【旧】チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

別れと出会い

ここは何処だろう?そもそも、僕は生きているのだろうか?
マヤが居ない。さっきまで抱きしめていたのに、あんなに暖かいマヤが居なくなるなんて事はない。僕も傷ひとつない。さっきまで見ていたのは全部夢に違いない。マヤの友達がマヤを攻撃するわけがない。
「マヤ!!!マヤ!!!」
ほら、もうすぐ、マヤが『リン』と僕の名前を呼びながら抱きついてくるに決まっている。今日は沢山甘えさせあげよう。抱きしめて、頭も撫でてあげよう。そして、また一緒に寝ればいい。嫌な事なんて何もなかったんだ。
「マヤ!!マヤ!!怒っていないから出てきて。マヤ居るんだろう?」
どこに居るんだろう?ここがどこなのか解らない。マガラ渓谷に落ちていったんだとしたら、ここはマガラ渓谷の底なんだろうけど、渓谷の底はイスラの大森林とスネーク山から流れ込む水が溜まっていると言う話だったはずだ、少なくてもこんな建造物があるなんて話は聞いた事がない。上を見上げるが、天井が有るわけでも、空が見えるわけではない。見えている物が理解できない状況にある。そう、上を見上げた僕の目にうつるのは、水面の様な光景だ。水族館で透明なパイプの中を歩いて、海を内側から見ている様な展示方法がある場所を知っているだろう。僕の目の前には、それを数百倍にした様な光景が広がっている。湖をから眺めているのだ。
そして、見渡すかぎりの広い空間になっている。実際には見たことはないが、古代ローマだと言われても"そうなんですね”と答えたくなってしまう。それほどの建造物が立ち並んでいる。僕は、その広場の真ん中に立っている。
マヤも先に起きて、この奇妙な建物を散策しているんだろう。僕もマヤを探すついでに建物を見てみよう。
正面に見えるのは、教会だろうか?ひときわ立派な建物がある。神殿と言われても不思議じゃない建物もある。教会が一番最初に目に入ったから、教会に向う事にした。石畳で綺麗に舗装されている広場を歩いて、教会に向かった。教会は扉には鍵もされていないで、僕が近づいて手をかざしたら、ドアが空いた。
「失礼します。マヤ?居るんだろう?」
教会の中は広かった。日本に居る時に教会なんて行ったことはなかったが、中学校の体育館位はある。バスケットコートが二面作れる位の広さだとおもう。中央に何か像みたいな物が立っている。
全部で7体の像だ。六芒星ダビデの星の形になっていて中央に一体の像が立っている。六芒星ダビデの星の頂点の像はすべて中央の像の方に向けられていて、中央の像は入り口に背を向けて正面に配置されている。僕は、像を正面から見た。
「マヤ?!」
そう、中央の像はマヤだ。いや、正確にはマヤを少し大人にした感じが正しいだろう。僕には解る。これはマヤだ。
マヤの像が向いている場所に扉がある。僕は、その扉を開けた。
中央に誰か寝ている。恐る恐る近づく・・・・。
「マヤ!!!!!!!!!!!!!」
やっぱり、マヤは生きていた。ほら、触ってもマヤだと解る。マヤだ。マヤだ。マヤが居る。
マヤ。起きろよ。僕が迎えに着たんだよ。起きて帰ろう。ギルドに帰ってもいいし、マヤが嫌なら二人でどこかに逃げてもいい。マヤ。マヤ。マヤ。いい加減に起きろよ。何時まで寝ているんだよ。あんまり寝てばっかり居ると疲れてしまうよ。身体を拭いてあげるよ。可愛い顔が汚れてしまったね。ちょっと待ってろ、どこかに水があるだろうから、そうしたら、綺麗にしてやるからな。マヤ。まだ寝ているのか?ほら、寝てばかり居るから、キスしたくなるよ。僕のキスでマヤが起きるんだよ。皇子とお姫様みたいだな。マヤ。起きろよ。起きろよ。起きろ!!!!!!!
僕をおいて行かないで、マヤ。僕はまた守れなかったのか?マヤ。そんな事ないよな。今、寝ているだけだよな。だって、肩と足に刺さった矢もないし、傷跡もほら何もない。あんなに出ていた血も1滴も出ていない。
ただ寝ているだけだよな。マヤ。
何日寝ているんだよ。寝過ぎだろう?お腹へってないか?僕は、全然減らないよ。マヤ。不思議だね。眠くもないし、食欲もわかない。マヤ。マヤが起きてくれるだけで僕は何もいらない。
マァァァァァァヤァァァァァァ!!!!起きろ。僕を一人にしないでくれ。
なんで起きないんだ。こんなに揺すっても起きないなんてそんなに疲れているのか?そうだよな。疲れているだけだよな。明日には目を覚ますよな。
マヤ。マヤ。マヤ。
『クスクス。あぁぁ』誰?マヤ?『違うよ。こっちこっち』声がする方をみるが誰も居ない。『こっちこっち。部屋から出てきて、いつまでもそこに居ると君が壊れちゃうよ。そんな事その方は望んでいないよ』ううん。そんな事ない。マヤが起きるのを待っているだけだから放っておいて『ダメだよ。そんな事したら僕が怒られちゃうよ』怒られる?誰に?『それは、まだ教えられない。』マヤ?『ううん。だから違うよ。いいから、こっちに来てお願い。』わかったよ。
マヤの側から離れたくなかったが、僕の邪魔もさせたくなかった。声がする方向に歩いた。マヤの部屋から出て、辺りを見回すが姿が見えない。教会からも出てた。
『良かった。そしたら、右側の扉。そうそう、君にわかりやすく言うと、本のマークがある扉を開けて入ってきて、僕はそこにいるよ』解った。
本のマークはすぐに解った。扉を開けると、古本特有の匂いが鼻腔をくすぐる。
『やっと来てくれた。どこ見ているの?ここだよ。ここ。』ん?だれ?本当にわからないよ?
『そうか、まだ力を得ていないんだね。これなら見えるかな?』ん?
目の前に、茶トラの猫が一匹本の上に座っていた。「さっきから僕を呼んでいたの君?」『そうだよ。やっと気がついてくれた。』「猫だよね?」『そうだね。そう呼ばれる姿をしているよ。』「それで何?僕に何か用があるんだよね。」『そうだよ。僕のご主人様からのここの知識を君に預けたいと言われているんだよ』「知識?そもそも、なんで猫と僕は話が出来ているの?」『そこから?今更だけど、自己紹介するね。僕は、森精”アルセイド”様の従者である。ロルフ=アルセイドって言います。アルセイド様から君に着いて行けと言われているし、君をご主人様だと思えと言われている。断ってもダメだからね。』「丁寧にどうも、僕は、リン=フリークス。といいます。あそこで寝ているマヤ=フリークスの兄です。」『うん。知っているよ。神崎凛さん。』「!!!!!!!」『そんなに驚かないで、僕を含めて、ニンフの従者は、君達の事は承知しているよ。神から頼まれているからね。』「???アドラから?」『ううん。違う神様。』「そうか、それなら、早くマヤを起こしてよ。」『それは出来ない。』「なんでだよ」『困ったな』「・・・・ねぇ」『なに?』「もう行っていい?マヤの側に居たいんだよ。起きた時に一人だと寂しいでしょ」『・・・・。』「ここの本は貰って良いんだよね?」『うん。全部君のものだよ。』「そうなんだね」
何千冊あるか解らない本を全部読めるわけではない。万物鑑定見透す力をフル活用して、マヤを起こす方法を探そう。万物鑑定見透す力を起動しながら本を手に取ると、中身を高速スキャンしているような感じで、全ページが取り込まれていく。
端から本を手にとってスキルで読んでいく。
ここが神殿と呼ばれていた事が解った魔法は簡略化された形態で古代魔法と言う物がある事が解った神殿は世界中に7箇所ある事が解ったRPG特有の復活の呪文がない事が解った
片っ端から読み込ませている。整理が追いつかない。
「ロルフ。ロルフ。」『なぁに。ご主人様』「気になっていたんだが、ロルフと僕はどうやって会話しているの?」『今更だね。ご主人様とは”念話”で会話しているんだよ』「それじゃ」『これで通じるのかな?』『ご主人様。』『あぁ何?』『何でもない。すごくすごくすごく嬉しいだけ。』猫が首筋を僕の足に擦り付けるようにじゃれついてくる。悪い気はしない。ギルド本部ペットOKだったかな?
すべての本の読込が終わった。情報の整理は、万物鑑定見透す力に依存している。暫く鑑定はできそうにないなと思ったがそうでもない。パソコンの様にバックグラウンドで情報整理を進めるようだ。時間が掛かるが、そのうち終わるだろう。
今のところ、マヤを起こす為の情報は見つからない。ただ、この神殿がアルセイドと呼ばれるニンフを祀った神殿である事が解った。そして、ロルフを鑑定した名前:ロルフ=アルセイド(10)真命:ロルフ=アルセイドジョブ:猫使い体力:640魔力:1200腕力:240敏捷性:2200魅力:180魔法:黄魔法(2)、黒魔法(1)、青魔法(1)スキル:念話、陰移動従属:リン・マノーラ
ジョブがなんか可愛い。従属ってなんだよ。それに、改竄した真命で表示されているけどいいのか?それにしても、ロルフがいればある程度の魔物なら対抗出来るんじゃないのか?
自分のステータスを確認した真命:リン・マノーラジョブ:動物使い体力:80魔力:80腕力:70敏捷性:50魅力:190(+250)魔法:外(2)魔法:黄魔法(2)、黒魔法(1)、青魔法(1)スキル:(隠蔽)隠蔽(4)、言語理解(2)、(隠蔽)念話(2)スキル:陰移動ユニークスキル:(隠蔽)動物との会話(2)エクストラスキル:(隠蔽)万物鑑定見透す力(4)支配:ロルフ=アルセイド支配:イザーク=ハウシルト、カール=エドアルド、ブルーノ=コルネリアス、ホルスト=ジンツァー、レーゼル=バウマン、レマー=ヨッフム、ヒルダ=ヘルダー、ベック=ヘルダー、ミーシャ=ヘルダー、アシュール=ライオネル、エベンス=ウィレム、クローネ=ヒューズ、マリノ=フィールズ、ラオ=ベルンハルト、ルイ=ドルマン、エタール・ティロン、カフィール・ティロン、サラーム・ティロン、ソニア=トレスカーニ、フランシア=アウスストラ、ミランダ=カジミール
え”そうか、奴隷紋を刻むとステータスに反映するとか言っていたな。すごい事になっているな。見覚えがない名前があるが、ニグラを出る時に購入した食事係の6人だろう。スキルのレベルもあがっているけど、ステータスの値は変わらないな。何か条件が必要なのか?ロルフと違うのは、従属と隷属の違いが有るんだろうけど、実質的には同じ事だろうけど、何か意味が有るんだろか?魔法とスキルが増えている?あっ従属した場合に、それらの能力を使う事が出来るんだ。スキル由来の物なのか....。もしかしたら、ジョブ関連かも知れない。万物鑑定見透す力を検索してみる。動物使いのジョブを発見!”従属させた、魔物・精霊の力を使う事が出来る”とある。これが該当して、ロルフのスキルと魔法が使えるようになったんだ。
あれ?ロルフが居ない?マヤの所にでも行ったのか?

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