【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

僕が生きるべき場所

復讐がすごく虚しく思えた。泣き叫ぶ姿が滑稽に見えて、苛めている感じがしてしまった。殺せなかった。日本人の感覚が残っていて殺すと言う事への忌避感があるのかと聞かれれば、どうか解らない。殺してしまっては、そこで終わりだが、心を折ってその後を考えたほうがいい。
それにしても、支配下になったワク。スライムがこれほど使いやすいとは思わなかった。【鑑定】名前:ブラックスライム(2)真命:ワク体力:120魔力:800腕力:160敏捷性:740魅力:80魔法:黒(4)スキル:陰移動、物理無効、毒無効、麻痺無効ユニークスキル:万物融解エクストラスキル:時空の胃袋ブラックホール
「ワク。種族が、ブラックスライムになっているぞ」「進化したんだ!」「ユニークスキルの万物融解ってどんなスキル?」「う~ん。知らない。」「まぁ今度試してみればいいよな。」「うん。」
さて、自分とマヤが使っていた部屋の片付けは終わった。後は武器庫から適当に貰っていこうかと思ったけど....まぁいいか、ニノサやサビニは必要な物は持っていっているだろうからな。武器庫は地下だったな。「ワク。ロルフ。地下に行くから着いてきて」「解った。」
ロルフとワクを連れて、床に作られた地下室への入り口を持ち上げて、地下にある武器庫に入った。マヤと二人で探検した時に、この武器庫に入り込んで、ニノサに本気で怒られたのを思い出す。柱や床の傷の一個一個にマヤとの思い出が刻み込まれている感じがする。
武器庫の中には、武器以外にも、防具もあるし、素材らしき物も沢山残されている。メンテンスの為の工具もあるから、どちらかがメンテナンスをしていたんだろう。流石に、武器全部とかは持っていったら怒られそうだから、必要そうな物だけ持っていこう。スキルで刀剣武技が出ているから、刀があれば良いんだけどな、中二病臭くても刀を装備したいんだよな。短刀と長刀2本の三本挿しとか憧れるな。防御面は、物理無効があるからある程度は安心しているんだよな。物理無効って落下の衝撃とかも大丈夫なのかな?ワクのスキルからの恩恵だとしたら、落下も大丈夫そうなんだけどな。スライムが高いところから落ちてダメージ食らうとか考えにくいからな。スキルは、マガラ神殿の書庫で手に入った情報の中にあるか検索してみてから考えてもいいだろうな。情報がなければ、まだ取り込んでいない書籍を探してみるのもいいだろうな。最初はやっていけるかなぁっと思ったステータスだったけど、十分チート級のスキルになってきたな。戦うには不十分だけど、補助なら十分役立つだろうからな。
気に入る刀はなかったが数本刀っぽい物が有ったから、ワクに言って確保しておいてもらおう。後は、素材を少し貰っていこう。何が必要になるかわからないからな。う~ん。後は、ニノサに仲間を紹介する時に武器や装備を貰えばいいかな。ダメとは言わないだろうからな。
それにしても、帰ってきた様子がないな。どこで何をしているんだろう?マヤの事を話をして墓を作らないとならないからな。遺骨とかは確保できなかったけど、遺品になってしまったけど、ギルド本部で着ていた服はあるから、それを収めたい。後、ニノサとサビニにギルド本部の手伝いをさせたい、冒険者として登録させて働いて貰えば、ギルドの評判もあがるだろうからな。
「ご主人様。お腹減った!」「ロルフ・・・・。」「ワクもお腹減った。ご主人様。」
素材が入った時空の袋タイムシフトポーチは魔物の里に置いてきちゃったからな。食べられそうな物が何かないかな....。
「ご主人様。」「なに?」「ロルフとワクで、魔物狩りに行ってきていい?」ワクからそんな事を言われた。
「ロルフ。どうする?」「僕は、どっちでもいいよ。」「そうか、ワク。ロルフと一緒に魔物狩ってくてくれ。ロルフ。美味しい魔物にしてくれよ。倒したら、ワクの胃袋に入れれば持って帰ってこれるだろう?」「「はぁ~い。」」
元気よく二匹は家から飛び出していった。この辺りなら、魔物はそれほど出ないし、出てもワーウルフ程度だろうから、負ける事はないだろう。もし、レッドベアー辺りが出てきても大丈夫だろうな。
二人が出ていってから自分の部屋に戻って見回してみた。こんなに広かったんだな。マヤと二人で居たときには、狭く感じたんだけどな。マヤが来るまではこの部屋が世界の全部だった。マヤが着てからは、世界が広がっていった。確かに、僕は転生者だ。それも偽りの命を与えられた存在なのかもしれない。仲間と呼べる存在が出来た。
でもマヤ。君がいない世界はすごく狭いよ・・・・・・・・・・・・・・
あっそうだ。子供の時に.....あっ!有った。
二人の子供が笑っている絵がある。ニノサ知り合いで絵を書くのが好きな人たきた時に、僕とマヤの絵を書いてくれた時の物だ。写真がない世界なのは残念だが、二人だと解る絵が残っていたのは嬉しい誤算だ。マヤが二人の宝物って隠していたんだったな。
あっそうだ。ニノサとサビニに伝言を残しておこう。ニグラ街に居る事を伝えておけば、着てくれるかもしれないからな。でも、直球で”ニグラ街に居ます”と書くのは怖いな。伝言の伝言になってしまうけど、ナナにお願いすればいいかな。ニノサには、『アロイの街で伝言を頼んであります』と言えば解ってくれるだろうからな。
自分のテーブルは、ワクの中に入っているし、今更出してもらうのも面倒だし、ニノサやサビニの部屋にある物を使わせてもらえばいいか。ニノサ達の寝室ではなく奥の書斎を使わせてもらおう。あそこなら、書くものも有るだろうし、紙は無理でも羊皮紙位なら残されているだろうからな。
そう考えながら、書斎に向かった。子供の頃はここが嫌いだった。文字を読めるようになったのは早かったとおもうが、なんか押しつぶされそうで怖かった事を覚えている。なにより、僕とマヤがここに入るのをニノサがすごく嫌がった。怒られるわけじゃなくて、嫌そうな顔をしていた。子供ながらにここに入ってはダメなんだと思っていた。
子供の時の記憶のままの書斎が残されていた。ここだけ時間が止まった感じがする。書斎にある本を一冊取ってみる。
『妖精学 ~ ニンフの系譜 ~』そんなタイトルの本だ。パラパラとページを捲ってみる。読むつもりはなかったが、何気なく目に止まった記述がある。この本を前に読んだ人間も同じなんだろう。本が開かれていた形跡がある。『ニンフの憑依に関して』ページの表題はそうなっている。『ニンフは、精霊として存在する傍ら人族の魂に憑依して存在する種類もある。今まで確認されているニンフとしては、アルセイドが有名である。アルセイドはニンフの意識は弱く力のみの存在と思われており、憑依した魂が育つ事でアルセイドの力が開放されていく事になる。また、ニンフは少女の姿をしている事が多い事が、ニンフは人族に憑依する物と思われてしまっている。人族に憑依したニンフは急激な成長を見せるが、人族が滅びることで、休眠状態になり再度生まれ変わると考えられている。』パラパラとページを捲っていると、『ニンフの神殿と精霊』『古代国家には、ニンフを神の一柱を考え神殿を構えていた。大陸の各地にニンフの神殿が存在している。本殿の発見に至っていないが、マガラ渓谷には神殿跡と思われる遺跡が見つかっている事から、マガラ渓谷にニンフの神殿があると考えられている。また、トリーア王国とバイヤ・ティルス王国とビハール王国が面している海に浮かぶ島『侵入不可能な島ヴァル・デ・ハラ』に、すべてのニンフを統べるマノーラ神を祀ったと言われている。』そんな記述がされていた。ページの端に、ニノサの文字で『ニンフ。アルセイド』と書かれていて、『マヤ』と書かれている。落ち着いたらゆっくりと読もう。マヤが居る時なら、しっかり読み込んで問題になりそうな事なら先に手を考えるが、今となっては必要ない事だろうからな。それにしても、ニンフや精霊やマノーラ神に関する書籍が多く見られる。ついで、エリフォス神に関する事だ。精霊に関する書籍も多い。
ふと、机の上を見ると紙が置かれていた。”リン・マヤへ”僕達に宛てた手紙だった。魔法印で封がされている。指名した人間しか開けられない仕組みになっているようだ。魔法印に魔力を注ぎ込むと、魔法印が解除された。そして、中に手紙と布が入っていた。『リン。マヤ。お前たちは無事なんだな。俺とサビニは領主に追われていた。領主の息子が、俺たちの協力者を無残な形で殺した。本人もこうなる事は解っていて覚悟をしていた。だが、あいつは関係ない者を巻き込んだ。何の関係ない子どもを順番に笑いながら殺していった。助けに入って子供を助け出したが、子供の一人があいつらの仲間だった。俺たちは逃げなければならなくなった。身勝手な親だと罵ってくれていい。でも、お前たちには被害が行かないようにしたいと思ったのは本当の気持ちだ。領主にもうこれ以上領民を害さないと言う約束と契約で、今から話をつけに行ってくる。もしかしたら殺されるかもしれない。それで幕引きになればいい。最後は俺たちの手で終わらせたい。リン。マヤ。お前たちの事を愛している。幸せになって欲しい。この手紙を読んだら、すぐに逃げ出せ、そしてニグラに行って、ミヤナック家のハーコムレイを頼れ。同封した物を見せれば、力になってくれるだろう。もし、ハーコムレイの所に、ローザスとファンと名乗る若者が居たら、俺の名前を出して力になって欲しいと頼め。奴は信頼できる。力もある。リン。マヤ。俺たちが殺されても敵討ちなんて考えなくていい。サビニが好きだった料理を食べて俺とサビニの事を思い出してくれるだけでいい。リン。マヤ。お前たちは俺にはもったいない息子と娘だ。絶対に幸せになれ。もし、ダークエルフのドラウ=ピロテースと名乗る女性が尋ねてきても、俺の浮気相手じゃないからな。昔世話になった人だ。話をしてやって欲しい。頼む。リン。頼んでばかりの父親で悪いな。』
バカ親父。何にも大切な事は教えてくれていない。お前たちまで死んだら、僕は一人になってしまうんだぞ、わかっているのか?死んだら許さない。お前たちまで死んだら、おまえの言いつけなんで守らない。お前たちを殺した奴に復讐してやるからな。おまえが望んでいない事をしてやる。だから、生きて帰ってこい。マヤの話をしよう。ニノサ。サビニ。本当に、僕を一人にしないでくれ!!!!
辺りが暗くなってしまっている。「ロルフ!ワク!」「ロルフ!ワク!」「ただいま。ご主人様!魔物仕留めてきました。」そういって出てきた二匹を僕は抱きしめた。そうだ、こいつらが居る。それに大切な仲間も居る。

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