【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

幕間 リンとマヤとミルとフェムと私イリメリの関係

マヤが帰ってきた。帰ってきたと言う表現が正しいのか解らない。生き返ったと言っても良いのかもしれない。現実に、今私の前で、リンに抱きついている。それは喜ばしい事で涙が自然と出てくる。マヤが帰ってきて嬉しいのか、マヤが帰ってきた事を喜ぶリンを見ているのが嬉しいのか解らない。
マガラ神殿でマヤが復活してから、慌ただしい日々が流れよとしていた。それは、私の気持ちと言う面でも慌ただしかった。
マヤがお風呂に入ると聞いて、覚悟を決めて私もお風呂に入る事にした。私と同じように考えているのか、ミルとフェムも居た。「イリメリも来たんだね。」「来ないと思っていたよ」私も、二人に向けて「なんでいるの?」「イリメリに抜け駆けされないようにだよ。って言うのは半分嘘で、ミルを探していたら、マヤがお風呂に入るのを待っていたみたいだから話しかけたの。」「そう、でも、ここに居る理由にはなっていないよね?」「そうかな?イリメリもフェムと同じで覚悟を決めたんだと思っていたんだけど....。違うなら、帰って!」「「そう、覚悟!」」「私は、リンに好きだと告白した。それをマヤにしっかり伝えようと思っている。」「フェムもそのつもりで来た。イリメリが違うのなら、今日は帰って。」「・・・・違わない。マヤに、リンの事が好きだと伝えて、これからリンに好きになってもらうようにすると言おうと思っていた」「それなら、一緒にお風呂に入る権利はありそうだね。ミルもそれでいいよね。」「うん。」
なんだか、不思議な光景だとおもうが、本人が知らない所で、話が進んでいく。リンは実際に誰を選ぶのだろう。マヤだろうが、妹の立場以上ではないような気がする。一歩進んでいるのは、ミルだろうけど、帰ってきてからの態度を見ても変わりはない。だったら、私にもと思ってマヤに話をしようと思っていたのだ。
「ねぇ三人ともいつまでそこに居るの?一緒に入ろうよ!」「「「!!」」」
中からマヤの声がしてきた。お風呂場に入った。マヤは、湯船に使って笑っている。「静川瞳さん。リンがすごくお世話になっていたみたいですね」「!!」「重久真由さん。中学生の時の事を覚えていたんだね。」「!!」「鵜木和葉さん。リンの為にいろいろありがとう。調べるのも一人で抱えるのも大変だったよね」「!!」「みんなありがとう。」
完全に先の先を取られた格好になっている。私は、そのまま歩いて湯船に使った。「マヤ。私。」「うん。何?」「リンの事が好きなの。いろいろ酷いことを言ったりしたけど、好きなの!」「うん。知ってる。イリメリは、いつでもリンの事を最初に考えてくれていたからね。友達に何を言われてもリンの事を見捨てなかったよね。」「ううん。でも、私は・・・・」「違うの。イリメリ。リンは解っているとおもうよ。」「!!」「イリメリがリンを家族に一番近い存在だと感じていたんでしょ。」「うん。」
「フェム。貴方が一番、リンには気が付かれていないよね」「多分ね。でも、私はいいの。リンが強いって事を知っているのは私だけだし、リンが自分の事よりも、周りの事を気にしているのも知っている。そんなリンを私は好きなの」「そうだね。ねぇ覚えている?」「何を?」「リンに初めてあったバス停の事?」「もちろん。忘れた事なんてないよ。」「そう。でも、リンの事が強烈すぎて他の事は忘れているんでしょ?」「??」「あの時に、一緒に居たおばあちゃん。サリーカのおばーちゃんだよ!」「!!!!!」「そして、近くに居た中学生は、立花達だよ」「!!!!」「ほら、リンの事は覚えていても他の事はダメだね」「・・・・うん。立花だったのか・・・」「そ、そして、来たバスには、サリーカが乗っていて、おばあちゃんから勇敢な男の子の事を沢山聞かされていたんだよ」「「「!!!!」」」「安心して、”まだ”サリーカはその事を知らないからね。」「まだ?」「うん。”まだ”ね」「そう....」
「マヤ。私は、リンに好きだと伝えた。私の地球の両親がリンの両親に何をしたのか知っている。でも、この気持は消えない。」「うん。わかってる。リンもミルの事は申し訳ないって気持ちだとおもうよ。」「そう、それなら嬉しい。」「ねぇミル?」「何?」「小学校だっけ。今でも覚えているの?」「もちろんだよ。」「そうなんだね。虐めていた奴の事覚えている?」「・・・・それは・・・・」「その虐めていた奴が次に虐めたのは誰なのか?」「・・・・・」「そして、そのいじめが本格化する前に、リンがした事も、覚えている?」「・・・・・。」「やっぱりね。ミル。小学校の時の名字って言うんだっけ、違うよね。」「うん。」「それじゃしょうがないよね。小学生から高校生で大分見た目も違ったんでしょ?」「うん。」「性格も?」「だとおもう。図書館なんて高校になってから行き始めたからね」「「!!」」「そうだよね。ミルを虐めていたのは、真命で言った方がわかるかな。”橋本芳雄”こっちでは”クンジナ=ユルワーフ”と言うんだよ」「!!」「そして、次にターゲットになったのが、タシアナなんだよ。」「!!」「リンはクンジナの事を当時タウン誌に記事を書いていた母親に言って、学校にいじめに関する取材の申し込みをさせたんだよ。」「!!」「学校が急に優しくなんたでしょ?あれはそういう事なんだよ。」「!!」「そして、ミルには残念なお知らせだけど、タシアナはこの事をほぼ正確に知っているよ。」「「「!!」」」
マヤが一息ついた。「マヤ。」そう言い出すのが精一杯だった。「イリメリ。リンって酷いよね。」「!!」「私の事を救い出して、それでなんでもないって風になってしまうんだよ。」「!!」「ミルもそうおもうでしょ」「うん」「フェムなんて一番の被害者かもしれないよね。」「!!」「あのね。まだこれは確定じゃないから、3人の中だけに留めておいて欲しいんだけどいいかな?」「「「うん」」」「リン!あのバカ兄貴は、人族じゃなくなっているとおもう。」「「「!!」」」「私。アルセイドに名付けして記憶まで取り戻させたんだよ。普通の人族が出来る事じゃないよ。そんな種族はないけど、”超人族ハイヒューマンとでも言うのかな?今、いろいろ調べているけど、リンは、ミルやイリメリやフェム達と違って、魔素を変換出来る機関が出来ているみたいなんだよね」「??」「あぁ人族にはわからないよね。魔物は活動に魔素を必要とするんだよ。それをエネルギーに変える器官があるんだよ。リンにはその器官が備わっているように思えるんだよ。」「え”リンが魔物になっちゃうの?」「ううん。フェムが言うのはちょっと違う。私やロルフの様な存在になるって事だよ」「??」「あぁ魔物と動物とニンフや精霊や亜人の事がわからないんだっけ?」「簡単には知っているけど・・・・。」「そこから説明するね。」
そう言って、マヤは魔物と動物の違い。リンの眷属と魔物の違い。亜人と人族と魔物の違いが説明して、最後にニンフと精霊を説明した。「ねぇマヤ。それって公表していいの?」「いいんじゃない?魔物の里とかでは一般的な知識だよ。」「!!」
「話を戻すと、リンは精霊とかに近くなってしまっているんだよ」「それが?」「解らない?」「うん」「あっ!!!」「フェムはわかったみたいだね。」「うん。寿命がとんでもなく長くなる!!」「そ。」「私と同じになると、少なくても不死ではないけど、不老に近くなるとおもう。寿命も、多分数万年とかって単位になっているとおもうよ」「!!!!」「そしてここからが本題!」「ミル。イリメリ。フェム。」「!」「リンは、あなた達が思っている以上に脆く壊れやすい。それは解るわよね?」「「「うん」」」そうなのだ、身内を二度殺されているリンは、心は強く綺麗だが、脆く壊れやすい。ダイヤモンドの様に固く綺麗に光っているが、瞬発的な衝撃では脆く粉々に砕け散ってしまう。
「あなた達が、リンの事を好きだと思っている事は解っている。そして、すごく嬉しい。私も、ミルやイリメリやフェムの事が好きだから.....でもね、リンがあなた達の事を愛して大切に思ってしまう事はすごく怖いの。」「!?」「だって考えてみて、数万年生きるリンがその一瞬でもあなた達を愛したとして、先にあなた達は死んでしまうんだよ。」「「「!!!」」」「それにリンが耐えられるか解らない。だったら、最初から私と二人だけの世界にしてしまう方がいい。」「「「・・・」」」「そうおもうでしょ。だから、あなた達がリンを好きなのは解った、でも、私達の邪魔はしないで、地球に帰ってしまうあなた達にはリンを愛する資格はない!」「「「!!!!」」」「何か言いたい事があったら言っていいよ。」「何?ミル。何か言いたそうだね。」「・・・・・だったら、なる。私は、リン君と同じ立場になる。それで、こっちの世界に残る。地球になんて戻らない。リンがいれば他に何もいらない。マヤ。貴方でも私の邪魔をするのなら、勝てないだろうけど、戦いを挑む!!!」「マヤ。貴女は勘違いをしているよ。私は、ミルみたいな事は言えない。地球にも大切な人が居る戻りたいとおもう。でも、こっちに残ってリンと一緒に居たいともおもう。マヤ。私は、貴女からリンを奪う宣言をしに来た。マヤから奪って、リンに取っては刹那の時間かもしれない。その時間を私が奪い取る。私が死んだ後にマヤはリンを一緒にいればいい!!!」「フェム。貴女の本当の気持ちなんだね。」「そう!」「フェム。ミル。そして、マヤ。私は、神崎凛が好きだった。この気持は、地球に居た時にはわからなかった、手が掛かる弟程度にしか思っていなかったんだとおもう。でも、こっちに来てそれが違っているのが解った。リンの側にいつもマヤがいた。ミルが居た。フェムもサリーカもアルマールもフレットもカルーネもルナもタシアナも居た。そして、沢山の眷属や職員も居る。私の居場所を皆が奪っていった。本当なら、私がリンの側に居て、私が一番頼りにされていないと.....。そんな気持ちで壊れそうだった。マヤが居なくなって、帰ってきたリンは私が知っているリンじゃなかった。もう私なんて必要ないと言われてしまったようだ。その時に、私は気がついたの。私はリンが好き。リンが側に居てくれるのが好き。私を頼ってくれるのが好き。誰よりも、リンと一緒に居たい。その為なら、マヤからリンを奪って、ミルの立場を奪って、リンと一緒に居る。そう決めた。リンが数万年生きるのなら、私も数万年生きる方法を見つける。もうリンを一人にしない。私だけのリンじゃ無くても、私はリンの側に居る。」
「イリメリ。フェム。ミル。先に謝る。ゴメン。あなた達の本心を聞きたかった。煽るような事を言ってゴメンなさい。」「「「!!!」」」「でも、リンの身体に起こっている変化は本当のことだよ。」「「「!!!」」」「ねぇもう一度聞くけど、イリメリ。フェム。ミル。リンと共に生きる事は出来る?」「私は、そのつもりでいる。私は、リンの剣である盾になる。」「私は、一番でなくていい。リンの側に居たい」「私は、リンの側に居るためにここに居る。それは今後も変わらない。」
「うん。ありがとう。」「「「??」」」「試したみたいでゴメンね。後一つ大事な話があるの。」「「「??」」」「リンが進化したと過程すると、リンは子孫を残す能力が極端に低くなるんだよ。これはエルフとかの長命種を考えてもらえればわかりやすい。」「「「うん」」」「わからない?」「「??」」「イリメリはわかったみたいだね。」「うん。今はまだ良いけど、これからリンが有名になって行く。多分、貴族にもなるだろう。そうなると、王家とも繋がりがあって、資金的な問題も殆どない新興の貴族が出来ることになる。」「「うん。それで?」」「そうなったら、間違い無く、跡取りの事を言われる。私達やマヤの誰かが嫁と認められても、子供がいつまでも出来ないと側室を貴族や豪商から押し付けられる事になる。」「そ!そうならないためには?」「そう。私やミル。フェム。が、リンの正妻や側室になって子供を作る必要が出てくる。」「そういう事。だから、私は、あなた達と話がしたかったんだよ。地球で17歳まで生きて居るのだから、そういった話も出来るだろうからね。それでリンはどうなの?」「・・・・。多分、した事はないとおもう。彼女が居たって話も聞いた事がない。」「あぁやっぱりそうだよね。私がいろいろしても一向に何もしてくれなかったからね。キスしてくれただけだもん!!」「「「!!!!キスしたの?マヤ!!!!」」」「うん。したよ(えへ!)」「それは置いておくとして」「置いておくな!」「兄妹じゃないってバレた夜にちょっとね!!羨ましいだろう!」「あぁ話が進まない。それで、マヤなに?子供を作るのは問題ないよ。何度でも何度でもリンを誘惑すればいいんだよね?」「・・・。イリメリが壊れた。」「イリメリ。それはそうだけど、まずは、私達で争わないで、誰かがリンを振り向かせればいいと思わない?」「「「!!!」」」「できれば、サリーカやルナやタシアナ辺りも加えたいな。でも、まずは気持ちが決まっている、イリメリとフェムとミルと私でリンを目覚めさせる。ってのはどう?」「乗った。イリメリ。ミル。リンのハーレム要員じゃいやだって言うのならこれからは敵だよ。私はマヤと一緒にリンにハーレムを作らせる!」「私もそれに乗る。イリメリは?」「私はそのつもり。私だけを見てなんて言わない。でも、私の事を見て欲しい。」
「よかった。3人に断られたらどうしようって本気で思っていたんだからね。それでなくても、リンの周りになぜが綺麗で可愛い人が集まっているからね。眷属の人化した姿見た?あれってずるくない?」「あぁそれは思った。それぞれ違う雰囲気を持っているけど、みんなリンに従順だし可愛いし綺麗だし強いし言うことなしだよね。多分あれって進化の過程でリンの好みを反映しているんじゃないかな!!」「「あっ!!」」「それに、知ってた?いつも一緒に居る。ワクやロルフ。実は女の子なんだよ」「え!!」「マヤ。アルセイド顕現で眷属を近づけなく出来ないの?」「出来ない。リンとの結びつきが強いからね」「そうなんだ....。」
「あっまた横道にそれちゃった。みんな、ハーレム要員って事で、誰が筆頭になるかとかは今後の競争でいいよね。私が一歩リードしているけどね!!」「うん。それはしょうがない」「それでね。流石に今すぐは無理だとおもうけど、フェムとイリメリとミルには、大陸の何処かにある神殿を攻略してもらうからね」「??」「マヤ。話が見えないんだけど....。」「神殿の攻略?マガラ神殿みたいな神殿を?」「そ。リンが進化したのは、マガラ神殿を攻略したからだとおもう。その後何が有ったのかわからないけど、きっかけになっているのは間違いないとおもう。そこで、3人にも攻略して貰えば、リンと同じ種族に進化出来るんじゃないかなっとおもうんだけどね。ニンフが居たら契約すれば、その力で進化すると思っているんだよね。リンが最近やった事で大きな事はそれだからね。」「!!そうか...そうすれば、マヤとリンだけを残す事が無く、一緒に要られるんだね」「そ。確実ではないんだけどね。やってみる価値はあるとおもうんだよね。それに、ギルドにとっても悪い事じゃないだろうからね。」「うんうん。」「よし、目標が出来た!」
私は心が決まった。スッキリした気分にもなった。皆と裸で話をしたのが良かったのかもしれない。知らなかった事実も知る事が出来た。それから、お互いに身体を洗い合ったりして、話をした。お風呂からあがったら、マヤが一緒に寝よ。とさそってくれた。断る必要もないので、マヤとリンの部屋になだれ込んで一緒に寝る事になった。

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