【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

幕間 ミトナルの秘事

リンがもうすぐ内乱が発生して忙しくなるから、それまでの間ゆっくりしていようと言い出した。僕としては、リンと一緒に入れればそれで満足なんだけど、今回はアデレードやエミール達に譲ろう。別に勝ち誇っているわけではない。日本に居た時から考えていた事を実行にうつしたいと思っている。
多分、ある程度のレインは必要だろうが、幸いな事に、レインは貯まりに貯まっている。ギルドカードの残高が、このまま日本に持って変えられたら、どっかの誰かが所有していて、東京都が買うと言い出した島を買ってもお釣りが来る位になっている。衣食住はリンが保証してくれている。勿論、僕達も支払いをするが、僕達が行く店、行く店、「ミル奥様からレインを頂けません。リン様に怒られてしまいます」と言われてしまう。そう言われたら、引っ込めるしかない。リンはどこまで僕達を甘やかせば気が済むのだろう。そんな事しなくても、僕達は自分の意思でリンと一緒に居る事を選んでいる。気にしなくていいのに・・・。
さて、僕が行くと間違いなく、今回もリンの世話になってしまう。そこで、準備に関しては、僕ではなく、眷属に動いてもらう。アースグリムに動いてもらう。まずは、店舗となる建物の確保だ。リンが作った建物でもいいが、土地だけ用意して、自分で作る事にする。場所の候補は、玄武街道に6区画程度を考えている。誰に交渉していいのか解らなかったので、イリメリにそっと聞いたら、シュトライトが管理していると言う事だ。早速、商人のフリをして、シュトライトに面会を求めた。忙しいようで待たされたが、案外早く面会の順番になった。玄武街道の近くはギルドが抑えているので、それからすこし離れた所で、次の停留所がある辺りを考えてた。アースグリムには、場所はどこでもいいが6区画を確保して欲しいとお願いしてある。一応、変装させているのでバレる事はないだろう。交渉はうまくまとまったようだ。店舗兼パーティホームに使うと言う申請で大丈夫だった。戻ってきた、アースグリムに詳細の場所を聞いたらそこそこいい場所だ。一等地とは言わないが、これからの発展次第では一等地になりえる場所だ。いいのか?と思っていたら、まだまだ土地があるので、問題ないと言う返事を貰ったんだと言う。連結馬車の始発の停留所からギルド本部が抑えた場所から少し離れた場所にあり。人通りもそこそこありそうな場所だ。別に、僕の店が成功しなくても、僕が満足できればそれで良いと思っている。
区画に行くと、目の前の6区画は流石に広い。普通の一軒家6軒分の広さがあるのだから当たり前だ。予定地の前を、冒険者が歩いて行く。角地なのも嬉しい。いきなり魔法で作ってしまうと、バレてしまいそうなので、ここは、レインでの無双を行う事にした。
今度は、ナパイアにヒト型になってもらって、ガルガと一緒にギルドに依頼を出してもらう事にしたこれも、以前イリメリが愚痴っていたので、よく分かっている。一日で店舗を作って欲しいというと、眷属が組織される。僕がやってもいいけど、外観だけでも一日で眷属に作ってもらえば、内装は自分たちでやってもバレない。4区画に店舗になる建物を大きく作ってもらう。一階部分は柱はあるが4区画の広さを持つようにしてもらう。階段を作って、決められている高さ。区画+1階まで作る。店舗部分は5階建てに出来る。そして、残っている、2区画に3階建てを建ててもらう。日照権とかうるさい事を言う人が居ないのが嬉しい。外観と構造的な物だけを作ってもらって、周りをレンガのような物で壁を作ってもらう。入り口は3箇所。店舗の方にすこし広めの入り口を付けて、3階建ての方には二箇所の入り口を付けるようにした。
これだけを作るのに、200万レインですむ。特急料で、倍の提示をした。それでも、400万レインだ。GRを、ガルガに渡して、全額先払いにしてもらった。
半日経った位で、眷属が4名来て、建物を建てるようだ。立会は、僕が自分でやった。簡単に変装すればバレることはないだろう。外装だけを作ってもらって、内装は骨組みだけを作ってもらった、全部で2時間程度の作業だ。
なんとなく嬉しく思ってしまう。さて、内装は前から考えていたから、それを指示しながら作っていく。
店舗の2階。3階。4階。5階。は、パーティホームに出来るような部屋割りにして、一つの階に4つのパーティがホームを持てるようにしておく。1階の二つの区画を使って、風呂を作った。これは、リンの影響であるのは間違いないが、パーティが屯するのなら、綺麗になってから屯して欲しいから必要な事だと思う。残りで簡単な厨房と喫茶コーナを作成する。
店舗はこれで出来上がりだ。問題は従業員を住まわせる建物だが、店舗にある風呂の半分位の大きさの浴室を用意する。1階のあまりは、従業員用の厨房や食堂施設にする。2階は沢山のゲージの様な物が入る場所を作成した、3階は従業員の居住スペースで、全部で8名雇い入れるつもりだ。
この世界では、7万レイン貰えれば十分1家族が生活出来る位にはなる。従業員には、接客とは違う作業もやってもらうので、すこし高めの10万レイン/月+住居で募集を掛ける事にする。すぐには集まらないだろうから、ギルドに求人を出しておく。女性限定で種族は問わない。ただ獣人の場合には、猫系に限るとしてある。
風呂の魔道具や厨房で使う物の魔道具を、タシアナから直接買っても良かったが、リンにバレちゃいそうだったので、MOTEGI商会経由で買うことにした。僕だとバレないように、MOTEGI商会から必要な魔道具を購入する。一部、在庫がなかったり、特注しなければならない物もあったので、注文して出来上がったら届けてもらう事にした。
今回の計画で一番大事な物を確保しにいく。「ナパイア居る?」「なぁに?」「前に話していた事だけど、準備ができたんだけど。ナパイアの方は大丈夫?」「うん。僕の方も大丈夫だよ。すぐに連れてくる?」「うん。お願い。この前の店舗で待っているからね。どのくらいになりそうなの?」「う~ん。多分、50匹位だよ?」「そうなんだ。人を襲うような事はないんだよね?」「うん。大丈夫だよ。言葉は話せないけど、人が好きな子ばかりだからね。」「了解。待っているね。」「うん。」
1時間位経ってから、ナパイアが戻ってきた。眷属をフルに使って、連れてきたのは、”猫”正確には、”猫”の様な動物だ。獣魔や獣人ではなく、獣に類する物で、”猫”だ。可愛い耳があって、つぶらな瞳で見つめてきて、トテトテ歩いていたかと思うよ。俊敏に動く、この世で一番可愛くかっこいい生物なのである。それが50匹。
そう、僕は、猫カフェをやりたかったのだ!!異世界に来て、猫系の獣人は何人も有ってきたし、眷属もニンフも猫系だ。でも、動物の猫は居ない物と思っていた。ナパイアに聞いたら、”猫”ではないが似た動物は居ると言う。砂漠地域に生息している動物だという事で、その子供をナパイアに確保をお願いしていた。無理やりではなく、親が居なくなってしまったパターンや多頭で産まれてきて、育てなくなってしまった場合などの保護が目的だ。
そんな若い猫ばかり、50匹が従業員棟のケージの中で過ごすようになる。そう、従業員にはタレントとなる猫の世話をお願いする事にある。また、軽食と喫茶を併設するので、それらの役割を担う事になる。計算が面倒になるので、時間料金にした。これが特別注文した魔道具になるのだが、”砂時計”だ。店舗に入る時に、砂時計を購入する。その時に、砂をチャージする事が出来るようになっていて、全部がなくなったら、退出する事になる。その時点で追加で購入すれば継続する事が出来る。飲食に関しては、飲み物はフリードリンク制にした。足りなくなったら、僕と眷属で狩りに出かけて、それで補充すれば済む。食べ物は簡単な物を、フェムの店から卸している。厨房では主にタレントのご飯を作る事になる。どれを頼んでも同じレインにした。
そして、店としては、支払いは、ギルドカードのみで受け付けるようにした。店舗としてギルドカードの決済が出来るようにする申請はもう行っていて、先程許可が降りた。あとで、端末を取りに行く事になる。注意事項も聞く事になるが、さすがに黙ってやっているので、知っているとは言えないだろう。
お風呂も自由に使えるようにしている。経営で怪しまれない為に、パーティホーム機能を持つ事が出来る場所を作って駆け出しのパーティに安く貸し出す事にしてある。これも、ギルドに広告を出しておけば、集まってくるだろう。相場よりは、若干安めの値段設定にしてある。というのも、パーティは女性パーティのみに限っているからだ。別に男がダメと言うわけではないが、万が一リンにバレた時に、笑い話しになるようにしておきたいという意図からだ。
リンにバレないように準備を進めていたが、マヤにはバレてしまった。マヤが店舗にやってきて、面白そうな事をしているねと話しかけてきた。この時には、心臓が止まるかと思うくらいにびっくりした。店舗の説明をすると、それなら店長は僕やウィンザーじゃないほうがいいだろうと言い出して、どこからか、一人の女性を連れてきた。彼女は、リャノと名乗った。マヤが素性の説明をしてくれた。リャノは、マヤとリンの住んでいたポルタ村の近隣の村に住んでいた人だと言う事だ。アゾレムの領主が税を上げた時に、払えなくなり、夫が奴隷落ちしてしまって、その後は初速不明になっていたらしい。村長経由でシュトライトに話が上がってきて、調べた時にはすでに遅くて、旦那さんは、ウォルシャタ達に買われて後だったようだ。生死不明とはなっているが絶望的だろう。リャノさんは、娘さんと二人暮らしで、農家として入植したが、女の細腕ではうまく行かなくなっていた所だった様で、この話を持っていったら、”是非”と言う話だ。僕も人間性をマヤが保証してくれているから、問題はない。娘さんもタレントの世話をすると言ってくれている。二人分の給与を支払うと言ったが、家まで用意されているのに・・・と固辞されてしまった。それでは、店の全部とパーティオホームと従業員の管理を任すのでそれらの手当を出す事で納得してもらった。もちろん、その分はしっかり色を付ける事にした。僕のギルドカードから、店のギルドカードに、5億GRを移動しておいた。それで、必要な物や従業員の支払いを任す事にした。パーティからの支払いや店の売上もここに入れてもらう事になっている。帳簿だけは付けてほしかったので、学校の成人コースに通ってもらう事にした。簡単な計算は出来るという事だったので、帳簿が付けられる様になる短期コースを受講してもらって、後は週に2度学校で好きな事を学んでもらう事にした。娘さんに関しても、学校に通ってもらう事にした。学校でのギルドの仕事はしないで、店舗を手伝って貰う事になった。
その後で、マヤが四名の獣人を連れてきた。こちらも女性であるのは間違いはない。眷属いわく。かなり強いと言う事だ。四名とも、エミールとた神殿に居た獣人だった。パーティを組んで活動しているらしいが、ホームを持とうか考えていたんだと言う。儲けから、普通にホームを持てる位には稼いでいるようだ。単独で、マガラ神殿の25階に到達出来るのだと言う。パーティなら、28階か29階が主戦場のようだ。ギルドのランクで言うとBになる。そんなパーティなら普通に購入出来るだろうと思った。
「ねぇミル。この人達。ミルの店の従業員は無理だけど、護衛には仕えると思うよ」「それは嬉しいけど、普通に冒険者として稼げているだろうし、自分たちでホームを持てばいいんじゃないの?」
「マヤ奥様。横からすみません。ミル奥様。私達もそのつもりで頑張ってきたのですが、ランクが上がれば上がるほど、勧誘が酷くて辟易していたのです。」「勧誘?」「はい。奥様方にはないでしょうが、私達の様な女性だけのパーティだと、男性パーティから引き抜きが多いのです。」「そうなんだ・・・。」「はい。それで、以前から相談していた、マヤ奥様から今回の話を聞きまして、是非と思ったのです。」「ん?でも、僕の店に来ても、変わらないと思うよ?」「いえ、私達だけでオームを持つとやっかみもあるでしょうけど、いろいろ言われてしまうかもしれませんが、このような集合ホームなら、大手からの声がけ程度になりそうなのです」「そうなんだね。」「はい。それに、ここには、他にも女性パーティが入ってくる予定だとお聞きしました。その時に、私達が指導で着いたりする事も出来ると思います。」「あっそれはいいね。」「はい。それに・・・」「それに?」「ミル奥様はお忘れかもしれませんが、私達はミル奥様に救われたのです。だから、恩返しの意味もあるのです。是非。ここで働かせて下さい。お願いします!!」「へ?そんな事あったの?」「はい。私達が駆け出しで、まだパーティを組んでいなかった時に、ミル奥様にマガラ神殿の23階で救われました。魔物に追いやられていた時に、ミル奥様に助けられたのです。」「・・・・そんな事が・・・。それとは別に、本当にいいの?」「はい。」「それじゃお願い。パーティホーム代は店舗の護衛費って事でいい?あと、店長のリャノに言ってくれれば食事も食べられるからね。」「え”いいのですか?」「うん。その代わり、護衛をしっかりお願いね。」「はい!」
店長と護衛が決まった。その後、ギルドで紹介されたと、女性パーティが3組来て、ホームの契約をした。従業員も6名まで決まった。従業員は、リャノが学校でスカウトしてきてくれた。一通りのマニュアルを覚えてもらって、タレントのシフトも作成した。店は、お昼ちょっと前から日の入りまで営業する事になった。リャノや従業員から、夕方以降はタレントのケージに戻して、普通の飲食として営業したいと申し出が来たので許可した。夕方以降は、リャノと従業員で料理を作って出す事になった。
やっとここまで来た。レインが豊富に有った事もあり、かなり楽に始められた感じがする。もっともっとレインを放出しないとダメなんだろうけど、僕にはこれ以上は無理。後は、従業員に還元して、従業員がレインを地域に放出してもらう事にする。店の名前も決まった【猫のしっぽキャットテイル】だ、キャッツアイと迷ったが、キャッツアイだとただの喫茶店になってしまう上に、美人三姉妹と刑事が一人必要になってしまう。宣伝はしていない。リャノや従業員には話してある。儲けなんて考えなくていい。ただただ居心地がいい空間にしてほしい。雑費や従業員の給与を考えると、11パーティ入れば若干の赤字になって、喫茶コーナで客がすこしでも入ればもう黒字になってくる。なかなか優良な状態になっている。まぁ食材の仕入れが殆ど眷属や僕が行うからだけど、それでも安心して任せていられる。
そんなわけで、明日がオープンになる。明日は、昼には店舗の前に移動して最初の客になる。そう思って、朝起きてから考えていた。今日もやる事はなさそうなので、抜け出して店舗に向かった。転移しないで、玄武街道から歩いて移動した。
店が見える位置まで来た。
「!!!!!え”?なんで?」
なんで、リンとマヤとイリメリとフェムとタシアナと・・・・全員揃っているの?それも、店の前で?
「ミル。遅いよ。待っていたんだよ。」「え?マヤどういう事?え??」「その顔が見たかった!!」
「あぁぁぁ」「やっと気がついた?」「うん。リン。知っていたんだね。」「うん。ゴメン。何かしているなって思って、マヤに聞いたら、マヤがナパイアに聞いてくれて、猫を集めているって言ったから、多分”猫カフェ”をやるつもりだろうっと思ってね。」「・・・・」「ゴメン。ミル。怒らないでよ。」「違うの。違うの。」
なんでかなすごく嬉しい。解って協力してくれたんだと思ったら、すごく嬉しくなってきた。びっくりしたけど、オープンの日に来てくれた。みんな忙しいのに、僕みたいにリンの側に居て剣を奮っているだけの人間じゃないのに、そんな僕の為に陰乍ら協力してくれていたんだ。
「ほら、ミル。泣かないで。僕が悪かったよ。ね。だから、泣かないでね。」「違うよ。嬉しい!の。リン。ありがとう。みんなありがとう。ようこそ、僕の店【猫のしっぽキャットテイル】へ!何もない普通の猫カフェだけど、可愛いタレントが皆の心を癒やしてくれるはずです。」
その後、僕は皆が呆れるまで、猫と戯れた。そして悔しい事に、トリスタンが一番猫に好かれていた。竜体のまま寝ていたらいつの間にか周りが猫だらけになっていた。タシアナにお願いして、映像珠を一つ貰って、映像に納めた。リンが猫に餌を与える所とか、アデレードが猫に相手にされない所とかいろいろ納めた
僕の宝物になった。今日オープンだったが、期せずして身内へのプレオープンの様な感じになってしまったが、貸し切りにして従業員の練習にもなってちょうど良かった。
明日から本格営業を開始する事になった。リャノに言って、カウンター席の奥二つの席は常に空けておくようにお願いしておいた。一つは、僕の為の席。もう一つは、リンの為の席。満席になる事はないだろうけど、僕達はいつ来ても大丈夫な様にしておいた。
後で、タレントの数を数えたら、48匹だったフェムが、「それじゃCAT48だね。」と某アイドルの様な呼び方をした、
★☆★☆★☆★☆その後、同じような形態の店が増えていったウサギカフェ・フクロウカフェ・イタチカフェ・水生生物(水族館)カフェなどだ。どの店もオーナは姿を見せないが、店長が居て、カウンター席の奥二つは常にリザーブになっているという。そして、どこの店にも、お忍びでテルメン王国の国王と王妃が来ていると噂になっているが、奥の席に座るのが、17~8歳の男女だと言う事から、この噂はたんなる噂としてなっている。

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