99回告白したけどダメでした

Joker0808

186話




 恵理に買い物に付き合ってもらう日の当日。
 誠実は着替えを済ませて、約束の駅前で恵理を待っていた。
 年上の女の人と買い物なんて、普通はドキドキする展開のハズなのだが、相手が恵理のせいか、あまり緊張は無かった。
 それを抜きにしても、沙耶香や美沙となんかと買い物に行ったりしたので、慣れてきたというのもあった。

「せ、誠実君……お、お待たせ……」

「あ、恵理さん! 俺も今来たとこなんでだいじょ………」

 誠実はやってきた恵理の姿を見て、誠実は驚き途中で言葉を失った。
 そこに居たのは、しっかりと化粧をし、ちゃんとお洒落をしてやってきた恵理だったからだ。
 海で最初にあった時も、家に来た時も、ここまでのちゃんと化粧はしていなかった。
 誠実は、そんな大人っぽさ前回の目の前の恵理に頬を赤らめ、呆然と立ち尽くす。

「誠実君? どうしたの?」

「あ、いや……何でも……」

「何~? お姉さんが綺麗でビックリしたの~?」

「ま、まぁ……正直」

「え……」

 からかうつもりで言った恵理だったのだが、誠実の反応に顔を赤らめる。
 狙い通り、誠実の顔を赤面させることには成功したのだが、自分も照れてしまった。

(な、なんで誠実君に褒められたくらいで照れてんのよ! 別にそう言うアレじゃないでしょ! 今日は買い物に付き合うだけ! デートとかじゃないんだから!!)

「ま、全く! そ、そんなにお姉さんは綺麗かな~? ほ、褒めたって何も出ないぞ~」

「いえ、正直別人かと思いました……普通に綺麗です」

(こ、この子は~! なんでこういう時だけこういう感じなの! いつも通りでいてよ! 言ってるこっちが恥ずかしくなるじゃ無い!!)

「ふ、ふ~ん……ち、ちなみに……どの辺が?」

「え? いや、なんていうか……全体的に大人っぽいと言いますか……やっぱり大学生なんだなって……」

(あぁ……いつも生意気なせいかな? こういう風に正直に言われると……年下って可愛い……ってちがうでしょ!)

「ほら、早く行こ! 何も決まってないんだから、お店一杯見なきゃでしょ!」

「あ! 恵理さん待って下さいよ!」

 恵理は顔を赤くしながら、誠実を置いて先に街に歩いて行く。
 誠実はそんな恵理を慌てて追って行く。
 最初に向かったのは雑貨屋だった、とは言っても前に行ったショッピングモールとは別の雑貨屋さんだった。

「美奈穂ちゃんって何か好きな動物とかある?」

「う~ん……猫とか犬は普通に好きだと思うんですけど……先輩が持ってるそれは絶対に無いと思います」

「え、可愛いじゃん、ダイオウグソクムシ」

「確かに一時期話題になりましたけど、そのぬいぐるみは無い」

「じゃあ、私が買おうかな……」

「え……」

「別に良いでしょ! 可愛いじゃない!」

「……そ、そうっすね……」

「あからさまに引かないでよ!」

 結局一件目の雑貨屋では、何も良い物が見つからず、二人はアクセサリーの売っているお店に移動する。
 
「高! え? こんなにするんですか?」

「何処見てるのよ! 誠実君が見るのはこっちの安い方!」

「あ、よかった……こっちならなんとか」

「まぁ、美奈穂ちゃんはまだ中学生だし、ネックレスとかの方が良いかもね……コレなんてどう?」

「う~ん……ハートのネックレスって言うのもなぁ……妹にハートのネックレスってどう思います?」

「別に気にならないと思うけど?」

「美奈穂は気にしそうだな……」

 誠実はそう言って、そのプレゼントを拒否し、結局その店でもプレゼントは決まらなかった。
 現在、誠実と恵理はカフェに入って飲み物を飲みながら、プレゼントについて考えていた。
「決まらないわね……」

「すいません、なんかピンと来なくて……」

「良いよ、お姉さん今日は完全にオフだから」

「大学生って夏休みも暇なんですね」

「その言い方はどうかと思うぞ~、全く相変わらず失礼だな~」

「それは恵理さんにだけなんで、大丈夫です」

「どうしよう、お姉さん急に帰りたくなってきたかも」

「すいません、お姉さん手伝って下さい」

「よろしい、じゃあ次は服でも見てみる?」

 誠実達はそんな話しをしながら、飲みものを飲み、次に行く店を探す。





 私、古賀志保は、駅前のベンチに座ってそわそわしながら、男友達が来るのを待っていた。
「お、遅いわね……まぁ、まだ時間前だけど……」

 うっかりして、私は約束の三十分前に来てしまった。
 何をわくわくしているのだろう、相手はあの武田君よ?
 別にカッコイイわけでも無いじゃ無い!
 スケベだし、変態だし!

「あ、なんかちょっとイライラしてきた……」

 海での事を思い出し、私は少しイライラする。
 私の水着をいやらしい目で見て………。
 本当にあいつはなんなのよ!
 そんな事を考えていると、向こうの方から武田君がやってきた。

「よう、早いな」

「わ、私も今来たとこよ……」

「んで、今日は何を買うんだ?」

「え? あ、あぁ……えっと、まずは服買いに行くわよ!」

「へいへい、ならさっさと行こうぜ」

「言われなくてもそうするわよ!」

 私と武田君は、二人で並んでお店に向かう。

 

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