【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

ギルドの拡張(ダンジョンを作ろう)

スパに入ろうと、マガラ神殿に向う。神殿では、フェムがまだアロイの宿屋や商店の相手をしていた。
「リン。いいところに来た。少し教えて!」「ん?何?僕よりも、イリメリに聞いたほうがいい事の方が多いよ?」「そうだけど、いいから教えて。」「うっうん」
一番は、転移門トランスポートの設置場所は今後どうなるのかが多かった。転移門トランスポートに関しては、今日、教会と話をつけてきて、穏健派と言われる家には協力を仰げる事になった事を伝えた。後、今ミヤナック家が中心になって、貴族にも話をしてもらっていて、貴族が治める領地とかにも転移門トランスポートを置けるように進めていると話をした。アロイ側への設置は難しいだろうことを伝えてもらった。素材の買い取りに関してもルールが必要になってきそうだ。僕達は、素材の買い取りを一手に引き受けようと思っていたが、商人達は、必要な素材とそうじゃない素材が違うようで、アロイでは薬草や解毒草は必要なものだが、ニグラではワーウルフの皮やマッドマッシュの肉などは喜ばれる。商人に寄って得手不得手があるのだと言うことだ。それをギルドが一手に行ってしまうと、商人の利益幅が変わってしまうとの事だ。ギルドとしては、依頼品が手に入れば問題はなく、それ以外のものに関しては、商人にまかせても良いと考えていた。そこで、フェムからの提案として、依頼品はギルドで引き取るが、それ以外は、商人に買い取ってもらう様にしてはどうかと言う事だ。冒険者が望めば、ギルドでも買い取るが、その場合は市場価格よりも安くする方針であると言う事だ。フェムは、笑いながら、古本を売る時に、ブックオフに売りに行けば大体の金額は予想できるけど、稀覯本などでも値段は上がらないが、街の古本屋で専門店に持ち込めば稀覯本などは信じられない値段が付く事がある。そんな感じにして、マガラ神殿内にもギルドを作って、そこで素材の売買を行うそうしたら、古本屋で言う”背取り”が出来るだろうと言う話だ。
「任せるよ。フェム。後でタシアナとサリーカと参加出来るメンバにちょっと相談した事がある。神殿に迷宮ダンジョンを作ろうと思っているから、その件で相談にのって!それじゃ後で」「ちょっ!!」
何か、フェムが叫んでいるけど、気にしないで、スパに向かったスパは男女別になっているがまだ受け付けなんかは設置していない。それも早急に手配しないとな。でも、今日はスパを楽しもう。オープン前だけど、お湯だけは流していると言っていたから少しは期待していたけど、期待以上だ。ここは、ギルドと違って、水が豊富だし、浄化槽みたいな物もあったから、水もある程度綺麗みたいだし、何と言っても掛流しになっているのがなんとも嬉しい。これで、魔素の利用料がギルドの風呂と変わりないというのだからすごいな。古代の叡智バンザイだな。風呂の内部構造もいろいろいじれるようだから、今度アルマールに相談していろんな施設を作ってもらおう!!
スパで気持ちよくリフレッシュ出来て、今日はもういいかなぁと思っていた。
外に出たら、フェムが怒り心頭の面持ちで待っていた。「リン!!」「なぁに。フェム。」「はぁぁぁ.....よし!」「どうしたの?」「もういい。それで、迷宮ダンジョンを作るとか言ってなかった?」「うん。そのつもりだよ。もう下準備は終わっているよ」「あぁやっぱりね。なんとなくそんな感じがしていたんだよね。それで、何をすればいいの?」「ううん。これは僕が基本僕がやらないとダメみたいなんで、相談にのって欲しいだけだよ。特に、ゲームに慣れ親しんだメンバーにね。」「あぁそういう事ね。それなら、ギルドで話をしましょう。常識的な意見も欲しいから、イリメリやミルにも参加してもらった方がいいとおもうよ。」「了解。ワク。ロルフ。」「「はい。ご主人様」」「サリーカとイリメリとミルとタシアナとカルーネとアルマールに伝言をお願い。『マガラ神殿にダンジョンを作るから相談に乗って。時間が出来たら食堂に集まって、僕とフェムは先に居て話をしているから』ってお願い。」「「了解しました。行ってきます」」「フェム。これで良いでしょ?」「まぁいいよ。それで、すぐに食堂に行く?」「そうだね。そこで、フェムの方の話も聞くよ。何か有ったんだよね?」「うっうん。」
食堂に移動する間、フェムの話を聞いた。宿屋は概ね参加を希望してくれた。後は、建物の位置や移築に関する話と休業補償の話をするだけになっている。問題は、商人の方で仕入れの値段の調整とか面倒な事を言い出す人たちが出てきて、建物の位置で揉めだす始末だったらしい。今日の所は、解散になったが今度どうするのかを考えなきゃならないと思っていると言う事だった。フェムに、面倒だったら、宿屋と商店と職人を一緒の層にしてしまって、区画整理だけを行って、一区画いくらみたいな感じにして、後は早い者勝ちって感じでやってもいいよと伝えたら、少し考えて、私が言ってもダメかもしれないから、ナッセに出てきてもらうと言っていた。ナッセと話をして決めてもらう事になった。ナナがギルド直営にして欲しいと言ってきた。宿屋をほぼ飲み屋に改築して、ガルドバに任せてしまって、ナナはギルドの手伝いとナッセの手伝いをしたいと言い出した。フェム的には大いに歓迎する所なので、概ね了承して明日にでもナッセに話をしたいとの事だった。僕も問題はないのでOKを出した。そして、付け加えて、ナナをマガラ神殿のギルド関係のまとめ役にしてしまえとフェムに言っておいた。
食堂には、既に、ミルがロルフを抱っこして待っていた。肩にはクロッセンが眠そうにしていた。見ると少しレベルもあがっているようだ。「ご主人様。助けて下さい。ミル様が離してくれません。」「ミル。離してあげて」「わかった。ロルフもふもふで気持ちが良かったんだけどな。」「ふぅ助かりました。ご主人様。ワクが皆さんの所に分体を送って居ますので、もうすぐ戻ってくると思います。」「あぁありがとう。ロルフ。もう休んでいいよ。」
ロルフは安堵の声を上げながら陰に潜っていった。
「そうだ、フェム。迷宮ダンジョンの話の前に聞きたい事があるんだけどいいかな?」「ダメって言っても話すんでしょ」「うん。でも、フェムはダメとは言わないでしょ!?」「うっそれでなに?」「ギルドの冒険者に、ラノベでよくあるようなランクとか作るのかな?っと思ってね」「ランク?」「そ!」「あっリンとフェムに聞きたかったんだ。」「急にどうしたの?」「魔物にもランクをつけたほうがいいとおもうんだよね。目安としてだけどね。」「そうだね魔物に関しては、利用している魔素で区分は出来るけど、外見からそれを見分ける方法がないんだよね。ゴブリンでも強いやつもいれば弱いやつも居るんだよね。」「そうか、難しいのか。」「うん。書庫からの知識なんだけど、昔はス○○ターみたいな物で調べていたみたいなんだよね。」「へぇそれなら探索系のアイテムと組み合わせたらいいんじゃない。あんまりスカ○○ーに頼ってしまうと、負けてしまうだろけど、目安程度にはなるだろうからね。」「そうだな。今度、タシアナに作ってもらおう。」「私が何を作るって?」「あぁまた今度話すけど、○カウタ○を作って欲しいんだよ。」「え”まぁ理論が確立しているのなら作れるとおもうからいいよ。」「よかった。明日にでも話すよ。今日は別件だからね」
イリメリも食堂に入ってきた。後は、アルマールが来ればいいだけだが、話を始める事にした「それで、リン。迷宮ダンジョンってどういう事?」
マガラ神殿の管理画面コンソールから、下層20層/上層70層が作れる事を報告した。そして、下層には、1~5は、ギルドで使う施設にしている『鍛錬部屋。倉庫。書庫及び研究施設。管理部屋』で、管理部屋だけはゲートも階段も作っていなくて、転移でしか入れないようにしている。倉庫に転移門トランスポートを設置して、そこから階段で移動する事にしている。研究施設は、既にタシアナとカルーネが管理をしてくれている。倉庫は、ギルドの地下と同じになっていて、扉を開けている間だけ時間が進むようになっているより多くの物が入れられるようにしてある。鍛錬部屋は、ギルドメンバが何かで使うのかなと思って作った場所で、前はギルドの裏庭でやっていた様な事をやるのに丁度いいかと思って作ったけど、もしかしたら必要ないかもしれない。そうなったら、倉庫や研究施設に作り直すと伝えた
地下一階6~10層は、鍛錬層として環境を設置した。低位の魔物が出現するスポットになっている。あと、素材として使える動植物が存在する場所にしてある。魔素を抑えてあるので、強くても街道沿いに出る程度の魔物でパシリカを受けた子供程度で苦労なく倒せる程度になるとおもう。この階層は、複数の階層をまとめてあるので、天井が高くなっている。一つの階層の様に見えるようになっている。
地下二階11~15層も、鍛錬層としているが、素材だけが存在する場所にしてある。魔物が出ないように設定している。素材に関しては、魔素の濃さで変わるので、このあたりは要調整だが、ここでは普段使いする様な素材だけを採取出来るようにする予定である。建材に使えるような木々も設定している。草木は、一定時間で成長するようになっている。土の地面で天気は連動しているようにした。
地下三階16~20層も安全地帯になっているが、天気は一定で地面は土の上に石畳で舗装された状態にしてある。そこに京都の様に碁盤の目で区画整理をして、上下水道と魔素の連結を出来る管を通してある。普通に流通している魔道具が魔核を燃料にしているが、魔核ではなく、魔素を燃料にした方が効率が良いことはわかっている。変換できるか、充填出来るようにするのかを今調べてもらっている。暫くは、今まで通りの魔核での運営をお願いする事になるとおもう。
下層に関しては、大きな問題点はないだろう。地下一階部分の使い方としては、冒険者になりたてや自信がない人に使ってもらって感じを掴んでもらうとかでいいかなと思っていた。
「そこで、フェム。冒険者のランクの話しになるんだけどね。最初から迷宮ダンジョンに入ってもらっても良いんだけど、調整が難しし、普段使いの素材とか誰が取りに行くんだよって話になってしまうとおもうんだよね。」「そうだね。いつまでもギルドメンバーが取りに行っていたんじゃ意味がないからね。今日も、ミルには高難度の素材を集めに行ってもらっているから、そういう感じにしたいんだよね。」「うんうん。だから、最初は地下一階で素材集めと魔物退治をしてもらって、ランクアップが出来る状況になればと思ったんだよね。魔素の濃度から、街道沿いとそれほど違わないとおもうから、外部との差も無いとおもうよ」「ギルドのランクは必要だと思っていたんだよ。」フェムが一通り説明した。登録時に、パシリカ後すぐならGランク。パシリカ前ならHランクとして、パシリカを受けてある程度経って経験と実績があれば、FかEランクからこれは実績により判断。Hランクは、お使い等の街中や神殿内の依頼のみGランクは、採取やお使いと低位魔物の討伐Eランク以降は、自分で実力を判断して依頼を受けていく。ランクアップは、実績と試験で行う事にする。H→G→F→E→D→C→B→A→S→SSとしたいとの事だった。できれば、Dランクまでは試験なしで上がるようにして、それ以降は、面接と試験を必要とする様にしたいと言っていた。試験も、フェムの従魔マーウィンが操霊魔法を使えるので、それでゴーレムやゴーストを作成して戦わせる事で試験としたいと言っていた。いずれ、試験のゴーレムやゴーストも自動で作れるようにしておく事で冒険者のランクはOKとなった。
迷宮ダンジョンは、上層に作った。1~5層を一つにまとめて、転移門トランスポート出来るようにした。魔物は出ない場所にしてある。宿屋は商店を作ってもいいと思っている。6~26層は、よくあるダンジョンの様にした簡単な迷路になっているような作りにした。上下の階段を複数作って迷路を立体的になるようにしている。実は、これは管理機能で作れるようになっている。”自動作成オートメイク”で作れる。罠などの設置はオートでは作れないが、迷路が自動で作れるのはありがたい。魔物の出現もポットを置けば良くて、最初から利用魔素の指定が出来るので、強さも任意に出来る。魔物は生まれた階層から移動できない様になっていて、その中で移動するようになっている知恵を持つことは無く、フレンドリィアタックもするとの事だ。同族で群れになる事もあるので、油断しているとやられる事もあると言う程度だ。これは、街道と同じだから問題は無いだろう。27~30層は、安全地帯にした休憩場所に使えるようにしようとおもう。ギルド直営の宿屋や商店・職人を配置できれば、冒険者が使ってくれるかもしれない。31~60層は、5層単位で一つにまとめて、草原・森林・沼地。などのフィールドに設定した。こちらは、外部と連動していて、朝と夜の区別がある。61~64層は、安全地帯にしてある。この位で疲れてしまうだろうと言う判断だ。65~66層は、一つにして、ボス前の准ボスフィールドにしたい67~68層は、ボスフィールドにする。69層は、宝物庫と言う名前の倉庫にしようと思っている。70層は、なんにもないフロアでマガラ渓谷と繋がっている部分になる。
こんな感じにしたんだけど、何か意見があればというと、概ね大丈夫だろうと言う事だ。先程の話しにあったランクと絡めて、6~10は、Fランク程度として、街道沿いに出てくるちょっと強めの魔物程度にする。11~20は、FランクとEランク程度として、街道沿いに時々出る強敵と思われる程度の強さの魔物にする。21~26は、EランクとDランク程度として、イスラ大森林の表層部分とスネーク山の中腹程度の強さの魔物にする27~30層に到達出来た冒険者を無条件でDランクにあげてしまうのもいいだろうと言う事だ。Dランクあれば、街道沿いの護衛で困る事はないだろうと言う事だ。31~40層は、Cランク相当として、イスラ大森林やスネーク山の中層部かスネーク山の上層部程度の強さの魔物にする41~50層は、Bランク相当として、イスラ大森林やスネーク山の深層部と同等の強さにする。51~60層は、Aランク相当として、イスラ大森林の最深部と同等の強さとする。65~66層は、Sランクとして、准ボスを配置する。リンの眷属がテイムに向かっているが、竜を配置したい67~68層は、SSランクとして、ボスを配置する。
こんな感じでまとめる事にした。概ね決まったので、後は明日にでも調整しながら作ってみる事にした。迷宮ダンジョンで生まれる魔物は、魔核を持つ魔物にしかならないと言う事だ。そして、テイムした魔物は繰り返し生まれるとの事だ。一度倒されても同じ位置で蘇生されるイメージだ。欲しい素材があったらテイムして殺しまくればとおもうが、面倒だからやらない。それに、迷宮ダンジョンに縛り付ける事が出来る魔物の数も限られているようだ。
明日は、ミルとマヤに協力してもらって、各階層の魔素の調整を行う事にした。魔素が充填するまでは魔物が出ないので、その間に地形とかを見て回ることにする。ワクを、フェムに貸し出して、宿屋と商店の移動をお願いする事になった。タシアナとカルーネは引き続き、研究をお願いした、また素材とかで必要な物が出てきたら、サリーカに言うか、ドラウに頼んで眷属を動かして採取をお願いした。特に、転移門トランスポートの結界は急務になってくる。教会と貴族領への設置が開始されるのも目前になっている。アルマールには、フェムを手伝ってほしい旨をお願いした。同時に、改築や改装をお願いした。人が集まってきたら、職人や大工の様な人たちも集まってくるだろうから、それまではお願いした。
ここまで決めて流石に皆疲れてしまったので、今日はお開きになった。僕が部屋に戻ろうとしたら、何気ない顔で、イリメリとフェムとミルが一緒に部屋に入ってきた。部屋には、既にマヤがいた。分体のワクが居て、マヤに協力して模様替えをしていたようだ。「マヤ?」「ん何?リン?」「えぇっと何をしていたの?」「ん。ベッドが小さいから大きい物に変えて、私のベッドは必要ないから、ワクに屋根裏部屋に持っていってもらっただけだよ。」「えぇ~と。いろいろ聞きたいんだけど、いい?」「「「「まだ。ダメ」」」」「はい。」どうも理由は聞かせてくれないようだ。
「今日は、イリメリと私がリンの隣ね!」どうも今日は、マヤとイリメリが隣で寝るようだ。僕の意思はそこには介在しないようだ。そう言って、イリメリとマヤが僕の腕を取って居る。嬉しい状況には違いはないが、なんとなく状況に流されている感じもする。突っ込んだらダメだと言う雰囲気もある。
「・・・・はぁ。何を企んでいるのか知らないけど、寝るだけだよ。」「「「「うん」」」」
ミルは、クロッセンから初めてアースグリム・ガルガ・ケーニヒスと猫型のままの状態でブラッシングをしている。わざわざその為に、ブラシを作ったようだ。「ねぇリン。」ミルだ「時空の袋タイムシフトポーチとは言わないけど、魔法の袋マジックポーチ(小)があると嬉しいな。今日も狩りに行って帰ってくる時には持てなくて、カエサルに来てもらったからね。」「あぁそうだね。これから結構バラバラに動く事が増えるかもしれないから、素材集めて、人数分位は作るようにするよ」「うん。ありがとう。それか、ワクと同じスキルを持つ子が増えれば良いんだけどね」「う~ん。それは難しいみたいだよ。スライムの種族スキルのようだからね。スライム自体があまり眷属に居ないからね。」「そうかぁ....」
「そうだ、フェム。お前、『夜の蝶』に戻らなくて良いのか?」「ん?リンは私を除け者にしたいの?」「はぁ?だって、お前。ニグラの出身だろ?それに、『夜の蝶』も忙しいんだろう?」「ううん。大丈夫だよ。『夜の蝶』は新しい従業員を雇ったから、私はこっち専属で動いているよ。それに、神殿がうまく動き出したら、『夜の蝶二号店』を神殿に出すから大丈夫だよ。」「まぁお前がそれでいいのなら良いんだけど....。」
「さて、イリメリ。フェム。ミル。何故かベッドも大きくなっているし、ここで寝るのは構わない。どうも、マヤもOKって言っているみたいだから、僕がダメって言っても聞かないだろう。」「「「・・・」」」「自分たちの部屋をどうするのかとか、他のメンバーともしっかり話をして不公平感が無いようにしておいて欲しい。僕は、自分が解らない。そして今後どうなるか解らない。それは、立花達との話が片付いてからだとおもう。みんな仲良くとは言わないけど、協力してくれる人に誰かが不満に思うのは我慢出来ない。もし、今後もこの部屋に来る事にするのなら、しっかり話を通しておいて欲しい。それが出来ないのなら、僕はマガラ神殿や魔物の里で休む事にする。もちろん、マヤもここにおいて一人で寝床を転々とする事にする。転移で移動すればわからないだろうからね。」「・・・マヤちゃん。やっぱりこうなったね。私は、皆に話をしたいと思う。こういう事は早い方がいいと思う」「そうだね。リンは一度言い出したら聞かないからね。」「私も賛成だよ。明日、皆にルナやフレットにも着て貰って話をしよう。」「うん。それが良いみたいね。リンはまだ解っていないだろうけど、ほぼ確定したから、丁度いいとおもうよ。」「「「ほんと?」」」「うん。今日聞いてきた。」「そうやっぱり当たりだったの。」「うん。ほぼ間違いないだろうと言う事で、もしかしたら予想以上かもしれないって事だったよ。」「「「・・・・!!」」」「あのぉ話が見えないんだけど、僕が何かしたの?」「リンはまだいいの!」「・・・はい。解りました。」「うん!」
疲れていたこともあるけど、反論できる様子ではなかった。大きくなったベッドで皆で仲良く寝ることになった。人肌に接していると安心する。眠気も重なってすぐに目を閉じて意識を手放した。
◆◇◆◇◆◇◆◇
朝方に目が覚めてしまった。マヤもイリメリもまだ寝ている。僕は、ベッドを抜け出した。ミルだけが起きたようだ。
「おはよう。リン」「あぁおはよう。ミル。まだ早いとおもうから寝ていてもいいよ。」「ううん。今日は、リンと一緒だから、一緒に起きる。それに、迷宮ダンジョンを作るんでしょ。」「うん。そのつもりだよ。今日は、マヤとミルと眷属たちに協力してもらって、調整していかないとならないだろうからね。」「うん。だったら、早くご飯食べて、神殿に行こう。」
ミルはそう言って僕の腕を取った。陰から起き出してきたのだろう。クロッセンがミルの肩に掴まる。可愛い女の子と猫が絵にならないわけはない。「でも、こんなに朝早いとまだ誰も居ないかもよ。」「大丈夫だよ。行ってみればわかるとおもうよ」
そう言われて、そっと寝床を出て、軽く支度を整えて、部屋を出た。ベッドの上ではまだ可愛い女の子が3人寝息を立てている。良いのかな?っと思いながらも、気にしては負けと思ってベッドの上の事は考えないようにした。
食堂に付いたら、ミルが言っていた事が解った。朝日が登る前にもかかわらず、食堂には結構な人数が居た。よく見ると、眷属も混じっている。服着て特徴を隠されたら本当に解らない。亜人だと言われても”そうだね”と思ってしまう。「おはよございます。リン様。ミル様」「うん。おはよう。早いんだね。」「いえ。私達は交代したばかりです。先程まで、カフィールが担当していました。この位の時間から食事を求めていらっしゃるので、二人体制にしています」「へぇそうなんだ。何か大変だったりしたら言ってね。ギルド本部のメンバーはこれから核になってもらうんだからね。」「はっはい。イリメリ様やフェム様にも同じように言われております。」「そうか、今日は、ソニアとミランダが食事担当?」「はい。昼過ぎまで私達が担当します。あと、シェコダとフェルテが手伝ってくれる事になっています。」「そうなんだ。あぁゴメン。適当に僕とミルに食事頼むよ。僕は少し多めにしてくれる嬉しいな。」「はい。解りました。」
「ね。朝でも大丈夫でしょ」「あぁすごいね。知らない間に大分しっかりした組織になっているんだね。」「そ!みんな。ここが好きなんだよ。失いたくないって思っているんだよ」「そうか、それなら嬉しいな。」
「あっリン君とミル。おはよう」「あぁおはよう。アルマールも朝早いんだね」「違うよ。どっかの誰かさんが、無茶な注文をしてくれたから、徹夜で仕上げて、今から寝るところなんだよ。」「そんな酷いやつが居るんだな。」「そうだね。目の前に、可愛い女の子を侍らかして朝食を食べているやつだけどな。」「ゴメン。ゴメン。でも、必要なんだよ。出来るのは、アルマールだけだんだから許して。ね。」「まぁいいけど、丁度いい。渡しておくからね。大まかに作って、後はこっちで建築魔法が使える眷属を探して貰って、調整して置くよ。」「了解。ありがとう。」「ん。私は今から寝るから。起こさないでね。」「あっアルマール。後で、相談した事があるんだけど、いい?夕方くらいになるとおもうけど・・・。」「大丈夫だよ。ミル。起きたら、パッサウに行かせるよ。」「うん。私かイリメリかフェムに連絡してくれれば大丈夫だよ。」「了解。もう寝る。おやすみ!」
朝食を食べ終わって、ソニアとミランダに、マヤへの伝言をお願いした。ミルとマガラ神殿に向かった。既に、ギルドカードは発行してある。僕達が持つのは、本部のカードと言うもので、全部のゲートが通れるようになっている。既に一部の宿屋と商人には、ギルドカードが発行されていて、アロイの街とマガラ神殿に繋がっている。まだ許可を取っていない事もあって、アロイの街から少し離れた場所に転移門トランスポートを設置した。商人に話を聞いた所、アロイの街に設置する必要性は低く、国境の街シャルムに設置出来る方が嬉しいと言う事だ。マカ王家との交易が楽になるというのが理由だが、アゾレム領を通ると荷物に課税されてしまうので、その分を軽減出来たら嬉しいと言う事だ。
まずは、ミルを連れて管理部屋に転移した。この部屋は、ゲートも階段も作っていないので、転送が使える僕だけしか来られない。下層を作っていく。地下3階部分を先に整備した。階層ごとに大きさが決められるようだったので、地下三階部分は片面150メルの正方形にした。そこを石畳で覆って、区画整理をする。北側中央部分に転移門トランスポートを南側の中央部分に階段を配置する。東西を区画せ切り分けていく、一区画を9メル四方にした。足りなければ複数の区画を契約してくれれば良いと言う考えだ。南北を幹線が通る形になる。幹線の数は7本だったので、石畳の真ん中を『赤、橙、黄、緑、青、藍、紫』で色分けした。横14/縦14になる。196の区画がある事になる。最初の入居者から考えれば十分な数だとおもう。値段に関しては、ナナとフェムとイリメリに一任すればいいだろう。
さて、地下二階は簡単だな。東西南北に広げるだけ広げた。その後は、草原フィールドにして地形をランダムにした。次に適当な所に水源をおいて、動物や昆虫を放つ。ポットと言う発生装置があり。説明を読むと、この世界の生態系からランダムに任意の場所に動物と昆虫が発生すると言う事だ。同様に、草木に関してもランダムで地形効果に寄って発生するらしい。後は、魔素の濃度を調整する事になるが、魔素がなければ魔物は生まれない。しかし、草木の変異も発生しないと言う事になる。地下二階に関しては、魔素は発生させない事にした。動植物と人間に害が少ない物だけにした。水辺も作成したので、後はどういう感じになるのかを見守っていれば良いことになる。
地下一階も同じように、東西南北に広げた。草原フィールドにしてまずは地形をランダムで作成した。その後、一部天井まで届く岩を作成して、岩の内部に道を作っていく。簡単な迷路の様な感じにして、フィールドの中央部分には、森を思わせる木々を大量に配置した。そして、地下二階と同じように、水源を作成して、動物と昆虫のポットを設置した。魔物発生様のポットを設置したが、発生時に使用する魔素は発生する中では最低ランクにした。これで強者は発生しない。魔素もフィールド全体ではなく、洞窟周辺にだけ発生するように調整した。これで、洞窟の中には少し強めの魔物が発生して、それ以外の場所は弱い魔物だけになるはずだ。魔素の濃度は10段階になっていて、一番下が魔素が発生しない。それから準備上がっていくという感じのようだ。
ここまで作った所で、マヤから神殿に来たと連絡が入った。ミルと一緒にマヤの所に転移をして、マヤに現状を報告した。一緒に、フェムとイリメリが居たので、地下三階部分の説明をした。上下水道も大丈夫だとおもうけど、確認していないから確かめておいてとお願いしておいた。ミルとマヤは、作ったばかりの地下二階と地下一階部分を見て回るそうだ。
僕は、眷属を呼び出した。「あるじ様。御前に」全員揃った様だ。「カエサル。テイマーのジョブに目覚めた物がいれば、一緒に行って、五種類程度の竜をテイムしてきて欲しい。出来るか?」「ドラゴンロードやキングは無理ですが、幼体であれば問題ありません。テイムでよろしいのですか?あるじ様の眷属にする事も出来ると思いますが....」「そうか、眷属に出来るのならそのほうが良さそうだな。迷宮ダンジョンの守護者をやってもらおうかと思っているんだけど、大丈夫か?」「はい。我もですが、竜族の殆どが分体を作れます。迷宮ダンジョンを守る眷属には分体を当たらせれば、万が一の時でも大丈夫だと思われます。」「そうか、それなら、汝らに命じる、竜族を五種五体以上眷属にすべき連れてまいれ。魔核を有する場合には、殺さない程度にして連れてきてから、分解魔法で魔核を破壊しよう。」「はっ我ら、六名。竜族確保に向かいます。」「ご主人様。僕も行く!」「ロルフ様。」「ロルフ。行きたいのか?」「うん。少し身体動かしてくる。ダメそうなら戻ってくるよ。」「あぁそれなら、いいか。カエサル。ロルフと一緒に行ってくてくれ。」「はっ」「カエサル。アグラオ。ボレアス。ラジャ。レイア。レウス。頼んだぞ。」
眷属たちに、上層階の守護者の確保をお願いした。どうやって説得するのかは聞かない事にした。上層階を作っていく事にした。二階部分は、魔素が無くて、地下三階の様な感じにした。ここは、宿屋と商店だけになる予定で、石畳の通路の両脇に五軒づつの区画を作成した。
3~24階に関しては、ザ・ダンジョンと言う感じにした。迷宮はランダムに作るようにした。自分も後でダンジョンを楽しむように、罠の配置を含めて全部ランダムにした。宝物も配置出来るようだが、それは一度何処かに貯めておいて、その中からランダムで出ると言う感じになるようだ。丁度、管理部屋が何もない部屋になっているので、そこにランク分けした宝物入れを作っておこうとおもう。ここに、宝物にする物を入れておけば勝手に配置されるようだ。魔物のドロップはないが、魔核や素材は手に入るので、それで十分なんだろう。3~7階は、魔素を下から3番目にした。8~18階は、最初が魔素を下から3番目にして途中から4番目に変更した19~24階は、4番目と5番目にした。ここまでの階の罠は即死の罠は配置しないようにして、致死性の物もさけた。ただ、罠にかかって、魔物に襲われたら致命傷になるくらいの物になっている。25階は、休憩場所になっている。ギルド直営の宿屋と商店を用意して、職人の手配が出来れば、武器や防具のメンテナンスが出来る様にしたい。26/27階に関しては、地下一階と同じような作りにした。ただ違うのは、魔素の濃度が上から5番目になっている事だ。そして、動物や昆虫のポットは配置せずに、魔物ポットのみ複数個配置してある。28/29/30/31階に関しても同じように設置した。魔素の濃度だけ4番目から徐々に濃くなるようにして、31階ではもっとも濃くなるようにした。
32階は、25階と同じようにした。33階は、部屋が縦に並ぶだけの感じになっている。そこに、できれば4匹の竜に居てもらう事になる。魔素は最高レベルにしてある。34階は、一つの部屋だけになっていて、同じように最終ボスがそこで待ち構える事になる。もちろん、魔素は最高レベルだ。
これで、迷宮ダンジョンの基礎は作成できたとおもう。後は、日々の調整を行っていけばいいだろうな。
一通りの作成が終わった時に、ミルの従魔のクロッセンがやってきた。地下一階と地下二階の探索が終わったとの事だ。このまま上層に向かっていいかと言う問い合わせだった。クロッセンに、問題ないと伝言を頼んだ。
マヤとミルが確認している最中に、やっておくことがある。宝箱の中身の作成とダンジョン専用のアイテムの作成を依頼する事だ。研究施設にやってきた。「タシアナ。カルーネ。ちょっとお願いがある」「ん?今、タシアナはちょっとドラウの所に行っているよ。」「そうなんだ」「うん。それで何?」「あぁ迷宮ダンジョンの話はしたとおもうけど、その中の宝箱を設置するんだけど、中身の作成依頼かな。暫くは上層部の低階層になるだろうから、ぶっ飛んだ性能は必要ないんだけどね。何かないかなっと思ってね」「あぁそれなら試作している物があるよ」「うん。貰っていっていい?」「ちょっとまってね。サリーカに一応断っておかないと....リーセン。」「はい。カルーネ様」「サリーカの所に行ってきてくれないかな。『リン君がまた無茶言い出している』って言えば、解ってくれるとおもう」「おい!」「はい。解りました。直ちに」
リーセンは、すぐにサリーカの下に向かった。すぐに反応が帰ってきて、『すぐに行く。』だと言う事だ。本当に、5分もしないうちに、サリーカが研究施設に来た。
「カルーネ。ありがとう。それでリンは今度何をやらかしたの?」「何もやらかしていないよ!冤罪だ。」「本当のところはどうなの?カルーネ?」「なんか、迷宮ダンジョンの宝箱の中身が欲しいって事なんだけど、この辺りで私達が作った武器や防具をリン君に渡していいかな?」「・・・・。リン。その宝箱が置かれるのは、上層部のどの辺り?」「う~ん。上層部の下層部かな?」「そうなると、魔素の濃度はそれほど高くないよね?」「うん。多分、出て魔物も最大で、ワーウルフの上位種やホブゴブリンの上位種とかじゃないかな?まだ生態チェックをしていないからわからないけど、大森林の表層部から少し入った位だとおもうよ」「そうなると、ここの武器や防具じゃダメかな....。」「え”そんなに私の作った物って貧弱?」「あぁゴメン。逆。カルーネが作った物だと性能的に高すぎる。レア物として入れるのならいいとおもうけど、常時出る物には向かないよ。バランスブレイカーになってしまう。」「そうかぁ.....それなら。どうしたら良いのかな?」「あぁ今、タシアナが試作しているとおもうけど、回復薬や銅貨や銀貨で良いんじゃないのかな?後は、鉱石系の素材とかね。」「そうか、それなら考えなくていいか!ありがとうサリーカ。上層の中層から上には、タシアナやカルーネの武器や防具を入れたいからよろしくね。」「了解。」「店出し出来ない物とかで良いからね。性能が偏ってしまった物とかね。」「迷宮ダンジョンが形になってきているから時間がある時に眷属や従魔連れて見に行ってきてね。」「「了解!」」
宝箱の中身が一通り決まった。管理部屋に戻って、作業を行った。まずは、25階までのオープンでいいだろうと勝手に思っている。25階部分に転移門トランスポートを作成して。後でタシアナに調整してもらうとして、2階から25階部分に転送されるようにしたがこれは一度でも25階に達成した事がある人間しか出来ないようにしないとならない。ギルドカードに証明を25階で反映させる事で、出来るようにしたい。同じく32階でも出来るようにしておきたい。出来なければ出来ないで毎回下から上がっていってもらえばいいだけだが、ギルドメンバーや職員が転移するには必要だから作っておく事にする。
丁度、クロッセンがやってきた、ミルからの伝言だ『思った以上に広いから探索はまた後日にする。今日は、ギルド本部に戻る』というものだった。『了解。』と伝えてもらった。
少し思い立って、ワクにイリメリがどこに居るのか確認しに行ってもらった。しばらくすると、ギルド本部に居ると言うことだったので、イリメリに少し時間を貰った。OKの返事を貰って転移した。簡単に、状況を説明して、アッシュの所に行ってくると伝えた。そうしたら、大金貨を1枚出してくれて、宿屋と商店の丁稚や、スパでの従業員が必要になるから、かき集めてきて欲しいと言われた。それに合わせて、バックヤードの人材も必要になってきていると言う事だ。確かに受付6人食事係6人では回せなくなってきている。護衛に関しては、眷属や従魔が居るから大丈夫だろうと言う事だ。今の人数では、ギルド本部を運営するのが精一杯だと言う事だ。ヘルダー夫妻は、ナッセについて貰って、運営に廻ってもらっていると言う。当初は、買い取りカウンターも受付が行う予定だったが、手が回りそうにない事から、ナナの伝手で商人をローテーションで回す案が出ている。との事だ。そこで、僕が来た事を幸いにして、マガラ神殿でのギルド職員で大事な部分を奴隷で賄う事にしたという。これは、ナッセもナナも賛成してくれている。マガラ神殿のギルドが正式に動き出したら、ナナが支部長になる事も決定していた。宿屋の調整役やらも必要だから、顔役になるには丁度良いだろうと言う事だ。帰ってきたガルドバと一悶着だったらしいが、大きな問題にもならなかったようだ。ガルドバも地下三階に店を出す事にしたようだ。
アッシュの店に向かった。「リン様。今日はどのような御用で?」「少しまた人手が必要になったからな。そろそろいい人材が入っただろう?」「ハハハ。リン様。そんなにすぐには・・・。」「そうか、それじゃ他の店に行ったほうがいいか?」「いえ、大丈夫でございます」「そうか、それなら、これで何人位買えるか?」大金貨を放り投げる。「リン様。流石にそれだけでは....どのような人材が必要なのでございましょうか?」「あぁそうだな。今日は、スキルも何もいらない。簡単な計算や文字の読み書きが出来て、できれば、偏見が少ない者がいい。男でも、女でも構わない。種族もなんでもいい。とりあえず、とにかく頭数が欲しい。」「解りました。年齢はどういたしましょうか?パシリカ前の子供を入れても問題ないでしょうか?」「あぁ問題ない。年齢は若いほうがいいな。それから、数名は年配の者が欲しい。」「解りました。大金貨1枚でとの事ですが、人頭税はどういたしますか?」「前と同じで10年分先払いしておいてくれ。それと今回は服はいい。こちらで用意できる体制が整っている。」「解りました」「それで何人位用意できる?」「そうですね。単純計算になりますが、50名ほどになりますがよろしいのですか?」「あぁそうだな。生産系のスキルを持つ者と年配の者で10名ほど、割合は任せる。そして、若い者で20。残ったら、パシリカ前の子供で調整してくれ」「ありがとうございます。流石に、その人数ですと、すぐにご用意出来ませんし、一度に面接していただくことも出来ません。」「そうだろうな。それでどうしたらいい?」「2日ほど頂けましたらご用意致します。その時に、全員向かわせますので、暫く様子を見ていただいて、その中からリン様の方で決めて頂ければと思います。」「そうか、それが出来るのならいいな。」「はい。」「それで頼む。金はおいていくから頼むな。足が出るようならしっかり、僕に請求するんだぞ、ローザスやハーレイに言わないようにしろよ」「心得ております。」「うん。アッシュ。頼むな。」「はい」
アッシュの店を出て、ギルド本部に戻った。イリメリに状況を説明した。人数的に問題ないだろうと言う事だったが、教育とかどうしようと言っていた。「リン君。イリメリちゃん。横からゴメンね。」「ん?」「教育なら、ヘルダー夫妻にやらせればいいわよ。業務全般の説明なら夫妻が一番相応しいわよ。」「いつの間に....」「まだそれほどの組織でもないし、私でも把握は難しくないよ。夫妻は、本部の事を任された時から、勉強していた見たいだよ」「へぇそうか、それなら安心出来るな」「そうよね」「イリメリ。それで良いかな?最初は、イリメリが一通り説明して、細かい事や対応は、夫妻にやってもらうと言う感じでいい?」「問題ないよ。それよりも、リン。住む所どうしようか?流石に、ギルド本部には、スペースなんてないよ。」「そうだね。マガラ神殿の地下三階に建物を移築できれば一番簡単なんだけどな。それとも、建ててみるか?」「でも、60人近い人間が住めるような建物は少ないよね?」「そうだな。やっぱり作るか!学校の寮みたいな感じにすれば良いんだろう?」「リン。そうだ、もう一個お願いがあった。地下二階って魔物出ないんだよね?」「あぁ魔素を出さないようになっているから出ないぞ」「それなら、地下二階に学校が欲しい。」「うん。学校。」「なんで?」「孤児院の子供に、ヘルダーの所の子供。ラーロさんの所の子。それから、多分これからも増えるであろうパシリカ前の子供へやの教育を考えると、ここだと手狭になってきているんだよ」「そうか、了解。どのくらいの大きさにする?」「今は人数もそれほどではないけど、20名位が一緒に勉強できるクラスが3つほどあれば良いんじゃないのかな?」「それなら大丈夫。学校をイメージして作れば良いんだろう?」「うん。お願い。地下二階なら、素材を取りに行ったりする事も出来るだろうし、遊び場にも出来るだろうからね」「そうだな。ナナ。」「何?」「ナナも、子供たちに、武術を教えてほしい。基礎の基礎だけでいいからね。」「うん、いいよ」「でも、基本はギルドの仕事を優先してな。時間があるときで良いからな。武術を教えるだけなら眷属にやらせてもいいだろうからな。」
受け入れ体制の話をした。まずは、アルマールに作ってもらった設計図を見ながら、裏庭に銭湯を作る事にした。
それがびっくりするくらい簡単に出来た。まず、建築魔法を起動する。起動した後に設計図を念話の要領で魔法陣に流し込んでいく。そうると材料が光出した。一つひとつを見極めているようだ。魔法陣から、立体的なイメージが流れてきた、完成予想図だと言う事だろう。試しに、階数を増やすようにしてみると、木材が赤く光った。材料が足りないと言う事だろう。寝湯や湯船もあるし、洗い場もしっかり備え付けられている。寝湯の素材が木材になっているので石材に変更した。建築魔法から、分解魔法と融合魔法の発動が行われた。魔法が存在している事が分かると、寝湯が石材に変わった。湯船も同じように変更した。全部は石材が足りなくて出来ないようだ。男湯と女湯で一個づつを石材に変更した。排水はギルドのお風呂と同じで循環させているようだ。まぁこの辺りは後で考えよう。さてと、イメージが固まったので、建築魔法に魔力を流し込む。建材が自動で移動するように構築されていく、時々分解魔法や融合魔法が使われて、建材の加工が行われていく。
最後に、”ドンっ”と音を建てて建物が出来上がった。魔法制御がうまく出来るようになれば、この辺りの事も大丈夫になるんだろうなと考えているとギルド本部から人がわらわら出てきた。ラーロも居る。「あぁラーロさん。ちょうどよかった。お風呂作ったから内容確認して。ナナ、魔道具の設置お願いしていいかな?なければ、タシアナが作れるかもしれないし、イリメリに言えば資金は出してくれるだろうから、買ってきて貰ってもいいよ。」「「「・・・!はぁ!」」」
いつもの様に呆れ顔を向けられた。最近慣れてしまっている自分が居る。M属性はないと思うんだけどな。案外平気なんだよな。「まぁまぁ中を見てよ。」「あっちょうど良かった。アルマール作ってみたから中を確認して見て、少し建材の関係で支持されていた建材と違うものにしちゃったけどね。」「は?もう出来たの?」「うん。設計図がしっかりしていると作るのが楽でよかったよ。またお願いね。今度は、学校と寮を作りたい。詳細は、イリメリに聞いてね」「はぁ?」「んじゃ僕はこの辺りで神殿に戻るから何か有っても呼ばないで解決してくれる嬉しいな。」
何か文句を言われそうだったので、逃げることにした。もしかしたら、眷属が守護者を連れてくるかもしれないから、神殿に居た方がいいだろうからね。
「あっ」
僕には何も聞こえない【転移-マガラ神殿】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「リンは、俺にこれをどうしろと言いたいんだ?」「ラーロさんが好きに使って良いんじゃないのですか?」「俺が知っている風呂と根本的に違うんだけど.....。」「あぁそうかぁ、それじゃ、説明しなくちゃダメですね。アルマール。説明をお願い出来ますか?」「え”私?私も銭湯になんて行った事がないんだけどな。」「大体でいいんじゃない?」「そうかな?」「うん。ナナもナッセも一緒に説明を聞いてくれるから、大丈夫だよ」「そうだといいな」
アルマールは覚悟を決めて説明をはじめた「入り口は良いですよね。後で、ラーロさんの宿屋とつなげる部分だけ作る必要があります。」「はい」「どこでお金を取るのかと言う話ですが、リン君は細かい事は考えていなかったようです。私としては、ラーロさんの宿に泊まった人は安く入れるなどの仕組みでいいと思っています。」「そのあたりは値段次第だろうね」「そうですね。それで入り口が二つあります。男湯と女湯になります。」「はい。扉の真ん中にある台と言うか小さな個室みたいな物は何をする所なのですか?」「番頭と言いまして、ここでお金のやり取りをする事になります。ラーロさんの宿から来た人は何か証明出来るような物を示せば安く入れるとかの事をやります。」「へぇそれは良いですね。一人で両方を見るのですね」「そうですね。リン君からは、ここでタオルや石鹸も売りたいと言っていましたがまだ先の事です。」「解りました。」「それで中に入ると、小さいロッカーが並んでいます。これは、着ていた物を脱いで仕舞っておく場所です。リン君の結界魔法が施されていて、閉めた人間しか開けられない仕組みになっています。」「!!それだけで...」「それで着ている物を脱いだら、お風呂に入ります。あの仕切られた場所は身体を洗ったりする場所です。両方共同じ作りになっています。湯船を幾つか用意しているのは、お湯の温度を変えたいとどっかの馬鹿が我儘を言ったからですが、奥から徐々に温度を下げるように調整されるようになります。そして、次もその馬鹿がこだわったお風呂で、寝湯と言っていました。お風呂に横になって、下からお湯が流れ続ける感じになる物だと言う事です。そして、その横がサウナになります。サウナの隣には、クールサウナと言って今度は寒い部屋があります。その隣が水風呂になります。」「一気に説明しましたが、どっかの逃げた馬鹿が欲しがった施設になっています。文句は、逃げた馬鹿に言って下さい」「「・・・・」」「ナナさん。どう思いますか?」「どう思うと言われても、正直これだけの物だとは思っていなかったわ」「俺もです。正直、これだけの施設だと、銀貨一枚とかでも安く感じてしまいます。」「あっそうだ。もう少し馬鹿がどうして欲しいと言っていた物が有ったんでした」「「・・・」」「お風呂から一旦出て、脱衣所の階段から上にあがって下さい。」そこは、高い塀に囲まれた場所になっていた。「雨天では使う人は居ないとは思いますが、露天風呂です。そして、奥の壁を見て下さい。カウンターが作られています。男湯と女湯で位置はずらしてありますが、中央は移動できるようになっています。カウンターの下には、魔道具の冷魔庫が二つづつ設置してあります。”冷たい"と”暖かい”になっていまして、簡単な飲み物や食事が出せるようになっています。はぁ言っていて馬鹿らしくなってきました。完全に、1宿屋のお風呂にはオーバースペックですよね。えぇ解っていますよ。私はね。」「「・・・」」「そして、最後に逃げた馬鹿が言ったセリフなのですが、食事や飲み物は相場よりも少し高めに設定しても、入浴料は安くして欲しいと言う事です。従業員が必要だから、赤字にならない程度で運営できればよいと言う事です。」「「・・・・!!!!」」「これだけの施設を安く提供したら人で溢れかえりますよ」「そうだ。」「うん。その為の下のロッカーなんですよ。」「「??」」「無条件で入れないように、ロッカーの空きがある人数しか入れないようにすると言う事です」「「あ!!」」「空いているロッカーの数は、番頭で確認出来るようになっているので、満員のときには断る事が出来るのです」「・・・これだけの施設だと魔核もかなり使うんじゃないの?」「・・・・それがですね。彼が魔法式を書き込んだ魔道具ってなぜか性能がぶっ飛んでしまうのか、古代魔法の恩恵かはわかりませんが、かなり低燃費なんですよ。実際にこれだけの施設でも街頭の電灯とほぼ同じ程度にしか消費しないようです。実際に運営していないので、正確な数字はわかりませんが、心配するような消費では無いようです。」「「・・・。」」「もういいわ。ありがとう。アルマールちゃん。」「ナナさん。私の事は、アルマールって呼んでください。他の人間もそうしてもらえたらうれしいです」「あらそう?それなら私の事もナナって読んでね。」「はい。ナナ。それでどうしましょうか?異常だって事は私は理解していますし、料金が高くなるのは当然だと思っています。」「そうね。ラーロはどう思う?」「どうって言われてもな。うちの宿じゃ釣り合わないよな」「それじゃこうしない?」「まず、ラーロの宿屋は相場よりも少し高めにする。それがお風呂付き。相場と同じ位なのが、お風呂なし。」「お風呂の方は、パシリカ前の子供は2,000レインでパシリカ後は、3,500レインにする。どうせ、この辺りでお風呂だけの店なんてないし、安くしても文句は出ないと思うわよ」「そうだな。」「ナナ。ラーロさん。その価格なのですが、もう少ししたら、ギルドが本格オープンするんです。その時に発表で良いですか?後数日だと思うのですが....。」「私は別に良いわよ。ラーロは?」「俺も問題はないな。どうせ、まだ宿屋の準備や食材の仕込みも終わっていないからな。その方がありがたいかな。数日で施設の事を覚えないとならないだろうからな。」「ありがとう。それでですね。その価格は、ギルドオープン価格とかにしませんか?」「??」「最初安くして皆に使ってもらう期間ですよって事を匂わせるんです。それで、もうちょっと高くてもできそうなら、値段を高くして、通常価格に戻りますとか言えばいいと思いますよ」「「!!」」「なるほど、それなら....問題はないな。値段戻した時には、風呂の魅力に取り憑かれていると言う寸法だな。」「そうですね。もし、客が高いと感じるようなら、例えば、10回着てくれたら一回分タダにしますとか言ってもいいし、回数券って事で11回入れる権利を10回分の値段で販売してもいいと思いますよ。」「「!!!」」「リン君やミルも大概だと思っていたけど、貴女もだったので、アルマール。」「!?あの人達と一緒にされるのは心外ですが.....。」
「うん。アルマールありがとう。ラーロもいいわよね。」「あぁ問題ない。」「それじゃお風呂はさっきの取り決め通りでやってみることにしよう。値段に関しては、ナッセとかもと話して決めよう。」
そう言って、お風呂での話は終了した。

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