【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

事後処理(ミヤナック家)

さて、イスラ街道での戦いも一段落がついた。その上で、三塚マニュエルを捕えられたのは大きい。
アゾレムとヴァズレの領堺を定めた書類はなかったので、イスラ大森林を流れる川の支流がイスラ街道を横切る形になっているので、丁度いいと判断してそこに関所を作成する事にした。文句があるのなら、攻めてくればいい。もちろん、迎撃用に眷属を関所には配置してある。関所には、ヴァズレ領の監視や南下を防ぐ意味合いがあるが、物資の流入を防ぐ事が目的だ。
数日間は、三塚マニュエルは無視していてもいいだろう。逃げられるものなら逃げてもいい。まぁ逃げてもどこに行くのかって事もあるだろうからな。
さて、ミヤナック家の方はどうなっているのか・・・。早速ミヤナック家に転移した。
「ハーレイ。戦況はどうなっている?」「リン。そっちは終わったのか?」「うん。うまく負けたよ。あぁヴァズレは、仲間に殺されたよ。裏切り者としてね。」「・・・えげつない事をするな。」「それだけの事を奴はしていたからね」「それはどういう事だ?」「う~ん。映像珠に撮影はしてあるけど、あんまり気持ちが良い物じゃないけど見る?」「リン君。それは、僕が見る必要があるものだよね?」「ローザスには見て欲しい。ヴァズレ男爵の屋敷の地下の映像だよ。」
ローザスとハーレイに、ヴァズレ男爵の地下の映像を見せる。おびただしい、骨の数。そして、そこに血を貯めて浸かっていたであろう場所。そんな映像が映し出されている。
「リン様。これは本当なのでしょうか?」「ファン。落ち着いてよ。」「殿下。申し訳ありません。」
ファンは、映像を食い入るように見て、握った拳から血が流れ出るのではないかと思えるくらいに力が入っている
「それで、リン君。ヴァズレはどうしたの?」「言わなきゃダメ?」「あぁ頼む。聞かせてくれ」
結論は、映像がある。そちらも再生する。
「リン君。リン君。このウォルシャタはなんだ?」「なんだって言われてもね。そういう奴だよ。」「リン。貴様は、前から、ウォルシャタを知っていたよな?」「う~ん。正確には、敵として認識しているって事だけどね」「こんな事をするやつなのか?」「・・・・」「どうなんだ?」「正直な事をいうと、解らない。解らないけど、権力を使うのが上手い。あと、残忍じゃないとは思うけど、自分以外は他人って考えだろうね。自分にメリットがある奴ならいくらでも厚遇するって感じだと思うよ」「リン。もっとしっかり言わないとダメだよ。」「ミル。」「ミル嬢も知っているの?」「うん。リン。いいよね?」
頷く
「アイツは、リンの弟を殺して、アイツの親はリンの両親を私の両親に殺させて、アイツの取り巻きはタシアナの両親を殺してカルーネの義姉を殺して、オイゲンの母親を盾にオイゲンに命令して、笑いながら、リンを蹴ったり殴ったり命令するようなクズだよ。」
「・・・・」「・・・・」「それは・・・・。リン君。本当なのか?」「あぁ本当だよ。僕は、この世界に来てやっと笑えるようになったんだ。ミルやイリメリやローザス。ハーレイ。マヤ。達のおかげでね。」「・・・そうか、ウォルシャタ達は、リン君達と因果があるのなら、僕達は何も言わない。でも、約束して欲しい。」「何を?」「リン君いや、リン=フリークス・テルメン・フォン・マノーラ侯爵。死なないで欲しい。肉体的な死はもちろん心も無事に帰ってきて欲しい。」「ローザス・・・・ありがとう。でも大丈夫だよ。奴らを敵対するつもりはまだないからね。」「・・・リン。それは、いずれ決着を付けるって事なんだろう?」「そうだね。でも、今じゃないよ。この内乱は綺麗に終わらせよう。そして、トリーア王国をもっと住みやすい場所にしよう。」「あぁ勿論だ!そのためにも、リン。いや、お前たちのちからが必要なんだ。」
「それで、ハーレイ。こっちの戦況はどうなの?」「あぁそうだったな。何の問題もないぞ。領堺を越えてこないからこちらも長期戦の構えを見せているだけでにらみ合いだな。」「そう・・・。どうする。撤退させる?」「そうだな。そっちが終わったのなら、お帰り願いたい所だな。」「解った。数は3万程度だよね?」「あぁそうだな。正規の人員はどのくらいだと思う。」「・・・多分だけどね1万も居ないと思うぞ。殆どが奴隷や駆り出された農民だったからな。」「そうなんだね。それなら、2万人位。僕が貰ってもいい?」「あぁ良いけど、何をするんだ?」「簡単な事だよ。敵陣の目の前で、スカウト活動をするだけだよ。」「スカウト?」「奴隷と農民なんでしょ?」「あぁ間違いなくな。あとは、傭兵も混じっているかも知れないけどな。」「奴隷に関しては、犯罪奴隷以外は”解放”を約束する旨を告知する。犯罪奴隷も内容次第では減免する事を約束してもいい。農民に関しては、寝返ってくれたら、紛争がない場所に農地を約束して、家族が居る者は、家族を向かい入れてもいい。農民も、次男や三男の口減らしかもしれないから、誘いには乗りやすいと思うよ。」「それは、よくはないが、まぁいい。で、どうやって宣伝するつもりなんだ?」
「敵陣の真ん前でお茶会でも開くよ。防御結界を多重に張ってね。敵兵は、ミルやウィンザーやヒト型のトリスタンが倒せばいいだろうからね。」「・・・。それでも、敵からの離脱はでないとおもうぞ」「うん。最初はね。それを、数日続けてから、敵陣後方に数万単位の眷属を出現させたらどうなるかな?」「・・・。ハーレイ。この男。ぶっ壊れているぞ」「ローザス。何を今更だな。お前の義弟だろう。」「あぁお前の義弟でもあるんだけどな。」「反対はないみたいだから、明日の朝から実行するよ。1週間位で全軍逃げると思うからね。ハーレイ。どうする?近場の村だけでも占拠する?」「占拠は面倒だな。村々を廻って、お前の所に行きたいって者が居たら、預かってくれないか?」「いいけど?返さないよ?」「あ・・・あぁ帰りたいって者だけ返してくれればいい。半年位なら、お前の所の良さもあまりわからないだろうからな。」「了解。ローザスもそれでいい?」「あぁ構わない。最近になって婚姻する奴らが増えているんだぞ。すぐには無理かも知れないけど、子供も増えていくだろうからな。」「そうか、それは良かった。」
お茶会という事で、オイゲンも招待した。勿論、オイゲンの嫁達も一緒にだ。僕の所からは、僕とミルとエミールとウィンザーがでる。トリスタン達もヒト型になって参加する事になった。ルナとアデレードも参加する事になって、ローザスとハーレイから猛烈な抗議を受けたが、参加は覆らなかった。
18名の参加になった。ルナとアデレードが出るならと、ローザスがいい出したが、最初の日は、ファンが参加する事になった。
「おい。リン。本当に安全なんだろうな?」「オイゲン。Aランクの冒険者が何言っているんだよ。お前達の方が、僕達魔銀の矢シルバーアローよりもランクが上なんだから。守ってくれよ。」「おい。リン。ふざけるのもいい加減にしろよ。」「お茶が冷めますは、オイゲン様。」「あっぁぁエル。ありがとう。」「リンよ。お茶菓子はないのか?」「ん。あるよ。エミール。ケーキを出して。」「どのケーキにしましょうか?」「何があるんだっけ?」「今あるのは、”いちごケーキ”と”チーズケーキ”と”フルーツタルト”です。」「おい。リン。なんだそれは?いちごなんて有ったのか?」「あぁ苦労したよ。っていうのは嘘でね。いろんな村を廻っていると、その地方にしかない物とかが多いんだよ。今までは、それはその村だけで食べていたりしたんだけどね。神殿のおかげで交流が始まって、そういうその地方独特の食べ物が入ってくるようになったんだよ。その中に、”野いちご”みたいな物が有ったんで食べたら!ビンゴってわけ。まだまだ村々で消費する位しか作れていないから、苗や種を仕入れたり交換して、島で栽培を始めた所だよ。」「あぁぁぁぁぁぁ”いちごケーキ”もう食べたな!」「オイゲンリンと話をしているのが悪い。早い者勝ち!」「ウィンザー。僕は、甘くした珈琲頂戴」「はい。ミル姉。」「うん。それが終わったら、座って、ウィンザーお食べよう。ウィンザーの分のタルトはキープしてあるからね」「はい!ありがとうございます!」
「リン様。このチーズケーキ。美味しいですね。」「でしょ。後で、作り方を教えるね。エルフリーデならすぐに作れると思うからね。エミール。エルフリーデに教えてあげて」「はい。」「ありがとうございます」
「エル。俺の分は?」「は?ありませんわよ。先程、ルナ様が早い者勝ちだとおっしゃっていましたから、自分の分だけはキープいたしました。」「・・・。エル。こいつらに感化されないでくれよ。」「あぁそうそう、エルフリーデ。この炭酸もあるからね。欲しかったら言ってね。あと、最近作った物で、蜂蜜酒ミードもあるからね。」
「おい。俺を置いて勝手に和むな。」「そうだ、オイゲン。これならどうだ?」
「あ?ぶどうジュースか?違うな。ワインか?」「そ、酒精は殆どないから、とてつもなく上手いぶどうジュースって感じだけどな。」「あぁ確かにうまいな。ぶどうまで見つかったんだな。」「そうなんだよ。意外と果物や野菜に関しては、揃っているぞ。本当に流通さえしっかりしていけば、もっともっと上手い物が手に入るからな。ほら、ケーキもだけど、こっちも懐かしいだろう?ソースがまだイマイチなんだけどな」
たこ焼きを取り出して、オイゲンに渡した。
「ぉぉぉ。たこ焼き!暫く食べられないと思っていたんだけどな。あぁうまいな。うまいな。」「だろ?」「あぁソースがいまいちっていうけど、俺はすきだな。」「そうか、それはよかった。大量生産が可能になったら、島で売り出すからな。」「本当か?」「あぁあと調味料もいろいろ作り始めているぞ。」「何?」「ほら、お前にこれやるよ。」「お前、これもしかして・・・。」「あぁそうだよ。マヨネーズとケチャップだ。」「ぉぉぉぉぉ!!!!リン。ありがとう。これで、醤油があればもう食事には困らないな。」「醤油。あるぞってまだ、そんなにうまくないけどな。」「何?くれ!」「今日は・・・・ウィンザー持っている?」「持っていますが・・・」「ダメ。リン。あれは、僕の!」「だって、オイゲン。今度持っていってやるよ。」「どうして急に?」「多種多様な素材が手に入る事になった事が大きいけど、室を作ったのが大きいかな?」「むろ?」「あぁ醤油とか作る時に、雑菌が交じるとダメな事くらいは知っているよな?」「流石に、そこまで馬鹿じゃないぞ」「麹菌を浸かって発酵させる過程を魔法でかなり短縮できる事が判ってな。それでやってみたら出来たって感じだよ」「そうか、家でもできるのか?」「う~ん。生活魔法・結界魔法。時間魔法が使えれば、できるけど、後は、赤魔法がうまく制御できれば大丈夫だと思うぞ。もう少し待ってくれたら、一連の魔法を組み込んだ魔道具を開発するからな」「そうか、多分、眷属全員で当たればできるとは思うけど、すこし難しそうだな。しょうがない。魔道具が出来上がるのを待っているよ。」
こんなに優雅な時間を過ごしているが、先程から、弓矢や魔法が飛び込んでくる。全部、結界で防いでる。遮音効果もバッチリだし、今貼っている結界位なら僕や眷属が作られなくても、タシアナ印の魔道具で十分だろう。実地試験ができて嬉しい。あの魔道具を組み込んだカプセルハウスなら一般の人間程度の攻撃では壊される事はないだろう事がわかった。後は、実際に魔道具で結界を作ってやってみる事だな。今日は、デモンストレーションだけで、明日から本格的なリクルート活動を開始しよう。2万人の雇用が出来たら嬉しいな。野菜や果物も眷属に作らせているが、彼らにはもっと違う事をして欲しい。農作物や家畜の世話ややはりヒト族の方が優れていると思う。優劣ではなく、得手不得手の違いだ。
二日目も同じメンバーでお茶会を開始した。違うのは、眷属が空からビラを撒き始めた事だ。まずは、文字が読める者へのアプローチを開始する。マノーラ侯爵の紹介から始まって、島での生活での保証の事。奴隷解放の約束(除く、犯罪奴隷)。これらを書いた物をばらまく。あと、貴族での応募も可能としている。傭兵には、今の支払いや契約が解るものを持ってくれば、1.5倍で雇用するとしてある。
三日目は、今度は、お茶会の会場をすこし前進させて、眷属に貴族連合が陣を張る近くまで言って声での勧誘を始めた。免税は出来ないが、かなりの減税を約束すると言ってもらっている。土地や農地はまだまだあるので、今なら開拓した農地が自分の物になる。その場合には、3年間の免税を約束すると宣伝している。傭兵部隊には、眷属が身につけている武具を順番にはなるが、支給する事を約束する。罵声が飛び込んできているが、そんな事をお構いなしに宣伝をする。弓矢や魔法を打ち込んでくるが、魔道具で張った結界で防げる事が解っている。
やっと三日目で動きがでてきた。貴族に雇われている人間だろうか、剣士がでてきた。一対一の対決を所望するという事だ。誰が出るのかで、剣士の目の前でくじ引きをして決めた。第一戦は、ミルが引き当てた。「ミル。勝負にならないと思うから、ミルは魔法禁止ね。後、利き腕も使わないように。」「了解。」「あぁそっちの無様な剣士さんは、魔法を使えるのなら遠慮なく使ってね。」「成り上がりの小僧の部下の小娘なんかに負けるかよ。」「はいはい。そうですね。それじゃ始め!」
ミルが、一歩踏み込んだ相手が剣を抜こうとした手を蹴り上げた。それだけで、手首が曲がってはダメな方向に曲がっている。おっ何か、詠唱し始めた。それにしても遅いな。ミルも待ってあげているよ。やっと終わりそうだ。ファイアボールだった。なんだぁミルもすごく残念そうにしている。左手で短剣を持って、ファイアボールの魔法の核に切り込んだ。これで、魔法が霧散する。そのまま、ミルは相手に突っ込んでいって、剣の柄でみぞおちを攻撃。男が膝から崩れ落ちた。殺すまでもなく無効化出来た。
ミルが戻っていくのを見て、慌てて、貴族連合からヒトが飛び出してきて、男を引きずっていく。あぁ可哀想に・・・・。
「ねぇリン。あれは戦闘じゃないよね?たんなる練習だよね。」「ん?なんで?」「さっきのくじ引きは、戦闘の順番を決めるんだよね?」「そうだね」「だったら、さっきのは戦闘じゃないから、次も僕が出ていいんだよね?」「・・・えぇずるいミル姉ばっかり、次は私の番だから、ダメ!」「だって。ミル。諦めて、まだまだ戦いはあると思うからね。次は、順番通りイブンに譲ってあげてね。」「・・・しょうがないな。わかった。」
「おぉ次は、3人出てくるみたいだよ。後ろ二人は魔法使いみたいだね。どうする、イブン。こっちも三人で行く?」「う~ん。それじゃ面白くないから、私の次は、ルナ姉だから、ルナ姉と二人で行きたい。」「だって、ルナどうする?」「別にいいけど、イブン。後ろの二人の魔法使いお願いね。あたしは、すこし試したい事があるから、前の剣士とやるからね。」「はぁーい」「リン。魔法使うよ。」「う~ん。いいけど、殺さないでね。」「了解解っているよ。」
二人は、どこかに散歩するようなラフな格好で歩いて前にでていった。相手が何か言っているが無視して、戦闘状態に入らせた。
イブンが後ろの二人が詠唱し始めた時に、魔力の塊を飛ばして、魔法を霧散させている。なぜ詠唱が失敗したのかわからない様子の二人は再度唱え始めるが、同じ事の繰り返しになる。
ルナは剣士の前まで移動して、剣を構えて、剣に魔力を通す。あぁブレードかな?二人の剣が交差する。え?ルナは何をしたの?相手が、いきなり倒れた、あぁ現象だけ見ると、感電させたんだな。剣に雷属性付ける事もできたんだね。へぇ面白いな。炎や氷よりも、雷の方が致死性が低くていいかもしれないな。
ほぉイブンは、詠唱してる雰囲気を出して、大技を出すようだね。さて、何を使うのかな?殺さないって条件つきだと難しいだろうな。
ほぉそう来たか。面白い使い方をするな。黄魔法と黒魔法を組み合わせて、足下の土を泥に変えたんだね。どの位深くしたのかわからないけど、身動きは取れなくなっているんだろうね。確かに、剣士を無力化するには十分だけど、相手は、魔法師だよ、イブン。さぁどうする。まだ詠唱はできるみたいだよ。あぁ徐々に沈むようにしたのか、それじゃ集中力が乱れて、魔力を練り上げられないだろうね。僕達の様に無詠唱が出来なければ、防げないだろうな。かなりえげつない魔法だな。
「どうだった。リン?雷鳴剣の威力は?」「なに、その厨二病的な名前は?」「作った本人がそう言わないと使わせてくれないって言っているんだからしょうがないでしょ?」「・・・そうなんだ。でも、すごいね。汎用性はあるの?」「あるみたいだよ。魔核が5つ入る剣なら組み合わせ次第らしいけど、この剣は、最初からそれを考慮した作りになっているって話だよ。降るとほら・・・」
ルナが剣を一振りすると、雷だろうって音がなる。
「あぁそれで”雷鳴剣"なんだね。」「うん。”雷鳴剣”はワンメイクだけど、雷属性の剣は作れるってはなしだから、反応性はあると思うよ。」「そうか、僕もほしいな。あぁ”雷鳴剣”は要らないよ。刀に付与できないか聞いてみよう。」
「リン様。どうでしたか?」「イブン。すごいね。いつあんな魔法覚えたの?」
イブンの頭をなでながら聞いた。
「はい。サラナさん達の手伝いをしている時に、”田んぼ”を作る時に、最初魔法で耕すのですが、その時に思いついたのです。」「へぇすごいね。今度、やり方教えてね。」「はい!!」
敵さんはどうするのかな?諦めてくれると嬉しいんだけどな。
三日目の夜、カプセルハウスで休んでいるよ。眷属がやってきて「リン様。集団で誰か来ます。迎撃しますか?」「ん。いいよ。近くになったら教えて。」「かしこまりました。」
カプセルハウスのすぐ近くまで来た時に、一人の男が前にでてきて、「侯爵にお目通りをお願いしたい。」「侯爵はお休みになられています。」「そこを押してお願いいたします。」
「カエサル。いいよ。」「僕が、リン=フリークス・テルメン・フォン・マノーラだ。君達は....。名前はいい。何が望みか言ってくれたほうがいい。」
「・・・」「なにもないのなら寝るよ。カエサル。お帰りみたいだよ・・。」「お待ち下さい。侯爵様。先日からのお話について・・・。」「あぁ君達は、傭兵?農民?それとも奴隷?」「・・・儂たちは、この近くの村の者達です。本当に、儂たちに・・・。」「あぁ本当だよ。20人位か?カエサル。数名の眷属で行けるか?」「はい。問題ありません。」
「そうか、君達が疑う気持ちはよく分かる。だったら、自分たちの目で確かめてくるといい。30分位で戻ってこられるだろう。(パチン)」演出として指を鳴らしたが、もちろん、そんな必要はない。眷属たちが転移魔法で、島に移動した。青龍街道から移動できる。サイレントヒルかストーンリバーかパレスケープに入植すればいいかな?正直、神殿内部の調整だけして、上はあまり考えていなかったんだよな。まぁなるようになるよな。なってくれるといいな。きっと大丈夫。
さて一眠りするか・・・・。カプセルハウスにもどろうとしたら、次の集団が面会を求めてきたという。次は、奴隷の集団だった。身売りしたり、村で税を払えなくなり、奴隷落ちした者だった。デモンストレーションとして、女性を一人、奴隷紋を削除した。これで信頼してくれたのか、皆僕に従う事にしてくれた。そのまま、全員の奴隷紋を削除して、島に送った、後は、モルト達に丸投げする事にした。
最初に、島を見学しに行った連中が帰って来て、是非是非是非是非お願いしますと頭下げてきた。半信半疑だったようだが、島を見て回って、入植地として準備している場所を見て、それで納得したらしい。ただ心配なのは、村に残してきた家族の事だという。それも約束通り、まず一人を眷属がグリフォンを使って空から村に移動して、その後で転移して家族を説得できた者から、島に送っていく手順を取る。一人、村長の息子が居て、村長を説得できて、最終的には、村ごと入植する事になった。村長が居るのなら、入植地の調整も全部お願いできるのでかなり楽になる。あと、村を監視していた貴族連合の人間が居たが、眷属が縛り付けて村に放置しておいたという。
この夜だけで、約3,000人が陣から抜け出してきたことになる。明日の夜から、抜け出すのが難しくなりそうだな。なんとかしてあげないとな・・・・。
まぁなるようになるかな。
次の日も同じように過ごした。だが、僕は夜に仕事をしていたので、眠くなってしまっていた。お茶会の事を、オイゲンに任せて、今日は寝て過ごす事にした。これが正解だった。
日が落ちて暗くなった時に、今度は招かれざる客が来た。貴族連合の攻撃だった。ただなれない夜襲で自爆も多く。別に僕達が出て戦う程の事もなく、眷属に追い返されていた。その戦闘のさなか、また徴集されていた農民や奴隷達が抜け出して僕達に庇護を求めてきた。昨日と同じような対応をした。今日も全体で2,000名ほどだろうか、1/4が抜け出した事になる。そろそろ潮時だろうな。
次の日も昼間はお茶会を開いて戦場の中で優雅に過ごしていた。夕方になって、貴族連合に書簡を出した。
『今宵。昨晩、貴殿達が行ったように、夜襲を行います。備えを行っていて下さい。なお、一回とは限らないのでご注意下さい。』
の内容を書簡で届けさせて、後、今までと同じように眷属に大声で宣伝してもらった。
さてどうするか、日が暮れる前に見ていると、用心しているのか、しっかり備えをしているようだ。僕達約20名にそこまでの備えが必要なの?って思ってしまうが、まぁしょうがない。眷属の数を入れたら大軍だからな。
みんなに順番に、派手に音がなる魔法を打ち上げてもらっている。最後には、悪ふざけになってしまったが、鉄鉱石を細かく砕いた物を作成して、それに赤魔法を過剰にぶつけると、爆発するような感じになる。混ぜものに硫黄石を砕いたりすると色が着くのが判って、それこそ、花火の様になる様に調整し始めた。まぁ主に、僕とミルとルナがあぁでもないこうでもないといい出したからなんだけど、それでも夜空に咲く花とまでは行かないでも、綺麗な感じにはなってきた。今度、イリメリとかと研究したら、島の名物になるだろうな。
でも、今は、貴族連合が驚く事が重要なので、音がメインになってしまっている。爆発音で驚いて、光で驚いて、また静かになったと思ったら、音がするの繰り返しで精神が疲れて締まっているだろう。
次の日も同じようにする。僕達は順番に防音になっているカプセルハウスで寝ているので気にならない。締め付けが始まっているのか、二日共に抜け出してくる者はいなかった。
そして、花火を鳴らし始めて三日目の夜に。朝方まで慣らし続けて、多少静かになった時に、後方に2万の眷属を一斉に転移させて、貴族連合の陣に襲いかかった。まずは、兵站部隊を襲った。次に、貴族がいそうなテントは無視して、粗末なテントや陣から襲って、侯爵に寝返るのなら、連れていくと宣伝してもらっている。
戦闘は数分で終わった。結果、接触してきた者を全員島に送った。その後、眷属を戻らせた。
さて、これで撤退してくれるかな?それとも、全軍で突っ込んでくるかな?
次の日はにらみ合いになった。誰も出てこないし、夜も静かな感じだった。監視させていた眷属からの報告で、暗くなってから、貴族連合の首脳部と思われる陣から抜け出すように逃げ出しているという。捕えますかと言われたが、面倒になりそうだったので、無視するように指示した。
そして、次の日。眷属に『貴族は逃げ出したぞ!』と宣伝してもらった。これが効果的だったのか、まだ残っていた貴族も撤退を始めた。撤退と言っているが、要は逃げ出しのだ。奴隷や農民を捨てて、自分だけ助かりたい一新で逃げ出したんだ。右往左往している奴隷や農民達が全員庇護を求めてきた。承諾して島に送った。勿論格差はつけた。最初に下った連中は、入植地を自由に選んで貰った上に、免税も約束した。次の連中は、入植地はこちらで用意した場所になって、免税も行わない。最後に下った連中は、入植地は勿論作る作物を指示した。勿論、免税もなし。この条件で良い場合には、島に残る許可をだした。不満がある場合には、安全が確認されたら、村に戻す事を約束した。奴隷は犯罪奴隷以外は、全員解放して、今度どうするのかは自分で決めさせる事にした。傭兵は、約束通り、契約が分かればその1.5倍を払って、後はすきにさせる事にした。契約が解らない者は、どうするのかはその時点で自由にさせた。
ミヤナック攻撃部隊は全滅した。
島には、入植者が村の住民を含めて、2万程度増えた事になる。傭兵部隊の殆ども、島に残るようだ。ギルド登録をして、アップルグッドにホームを持つようだ。今回の契約で得たレインでそのまま建物を購入するみたいな事を言っていた。
僕にとって、すごく美味しい戦いだったな。こんな戦いなら何度やってもいいな。
「ミル。さて、ミヤナックも落ち着いたから、三塚マニュエルに面会しにいく?」「そうだね。僕は、殺さないように頑張るよ。」「うん。そうしてくれると嬉しい。そんな簡単に殺したんじゃ楽しくないからね。」「うん。わかっている。」

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品