が居た。以前は、ギルド関係者や冒険者が使っているだけだったが、ニグラに商談できている人も多く使っているのだと云うことだ。
3階に移動して、軽く食事をしてから、ニグラ支部に戻る。大分様変わりしているギルドの中を歩いていると「おい。そこの。おまえだよ!」
おぉ定番のイベントが発動したのか?と思ってニコニコしながら振り返った。獣人とヒト族のパーティだ
一応確認しておこうと思って、人差し指で自分を指差した「そうだよ。おまえだよ。その先は、ギルド関係者しか入れないんだぞ。おまえみたいな若造が勝手に入れる場所じゃない。」
!!嬉しいね。こういう反応を待っていたんだよ。長続きはしないだろうけど・・・。
慌てたのは、ギルド職員だ。そりゃぁそうだよな。僕の事をしっているメンバーだからな。手を振って、職員に後を任せる事にした。100年後とかなら、気楽にミルとか冒険に出られそうだな。1年とちょっとでここまで規模が大きくなったのなら、このままうまくやっていけば、100年もしたら代替わりして、僕の事を知らない人たちで構成されるだろうからな。そうなってから冒険を愉しめばいいかな。
まだなんか文句を言っていたが、ギルド職員が近寄って何やら耳打ちをしたら黙った後に、顔色を変えていた。気にしてもしょうがないので、通りかかった職員に、表の冒険者に後で話そうって伝えておいてもらった。
ニグラ支部の執務室に入って、アッシュを呼んできてもらった。アッシュはニグラ支部には今居なかった、マノーラ神殿の方に行っているようだ。
アッシュが暫く掛かりそうだったので、さっきの冒険者達を執務室ではダメだろうと思って、下の会議室で待っていてもらう事にした。「ミルも行く?面白い冒険者だよ。」「へぇそうなんだ。イリメリはどうする?」「私は、エミール達の情報をまとめておく事にするよ。」「って事で、僕だけがついていくよ。」
帰ってきた、エミール達とイリメリで地図を作成してくれるという。確かに、しっかりした地図が出来たら嬉しい。そういう意味では、僕やミルは邪魔なんだろう。冒険者と遊んでくる事にした。
会議室まで行くと、さっき受付に居た獣人の女性が声をかけてきた「侯爵。彼らを許して下さい。彼らは・・。」「うん。大丈夫だよ。起こっていないし、事情を聞くだけだからね。」「それでしたら、私も、ご一緒してよろしいですか?」「問題ないよ。その方が彼らも安心するだろうからね。マンティだったよね。」「え・・・そうですが、なんで私の名前を・・・。」「え”この前の会議の時に来て挨拶してくれたよね?」「えぇそうですが・・・。」「マンティ。リンはそういう奴だよ。貴族の名前は忘れても、仲間として思った者の名前は忘れないよ。」「・・・ありがとうございます。」
マンティがドアを開て中に入った。そこには、先程声をかけてきた獣人の男とヒト族の男。後は、女性がそれぞれ一名づつの四名が緊張した面持ちで座っている。僕が入ってきたのに気がついて、一斉に立ち上がった。それを手で制して、開いている席に、僕とミルが座って、マンティは冒険者側の開いている席に座った。
「侯爵様。先程は申し訳ありませんでした。」「「「申し訳ありませんでした」」」「あぁいいよ。気にしていないからね。それよりも、聞かせて欲しい事があるんだけどいいかな?」「はい。私達でよければ何なりとお聞き下さい。」
「うん。その前に座ってよ。話しにくいからね。それで君達の名前を聞いていい?」
四名が椅子に腰掛ける。まだ緊張しているようだ。
「あっはい。黒い咆哮ブラックハウリングの、リーダのガブといいます。獅子族です。」「同じく、フォリーといいます。リーダと同じ獅子族です。」「同じく、スカーヴァイといいます。ヒト族です。」「同じく、キュイローといいます。ヒト族です。」
「僕の事は、マンティに聞いたと思うけど、リン=フリークスです。こっちが、僕の婚約者のミトナル。よろしくね。」「・・・・」「それで君達に来てもらったのは、別に咎めようとかいう意思はまったくないから安心して、ちょっと聞きたい事が有ったんだよ。」「・・・。」
キュイローが代表して質問してくれた。「何でしょうか?リーダは馬鹿ですが・・・。信義に厚い人物です。行き違いが有ったのなら、謝罪します。」「あぁいいんだよ。別に気にしていないからね。僕に配慮が足りなかったのも事実だからね。」「・・・・。それで、侯爵は、私達をなんで?」
「あぁ。リーダのガブって言ったよね。僕が、奥に入ろうとしたのを止めたよね?それは別にいいんだけど、そんなに、奥に入ろうとする人が多いの?」「あっ・・・。リーダまたやっていたのですか?」「だってよう。いくら、冒険者に風呂が公開されているからって、順番を守らないで入ろうとする奴らが多いからよ。それに、他の街から来た奴らは、すぐに特別扱いを求めて、奥に入ろうとするからな。」「へぇそうなんだ。マンティ。それは間違いない?」「あっはい。お風呂は、基本的に、冒険者には無料で入れるようにしているのですが・・・。特別扱いは・・・どちらかと言うと、侯爵を出せと言ってくる人が多いくらいです。」「そんな事になっていたんだね。僕に会ってどうするんだろうね?」「あぁ侯爵。あんたに会えば強い仲間を付けてもらえるとか言う話しだからだと思うぞ」「ん?そんな事になっているの?」「え?あっはい。何人かはそういった事を言ってこられる方もいらっしゃいます。」「なんだかなぁ」
すこしの沈黙があって、「リン言って眷属を貸し出してもらえると思っているのかな?」「あぁそんな感じだ。」「ギルドとしては、そんな事をしていないと言っているのですけど、レインを出すからとか言ってこられる方も多くて・・・。」「ダメな奴らはどこにでも居るんだね。今日は、僕がこっちに来ているけど、今後そういう輩が出たら、僕は島の本部に居るからって言ってもらっていいからね。」「あっ解りました。他の支部にも伝達していいですか?」「勿論だよ。」
「それで、君達はあそこで、見て、僕が誰にも何も言わないで奥に入ろうとしたら声かけたんだね?」「・・・あっそうです。」「リーダまたですか・・・。この前も、それで喧嘩になったじゃないですか・・・。」「そう言えば、君達のランクは?」「あっDランクです。25階までもう少しでいけます。」
それなりのパーティのようだ連携も良さそうだし、バランスも良さそうだな。
『ミル。このパーティでいいんじゃない?』『ん?リンがいいなら、僕はいいと思うよ。』『それじゃ決定だね。』『一応、彼らにも選ばせてあげてね。』『勿論。』
「そうか、何か目的があって冒険者になったのか?」「・・・いえ・・・。」「ガブ。正直に言ったほうがいいよ。」「そうだぜリーダ。」「言ったほうがいいよ」
「何か事情があるのなら、はなし位なら聞くよ」「あぁ大した事では無いのですが、俺の村ってあぁフォリーも一緒なんですけどね。ホレイズ領に会ったんですけど、『ミル。アッシュを呼びに言ってきて、どうも、そっち系のようだからね』『了解。』税が重くなってしまいまして、妹と弟が奴隷として売られてしまって・・・。」「買い戻す為のレインが必要だって事だな。」「まぁそうです。」「侯爵。こんな事を頼むのは筋違いだと思うのですけど、なんとかなりませんか?」
やっぱりそっち系の話だったか?フォリーはそれでも解るけど、人族の二人は?
「そっちの二人は?」「僕達も同じ村の出身なんですよ。幸い僕達二人は、教会で厄介になっていたのですが、教会が潰れてしまって、村から抜け出して、偶然ガブとフォリーに出会って一緒に冒険者をやる事にしたんです。」「そうだったのか・・・。」
「リン。おまたせ。」「ああぁアッシュ悪いな。ホレイズ領の村から売られた子供の行方を探して欲しいんだが出来るか?」「解りました。二日ほど下さい。どうします。買い戻しますか?」「それは、ガブ達次第だな。」
四人を見渡して、「ガブ。どうする?」「どうするって言われても、俺にはそんなレインは溜まっていないから・・・。」「ガブ。ここは違う。侯爵に頭下げればいいんだよ。侯爵、ガブの代わりに私が何でもする。その代わり、ガブの弟と妹を助けてやってくれないか?」「なんでもするって言って良いのか?」「あぁ構わない。助けられるのなら、魔王にでも頭下げるし懇願もする。それに、侯爵は魔王よりはまともだと思えるからね。」
「ハッハハハ。解った。アッシュ。そこのガブに話を聞いて、妹と弟を探してやってほしい。買い戻しと奴隷紋の破棄までしておいてくれ。貴族が買っていたら、僕の名前を出していいし、抵抗するようなら、問答無用で連れ出してきてもいい。」「かしこまりました。」「その後どうしましょうか?」「あぁロックハンドに連れて行って欲しい。」「ほぉそれでは、彼らが候補ですか?」「あぁなかなかだと思うぞ。」「そうですね。私に異存はございません。ミル様もOK出されたのなら問題無いでしょう。」「あぁ。アッシュ。それじゃ頼んだぞ。」
一礼してから、ガブに妹と弟が売られた時の状況や、名前を確認している。後は、情報網を使って探し出すだろう。
「それで侯爵。私達は何をしたら良いのですか?」「あぁ簡単な事だよ。お前たちは、ホレイズ領に未練はあるのか?」「あると思いますか?」「あったら困るが、まぁないだろうな。あるとしたら、親のことだけだろう?」「そうですね。親に関しても、ニグラは無理でも、近くに家を購入できたら、呼び寄せるつもりで居ます。」
「そうか、すこし待っていろ。ミル。もう一回頼めるか?」「サラナとウーレンに依頼を出してくれば良いんだよね。」「うん。そう。お願いする。」「了解だよ」
「あの、侯爵。」「あぁすまない。すこし準備が必要だけど、それを含めてなんとかしてやる。」「・・・。それで・・・・あのぉ・・・・」「あぁそうだったな。お前たち、黒い咆哮ブラックハウリングは、ロックハンド神殿街にギルドホームを持ってもらう。そこで、新人冒険者の指導をしてもらいたい。それが僕の条件だ。そうだな。期間はとりあえず1年間でどうだ?」
「「「「えぇぇぇぇぇ」」」」
「どうだって言われても、なにがなにやらわからないのですが・・・。」
「説明は...しまった、エミールもイリメリも居ない。まぁいいかぁ」「あのぉ侯爵?」「あぁそうだった。ゴッドケープ島の事は知っている?」「はい。勿論です。冒険者の中では、何人かは島の神殿に潜っているという話を聞きます」「そうか、島には、全部で13の神殿がある事も知っている?」「そうなのですか・・・?」「うん。まぁその辺りは、そのうちかわら版にでも書くから今は置いておくとして、中央がマノーラ神殿っていって僕が普段居る街なんだけど、そこから”玄武街道”で繋がったロックハンド神殿に、君達のギルドホームを用意するよ。ここまではいい?」
「あっはい。ギルドホームって、ギルドの拠点として使っていい場所なんですよね?」「そうだよ。もしかして、もう持っているの?」「いえいえ滅相もない。まだそんなに稼いでいません。」「そうか、それならちょうど良かった。幾つか建物があるから、その中から気に入った物をギルドホームとして登録してよ。マンティ手続きの方法は解るよね?」「あっはい。大丈夫です。」「そんなに私達レインないです。」「ん?いいよ。僕の仕事を手伝って欲しいから、仕事をしている限りギルドホームは好きに使っていいよ。」「え”?仕事ってなんですか?」「うん。さっきも言ったけど、新人冒険者の指導をお願いしたい。」「指導ですか?私達も駆け出しですよ。」「でも、25階まで行ける実力があるなら十分だよ。」
ガブがアッシュとの話gあ終わったようだ「侯爵。俺、その話を受けさせて下さい。」「それは良かった。マンティ。君もよかったら、ロックハンド神殿のギルドに行く?」「え?良いのですか?」「うん。上には僕が話しておくよ。」「それなら是非!」「了解。それじゃ、マンティ。君がロックハンド支部の支部長だよ。よろしくね。」「え”?!支部長。」「そうだよ。君しか居ないんだから当然だよね?あとで、ヘルダーに行って何人か廻して貰うから安心して」「はぁ解りました。私なんかで良いのでしょうか?」「うん。君をヘルダーが支部長会議につれてきている事から問題はないと思っているって事だからね。大丈夫だよ。」「・・・」
「よし、後は、マンティに任せる。詳細は、マノーラ神殿で聞いて欲しい。僕が、新人冒険者の指導員に指名したって言えば解るようになっているからね。」「はぁ・・・。」
「侯爵。それで、俺は、侯爵にいくら返せばいいですか?」「そうだな。最低1年は指導員をやってほしいかな。その後も続けてくれるのなら歓迎だよ。」「その指導員って何をやれば良いのですか?」「ん?ガブが僕にしたような事だよ。ギルドが決めたルールを新人に教えてやってほしい。あと、死なない為の技術を教えられるだけ教えて欲しい。」「解りました。それなら、俺にもできそうです。」「そうか、やってくれるんだね。助かるよ。」
「いいよな?」「ガブが決めた事だからね。私は問題ないよ」「リーダがいいならOKだよ」「うん。そうだね。ガブが決めればいいよ。それに本拠地は欲しいからな。」
それから、マンティが皆を連れて、島に移動するという事だ。それを見送ってから、「アッシュ別件で仕事を頼んで悪いんだけどな・・・。」
ミルに、地図を作っている。エミールとイリメリを呼んできてもらって、地図をアッシュに渡した「リン様これは?」「あぁアドゥナ街の周辺の状況。」「・・・はい。」「リン。それだけじゃアッシュも困るよ。アッシュには、この地図の完成を頼みたい。」「あっかしこまりました。」
イリメリが現状をアッシュに説明してくれる。
「それでな。アッシュ。アドゥナ街のどこかで食物の栽培をしているようなんだよ。どのくらいの規模なのかの調査もお願いしたい。」「はい。かしこまりました。」「うん。わかったら、おしえて。」
アッシュが退出した後で、カエサルから連絡が入った。
「ミル。イリメリ。マシュホム街を包囲していたカエサル達からで、マシュホム領主の館の占拠に成功したって...。」「え”!早いね。」「うん。だから、僕、マシュホムに行って最後の仕上げをするけど、一緒に行く?」

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