【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

幕間 新しい家

衝撃的だった。メルナの屋敷で話を聞いた後でリン=フリークスの近況を聞いた。神崎ではないかと疑っていた、立花達は間違っていなかったが、間違っていたのは一点だけ自分たちが”真命を変えられない”から他の奴にも出来ないと言う錯覚になってしまった事だ。リンはこの事だけは隠し通している。本当の真命も、転生者と転生者の身内にしか見せていないんだと言う。
それを聞いて、アスメデ=ポーデン・パズリッドの事を思い出した。俺の真命を知っている。その上大きな借りがある。それを、リンに話をしたら、中里サリーカに調べさせると言う。なんと答えはすぐに帰ってきた。15人程度の中規模の商隊のリーダで、どこの派閥にも属していない。今は、ルキウス領に居るんだと言う。
「オイゲン。接触も可能だけどどうする?」「接触?」「あぁお前が会いたがっているって伝言位なら伝えられるぞ」「いいよ。まだ約束レインも用意出来ていないしな。」「なんだ。借りがあるのか?」「あぁ嫁達を奴隷にとして俺に預けてくれたのが、アスメデさんなんだよ。」「そうか、どのくらい必要なんだ?」「実際には、金貨で50枚だけど、100倍にして返すって大見えきったからな。」「大金貨5枚か....イリメリ。」「はいはい。家の旦那さんは優しいからね。」「そうは言うけど、家のMOTEGI商会のトップがどっかに借りがある状態は良くないだろう?」「・・・リン。俺は...」「馬鹿、お前のためじゃない。お前の可愛い嫁のためだし、何よりも、僕の気分の問題だ」
袋を投げられた。中身を確認すると、大金貨が5枚と金貨50枚が入っている。
「”それ”も貸してやるから、しっかり稼いで返せよ。」「あぁ....わかった」
結局、なし崩し的に、リンからレインを借りる形になった。袋はくれてやると言われた。それほどの価値はないだろうから、そのまま受け取って、宿で待っている嫁達の所に戻った。アスメデさんには、ウォードかアゾレムに付いたらギルドに連絡を入れて欲しいと伝言を頼んだ。リンというか、イリメリ(そういやぁ真命まだ聞いてない)さんから、新しいギルドカードを作るからと言われて、新しいカードを嫁達を含めて作ってもらった。このカードがあれば、すべての転移門トランスポートを使う事が出来るのだと言う
宿で、エルやコリンズ達に話をした。そして、金貨を袋から取り出した時に、エルが叫んだ。「オイゲン様。その袋は?どうなされたのですか?」「あぁリンの奴に貰った。使い勝手が悪いからいらないって言われたから金貨をいれるのにちょうどいいから貰ってきた。」「・・・・。オイゲン様。その袋を見せてもらえますか?」「いいけど、普通の汚い袋だよ」
エルに袋を渡すと両手で受け取っている。そんなに大層な物ではないと思うけどな。中に、大金貨5枚入っているから大金って言えば大金かぁ日本円で5億円位?
「オイゲン様。間違いありません。この袋は、魔法の袋マジックポーチです。それも特大サイズです。」「ん?なにそれ?」「コリンズさんやシャトルフさんが持っている荷物をお借りしてもいいですか?」「・・・あぁいいよ何するの?」
エルは、コリンズやシャトルフの荷物を、小汚い袋に詰めていく。大きさ的に無理だろうと思ったが、全部の荷物が入ってしまった。
「え”どういう事?」「こういう袋なのです。」「え”それってもしかして、ものすごく高いの?」「・・・・そうですね。私の鑑定の数字が初めて見る桁になっています。1,000,000,000,000レインですね。白金貨100枚って所です。それに魔法的な処置も施されていますので、もっとするかもしれません。」「・・・・・えぇぇぇ。どうしよう。エル。何の遠慮も無く貰っちゃったよ。くれるって言うし、汚い袋だったし、金貨をいれる為の袋だと思ったんだよ。」「・・・。後でしっかりお礼をいいましょう。多分、返すと言っても受け取らないでしょう。なんとなく、侯爵の人となりが解ってきました。」「そうだね。そう言えば、魔法的な処置?って何か解る?」「あっちょっと待って下さいね。」「ん?」「侯爵からの手紙が入っています。あっこれは私でも読めます。私宛の手紙のようです。」「なんて書いてある?」「イリメリさんからです。お互い、厄介なヒトに惚れてしまいましたね。これは、エルさんにせめてもの餞別です。そして、これをうまく使ってください。オイゲンさんとエルさんとコリンズさんとシャトルフさんとヴィネッティさんを登録してあります。それ以外のヒトには仕えなくなっています。それから、家の旦那さんの趣味で、魔法の袋マジックポーチが魔改造されていまして、減速の魔法がかかっています。時空の袋タイムシフトポーチの様に時間を止める事は出来ませんが、かなり時間の進みは遅くなります。多分1分進むのに1日程度かかると思います。後、これから狩りに出たりした時に、倒した魔物はこの中にそのまま収納してください。魔法の袋マジックポーチが、解体をして魔核と部位に分けてくれます。食べられる物は、そのまま食料とする事が出来ます。もし、特別な捌き方をする場合には、いれる前にするようにしてください。最後に、私達のリン=フリークスも”たいがい”な人物ですが、オイゲンさんもかなりの物だと思います。しっかり手綱を握りましょう。今度ゆっくりお話が出来たらうれしいです。それから、マヤ・アルセイドも会いたいと言っております。それでは、イリメリ=ジングフーベル・バーチス」「・・・・。」「あっ最後が読めません。オイゲン様なら読めるんじゃないのですか?」「・・・。茂手木君へ。嫁達と仲良くしてね。静川瞳(静川さんだったんだ.....。仲直りしただけじゃなくて....。)」
「オイゲン様。どうしましょうか?」「どうするって?」「これってとんでもない物ですよ。それこそ、大金貨5枚なんて小指の先程度の物です。」「あぁでも、リンとの約束は、大金貨5枚だからな。まずは、それを返すため頑張る事にするよ。それに、魔法の袋マジックポーチがあれば探索や狩りの時にかなり楽できそうだからな。くれるというモノは遠慮なく使わせてもらおう。」「そうですね....。」
「ねぇノリ様。今日もスパに行くのですか?」「あぁぁぁぁぁぁ・・・・忘れていた........。」
25階の宿に泊まる時に、家族風呂があって、皆の裸を見るつもりだったのに.....。衝撃的な事が起こりすぎて忘れてしまった。
「うん。そうだね。スパに入って、ご飯を食べに行こう。」「うん。僕。ここのスパ好き」「ヴィネッティも好き!」「そうだな。リンの奴に邸宅を提供してもらうから、その時にお風呂は作ってもらおうな。」「うん!」
スパに入ってフードコートで待ち合わせをした。手ぐすね引いていたかのように、オセロ大会に付き合わされた。何戦したか解らないが、ハンデとして、3人同時に相手にしてみたが、無難に勝てた。エル達が出てきたので、今日はここまでって事にして、再戦はもっと強くなってから、そうだな。誰かに10連勝出来た物が俺への挑戦権を得ると言う事にした。暫くは、ギルドで活動するから、フードコートにも顔を出すからその時に話しかけてくると言う事になった。何を隠そう。俺は、日本に居る時でも、オセロには自信がある。コンピュータ相手のゲームでは最強に設定しても余裕で勝てる。最強ではないが、負けることはないだろうと思う。それこそ、チート能力者でもない限り大丈夫だろう。
フードコートでご飯を食べてから、地下二階に移動した。本当に、すんなり移動する事が出来た。
学校の食堂の様な所で、母さんを呼び出してもらった。
「オイゲンどうした?ギルドの人は?」「あぁ大丈夫。俺もギルドのメンバーになったから、ほら」ギルドカードを見せる
「あぁ本当だ、へぇどこにでも行けるカードじゃないのかい?」「解るの?」「あぁそういう事を含めて教えてくれるんだよ。そこの学校って所でね。」「へぇ....そうなんだぁ」「それで今日はどうしたの?」「あぁそうだった。母さん。ここの侯爵と知り合いになって、今度皆で話をしたいって言われたけど、母さんにも来て欲しいんだけどいいよね?」「へ?侯爵って、マノーラ侯爵様?」「そ。」「・・・あんた何したんだ?」「何も、それを含めて、話をする場を設定するって事だよ。でも、悪い事は一個もないよ。」「そうなの?エルフリーデ様も一緒にいたのかい?」「あっはい。お母様。大丈夫です。侯爵様は、オイゲン様の事を高く評価されて居ます。今度、邸宅を用意していただける事になりました。」「ほぉ....そうなのかい?」「あぁ迷宮ダンジョンの25階への初めての到達者って事でな。」「あぁその話はこっちにも流れてきているよ。あんただったのか?」「そう。それで、母さんが地下二階で働いていると言ったら、それなら是非話をしたいって言ってくれたんだよ。」「エルフリーデ様もそう言っているのなら大丈夫だろうね。」「はい。お母様。それから、私の事は、エルとお呼びください。オイゲン様の妻になるので、いつまでも、お母様に様付けされるのはなんとなく疎外感が....。」「あぁそうだね。エル。バカ息子をこれからもよろしくね。」「はい!一生一緒に居ます。」「バカ息子はないだろう。そうだ、それで、侯爵から、邸宅の場所は、メルナ森林街に向う街道の休憩所に作る事になったんだけどな。その時に、街道沿いで、宿屋と食事処をやらないかって言われてな。母さん。宿屋の方をお願いできないか?」「いいけど、侯爵様の話を聞いてからだね。食事処はどうするんだい?」「侯爵が明日にでも奴隷を探しに行くって言っていた。」「お前も一緒に行くのかい?」「そのつもりだよ。」「ならいい。わかった、宿屋は父さんの夢でも有ったからな。引き受けるよ。食事処と宿屋を一緒に出来るようなら、一緒にして、従業員を兼用できたら楽できそうだな。」「あぁそうだね。その時には、母さんを入れないでどのくらいの人間がいればいいんだ?」「そうだね。食事は朝と晩だけにして、酒精の飲み物を夜だすとしたら、食事に2名でホールに2名でその他に2名で6名って所かな。その子達の住む所も必要なんだろうな。」「わかった。ありがとう。それじゃ母さん。侯爵の予定が決まったら知らせに来るよ」「あぁ待っているよ。」
地下二階から、地下三階の宿に移動した。正直、もう何も考えたくない。ベッドにそのまま横になって眠ってしまった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「オイゲン様。オイゲン様」エルの声だ「侯爵様がお見えです。」侯爵誰だ?「ノリ様。起きないと、リン様が宿の一階で待っていますよ。」そうだ、今日はリンと奴隷を見に行ったり、邸宅を建築する場所を見に行くんだった。
すぐに起きて、皆に服を着るように言って、自分も服を着て、宿の一階に向かった「オイゲン。ゆっくりだな。まだ寝るのなら一回出直すぞ」「いい。もう起きた。」「そうか、悪かったな。起こしてしまったようだな。」「いい。それよりも、どこに行くんだ?」「あぁそうだな。まずは、奴隷商に行こう。いい人材が居るかわからないからな。その後は、メルナに飛んでから邸宅や宿屋の位置を見に行く。」「そうか、分かった。」「オイゲン一人でいいんだよな。」「あぁ」「そうか、それなら行くか?まだ何かあるのなら待っているぞ」「ちょっとまってくれ」
「エル。今日一日侯爵と行動するから、俺が居ない間時間が有るようなら、日用品とか服や着替えを買いに行っておいてくれないか?」「え、はい、かしこまりました。」「あっそういう事なら、エルさん。地下三階のショッピングモール...藍と紫の間にある店の二階にあがって、そこの”赤い髪の毛の女の子"か”黒髪を長くして腰くらいで束ねている女の子”に、リン=フリークスに言われてきたって言えば、いい服を紹介してくれると思うよ。」「え、わかりました。行ってみます。」「うん。反応が薄かったら、MOTEGI商会のトップの嫁だって名乗ればいいよ。」「・・・・。はい。」
「それじゃ行くか。」「あぁ頼む」
リンが転移をした。まずは、ギルド本部に飛んだんだと言う。そこで、ナッセと言う老人を紹介された。ニグラ支部を任せている人間だと言う。ギルドを出ると、隣の建物に、MOTEGI商会と書かれている。MOTEGI商会のホームとなる建物らしい。中では、エルフのお姉さんが窓口業務をしている。ここでは実質的には、何もしていなくて、商人や貴族との打ち合わせの場所に使っていると言う事だ。MOTEGI商会は小売はしてい無くて、大口や物品の供給が主な役目なんだと言う。珈琲と砂糖とミルクのセットは、ミヤナック家が独占販売している。今は、おもちゃ系を試験的に貴族に販売しているのだと言う。オーナはリンだが、実際には、俺が好きに使っていいとの事だ。小売をはじめたければやってもいいが、思った以上に大変で利益が少ないって事らしい。この辺りの話はイリメリとフェムとサリーカとしてくれとの事だ。
ギルドで一通り挨拶を終えると、「アッシュは?」「はい。昨日リン様からご連絡があり、今日は奴隷商で準備しております。」「ありがとう」
「オイゲン。奴隷商の主人は、今店の方に居るみたいだから、移動してから紹介するからな」「あぁ」
転移すると思っていたら、MOTEGI商会から、馬車が一台運ばれてきて、それで指導する事になった。こっちの世界の馬車は跳ねるし乗り心地はお世辞にも良いとは言えないが、この馬車はクッション性があって乗り心地がいい。「どうだ?」「どうと言われてもな。」「乗り心地がいいだろう?」「あぁクッション性があっていいな」「だろ?この馬車は、MOTEGI商会で売り出している物だぞ。車軸にダンパーを組み込んでいるからな。多少の段差では揺れないようになっている。」「ほぉ....売れているんだろう?」「ん。まだ3台しか売ってない。王家とミヤナック家とウォード家だけだな。」「なんで?」「だって面倒だろ...」「はぁ...」「いや、いろんな貴族や豪商から問い合わせは来ているんだけどな。面倒で売ってない。だから、オイゲン頼むな。」「あっそう言えば、リン。魔法の袋マジックポーチってなんだよ。」「あぁ便利だろ?やるから使ってくれ。僕達は、もう時空の袋タイムシフトポーチを持っているから必要ない」「・・・あぁやっぱりか・・・。エルの言った通りだよ」「お前の嫁さんのハーフエルフか?」「あぁあの袋だけで、白金貨100枚位の価値があるんだろ?」「そういったのか?」「そうか、そうなると、スキル的には、ミルの方が上かぁ.....」「ん?どうした」「お前さん。こっちの世界のスキルを不思議に思った事はないか?」「不思議も何も全部日本に持って帰りたいよ」「あぁそういう事じゃなくてな。」
リンの奴が言うには、同じ名前のスキルでもスキルとユニークスキルとエクストラスキルで内容も効力も違うし、同じスキルでもレベルの有り無しでも違うんだと言う。あと、パシリカも実際には13歳で行う必要性は無く、パシリカ球体も実は単なる真命のロックを外す物だと言う事だ。そして、確実にまだ解らないが、アドラは何かを隠しているとの事だ。状況が解ったら説明すると言う事だ。
余談として、渡された魔法の袋マジックポーチは、ミルやサリーカの見解としては、白金貨1,000枚程度になると言う事だ。
そんな話をしていたら、馬車が止まった。従者がドアを開けた。「アッシュ。頼んでいた人手は集まったか?」「はい。リン様。ご要望に添えるかわかりませんが、揃えております。」「あぁこいつが今日契約する。オイゲンだ。」「オイゲン=フンメル・エストタールです。よろしく。」「オイゲン様。お話は聞いております。こちらにどうぞ」
薄暗くされた店内の一番奥の部屋に通された。俺一人で着たら間違いなく門前払いされそうな位しっかりした調度品が並んでいる。座った椅子も高級感が漂っている。
「アッシュ。それじゃ頼むな。」「はい。かしこまりました」
アッシュと呼ばれた男性が奥に引っ込んで次に出てきた時には、男女が連れてこられた。端から商会されていく以前食事処を営んでいたが、税のアップと飢饉が重なってその後暴動が発生した時に、奴隷に落ちてしまった夫婦者で女と男の子供が居る。姉妹だと言う二人は、親が殺されてしまって奴隷になったと言う。二人とも結婚をしていて、旦那も奴隷だと言う。その4人18歳になる男性が3名は、貴族の従者をしていたが、無礼を働いたとして奴隷に落とされたと言う。
「アッシュ。予算内なのか?」「はい。イリメリ様からお預かりしているレインの中で賄えるようにしております。」「そうか、いつもの様にしてもか?」「はい。そう言われると思いまして、すでに準備もしております。」
「リン。どういう事なんだ?」「あぁ奴隷には人頭税が掛かるんだけどな。めんどうだから、買う時に10年分先払いにしているんだよ。」「・・・はぁ?」「だってそのほうが楽だろう?10年位経てば、自分を買い戻す位のレインが溜まっているだろうし、その後は自分で税を払う事も出来るだろう?」「あぁそうだな....。」「それでどうする?」「え?」「だから、この9人全員でいいのか?足りるか?子供は俺が預かるけどな。学校の寮に入れて勉強させるからな」「あぁ大丈夫だ。母さんからは6名位と言われているからな。」「そうか、宿屋だし、場所が休憩所だし冒険者が多く来るだろうから、男手は有ったほうがいいだろうな。護衛の必要はないだろうけど、男が居た方が抑止力にはなるからな」「あぁそうだな。母さんの護衛は必要だろうな。」
「・・・・」「なんだ、アッシュ。何かいいたいのか?」「いえ、リン様の事だから、護衛をおつけになるのだと思いましてね。」「あぁ屋敷と宿屋には置くけど、オイゲンには必要ないだろうな」
「アッシュ。それじゃ全員頼む。最初は、地下三階のナナやガルドバのところで簡単に研修させておいてくれ。」「はい。かしこまりました」「オイゲン。いいよな。」「あぁ」「そうだ、オイゲン。血を1滴くれ。奴隷紋を刻むからな」「あぁ」「アッシュ。後は頼むな。」「はい。リン様。子供が入荷しております。どういたしましょうか?」「何人だ?」「エルフの子供が紛れていますが、全部で21名です。」「そうか、いつもの様に頼む。レインが足りなければ、イリメリに言ってくれ。」「はい。かしこまりました。」
血液を入れた魔道具をアッシュに渡した。
「アッシュ。それじゃ後は頼むな。」「はい。かしこまりました。」
「オイゲン。行くぞ。」「あぁ」
今度は、転移をするようだ。気がついたら、メルナに来ていた。
「リン。いいのか?」「何が?」「奴隷だよ。」「あぁ気にするな。それに、あの者達は奴隷となっているが、アゾレム領や宰相派の貴族の領内で奴隷に落とされたのを、アッシュが探し出して連れてきているんだよ。アッシュの後ろには、皇太子が居るから出来る事なんだけどな」「・・・・。レインは足りるのか?」「さぁ知らない。イリメリがうまくやってくれるんだとおもう。あまり使うと文句が来るから。まだ大丈夫だと思うぞ。」「・・・。大丈夫なのか?」「あぁ大丈夫なんだろう。レインでは困らないと思うぞ、」「なんで?」「マガラ神殿の通行料だけで、金貨で5~10枚位稼いでいるからな。」「そりゃぁすごいな。月でそれじゃ」「は?月じゃなくて、日だよ。毎日だよ。まぁ経費もかかっているから、粗利としたら、金貨で1枚とかにしかまだなっていないけどな。」「はぁそれじゃ月に30枚。3,000万レインを稼いでいるのか?」「あぁそうだな。何もしないでもそれだけ入ってくるから多少無理してもなんとかなるぞ。それに、貴族や豪商がドンドン贈り物とか言って送ってくるからな。正直いらないんだけどな。」「お前すごいんだな。」「あぁこれでも、侯爵家当主だからな!!」「そういやぁそうだ」
二人で顔を見合わせながら笑った。やっと、リンが解った気がした。こいつは、異世界を本当に大事に思っているのだろう。真意はわからないけど、真剣に開発をしようとしているように思える。それに、女性陣が協力しているのだろう。殺し合うんじゃなくて、協力することで、名声を得ようとしているとしか思えない。やはり、立花達じゃなくて、神崎の方が性に合っている。
「あぁこの辺りだな。」
メルナから1時間位歩いた場所に開けた場所が用意されていた。
「ん?こんなに近くなのか?」「あぁ実はな。メルナ森林街との間に今レールを敷設していて、連結馬車を走らせるつもりなんだよ。料金も森林街と海岸街の住人は割安にするつもりだからな。商人の馬車もMOTEGI商会の馬車なら連結する事が出来るようにするから、ここから徒歩で行く奴等は殆どいないと思っているんだよ。でも、そのかわり、この中継地点がめちゃくちゃ混みそうだなっと思ってな。メルナの街はお貴族様の街であまり煩いと怒られるから、少し距離を開けて作ったんだよ。」「・・・。それじゃなにか?ここは始発駅だと思えばいいのか?」「そうだな。森林街には、男爵家が一つと村が16個ほど出来る予定だ。まずは、8個だけだけどな。それだけの輸送を行うのだから、レール位ないと面倒だろう?」「あぁそうだな。転移門トランスポートは作らないのか?」「作るよ。作るけど、転移門トランスポートは一般には公開しない物だからな」「そうなのか?」「あぁ転移門トランスポートは作るのに制限があるって事にしているからな。宰相派が隠れて申請して来ても断る理由にしているんだよ。」「....そうか、それで、輸送を行うのに必要だって事なんだな。」「そ。メルナの転移門トランスポートをこの中継点に移動させるからな。ここも発展するとおもうぞ。なんなら、ここいら一帯を任せてもいいんだけどな。」「あぁそうだな。街を作ってくれると助かる。詳しい事はアデレードに聞かないとわからないけど、住民が100人を超えた辺りで村にできて、500人を越えて、城壁があれば、街に出来るって話だからな。街にできて、税収があがって、寄親がいれば、准男爵家に格上げになって、子供が出来たり、周辺に村が出来たりしたら、男爵家になれるらしいぞ。」「へぇそうなんだ。それじゃ、リンを寄親にして、男爵家でも目指してみるかな。」「おぉそりゃぁ嬉しいな。」
「それじゃ場所はここでいいか?」「あぁ大丈夫だ。建築にはどのくらい掛かるんだ?母さんを呼ぶ事を考えると、話をしなきゃならないからな?」「ん?建築?あぁ邸宅とかの?」「そうだよ。2~3ヶ月を見ていればいいのか?宿屋を長期契約しなきゃぁならないだろう?4人も嫁が居るんだからな。」「あぁそうか、そういやぁそうだな。オイゲン。建築は今から始めるとして、夕方には一通り出来るぞ。その後で、お前の嫁達を呼び寄せて、細かい所の調整をすればいいと思うぞ?」「はい?夕方?」「あぁまぁ見ていろよ。邸宅で何か注文はあるか?」「別にない。いや、男爵家に相応しい感じにしてくれ、後、風呂をでっかい湯船がある風呂を作ってくれ。」「解った。それじゃまずは」
【召喚-カエサル】「主様。御前に」「あぁ悪いな。また建築仕事だ。手が空いている物を集めてくれ。」「かしこまりました。主様。新しく眷属になった物達が主様の役に立ちたいと言っております。その者達を中心に集めてよろしいでしょうか?」「カエサル。お前に任せる。」「はっ」「まずは、レールと入り口を除く部分を石壁で覆うようにしてくれ。」「どのくらいでしょうか?」「そうだな。3km程度あればいいだろう。」「かしこまりました。そうなると、メルナの街に近づきすぎてしまいますが、どうしましょか?」「あぁ街の入口は、ここからそれほど離れていない場所に作って、森の中に入るように伸ばしてくれ。」「はい。かしこまりました。」「入り口近くに、転移門トランスポートを設置するから小屋の配置もしておいてくれ。あと、レールの出発場所を覆うように小屋を作ってくれ。馬車の出し入れが出来る位の扉を作っておいてくれ。レールの両脇をエントに言って木々で覆うようにしておいてくれ。」「はい。かしこまりました。」「それが出来たら、出発点の近くに、宿屋と食堂を作ってくれ。オイゲン。宿屋はどのくらいの規模にする?」「あぁそうだな。」
って考えている間に、街を覆うように石壁が出来上がっていく。高さは7m位はあるだろうか?魔物だけじゃなくて守備隊がせめて来ても弾き返せそうだ。
「そうだな。商隊が主なら、大部屋を4~5作って。一人部屋を10位で二人部屋を20位でスイートチックにいい部屋を4部屋って所かな?」「風呂はいいのか?」「風呂?あぁそうだな。銭湯の様な風呂があればいいだろうな。あぁ後、従業員と母さんが住む場所が欲しい。食堂は、宿屋の一階に作ってくれると嬉しい。」「了解。ちょっと待ってろ。」
そう言って、何やらはじめた。
『オイゲン。』『なんだ?』『これで見えるだろう?お前もいじれると思うぞ』
念話で伝わってきたイメージを見ると、そこには、建物が展開されている。一階は広々した感じで、良くゲームとかで見かける宿屋の食堂って感じになっている。その奥には、風呂に繋がる通路があり。銭湯の様に、男女にわかれた風呂があった。湯船はそれぞれ3つ用意されていた。大きめな湯船と浅い湯船が用意されていた。その横にサウナルームが作られていて、横には水風呂がある。洗い場も用意されていて、シャワーで流せるタイプになっている。洗い場は20名分が用意されている。部屋は、大部屋が6個雑魚寝様の本当に大きな部屋が1つ用意してある。その上に、一人部屋と二人部屋が並んでいる。スイートチックな広い部屋には、部屋風呂が用意してある。まぁこれでいいだろう。従業員の部屋はさっきの奴隷に合わせて作られているが予備に幾つか部屋が用意されている。
『リン。母さんの部屋は?』『あぁそれなんだけどな。お前達が元々住んでいた家あるよな?』『そりゃぁあるよ。』『それって賃貸か?』『違うぞ。父さんが買ったって自慢していたからな』『そうか、折角だから、それを移築しようと思うんだがいいか?』『移築?そんな事出来るのか?』『あぁ問題なければ、だけどな。』『問題ない。頼む。母さんもそのほうが落ち着くと思うからな。』『解った。お前の家の位置は、嫁なら知っているのか?』『エルなら知っていると思うけど、少し不安だ。』『そうか、ルナ。今大丈夫か?』『なぁに、リン。少し頼まれ事をしたい。』『いいよ。』『オイゲンの嫁の一人で、超絶可愛いハーフエルフが居ただろう?』『あぁあの娘ね。オイゲンが好きそうな娘でしょ』『そうそう、その娘に会いに行って、オイゲンの母親を連れて、オイゲンの生家に行って欲しい。』『わかった、ワクを連れていけばいいんだね』『うん。理解が早くて助かるよ。』『了解。後でご褒美頂戴ね。』『解ったよ。それじゃ、取り込めたら、ワクだけこっちに送って。』『了解。』
『リン。今のって。』『ルナだよ。』『・・・・まぁいい。誰かなんだろう?』『あぁそうだよ。』『多分一時間程度で戻ってくると思うから、それまでに作れる物を作っておこう。宿屋と住居はこれでいいよな?』『あぁ問題ない。』『よし、少し離れろよ。魔法陣の中には入るなよ。』『解った。』
リンが魔法陣を展開した。そして、光が収まった時には、建物が出来上がっていた。なんだそりゃぁチートもたいがいにしろよ。
「な!簡単だろ?」「簡単じゃないわ。どれだけ非常識なんだよ。」「なんだよ。魔法とスキルの世界なんだから、これくらい出来てもいいだろう?」「まぁいいかぁ...楽に出来るのなら....」
「よし、次はお前の邸宅だな。」「あぁ」「街の中央に作るのがいいんだけど。街の外れにするけどいいか?」「別にどこでもいいよ」「あぁ中央には、監視塔を建てておきたいし、街が発展していく為には中央や中継地点周辺には建物を建てない方がいいからな。」「そういう事は任せる。」
街の外れになる予定の位置に移動した。もうそこには、城壁が出来ていた。城壁を背にするように邸宅を作るんだと言う。
「さて、作るか、まずは概要と必要な建物だけを作っていくからな。後は、自分で調整してくれ。」「解ったが、調整なんてどうやるんだ?」「あぁそうだった。カエサル。2~3名。建築魔法が顕現化している者を呼んでおいてください。オイゲンの所警護を含めてお願いしたい。」「かしこまりました。」「オイゲン。後で、2~3名の眷属をさっきのカエサルが連れてくると思うから、彼らに言って調整してもらってくれ。」「わかった」「街の街道の整理とか上下水道の配置とかも出来るからな。でも、建物は建てさせないで欲しい。」「わかったけど、何でだ?」「この世界の大工や職人の仕事を奪ってしまう事になるからな。」「・・・・あぁ解った。」
邸宅の建築に入った。手順は同じようだ。
大きさが大きい為に、一気に作る事が出来ないんだと言う。『オイゲン。お堀を作っていいか?』『お堀?』『ほら、日本の城とかであるだろう。家の、周りをぐるっと廻るようにしてある。』『あぁいいけどなんで聞くんだ?』『・・・。女子たちに受けが悪んだ。釣りも出来るし、誰かが攻めてきた時に、橋を落とせば安全になるのに....。』『・・・。まぁいいよ。お堀を作ってくれ。なるべく深くしておいてくれるといいな。釣りをするから!』『了解!川の水も引き入れるから自然の状態になるから安心してくれ。』『あぁぁ』
これか、イリメリとかが言っていたやつは....。見事にお堀が出来た。深さで20m位だろうか、こんな深ければ、鎧とか付けたままで落ちたらたまったものじゃないな。幅も10m近くあるから、飛び越えるのは至難だろう。飛び越えても、石壁があるから落ちるしか選択肢がない。『オイゲン。お堀に眷属を住まわせたいけどいいよな?』『眷属?』『警護の意味合いで、クラーケンかレイクサーペントがいいと思うんだけど、どっちがいい?』『その眷属はヒト型にはなれないのか?』『あぁ残念だながらな。』『そうか、それなら、クラーケンがいいかな。タコの魔物だよな?』『あぁそうだ。ツガイがいるから、ツガイで警護してもらうな。』『頼む。』
それからは、早かった。守衛所を作って、守衛所の近くに待合所が作られて、馬車を止める場所が作られて、邸宅が作られた。一階はダンスホールになるような広い部屋と談話室が作られた。二階部分に食堂と執務室の様な者が作られた。三階部分には客室が幾つか作られて、4階には俺達の部屋が作られた。邸宅の半分くらいの広さの部屋とそれに繋がるように、4畳ほどの部屋が8個作られた。
『リン。この小さな部屋は何の部屋だ?』『ん?お前の嫁さん達の衣装部屋で、お前と喧嘩した時の退避部屋だ。』『なっ喧嘩なんかしない...と思う』『あぁ喧嘩は冗談だけど、僕もこの前言われたんだけどな。女子には女の子の日があるだろう?その時に、寝る部屋が欲しいと思ってな。』『あっ....そうか....』『それに防音にしてあるから、お前の部屋の音は小部屋には聞こえないようにして有るからな。』『なっ.....ありがとう。心の友よ!!』
邸宅の隣に暫くは必要ないと言う事だったが、来客のお供の待機部屋と、使用人が生活する場所を作った。使用人用の風呂も小さいけど作っていた。最後に、エストタール家の風呂を作る事になった。風呂は、リンに頼んで俺の意見を入れてもらった。リンからは、サウナとクールサウナと寝湯と打たせ湯は必要だと言われた。洗い場も嫁と自分の分で9つ用意してもらった。大きな湯船と深い湯船を用意してもらった。後は、ジャグジーみたいな物も作れると言う事だったので、ジャグジーを3つ作ってもらった。それで、リンからの提案で、脱衣所から寝室に直接行ける。エレベータも設置した。来賓様の風呂も男女別々に用意してもらった。あと、プレゼントだって言われて、庭の真ん中に桜を一本植えてくれた。庭に関しては、自分で手入れしろと言われた。もし、木々を増やしたければ言ってくれれば、エントとドライアドを向かわせるから勝手にやってくれと言う事だった。
これで一通り完成した。日本で作ったらどれだけの期間と予算が掛かるんだって位の邸宅が出来た。
作っている最中に、リンの眷属のカエサルが建築魔法が使える眷属だと言って、雄のハーピーとラミアと雌のセイレーンが連れてこられた。リンが、それぞれに、俺の命令を聞くようにと言って、後は指示したら出来るようにしてくれた。この眷属たちは、そのまま守衛所で待機する事になった。お堀の水が溜まった頃に、ツガイのクラーケンも呼び寄せている。多分、街の守備隊程度では太刀打ちできない状態にはなっている。
ワクと呼ばれていた、スライムが戻ってきた様で、宿屋の裏手に、懐かしい我が家が移築された。少しだけほんの少しだけリンに感謝した。
日用品なんかはまだ何も揃っていないので、これから嫁達と日用品を買い揃えると言う作業が残っている。それは、明日母さんを連れて宿屋を見てからにする事にする。
今日は、ここの事は内緒にして、地下三階の宿屋に泊まる事にする。
最後に、リンに『神崎。ありがとうな』『いいよ。茂手木。これからよろしくな。お前の所が落ち着いたら、いろいろ話をしよう。』『あぁ解った。』
何故か、握手をしてわかれた。リンは、これから、ギルドに戻って、買った子供の対応をするのだと言う。あいつも大変だな.....。

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