【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

マヤからの提案

マヤがロルフと帰ってきた。マヤが、イリメリと何かを話している。疲れたと言って、今日は屋敷で休んでいると言う事だ。
僕達は、今日の作業を終えてから、マヤの話を聞くことになった。ロルフはそのままマヤの陰で休むようだ。
僕は、ギルドでアッシュから報告を受ける事になっていた。「アッシュ。それでどうした?」「はい。アデレード様とサリーカ様のご報告はお読みになりましたか?」「あぁアゾレムが守備隊と称して人を集めているんだろう?」「はい。その関係で、奴隷を他の国経由でも買い漁っているのですが・・・」「どうした?」「・・・。人数が合わないのです。」「ん?調べきれていないと言う事なのか?」「いえ。あ、その可能性もあるのですが、誤差の範囲内では無いのです。」「どういう事だ?」「私が調べた所ですと、奴隷が周辺領地や周辺国からの数で300を越えるのですが、アゾレム領内を調べても、50を少し越えるくらいしか確認出来ないのです。」「他の領地に演習に行っているとかの可能性は?」「はい。そう思いまして、アデレード様やサリーカ様の諜報部隊にもご協力頂きまして、調べましたが、10人単位の小隊を見つける事が出来たのですが、それ以上の人間を見つける事が出来ませんでした。」「そうか.....アッシュはどうおもう?」「・・・考えはあります。」「あぁ」「どこかに幽閉する施設を作って、その中で何かを作っている。」「そうだな。でも、それなら施設を見つける事が出来るだろうし、僕のように建築魔法が使えなければ一日でって事にはならないからバレるだろうな」「はい。それで気になって調べていたのですが・・・・。」「どうした?わかったのか?」「はい。それがですね....」「あぁ」「買われた奴隷達は、一箇所に集められた後でアゾレムの次期当主達が居る館に入っていきまして、その後誰ひとりとして出てきません。」「中で監禁でもされているのか?」「・・・・いえ。」「そうか、運び込まれる食事の量が増えていない事から、殺されていると見ているんだな。」「・・・はい。イリメリ様とフェム様はもう少し状況がはっきりするまでと申しておりましたが、アデレード様が話しておいたほうがいいとおっしゃって....。」「・・・・リン様。」「あぁ悪い。それで」「はい。イリメリ様とフェム様がアデレード様とサリーカ様と話をして、アゾレムに向う街道のすべてを監視対象にするように依頼されまして....」「あぁ解った。その監視部隊に、戦闘部隊を参加させろ、そして、アゾレムに向う商隊を全部拿捕しろ。」「はい。かしこまりました。リン様」「なんだ?!」「部隊の人間に、以前虜囚とした人間の鎧や武器をもたせたいのですが、よろしいですか?」「あぁかまわないぞ。あぁそうか、アッシュ。ありがとう。そこまで気が回らなかった。」「いえ。それでは、そのように手配致します。」「あぁイリメリとフェムには礼を言っておいてくれ。それから、商隊でアゾレム以外に向う商隊は拿捕した後に通過させろ、アゾレムに向う商隊はすべて拿捕して、監獄に送っておけ。背後関係を確認した後に、監獄においておくか、ギルドの商人になるのならそのようにしろ。あと、ギルドカードを持つ商人がアゾレムに入るような場合には、警告を出すようにしろ。」「かしこまりました」「あっアッシュ。もう一つ施策を打っておきたい。」「はいなんでしょう。」「お前の本業での事だな。」「・・・・?」「アゾレムが手を伸ばしている奴隷商から奴隷を買い漁ってこい。そうだな。費用は....」魔法の袋マジックポーチ(中)を5個アッシュに投げ渡した。「失敗作だ。それでも、売ればかなりのレインになるだろう?」「!?リン様。これは....」「魔法の袋マジックポーチだ。僕が作った物で、中にしかならない上に他に魔法が載せられないから、ただ沢山入るポーチにしかなっていない。」「中というと...」「100アイテム99個だな。」「!!。これを売りに出すのですか?」「あぁ宰相派以外の貴族や豪商に売れば、それなりの資金になるだろう?」「はっはい。」「頼むな。アゾレムの資金が足りなくなるように高値維持になるようにしてくれ」「かしこまりました。」
立花達は、奴隷を殺している。憂さ晴らしなのか、それとも何か理由があるのかは解らない。そのうち、領民にまで手をだす可能性がありそうだな。
「サリーカかアデレードは居る?」「なんじゃ。」「あぁ良かったアデレードにお願いと話がある。」「・・・アゾレムの事か?」「うん。」「冷たいようだが、奴隷の事は放っておくのがいいじゃろ」「ううん。違う。領民の事だよ」「領民?」「そ、今、アッシュに言って、奴隷を買いにくくするのと、買った奴隷を奪うようにはしたんだよ。そうなると、あいつらは領民に手を出すかも知れないんだよ。」「まさか、領民が居なければ、自分たちが困るくらいは解るだろう。」「そうだね。でも、今レインは例の投資詐欺がうまく回り始めているから、大丈夫と思っていると思う。」「・・・・そうなのか?」「うん。ローザスとハーレイからの連絡で、順調に投資額が増えているみたいだよ。僕達の関連がそろそろ宰相が掲げているレインの半分近くになっているのは間違いないからね。」「どのくらいなんじゃ?」「大金貨で5枚って所だと思うよ。」「だっ大丈夫なのか?」「ん?マノーラ家の財政?」「そうじゃよ。」「うん。モルトに言って、ニノサ達が残してくれた、魔核を通常価格の倍以上の値段で、宰相派の貴族に売っているからね。」「はぁ?なんじゃそれは...」「どれの事?」「通常の倍以上とか、売れるのか?」「うん。多分、もう少し値上げしても売れると思うよ。特に、宰相は今投資詐欺がうまく言っているから、レインが沢山あるように思っているだろうからね。」「あぁ・・・・。そうか、ギルドで魔核を買い占めているんだな。」「語弊があるな。ギルド支部がない貴族の領内で、貴族が提示している金額よりも高い金額で買い取っているだけだよ。」「・・・。ギルドは大丈夫なのか?」「ん?金銭的な事?」「そうじゃ」「うん。値段のコントロールをしているからね。それに、貴族に売りに行く様な小さな魔核を高くしてもたかがしれているからね。ギルドは、その小さな魔核をまとめて大きくして売っているから、元は取れているよ。」「そういう事なんだな」「そ、小さな魔核を買い占めて、ある程度の大きさの物を貴族や豪商に売る。そのときに、宰相派なら輸送費とか言って高くするって言う事だな。」「そういう事。」「ギルドも儲かるし、マノーラ家も損をしていない。実際、魔核の売上で、投資した以上のレインを稼ぐ事ができたんだよ。」「・・・・。宰相が可哀想になってくるぞ」「それでね。アデレードにお願い何だけどね」「なんじゃ。愛しの旦那様」「うん。僕の奥様。話を聞いて欲しいんだけどいいかな?」「あぁ話してみよ」「うん。アゾレムは経済的にはまだまだ追い込まれていないけど、奴隷の購入や物資の面では追い詰められ始めていると思うんだよ。」「そうじゃな。」「そのときに、彼らが取りそうな事が、僕達から奪う。よその領地を襲う。領民から搾取する。だと思うんだよね」「・・・。そこまでするか?」「うん。すると思う。この中で1番は、小屋の襲撃に失敗して、その後手出しをしてこない所を見ると、暫くは無いと思う。有っても不思議は無いし、そんなに困るような事はない」「そうじゃな。別に、あそこを死守する必要は、戦略的にも無意味だしな。戦術の幅が広がるってだけでしか無いからな」「うん。次にあそこを攻められたら適当に戦って負けるつもりだよ。奴等は、僕達に勝ったと言いふらすだろうね。」「あぁ・・・。」「それはまぁいいよ。その時の情勢次第で考えれば、2番目は勝手にやってって事だけど、マガラ渓谷があるし、マガラ山脈を横断するように、マガラの長城があるから、簡単に突破させる事はないと思う。アロイを越えて、メルナに入ってきても、それは戦力を細長くする事を意味するから、渓谷で空からの攻撃を加えればいい。僕達の領地で心配なのは、イスラ大森林だけだけど、あそこを領地にしてもすぐにレインになるわけではない。そうなると・・・・」「あぁそうじゃな。北上するしかないだろうな。」「うん。僕達は自分の領内を守るだけで、奴等が共食いをはじめてくれるって事なんだよ」「・・・。」「後は、蠱毒にならないように、時折戦力を削るように小競り合いをすればいい。」「なんじゃ。"こどく”とは?」「説明は、後日イリメリに聞いて!」「あぁ解った。」「それで簡単なのが、”領民から搾取する”事だと思う。」「そうじゃな」「うん。これをやめさせる王国の法律とかはあるの?」「う~ん。無いな。有っても意味がない。税金の設定をするのは、領主の特権だからな。その上で払えなければ、物納と言う制度を使ってなんでもそれこそ人の命さえも納付させる事が出来るからな。」「そうだよね。って事は、村単位で逃げ出すとかしないと駄目なんだろうね?」「・・おぬし、領民を助けようとしているのか?」「うん。おかしいかな?」「あぁおぬしやマヤを見捨てた奴等じゃよ。捨て置け」「違うよ。彼らは、彼らの出来る範囲で頑張って生きると言う選択肢を選んでいるだけだよ。」「・・・。」「僕は、彼らの取った選択肢は許さないけど、彼らには生きて償ってもらう。」「・・・解った、それで、妾は何をすればいい?」
「うん。サリーカと協力して、アゾレムの村々で、噂を流して欲しい。」「噂?」「うん。噂は二つだね。いや、三つかな」「なんじゃ」「一つは、アゾレムが領民をさらって殺している。と言う噂もう一つは、リン=フリークスが貴族になって、領民を募集している。と言う噂最後は、満月の深夜に現れる商隊に頼むと希望者は新しい入植地に移動できる。と言う噂」「いいが、それだけでいいのか?」「うん。これ以上は手を貸す意味は無いからね。頼むよ。」「了解した。サリーカと話して眷属を使ってうまくやるぞ。」「うん。眷属は足りている?」「あぁ国家が相手でも諜報活動では負けないぞ。お兄様から貸して欲しいと言われる位だからな。」「貸してもいいけど、ふっかけてね。」「あぁ分かっている、眷属1体を一年間で、白金貨一枚って言ってある。」「そりゃぁいい値段だね。ローザス乗ってこないかな。それだけでマノーラ家は安泰になるんだけどな。」
『リン様。少しお時間よろしいですか?』『ヒューマ。どうした?珍しいな』『はい。リン様の眷属になりたいと魔物たちがまた来ています。どういたしましょうか?』『どこに来たのか?』『はい。今は、マガラの長城やメルナ森林やイスラ大森林に、魔物達が使う 転移門トランスポート がありまして、そこに小屋を作っております。』『あぁ聞いている。魔核を持っている物でも魔核を持っていない物に率いられている部族なども庇護を求めて来るようになってしまいました。』『そうか、そろそろ、地下二階では手狭になってきたのか?』『申し訳ありません。種族間の事もあり、なかなか同居が難しい事もあります。』『わかった。今日は難しいが、近々解決方法を考える。』『ありがとうございます。弱い種族は、メルナ森林に集落を作らせます。強い種族は、イスラ大森林に集落を作らせるでよろしいですか?』『あぁそうしておけ。』『かしこまりました』
組織が大きくなると大変だな。社長が沢山給料貰うのがわかった気がするよ。
もう今日の営業は終わりにしていいかなと思って、部屋を出た。まだ駄目な様だ。ナッセとナナが慌てて近づいてきた。「リン様」「リン」「あぁ解った。何?」「ギルド支部なんだけどね」「ナナ。部屋で話そう。立ち話って話ではないでしょ」「そうね。ナッセも同じ用事」「はい。大筋は...。」「それなら、一緒に話をするか...報告書には一応目を通しているし、問題は無いんだろう?」
そう言いながら部屋に入って、ソファーに座った。このソファーも実はMOTEGI商会の売り物だ。日本での記憶を頼りに、整形して柔らかさを追求したソファーでお気に入りだ。
「リン。あんた。秘書を雇いな。」「秘書?」「イリメリやフェムやアデレードでは駄目なの?」「あぁあの子達でもいいけど、マノーラ家の色が強い上に、嫁になるんだろう?」「うん。」「だから、ギルド本部のオーナ職としての秘書が必要なんだよ。」「あぁそういう事ね。ナッセやナナは支部長の地位にあるから、地位を逸脱する事が出来ないし、やったら組織が成り立たないと言う事だね。」「そういう事。あんたに護衛が必要ない事は分かっているけど、常にギルドに居るわけじゃないんだろ?だから、ギルドの事を調整する秘書が必要なんだよ。」「あぁ....マノーラ家の予定は、モルトがやっているから、モルトと調整してもらえるような人間がギルド側にも必要だって事?」「そう考えてくれていいよ。」「ちょっとまってね。あと少ししたら心当たりがある人材が掴まるかも知れないからね。」「だれそれは?」「う~ん。多分、大丈夫だと思うんだけどね、ポルタ村の村長。」「え”お前たちを裏切ったんじゃないのか?」「多分、状況に流されただけだと思うよ。でも、村長なら完全な秘書は無理でも簡単な連絡係や客への対応は出来るでしょ」「あぁそうだな。会ってみないとわからないけどな。」「うん。村長を近辺に置くのは、僕に敵対した人物でも能力があれば用いますよってサインにもなるし、アゾレムの他の里の村長や領主の心を動かすきっかけにはなるとおもうよ」「あんたねぇ....」「暫くは、眷属でいい?連絡がすぐ取れるほうがいいんだよね?」「そうだね。それだけでも居てくれたら助かる。」「解った」【召喚-レマー】【召喚-ヨフム】「「主様。御前に」」「うん。お前たちに頼みがある。ここでギルドと僕の連絡係をして欲しい、秘書の様な物だね。できる?」「かしこまりました。主様への用事をお聞きして、お伝えすればいいですか」「そうだね。後は、面会の予定とかは、屋敷に居るモルトに伝えてくれればいいからね。」「それでしたら大丈夫です。」「うん。よろしく頼む」「はい。」
「ナナ。この二名を僕の秘書(仮)にしておくよ。」「レマーともうします。よろしくお願いいたします。」「ヨフムです。よろしくお願いします。」「二人はギルド本部に常に居るようにしてね。二人とも出かける時には、誰か代わりの者を連れてくるようにして」「かしこまりました。」「ねぇリン。この二人は?」「あぁ確か、オーガだったよな?」「はい。オーガから進化をしまして、鬼人となっています。」「だって、ナナ。大丈夫だよね。」「まぁ大丈夫なんじゃない。」「それで、ナッセの話は?」「あっ秘書の話と、ギルド支部での相談です。」「ギルド支部?」「はい。ギルド支部を増やして欲しいと言う要望が出てきていまして・・・。」「増やせそうな所は、あるの?」「3箇所の国境の街シャルムには設置可能だと思います。」「そうか、それならまずは、国境の街シャルムに増やしてから様子を見るか?」「そうします。あと、リン様。」「なに?」「ご婚約の発表はいつなさいますか?」「ん?」「ギルドにも貴族や豪商からの問い合わせが多くてですね....。」「あぁそんなにあるのか?」「はい。まだ業務に支障はでるとか・・・では無いのですが、貴族はローザス様のおかげで抑える事が出来るのですが、商人の方が、面会させろとかいい出す方が多くてですね」「そうか、もう少し待ってくれ、それと、僕個人に対しての事なら、メルナの屋敷を尋ねろって言っていい。モルトまで辿り着ければ話くらいは聞いてやることにするよ」「あぁそうですね。守衛所まで行ければ・・・たしかに・・・。」「それで頼むね。国境の街シャルムのギルド支部は、場所の調整とか終わったら知らせてね。」「かしこまりました」
ナナとナッセの話も一通り終わった。後は、現状なんかを聞いている。商人が中心だった登録者が、地方に転移門トランスポートが出来始めた事もあって、冒険者への登録者も増え始めている。パーティ機能を使う者達も出てきていると言う事だ。
「あっそうだ、ナッセとナナにお願いが有ったんだ」「はい?」「ギルドの冒険者や商人達に通達して欲しいんだけどね。ギルド登録者を戦争や紛争に駆り出す事はないって事を明確にしておいて欲しい。」「??」「多分近いうちに、アゾレムや宰相派がギルド施設に対して何らかの攻撃をしてくると思うんだけど、ギルドの職員やマノーラ家の人間で対応して、ギルド登録者を戦わせる事はしないって事を行っておいて欲しい。勿論、希望者は歓迎するけど、命令するような事はないって事。」「いいのか?」「うん。冒険者には、冒険をしてほしいし、商人には商人の仕事があるだろうからね。それを捻じ曲げる様な事はしたくないよ。」「わかったわ。」「かしこまりました」
ナッセとナナが部屋から出ていった。レマーとヨフムを残して、今度は、屋敷に転移した。
モルトに、執務室に居るから皆が揃ったら呼びに来てとお願いした。「モルト。」「はっ」「僕への求婚とかそんなに来ているのか?」「・・・はい。」「そうか、やはりパーティでも開いて、婚約を発表しないと駄目かな?」「はい。それがよろしいかと思います。」「解った、今日にでも皆と相談してみるよ」「お願いいたします。」
一礼してモルトが出ていったので、溜まっている書類に目を落とす。正直、日本に居る時の方が楽だったと思うが、やりがいがあるのも事実だ。陳情に関しては、知らんと言い切る事が出来るが、切実なお願いも中に含まれている。それらに対して、眷属を動かして対応する事にしている。学校に関しての問い合わせも増えている。寮があり食事が出る上に給金までもらえるとなるとそりゃぁ入りたいと思うだろうな。そろそろ、試験とかが必要になってくるだろうな。無条件に受け入れられないし、教員の数も足りなくなってしまうからな。いい人材が居たら、校長先生をさせたいんだけどな。
「リン様。マヤ様がお呼びです。」「あぁ解った。食堂かい?」「はい。」
マヤが呼んでいるって事は、女性陣との話は終わったのかな?食堂に向う事にした。
「マヤ・・・。ん?皆は?」「皆には先に話をしてある。リンには私から話をしたかったから・・・。」「あぁそれで何?」「うん。あのね。ここ暫く、留守にしてごめんなさい。」「いいよ。寂しかったけど、マヤにもやることが有ったんだろうし、僕のためなんだよね?」「うん。やっと全部調べ終わったよ。」「あぁ」「リンを一人にしないためにね。」「それが”七つの神殿と一つの島”の攻略なの?」「そ、ミル。イリメリ。フェム。サリーカ。ルナ。タシアナ。そして、アデレードに、攻略してもらう」「え”僕じゃなくて?」「うん。皆もそのつもりで準備をしているよ。」「・・・。それは、僕じゃ駄目なんだね。」「うん。駄目。それだと、彼女達がリンと一緒にいられないからね。」「そうか...解った、もう決めたんだよね。」「うん。決めた。」「どうやって攻略するの?」「リンが、マガラ神殿でやったような事なんだけど、これからは少し事情が違うんだよ。」「??」「”七つの神殿と一つの島”の殆どが、迷宮ダンジョンになっているから、それを攻略する必要がある。」「あぁそうか、マガラ神殿みたいになっていないって事だね。」「そ。それで、場所の特定に時間がかかったって事なんだよね。」「そうかぁ場所はわかったんだよね。」「うん。島に関しては、辺りが付いていたし、他の神殿に関してもなんとなくは解っていたからね。各々の場所に赴いて確認してきた。」「・・・・そうか、危険は沢山あるだろうけど、大丈夫なの?」「そうだね。迷宮ダンジョンと相性のいい眷属と一緒に行けば大丈夫だと思うよ。」「そうか、最終的な攻略時に、彼女達が行えばいいのなら。僕が一緒でもいいんじゃないの?」「そうだけど、駄目。これは、皆の総意なの。自分たちの為でもあるから、自分たちだけでやり遂げる。だから、リンは期待して待っていてって事。」「・・・・解った。全員無事に帰ってきてくれると約束してくれるのなら、いいよ。出来ないのなら、無理矢理にでもついていく。」「アルセイドの名において約束する。リンの大切な人間は誰一人として欠けさせない。失なわせない。奪われない。」「解ったよ。マヤ。勿論、マヤもだよ。無事僕の所に返ってくるんだよ。」「勿論だよ。もう、リンを一人になってさせてあげないからね。」「うん。約束だよ。約束破ったら、死んでも許さないからね。」「大丈夫だよ。お兄ちゃん!」
「リン。そうだ。お願いが有ったんだ」「ん?」「私は、ロルフの陰移動とかで移動ができたんだけど、彼女たちはできそうに無いから、グリフォンを貸しておいて欲しい。」「いいよ。」「あと、時空の袋タイムシフトポーチ魔法の袋マジックポーチを人数分用意しておいて欲しいんだけど、駄目かな?」「いいよ。でも、殆ど全員持っていると思うよ。」「うん。アデレードとタシアナとフェムが持っていないって言っていたよ」「そうだったかな?まぁ3つ位なら素材があるから作っておくよ」「ありがとう。流石に、全部の攻略を一度にやろうとは思っていないよ。順番に一個一個やっていく事にするよ。」「うん。そうして、マヤにもだけど、皆に逢えないのも寂しいからね。」「そうだね。攻略終わって帰ってきたら、新しい嫁が増えていたなんて事にしないとならないからね。」「マヤ。大丈夫だよ。」「どうだか、リンの人誑しは本物みたいだからね。狙っている娘は多いからね。」「・・・・皆にも承諾を取らないとならないけど、攻略を始める前に、婚約披露パーティでもしない?」「??」「前から、モルトとかから言われているんだけどね。マノーラ家としてパーティを開いて、貴族や商人を招いて今後の付き合いを考えさせる必要があるって言う事なんだよ」「うんうん」「そこで、マヤをはじめ皆を婚約者として紹介したいと思うんだけどどうかな?」「嬉しいな。皆も同じだと思うよ。」「それなら、後で皆に説明とお願いをしないとね。」「うん」
マヤが抱きついてきた。いろいろ抱え込んで居たんだろう。言ってくれればと言う思いと僕の事を気遣ってくれた気持ちが嬉しい。でももう抱え込まなくても、皆で分担して背負い込めばいいだけだから。
「ねぇリン。体調悪くなったりしていない?」「ん?大丈夫だよ。」「そう....体調悪くなったりしたら言ってね。」「あれ?もしかして、マヤは、僕の種族の事を言っているの?」「!?」「あぁそうだったんだね。ありがとう。でも大丈夫だよ。もう大分前に気がついているからね。」「そうだったの?」「うん。初代と同じになったんでしょ?」「それ以上の可能性もあるよ」「そう?死ににくいじゃなくて、死なないになったかもしれないって事だね。」「うん。でも、殺されないってわけじゃないからね。」「解っているよ。身長だけはもう少し伸びてほしかったけどな・・・。」「多分、まだ成長はすると思うよ。全盛期で成長が止まるみたいだからね。」「マヤも?」「どうだろう?種族が妖精族になっているし、姿形も変えられそうだからね。リンの成長に併せるよ」「よかった。マヤを残して逝く事はなさそうだね。」「そうだね。リンを残して逝く事はないよ。」「あぁそうなんだね。」「ん?どうしたのリン?」「彼女たちは、僕と同じになろうとしてくれているんだね。」「・・・。出来るかはまだわからないけどね。少ない可能性でも試してみたいと彼女たちは心の底から思っているんだよ。」「そうか、それなら余計に笑って送り出さないと駄目だね。」「うん。」
マヤをゆっくり抱きしめた暖かいぬくもりを感じる。これからも、このぬくもりを手放すつもりはない。僕は、ここで生きると決めたのだ。

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