【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

マガラ神殿

「マヤ!!ロルフ!!」
『ご主人様。僕はここにいるよ』そう言って、ロルフが”僕の影”から現れた。おぉぉぉこれが影移動なのか?「ロルフ。ここは神殿で合っているんだよな?」『はい。そうですよ?』「祀られているのは、”アルセイド”で良いんだよな?」『もちろん。』「その”アルセイド”はどんな神なんだ?」『誤解が有るみたいだね。”アルセイド”は神ではないよ。魔物や一部の人には神の一柱だと思われているけど、神では無く"ニンフ”だよ』「ロルフに、僕の所に行けと言ったのは、その”アルセイド”で間違っていないよな?」『うん。そう。僕も君の事が気になるし、好きだから、命令されなくても、従属はしたとおもうけどね』「そうか、ありがとう。僕もその”アルセイド”会うことは出来る?」『どうかなぁ解らない。少なくても、今は会えないとおもうよ。力を無くしてしまっているみたいだからね』
何か隠されているようにおもうけど、好意的である事には違いはなさそうだ。気にしないで、マヤの所に行こう。教会の中のマヤが寝ている部屋に急いだ。
「マヤ!」マヤが居ない?
「マヤ!」起きて、僕が居なくて寂しくなって怒っているのか?
「マヤ!マヤ!」僕を探しに出たのか?
「ロルフ!」『はい。はい。』「マヤが居ない。」『そうですね。』「どこに行ったのか知らないか?」『僕じゃわかりませんよ。僕は、もう貴方の従魔なんですからね』「っく。マヤ!」
他の部屋を探す事にしよう。教会の中には、マヤが寝ていた部屋以外に6つの部屋がある。一つ一つ確認していく。部屋のドアは重厚だし、部屋の中には、教会中央にあるのと同じ銅像のミニュチュア版が置かれている。どれも、女性のようだが微妙に違っている。よく銅像を観察すると、マヤに似ていなくもない。姉妹と言われれば納得してしまいそうな感じだ。6つの部屋はどれも同じ大きさ位だろうか、椅子や机などの装飾品はなく、部屋の奥にある銅像が違うだけですべてが同じになっている。
教会には上層階もある。中央は、銅像が六芒星ダビデの星になっている部分は天井部分まで吹き抜けになっている。二階部分も、一階部分と同じで正面にマヤの像が置かれていて、その他に6個の部屋がありそれぞれ背後に像が置かれている。1階部分と違うのは、執務室のようになっていて、重厚な机の空の本棚。そして、扉が一つ着いていて奥に部屋が作られている。2階にもマヤは居なかった。
3階から上は作りが違っている。吹き抜けがある関係上、通路は円状になっているが、8畳ほどの部屋が連続で作られている。ギルド本部の居住区の様な感じになっている。3階・4階・5階とすべての部屋を見たが、マヤは居なかった。部屋の中には何も残されていなかったが、作りが重厚でニグラ街や宗教都市ドムフライホーフよりも高級感がある。僕は解らないが、敷き詰められている石も大理石の様に綺麗な石だ。そもそも、石造りで5階建てとか耐久性とか大丈夫なんだろうか?鉄筋はないだろうから、それとも何か魔法的な仕組みが組み込まれているのか?そういえば、マヤが起きるのを待っている間”暗くなったこと”がなかった。電灯が有るわけでもないのに、常に明るい。本当に不思議な場所だ。
教会の中は隈無く探したとおもう。教会にはもう居ないようだ。
教会から出て。さっきは右側の2つ目の建物に入った。一つめの扉を開けて中に入った。表現が難しい。受付の様な物があり、奥に進むと小さなロッカーの様な物が大量に並んでいる。そこを通って更に奥に行くと、そこには、水が抜かれたプールの様な物が沢山あった。日本に居た時に子供の時に何度か連れて行かれた”スパ”に近い。中を探してみるが、マヤは見つからない。施設を出て、教会の反対側の建物にも入ってみる。先程のスパと同じような建物だった。
もうひとつ隣にも建物がある。反対側は書庫だったが、こっちは遊園地とかデパートとかのそうフードコートの様な感じになっている。大きな建物の中に小さな売店が沢山有るような感じだ。すべてを見て回ったが、マヤはどこにもいない。さっきから、ロルフも影から出てこない。話しかけようにも、影の中で寝ているようだ。まぁいい猫だからしょうがないんだろう。
これで建物は後二箇所。書庫の横にある建物に入った。ここは、ただただ広い空間が広がっていた。何に使っていたのか解らないが、本当に広い空間だ。東京ドーム何個分とか表現しても良いくらい広いとおもう。しかし、ここにもマヤの姿はない。そもそも、足跡も無ければ、僕が歩く音しか聞こえてこない。息遣いまでも聞こえてきそうなくらいの静寂だ。
最後の一つの扉を開ける。そこは、こじんまりとした空間だ。今までと同じで何も音がない世界の様に静かになっている。
『ふっふぁぁぁぁご主人様。』「ロルフ起きたのか?」『寝てませんよ。少し目をつぶっていただけですよ。』「いいよ。寝ていても....。」『そうですか。っとダメですね。』そう言って、ロルフは僕の影から出てきた。「ねぇロルフ。影移動だけど、僕の影から出てきたよね。」『厳密には違いますけど、そう見えると思いますよ』「??」『原理の説明は面倒なので、書籍で調べて下さい。多分詳細に説明されていると思いますよ』「わかった。でも簡単に説明して」『そうですね。ご主人様にわかりやすく言うと、陰と陽の関係だと思って頂ければいいです』「??余計にわからないよ」『人族が使っている影移動は、本当の影がないとダメなのですが、僕達が使っている陰移動は、物体の陰に潜む事が出来るのです』「なんとなく解った。要するに光が無くても、物体があればその物体の中に潜む事が出来ると解釈すればいいんだな。」『そうですね。中というか、違う次元と考えてもらえれば大体合っていると思いますよ。』「そうか、それで、僕のスキルにも、”陰移動”が出ているけど、使えるんだよね?」『え”ホントですか?あぁアルセイド様が言っていた通りですね。』『はい使えます。修練は必要ですが、最初の頃は、片手なりで物体に触れて、その物体の中に入ると念じてみて下さい。うまくすれば出来ますよ。』「ありがとう。マヤを見つけたらやってみるよ」『はい。はい。この部屋は、この先に仕掛けがありますから注意してくださいね』「わかった」
部屋に扉は3つあった。左右に一つづつ。正面に一つだ。右側の扉をあけて中に入った。中央に円状の印が書かれているだけで何もない部屋だ。円の大きさも大人が余裕で10名位立っていられる位の広さしかない。反対側の部屋も同じ作りになっている。この2つの部屋は変わっている。部屋の内側から鍵が出来ないようになっているようだ。魔法的な仕組みなのか解らないが今は気にするような事ではないだろう。
正面のドアを開けて中に入った。この部屋は今までと違っていた。雰囲気もそうだが眩しいのだ。光が差し込んでいるような感じがする。部屋は6畳よりも少し広い程度だろう。奥に通廊が繋がっている。通路を歩いていると、奥から水の音がする。滝が落ちているような音だ。徐々に近づいている。なんとなく解っている。この部屋が最後なんだと。そして、滝が終着点なんだと。マヤはどこに行ったの?さっきまで寝ていて、本を取り込んでいる最中に起きたのなら、マヤも僕を探しているだろう。でも、この神殿の中には居なかった。すれ違っているかもしれないが、感覚で解る。マヤは今ここにはいない。でも、どこに行った?僕とロルフ以外は居ないはず。マヤが起きて姿を消さない限り、寝たままになっているはずだ。それが居ないのは、起きて何処かにいったんだと言うことだ。マヤ。マヤ。早く会いたい。会って抱きしめたいよ。
もう音から考えると、後数メル行った所で終着点のようだ。そこにマヤが笑って僕を待っていてくれる。
滝が見えてきた。ほら、その横に人影が見える。マヤに違いない。僕は駆け出した。「マヤ!」「マヤ!遅くなってゴメン。」人影に手をかけた。冷たい。マヤが冷たいはずがない。
マヤ。
『ご主人様・・・。』「なんだロルフ。邪魔するな。」『・・・マヤさんじゃありませんよ』「そんな事はない。ロルフ。お前は間違っている。マヤが僕をおいて行くはずがないんだ。約束したんだからな。だから、ロルフ。お前が間違っているんだ。」『・・・・・・・』「なっマヤ。マヤ。なんとか言ってくれよ。いつもみたいに笑ってくれよ。マヤァァァァァァァ」
僕は何日ここでマヤを待てば会えるの?サビニ答えてよニノサ教えろよミトナル答えろよイリメリ、フェナサリム、サリーカ、アルマール、フレット、カルーネ、ルアリーナ、タシアナ。誰でもいい教えてよウノテ、ナナ、ラーロ、ローザス、ハーコムレイ、ファン、ナッセ、イザーク、カール、ブルーノ、ホルスト、レーゼル、レマー、ベック、ヒルダ、ミーシャ、アシュール、エベンス、クローネ、マリノ、ラオ、ルイ、エタール、カフィール、サラーム、ソニア、フランシア、ミランダ、アクア、シェコダ、フェルテ、モニシャ、ライカ、ランカ。誰でも答えろ。僕に教えてくれ。
”ゆう”教えてよ。
銅像が光りだした。『馬鹿だね。凛兄。もうわかっているんでしょ。』「・・・・。」『解らないの?』「ゆう?」『う~ん。残念。だけど、半分当りかな』「??」『銅像を見て』
そう言われて、先程までマヤそっくりの銅像を見た。そこには、プールの事故で死んでしまったはずのゆうの面影を残す銅像に変わっていた。
「!!」『僕は、マノーラ。進化の神。七翼神の一柱だよ。』「!!」『今回もあまり時間がないから手短に話すよ。凛兄が認めなくない事は実際に起こった事だよ。でも、それは真実ではないかもしれない。』「!!」『僕の事を信じる信じないは、凛兄に任せる事しか出来ないけど、今は少しだけ信じて欲しい。』「・・・・」『ここの施設は、僕の進化の神のちからを封印している場所で、アルセイドが守護している。こんな場所がこの世界には後6箇所有るんだけど、それは今はいいか』「・・・・話が横道にそれるのは同じなんだな」『ハハハ。良かったよ。少しは信じてくれたんだね。わかりやすく言うと、その銅像がこの施設の制御基板になっているんだよ。今は文明が廃れてしまって、新たな管理者が不在な状態になってしまっている。僕の事を信じてくれるのなら、凛兄が管理者になってよ』「・・・どうすればいいんだ?」『ロルフが居たでしょ。彼女に聞いてよ。』「彼女?雄じゃないのか?雌なのか?」『驚くのはそこなの?まぁ凛兄だからだね。管理者になればこの施設が自由に使えるようになるからいろいろ便利だとおもうよ。ここ以外の施設も同じように開放して管理者嫌煙を取れば使えるようになるよ。』「解った。それで、マノーラ。それとも、ゆうと呼んで良いのか?」『マノーラでお願い。』「そうか、マノーラ。マヤはどこに居る?」『ゴメン、それは答えられない。』「答えられないと言う事は、死んでは居ないと言うことだな。」『それも答えられない。』「そうか.....。解った。俺は自分を信じる。」『うん。それが凛兄らしくていいよ』「あぁ」『ゴメン。そろそろ時間みたい。あまり干渉出来ないんだよ。神域と実世界では時間の進みが違いすぎるんだよ』「わかったありがとうな。マノーラ。俺の可愛い弟。また会えるよな。」『うん。バイバイ。凛兄。また会おうね。』
銅像の光が収まった。「ロルフ!」『はい。ご主人様。』「早速登録をするからやり方を教えろ。」『はい。たしか、銅像の台座の所に手をかざして、”ロック解除”と念じれば、先の管理者が死んでいたりした場合には、”仮管理者”に認定されるようになります。』「解ったそこまでやってみる。」銅像の台座に手を翳すとかすかに暖かさを感じた。そこで”ロック解除”と念話の様に話しかけると、”カチャリ”と鍵が外れたような音がした。現在の管理者が居ないから、そうなったのだろう。「それからどうしたらいいんだ?」『え”何か伝言の様な感じで何か来ませんでしたか?』「ん?」もう一度、台座に手をおいて意識を集中する。”仮管理者を認証しました。生体データを登録しますか?”勿論、Yesと念じる。身体の中を何かが通った感じがした。”神崎凛を管理者に認定しました。尚、このデータは管理コンソールより変更可能です。”おっ偽装が効かなかったようだ。登録は無事出来たようだ。
「ロルフ。登録は出来たようだけど、管理コンソールってどこにあるんだ?」『え”それこそ、ご主人様のステータスシートとかに出ていませんか?』「あぁそうだな。」
僕はステータスを確認した真命:リン・マノーラジョブ:動物使い体力:80魔力:80腕力:70敏捷性:50魅力:190(+250)魔法:外(2)魔法:黄魔法(2)、黒魔法(1)、青魔法(1)スキル:(隠蔽)隠蔽(4)、言語理解(2)、(隠蔽)念話(2)スキル:陰移動ユニークスキル:(隠蔽)動物との会話(2)エクストラスキル:(隠蔽)万物鑑定見透す力(4)、神殿管理(1)支配:ロルフ=アルセイド支配:イザーク=ハウシルト、カール=エドアルド、ブルーノ=コルネリアス、ホルスト=ジンツァー、レーゼル=バウマン、レマー=ヨッフム、ヒルダ=ヘルダー、ベック=ヘルダー、ミーシャ=ヘルダー、アシュール=ライオネル、エベンス=ウィレム、クローネ=ヒューズ、マリノ=フィールズ、ラオ=ベルンハルト、ルイ=ドルマン、エタール・ティロン、カフィール・ティロン、サラーム・ティロン、ソニア=トレスカーニ、フランシア=アウスストラ、ミランダ=カジミール管理:マガラ神殿
管理の項目が増えた。エクストラスキルが増えている。神殿管理と念じる。あぁぁぁこれかぁゲームのステータスのように、マガラ神殿自体のマップが表示される。部屋や施設の状況が表示されている。っお。設定と言う項目がある。設定を選ぶ。【神殿名・管理者名変更】【管理者変更】【転移門トランスポート設置・起動】
神殿名・管理者名変更を選ぶ。あぁゲームでよくあるやつだった。”神崎凛”を消して、”リン=フリークス”ととりあえず入力しておく。神殿名を、マヤ神殿に変更してみた。ステータスの管理がマヤ神殿に変更されている。流石に、マヤに怒られそうだから、マガラ神殿になおしておく。
気になったのは、”転移門トランスポート設置・起動”だ、すべての部屋や建物を見て回ったが、帰れそうな階段や道が見つからなかった。これでは、マヤと再会出来たとしても帰る事が出来ない。転移門トランスポートがゲームでよくある物なら、これで帰られるはずだ。
まずは、設置・起動を選ぶ。設置の所が淡い色になっていて、設置を選ぶ事が出来ない。しょうがないので、起動を実行する。転移門トランスポートは、この部屋の前室にあった左右の小部屋がそうらしい。
設定ではなく確認を選ぶ。【エネルギー確認】【登録者確認】【来訪者確認】
エネルギー確認を選ぶ。エネルギー量が満タンの状態になっている。説明が書かれている。”魔核の補充でエネルギーに変換されます。この神殿は上層部に魔物の素があり、戦わせる事である程度エネルギーが補充されます”となっている。なんとご都合主義な説明なんだろう。多分、マガラ渓谷で人間や魔物が勝手に死んで、湖に落ちて、滝で一箇所に集められて、そこで魔核を回収する仕組みなんだろう。そりゃぁ勝手に補充されていくだろうな。それに、川は、イスラやスネークからも魔物を運んでくるだろうからな。この施設で何が出来るのかの検証は、マヤを見つけてからじっくりやろう。そもそも、もう一回来る方法が解らないけど・・・・。
登録者確認を選ぶ、リン・マノーラと今度は偽装した真命が登録された。この微妙な違いはなんだろう?登録者は僕一人のようだ。来訪者確認を選ぶ、リン=フリークスと今度は普段名乗っている名前が表示された。そして、ロルフ=アルセイドと表示されている。マヤの名前がないと言う事は、マヤはもうこの施設には居ないということなんだろうか?
ここまで確認して、部屋を出て先程起動したはずの、転移門トランスポートの部屋に向かった。部屋を出たら、警告音が鳴り響いた。”管理室をロックしますか?”と表示された。”Yes"を念じる。"ロックします。キーワードを設定しますか?"”Yes"を念じる。"キーワードを設定して下さい。今後、扉に手を触れてキーワードを唱える事で扉が開けられる。また、扉は自動的にロックされます。"オートロックの仕組みみたいだな。扉を開けるキーワードの定番は、”ひらけごま"だろう。それで設定する。"カチャリ"とロックされる音がした。試しに、キーワードなしで扉に触れても開けられない。
前室まで戻ってきた、左右の部屋で入り口から見て右側の赤い扉の部屋から微妙に光が漏れている。扉を開けて中に入る。部屋の中央に書かれていた円にゲームでもよく見た魔法陣が表示されている。部屋の壁に”かはpv;ぞh 行き 起動まで 0010 秒”と書かれていた。本来なら、場所が解るようになっているんだろう?どうする?飛び込むか?転移門トランスポートだからどこかに転移されるだろう?海の上や行きていられないような場所ではないことを祈ろう?ん?上に地図が出ている。地形が現在の違うようだ。山の麓の様に見える。ポルタ近くの山の形にも見える。どうする。どうする?
『ご主人様。行きましょうよ。』「わかった。マヤを探しにいくぞ」『はい。』
僕は、起動している魔法陣の中に入った。カウントダウンが進んで残り3秒で色が赤く光った。
カウントが”0000"になった。

「【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く