【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

入植地を整える

アゾレムを中心にした、きな臭い匂いが漂ってきている。夕方になって館の執務室に入る。ここ暫くは、執務室でモルトとナッセ・ナナから上がってくる数値を見比べている。順調といっていい感じになっている。それと同時に要望書も上がってくるようになった。モルトからは、貴族や豪商からの面会依頼が殆どでモルトとドラウ・ゴルドで対応してもらっている。その中で要望といえるような物も上がってくる事が多い。MOTEGI商会は、ギルドと繋がっているとしているが、殆どの者が、ギルドではなく、マノーラ家との関係を考えているようで、貴族や豪商からは、ギルドではなく、マノーラ家に要望を言ってくる。一番多いのは、エレベータの設置依頼だが、現状は断りを入れている。素材がない事を理由にしているが、設置に時間が掛かる事や、今職人達が改良版と簡易版を制作している。それが出来たら、設置させる事にしている。王家とミヤナック家とウォード家に関しては、プロトタイプとして導入していて、もっといいものが出来たら入れ替えるように言ってある。そして、ギルドに商人を中心に荷馬車と馬車の注文が殺到している。その関係で、すぐにでも欲しい貴族や豪商が、マノーラ家にお願いに来ていると言う事だ。順番飛ばしは出来ないが、優先的に順番を出来上がっている物を一度収めて、順番になったら正式な物を作った時に交換する。要するに、レンタカーの様な感じではどうか?と言う話をしたら、それでも良いと言う事だ。試作品をはじめ、マノーラ家では荷馬車も馬車も使わないでの、1台づつ残して、後はレンタルに回した。レンタル代金は、荷馬車や馬車の料金に上乗せする契約になっている。それでも、20台ほどあった荷馬車と馬車は全部レンタルされていって、レンタル待ち状態になっていると言う。
それから、ミヤナック家から、珈琲と砂糖とミルクを優先的に卸してくれないかと相談を受けたと言う。ボノスに連絡をして、ハーレイに聞いてみた。そうしたら、ミヤナック伯が珈琲と砂糖とミルクをすごく気に入って、毎日の様に飲んでいると言う。ルナの件でも世話になっているので、個人的には問題はないと思って、イリメリとフェムに相談したら、製造した物を卸すのならいいと言う返事だった。MOTEGI商会は、商店と言いながら、個人向けには商売しないで、貴族や豪商といった所に商品を卸す方にした方が楽でいいと言う話だ。それで、珈琲と珈琲に使う砂糖とミルクは、ミヤナック家に専売的に卸す事にした。毎月決まった量と言うわけではなく、注文に対応する量を卸すようにした。ミヤナック家との交渉契約をナッセにお願いした。
サリーカとアデレードが、執務室に入ってきた。「リン。今大丈夫?」「うん。大丈夫だよ。何か面白い話有った?」「あぁ幾つかおぬしに話をしておいたほうが良い事があったぞ」「へぇ・・・。何々?」
話はやはり、アゾレムがやろうとしている”投資”の話だ。より具体的な情報の収集に成功している。すでに、参加しているのは、100名を越すと言う。多いもので金貨10枚を投資している。アデレードが言うには、『アゾレムの名前だったらここまで集まらないだろうが、宰相や教会の名前での募集だったから参加者も増えた』と言う事だ。発案者は、やはり転生者のイアン=ブォーノ。細田だ。そして、やはり詐欺に違いない。手口はよくある物で、出資者を募って儲かると言う話をする。その時に広告塔に有名人を添える。その有名人にもレインが流れる仕組みにする。開発は実際にも行うつもりだろうが、失敗しても構わないと思っているのだろう。すでに集まったレインの1/3程度は消えているようだと言う報告だ。そえで、真実味を持たせる為に、仲間に鉱脈を探せるスキル持ちが居ると言う事を言っているようだ。安い手品を見せて、信じ込ませているようだ。出し渋った村にスキル持ちが訪れて、ここには鉱脈は無いが水脈ならある。明日水脈を探し出すといい出したようだ。一晩、村のいろんな所に小さな桶を裏返しにしておいて、その中に鳥の羽を入れておいて、次の日にそれを回収してから、一箇所でここに水脈がある掘ってみよ。と言ったら、翌々日に本当に水が出てきた。と言う話が村々に伝わって、投資者が増えたと言う。確かに、それなら水脈は探せるだろうけど、鉱脈は駄目だろうな。眷属たちは、屋敷の中にまで侵入できて、話を聞いてきたと言う事だ。その中で興味深かったのは、茂手木のスキルに影移動と鉱物発見があると言う事だ。ジョブがアサシンになっているとの事。立花達も今茂手木を探しているのは、鉱物発見で開発を行う事ができるようにするための様だ。これは、なおさら、茂手木を立花たちに渡すわけには行かなくなったな。でも、正直茂手木の件はそれほど焦ってはいない。何と言っても、MOTEGI商会があるから、茂手木からのリアクションも期待できる状況になっている。暫くは、待ちの状態になる。
「それで、アデレードはどうしたらいいと思う?」「”投資”に関しては、放って置けばいいと思うのじゃ。リンはどうするんだ?」「う~ん。少し嫌がらせをしようと思うんだけど、話聞いてもらっていい?」「勿論じゃ。妾達だけでいいのか?」「そうだね。他の件も含めて、今日は皆に相談したいな。」「解った。皆に伝えておく。お風呂でいいんだな。」「ん?食事の時でもいいんだけど....」「お風呂でいいんだな。」「はい。お風呂でお願いします。」「ん。解った。皆には、リンがお風呂で話したい事があると伝えておくのじゃ」「はい。お願いします。」
なんか、理不尽だとは思ったが、言ってもしょうがない。
今日は、各々食事を取って作業を続行する事になった。モルトが少し話があると言う事だったので、執務室に来てもらった。
「どうした?」「はい。旦那様にお願いというか、是非ご考慮頂きたい事があります。」「ん?僕、何かまたやらかした?」「いえ、違います。まずは、状況を説明させていただきます。」
モルトの話は、すごく簡単な事だった。メルナの街が、マノーラ家の領地になった事から、貴族達が挨拶に来ているというのだ。それらは、単純な挨拶から、メルナを離れると言う挨拶まで含まれると言う。メルナから出ていくのは、基本的に宰相派だと思われる貴族たちだから、そのまま、”ご挨拶ありがとうございます”と言う感じにしている。一応、モルトからの提案で、一筆出しておいたほうが良いと言う事だったので、去っていく貴族宛に一筆書くことにした。元々別荘地だった為に、去られても困る事はない。全部の館を購入しても、白金貨1枚か2枚程度だと言う。まだ、時空の袋タイムシフトポーチの中に白金貨が数枚眠っている。モルトに相談した所、買えそうなら、全部狩ってしまったほうが後腐れがないと言う事だったので、モルトに白金貨3枚を渡して、買えそうなら買い叩いて購入してしまえと言っておいた。こちらは、それほどの問題ではなく、問題は、残る事を希望した貴族たちだ。貴族たちの別荘の維持管理をして欲しいと言う事だ。それなりの対価を払うので、お願い出来ないかと言う事だ。前は、王家の領地だったために、自分達で維持管理を行っていたが、マノーラ家に編入されたから、自分たちが人を出すのは問題になってしまうかもしれないと言う事だ。理屈には合うが面倒になっていると言うことだろう。家も人が有り余っているってほどでも無いので、何か解決策がないかとモルトに聞いたら、モルトからは、入植地を作ってみてはどうかと言う事だ。マノーラ家は、新興の侯爵家だし、マガラ神殿やギルドの事もあるので、入植者も集まるだろうと言う事だ。ただ、場所が問題になってくる。
モルトには、場所の問題は別にして、入植者を集める算段をはじめてくれとお願いした。
ちょうど、モルトとの話が終わった時に、ルナが迎えに来た。マヤ以外みんな集まったと言う事だ。マヤは、暫くは帰ってこられないと言う事だ。ロルフがついて行って、大陸中を廻っていると言う事だ。何かを探しているらしい。ロルフからは、一日一回連絡が入る。それでマヤの現状を伝えてくるようにお願いしている。
なんにせよ。今日も、寝室で全裸になって、風呂に向う。皆。それぞれ、身体を洗ったり、お風呂を楽しんでいる。僕もいつものように身体を洗ってから、寝湯に寝っ転がった。
「あぁ今日は一杯なんだね」ルナが寝湯に入りたかったようだが、僕の両隣にはミルとタシアナが寝ている。「そうだね。残念だったね。ルナ。」「うん。しょうがないかぁ早い者勝ちだからね」「真ん中はリンの特等席だから、両脇は早い者勝ちだよ。」「そんな事になっていたんだね。知らなかったよ。寝湯増やす?」「違うよ。リン。みんな、リンの隣で寝たいだけなんだよ。」「えぇそうなの?こんなに気持ちがいいのに?」「・・・。本当に、リンはお風呂が好きなんだね。」「ううん。違うよ。寝湯が好きなの!」
「リン。そろそろ、いい?」
イリメリが呼びに来た。本当に、隠さないで歩くから目のやり場にこまるんだよな。抗議しても駄目だろうから何も言わないけど...特に、こうして寝ている状態の前に立たれるとね。「うん。解った。」
起きようとすると、手が差し出された。イリメリの手を握ってそのまま起き上がった。絶対にわざとだろうと思うくらいの力で起こされて、やはりお決まりのように、イリメリに抱きついてしまった。柔らかい身体で全部を受け止めているイリメリを見て嬉しく思う。日本に居た時には、こんな事が出来なかった。例え僕が望んだんだとしても....。
そのまま、イリメリに手を引っ張られたまま大浴槽に向かい。定位置に座る。最後にタシアナも定位置に座るのを見て話す事になった。
まずは、サリーカとアデレードから眷属が集めてきた情報の報告がされた。
「それで、リン。どう嫌がらせをするのじゃ?」
僕は、アゾレムに対する対応を説明した。この”投資詐欺”はこのまま行わせる。まずは、ハーレイとローザスにも一報入れておく。その上で、バレないように、誰か信頼できる者で僕達との関係を疑われない人間に投資をさせる。勿論、損する事は解っているので、捨て金にする。一口金貨一枚と言う事だから、50口位の大口として投資を行う。痛くも痒くもない金額だが、投資額として少なくはないと思う。その時に、大口だって事で、投資者は人に話をしてお金を集めてきたと言う感じにしてもらう。そこで、投資額の契約書を何枚かに分けて作成してもらう、そうだね金貨10枚の投資額の物を2枚と15枚の物を2枚と言った感じかな。それで、伯爵様への手数料だと言って5枚程度多く出しておけば疑うよりも利益を優先するだろう。それで、それを持つのが、僕が10枚を二枚持ってハーレイとローザスが15枚の物を持つ事にする。どうせ、失敗するだろうから、その時に、証文を盾に宰相に理由説明を求める。多分、2回か3回位は追加投資の案内が来るだろうから、それに対しても同じように対応する。
「でもじゃ。これでは、宰相派に金貨が流れるだけじゃないのか?」「うん。そうだね。でも、それでいいんだよ。アデレード」「??」「例えばね。金貨100枚位の投資額になった時に、僕とハーレイとローザスで宰相の所を訪れて、『”投資”を回収したい』と言い出すとどうなると思う?」「あぁ宰相は慌てるだろうな。なんとか言い訳をつけると同時に、アゾレムに対して説明を求めるだろうな」「うん。契約書を読んだ所、投資の解約時には85%を戻すと書いているんだよ。って事は、100枚の金貨を投入すると、85枚は返す義務が宰相に発生する事になるんだよ?」「ん?宰相にアゾレムではなく?」「うん。この契約書を読むと、多分、僕達の敵の誰かが書いたんだと思うけど、アゾレムの名前は一切出ていなくて、宰相との契約になっている。宰相が、どこに委託しようが問わない契約になっているんだよ。」「あぁそういう事か、宰相に文句を言う奴なんで殆どいないから、泣き寝入りが多くなるだろう事を見込んでいるんだな。」「多分ね。だから、僕達は、騙された人たちの救済に出る事にする。多少痛い所もあるけど、問題を大きく宣伝して、詐欺だって事が表面化しそうな時に、”投資”した人たちから、契約書を80%の値段で買い占める事を始める。」「何故じゃ?」「そうだね。アデレードが、金貨10枚投資したとして、世間では詐欺だって言われ始め、こんな物に投資したのは馬鹿な証拠とかって風潮になったとして...」「あぁ」「宰相に文句を言いに言っても、『今採掘しているから待っていろ。アゾレムからは、鉱石が出たと言う話が来ているから、次に貴殿への分配を行うから楽しみにしていろ、もしそれでも文句を言うのなら、順番を遅くするぞ』的な事を言われると思うからね。そうなったらどうする?」「どうするも、待っていてもしょうがないし、かと言って騒いだら、入ってこないし、途方にくれると思うぞ」「だよね。それに、解約しようとしても、なんだかんだ言って先延ばしにされるだろうからね。甘い蜜を吸わせる様な事をするかもしれない。例えば、ここまで来てもらったんだからって、銀貨数枚渡されたり、実際の売買や分配している所を特別に見せるとか言われたりね。詐欺の手口なんてどこも同じだろう...。」「あぁそれなら、本当に揺れるだろうな」「うん。その時に、僕達が、85%は無理でも、80%で投資契約書を買い取ります。って言ってきたらどうする?」「あぁ考えるが、すぐにレインが必要な状況なら売る可能性が高いな」「でしょ。そうして集めた、契約書をネタに今度は宰相と話し合いをする」「脅すというわけじゃな」「言葉が悪いな。話し合いだよ。」「・・・まぁいい。どんな話をするのじゃ?」「状況次第だけど、本当に採掘しているのか見学させてくれが一番かな。投資額の全体を教えてもらって、自分たちが4/7以上を占めているようなら、委託業者の変更及び資産の開示をさせてもいいね。」「採掘現場の見学なんてしてどうするのじゃ?」「見学の前日位に、眷属たちを使って、作ってある施設を全部破壊してしまえば、いいと思わない?その後、施設の後をワクが取り込んでしまえば、施設も手に入る上に、相手側はすごく困った事になる。」「・・・・何が、ちょっとした嫌がらせだ。これが全部成功すれば、宰相に取っては大打撃になるぞ」「でしょうね。その後で、宰相が持つ既得権益の一つや二つをこっちに持ってきてもいいし、それが無理でも、金銭的なダメージを与える事ができるだろうからね。転移門トランスポートでかなりのダメージを与えた後になるだろうから、致命傷になるかもしれないよ。」「かなりのダメージになるだろうな。」「うん。これは、宰相への嫌がらせ。次は、アゾレムとウォルシャタへの嫌がらせ」「なんだまだやるのか.....。」「当然!!」
アゾレムへの嫌がらせは、これ以上に簡単だ。まず、マガラ渓谷から連なる山の中(面倒なので、マガラ山脈と命名した)に住んでいる魔物で集落を作っている者や意識ある者を全部、メルナ領の山を(メルナ山として、その麓に広がる森林をメルナ森林とした。もう一つのマノーラ領に編成された山脈をマノーラ山脈とする事にした。これは、王家にも申請している。)に移住させる。”マヤの名前を使っても移住を遂行させる”が基本方針で、その次に、理由としては、アゾレムが守備隊を編成して山に入ってくる事を理由にした。次に、このまえ監獄を作った眷属たちに、マガラ山脈とメルナ山脈の間に万里の長城の様な石壁を作るように指示した。マガラ渓谷から海までの間に作らせるようにした。これで線引ができる上に、石壁にはマノーラの印章をいれるように指示している。所々塔を立てるようにも言ってある。これも嫌がらせの一つであるが、後は、眷属にアゾレムが作る採掘場所を尽く潰していく。時間稼ぎも出来ない状況にしていく、できれば、転生者の一人か二人は捕縛したい所だが、眷属に犠牲が出るようなら逃げろと言ってある。
「それは、それは....」「これで、アゾレムは、魔物を殺して素材を得る事も難しくなるわけで、配当金が払えないのが早くなると言う事なんだよ」「アゾレムはどうするかな?」「そうだね。一番いいのは、詐欺を認めてくれる事だろうけど、それは無理だろうから、暴発してくれたら楽なんだけど、そうはならないだろうな。」「っと言うと?」「ウォルシャタか食客の誰かが、領主や宰相に責任を押し付けるだろうな。それで、ウォルシャタが領主になるなんて事をするのかも知れないな」「あっ」「そうだね。その筋の可能性が高いと思うよ。もしかしたら、それが目的かも知れないからね。有名になるためには、領主になったほうがいいだろうからね」「・・・。」「あぁそれで、皆はこの案はどうおもう?」「どう思うも、リンの好きな様にしていいと思うよ。」「うん。それじゃこの件はこのまま進むね。」「あぁ」
話が終わったと思って、皆が立ち上がろうとした時に、もう一つ思い出した事が有った
「ごめん。もう一つ、相談したい事があるんだけどいいかな?それとも、もうお風呂から出る?」「妾は平気じゃ。」「私も平気」「僕も」結局このまま話す事になったが、皆上半身だけじゃなくて腰をお湯から出す位にしたので、余計に煽情的な状態になってしまっている。
「あぁ・・・」「リン。どうしたの?」「ううん。なんでもない。相談何だけどね、モルトからも話が出ているんだけど、入植地を作ろうかと思っているんだよ。」「入植地?」「そ、アデレードならわかると思うけど・・・。」「あぁそうじゃな。マノーラ家は侯爵だけど民を抱えていないから、建前だけでも入植を受けないと駄目だろうな。」「え”マガラ神殿の中じゃ駄目なの?」「うん。解るようにしないと駄目みたいなんだよね。それで、メルナ森林を開拓して、入植地を作ろうと思うんだけどどうかな?」「どうかなぁ?っと言われてもな。」「そうだね。私は問題ないと思うよ」「リンの領地だから、僕はいいと思うし、海の近くにするのなら、海水浴が出来たら嬉しいな。」「うん。保養地の一つとして、海に近い所にも作るつもりだけど、メルナに近い場所にも作るつもりだよ。」「移動は、マガラ神殿経由?」「ううん。メルナの街に近い場所は、普通に移動してもらうつもり、そのかわり、街道を整備して馬車で移動しやすくするのと、定期的に運行する。乗合馬車を出すつもりだよ。」「乗合馬車?」「そ、レールをメルナの街と入植地をレールで繋いで、その上を連結した馬車を走らせる。」「リン。レールは無理なんじゃない?」「そうだね。僕達が知っているようなレールは難しいかも知れないけど、轍を作ったレールならいけるんじゃないの?それに、どうせ、新しく敷設するんだから、直線で作るから、馬車の車輪の1/3く位の轍をまっすぐ敷いた石畳を作って、その上を走らせるとかね。そうしたら、ただ真っすぐ走って、止まるだけなら、魔道具でなんとかならない?」「うん。確かに、それくらいなら魔道具でなんとかなると思う。要はモータの様な感じにすればいいんだろう?」「そそ。」「考えてみるよ。」「うん。タシアナ。お願い。その連結馬車でメルナの街と入植地を行き来させておけば、メルナの街で働く人も便利でしょ。それに、連結馬車の実証実験にも使えるからね。」「あぁそうか、売るつもりなんだな。」「うん。折角作るのなら売りやすい物を作りたいからね。」「そうじゃな。」「うん。入植地も、ある程度の広さを作ったら村を守るように、結界を張れるような魔道具を置きたいんだよね」「結界?」「そ、正確には、魔物よけって感じかな?できるよね?」「う~ん。作った事は無いけど、できると思うよ。魔核を持っている魔物だけを寄せ付けないようにすればいいんだよね?」「そうだね。それが出来たら、売れると思わない?アデレード?」「そりゃぁ売れるな。少々高くても買う村は多いだろうな。」「あっでも、私じゃリンみたいに、移動式の結界は無理だよ。固定しての結界が限界だよ。大きさも規格外みたいな大きさは無理だよ。」「それじゃ補助みたいな形ならOKそうだね。」「補助?」「そ、街道沿いに安全地帯を作ったりする時に使ったり、門の辺りに使ったりね。結界で村全部を覆えますなんて事を言うと、問題が発生した時の対応が出来ないから、魔物除け程度になる物がいいんだよね。入植地には、僕が結界を張るけど、それを魔道具の様に見せかけたいんだよね。」「あぁそういう事なら大丈夫だと思うよ。」「ん?妾には同じに思うけど....」「リン。僕もよくわからないよ」「イリメリ先生が説明してくれるよ。ね。イリメリ」「あぁ....あのね。」
イリメリが皆に説明してくれている。売り出した物の性能が違うのは、しょうがない事としても、入植地の安全を守る必要がある。だから、入植地の結界は僕が張るけど、売り出す物はその廉価版で十分。お守り程度になればいいし、低位の魔物ならそれで十分撃退できるだろうから、それでいい。でも、完全に防いでしまうと、本当に防げない魔物や人間が襲ってきた時に対応出来ないのは困るから、完璧な物じゃないほうがいい。
「リン。そういう事でしょ。」「そ。ありがとう。イリメリ。」
「それで、入植地はどうするのじゃ?」「ん?明日にでもメルナの街から少し離れたメルナ森林を開拓し始めるよ。眷属がいればそんなに時間がかからないだろうからね。」「あぁそうじゃな。妾達は何をすればいいんじゃ?」「あぁかわら版の二号目を作るから、その記事を考えておいて欲しいかな。」「ねぇ僕とルナは、リンと一緒でいいんだよね?」「うん。そのつもりだけど、何か用事があるの?」「ううん。それならいい。」「うん。アデレード。イリメリとフェムで記事をお願いしていい?」「あぁ」「わかった」「うん」「紙面の何処かに、マノーラ家が入植地を整えて、入植者を募っているって書いておいてね。アデレード。こういう時の条件って勝手に決めていいの?」「条件?」「そ、例えば、税に関しては、3年間免除するとか、免除が駄目なら肩代わりするとか、奴隷は全員開放するのが条件とか、パシリカ前の子供は賃金を払うから学校に通わせるのが条件とか、だね」「奴隷の開放は難しいだろうけど、他の二つはOKだと思うぞ。」「了解。それなら、作物を作ってくれる人の税は3年間免除ないしは肩代わりする。メルナの街で働いてくれる人も同様。商人に関しては、商売の時の税は取らない。パシリカ前の子供は全員マガラ神殿の学校に通うか寮に入る。これで募集かけてみて」「了解じゃよ。でも、いいのか?税を取らなくても・・・。」「うん。その代わり、僕達が欲しいと思う作物を作ってもらうからね。」「・・・。何を作るのじゃ?」「まだ内緒!って僕もできるかわからないから、確認して見ないとだけどね。」
かわら版を作る事と、僕が入植地を作る事が決定した。後は、アゾレムへの嫌がらせのための準備も始める事になった。ルナとアデレードがそれぞれハーレイとローザスに承諾をとる形にするのと、だれかいい人材が居ないかを確認してもらう事になった。
今日は、そのまま寝室に戻って寝る事になった。フェムとイリメリが隣で寝るようだ。勿論、いつもの様に全裸だ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
僕が、朝起きた時には、もうミルとルナだけしか残っていなかった。もうみんな食事をして出かけたと言う事だ。
二人と外に出かけようとしたら、ミルから少し話があると言う事だ「何?ミル?」「うん。あのね。」「どうしたの?」「えぇ~とね。」「うん。」「リン。僕、生理が来ちゃったの。」「え”あぁそうか、ごめん。今まで考えてなかった。生理の時ってやっぱり辛いのなら、休んでいていいよ」「ううん。違うの?他の子もこれから、生理が来ると思うけど、急にお風呂一緒に入らなかったり、一緒に寝なくなっても、リンの事を嫌いになったりしたわけじゃないからね。その事だけを伝えておこうと思ってね。」「うん。だいじゅオブだよ。そんな事疑った事も無いからね。」「そう、それならいいんだけど....」「そうか、生理用品も作らないとだね。全然思いつかなくてごめん。辛かったら本当に大丈夫だから休んでいてね。」「うん。ありがとう。抱きしめてくれたら痛みも治まる。」
そんなもんかなと思って、ミルを抱き寄せた。
「ミル。」「何?ルナ?」「アデレードの魔法はそろそろ効いてきたんじゃないの?」「ううん。まだ痛いからリンに抱きしめてもらっている。」「ミル?」「ミトナルさん?」「なぁに、リン君。」「もう大丈夫?」「うん。キスしてくれたら治る。」「病気じゃないんだよね?」「そ、これでいつでもリンの子供を産めるよ」「もう大丈夫なようだね。」「ちぇっ!」「ルナ。それで、ハーレイは?」「あぁ好きにしてくれって、人はローザスと話をして決めるって言っていたよ。」「了解。ありがとう」ミルを離して、ルナを抱きしめた。微妙に匂いの違うが解る。
これで、一つの準備が終わった。ルナにも軽くキスをしてから
「それで、ミルはどうするの?一緒に入植地の開拓に出かける?」「勿論。一緒に行くよ?」「辛かったら休んでいていいんだよ?」「ううん。もう大丈夫。リンが抱きしめてくれたから」
3人で、メルナの街に向かった。そこから、南下してメルナ森林を目指した。グリフォンに進化している、エイダとパスカルとヴィビィを呼び出して、それぞれに乗って空から、メルナ森林を目指した。メルナの街から海まで一直線上になるように目印を付けていく。そして、眷属たちに、メルナの街から海に向けて約150kmの木々を倒して行ってもらう。山の麓と思える場所に、入植地を作成する為に、周囲5km位の木々を伐採した。畑や水田を作るのにこのくらいの広さが丁度いいだろう。更にまっすぐに海までの道を作るようにする。海には最終的には港を作るが、今は入植地と同じように、1km位の広さの場所を作った。
入植地を作る場所を決めたから、次はメルナの街まで街道を作る事にしよう。流石に、これは一日ではできそうになかった。距離で40km位あるかな。歩いて一日程度の距離になる。通うのは実質的には無理だけど、まぁ乗り合い馬車があれば大丈夫かな。40km/hで一時間の距離だよな。普通の馬車の倍近いけど、大丈夫だよな。一応、街道の途中に休憩所は作っておこう。今日一日でメルナまで行ければいいし、行けなければ、そこに休憩所を作れば運用中も使えると言う事だろうからな。このまま、一週間位土木作業をしていれば、海までの街道ができそうだな。
翌日に現場に戻ってみると、立派な街道が出来上がっていた。カエサルが手が空いている眷属と一緒に街道を作り上げたようだ。無理しなくてよかったのにとは思いつつも、礼を告げると、お命じ下さい。とだけ言われてしまった。そのまま、海までの街道を作る事を指示した。カエサルに聞いたら、僕の命令を実行する事は誉だと言う事で競争率が一番高いんだと...。それで張り切って、街道や万里の長城を完成させたと言う事らしい。街道を作るのに適さない眷属は、マガラ山脈に入って、魔物の集落や亜人の集落を訪ねていると言う事だ。ほぼすべての集落がメルナ山脈やニグラ山脈に移り住むか、マガラ神殿の地下二階に移り住む事になった様だ。そして、ほぼすべての魔物が眷属に入る事を望んでいると言う。種族も多岐に渡っているが、コボルトやゴブリン。ラミアなども居るようだ。総数では1,000近くになると言う。名前を考えるだけで日が暮れてしまいそうだ。そこで必殺の数字+種族から感じる色+出身地名で真命を作る事にした。ゴブリンなら、ワン=ブラウン・マガラ/メルナ/ニグラと言った感じだ。数字は連番にしておけば迷う事は無いだろうし、どれだけ居ても大丈夫だ。線路の敷設や入植地の周りを囲む石壁は眷属達に頼んで、僕は明日一日真命付けを行う事にした。サポートにイリメリとミルに来てもらう事にした。けして、英語が心配でイリメリに居てもらうなんて事はない。断じて無い。
全員に真命をつけ終わったのは、夕方になってしまっていた。真命をつけ終わってから、入植地に向かったら、しっかり周囲を覆う石壁も出来ていた。カエサルを呼んで、今度は、メルナの湖に流れ込む川から水をこの入植地まで引っ張り込む水路を作るように指示をした。入植地の端の方に溜池を作って、それをそのまま街道に沿って海まで流すように指示をした。これで用水路の確保ができる。飲料水は地下水を掘る。岩盤が少し硬かったが、魔法でなんとか出来た。
入植者の為の建物を立てていく。村の中央に、少し大きな塔を立てた。ここの最上階は、会議部屋にした。その下に、マガラ神殿からの転移門トランスポートを設置する。一番下は、いつもの様に、お風呂を作った。その上には食堂になるような施設を作っておく。
塔の周りは道路で一周ぐるっと回すようにして、メルナ方面への道と海の街への道を作って。乗合馬車の停留所を作成しておく。当初入植者用の家を数軒建てておく。アデレード曰く。建設も立派な仕事だから、魔法で一気に建てないで専門の人間が最初に住む家だけを作成して、後は自分達で準備させるのがいいと言う事だ。建材や建築費用は、マノーラ家が持つと言う事を宣伝すればいいと言う事だ。
これで、入植地は大丈夫かな。後は入植者が本当に来てるれるといいんだけどな。
今日は、疲れたから、お風呂に入って、すぐに寝てしまおう。ミルが宣言通り、生理なのか自分の部屋で寝ている。たしかに、知らされてなかったらミルに嫌われたと思ってしまう所だった。

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