99回告白したけどダメでした
25話
*
「伊敷君……そ、その……ごめんね、突然呼び出して……」
「い、いや、大丈夫。どうせ用事もないし、せいぜい健と武司とゲーセン寄って帰るくらいだし」
「そ、そっか……」
若干距離があるにも関わらず、誠実には沙耶香が顔を真っ赤に染めて、緊張している様子がよく分かった。
「き、昨日の事だけど……結果はどうだった……の?」
「あ、あぁ…案の定振られちゃったよ……相談に乗ってくれたのに、結局ダメだった」
「そう……なんだ………ごめんね、こんな事聞いて…」
「いや、部長だって協力してくれたんだ……知りたい気持ちは、わかるよ……」
言いながら、誠実は考える。
自分が綺凛の事を相談しているとき、沙耶香はどんな気持ちで話を聞いていたのだろうかと、アドバイスをしてくれていた時も、どんな気持ちだったのだろう。
考えれば考えるほど、彼女の気持ちに気が付かず、へらへら笑って相談をしていた自分が馬鹿に思えてきた。
「ごめん……」
「え、どうしたの??」
「いや、部長が俺にアドバイスをしてくれてる時の事を考えたら、俺って最低な事してたなって思って……」
「そ、そんな事ないよ! 私は、誠実君と話ができるだけで……その……楽しかったから……」
「部長……」
顔をさらに真っ赤に染めて言う沙耶香に、誠実は思う。
この人は自分の事を本当に好いてくれているんだと、それに気が付かなかった自分が、今はどうしようもなく憎かった。
「ここまで言ったら、分かるよね……私が今、ここで伊敷君に何を言いたいか……」
「うん……」
誠実は短く返事をし、沙耶香の言葉を待った。
沙耶香は顔を真っ赤にし、誠実の方にゆっくりと近づき、誠実の手を握って言う。
「……好きです。私と付き合ってください……」
誠実の手を握りながら、潤んだ瞳で顔を見上げて言ってくる沙耶香。
誠実は、そのあまりにも積極的な告白に、顔を真っ赤にし、目をそむける。
今、誠実はようやく沙耶香を恋愛対象として認識し始めた。
沙耶香の小さく柔らかい手が、誠実の手を優しく握って離さない。
「……部長……ごめん、わがままかもしれないけど……」
答えを待ってほしい、そう言おうとした瞬間、沙耶香は誠実に抱き着いた。
「え! ぶ、部長!?」
突然のことで驚く誠実。
しかし、沙耶香が離れることは一切ない。
それどころか、次第に抱きしめる力を強めていく。
「私じゃ……やっぱりダメ?」
ごめん、までの誠実の言葉しか聞き取れなかった沙耶香は、焦って強行手段に乗り始めた。
誠実は誠実で、腹部に丁度当たる、二つの柔らかい感触と、女子特有の良い匂いに危険を感じながら、どうにか沙耶香に離れてもらおうと、説得を試みる。
「ぶ、部長! これは色々まずい! 一旦落ち着いて、離れてくれない?」
(このままでは、俺の息子が大人になってしまう……)
そんなアホな心配をしながら、誠実は沙耶香の肩をつかんで引きはがそうとする。
しかし、離れない。
沙耶香もものすごい力で誠実を抱きしめ、離れまいとしている。
「やっぱり……山瀬さんの方が良い?」
(その顔でその質問は反則だろぉぉぉ!!!)
今にも泣きそうな表情で、誠実の顔を見上げながら言って来る沙耶香にそんな事を思う誠実。
いつにも増して、積極的な部長の行為に、誠実はアタフタしながら、とりあえずは沙耶香から離れようと、力を込めるが、やはり離れない。
そうこうしているうちに、力みすぎて、誠実は足を滑らせ、後ろに倒れてしまう。
「うわっ!!」
「きゃっ!」
周りにおいてあった椅子や机を巻き込み、倒れ込む誠実と沙耶香。
「イテテ……部長…だいじょう……ぶっ!」
誠実の倒れた腹の上に、丁度沙耶香が倒れ込み、今まで目を背けていた誠実の目に、ムニュウっと体に押し付けられた、沙耶香の胸が視界に入って来た。
絶対に見ないようにしていた誠実だったのだが、倒れた衝撃で思わず視界に入ってしまい、もう理性が限界に近づいていた。
「う……イタタ……あ、ごめんね誠実君!」
「い、いや……ぶ、部長に怪我がなくて……良かったよ……」
気が付き、沙耶香は倒れた誠実の上に四つん這いになる。
誠実は更に目のやり場に困ってしまった。
この状況だと、沙耶香のとても立派な二つの核ミサイルが、誠実のほぼ目の前に来てしまい、誠実は目を開けることが出来なかった。
「あ、あの……部長、勘違いしてるかもだから言うけど……俺は考える時間をもらいたかったんだ」
「え……」
「しょ、正直、俺はまだ山瀬さんの事が好きだよ。でも、昨日今日で諦められるわけないんだ。だから、ちゃんと考えるから、少し待って欲しくて……」
言われて、沙耶香は再び寝ている誠実に抱き着く。
断られると思った告白が、ちゃんと考えてくれると言ってくれた。
自分を見てくれる、それだけで沙耶香はうれしかった。
「ありがとう……私も昨日急に変な事言ってごめんね」
「わ、分かったから、お願いだから離れて! やばい! このままじゃやばい!!」
誠実の言葉に、沙耶香は今の状況を冷静に考え、理解した。
なぜ誠実がこんなに焦っているのか、考えれば直ぐに分かった。
自分が誠実から離れれば、事は解決する。
しかし、今は少しでも自分を意識してほしい沙耶香。
逆に更に強く誠実を抱きしめる。
「えぇぇ!! な、なんで!! お願い! 離れてもらわないと、俺は……」
「どうなるのかな? フフ……ねぇ、どうなるの?」
「ぶ、部長??」
小悪魔のような表情を浮かべながら、誠実にいたずらぽく言う沙耶香。
誠実は、いつもと違う沙耶香の様子に戸惑っていた。
流石に理性にも限界が訪れ、誠実は最後の手段で無理やり起き上がり、部長から離れよう試みる。
「ごめん! 部長!!」
「え……きゃ!!」
部長を抱え、無理やり起き上がろうとする誠実。
しかし、周りは倒れた机や椅子だらけで、うまくバランスが取れない。
そして……。
「うわ! しまった!!」
「きゃっ!」
またしてもバランスを崩し倒れる誠実と沙耶香。
しかし、今度は立場が逆だ。
倒れた沙耶香を誠実がその上から四つん這いになって押し倒すような形になっている。
そして、そこで空き教室の扉が、勢いよく開いた。
「伊敷君……そ、その……ごめんね、突然呼び出して……」
「い、いや、大丈夫。どうせ用事もないし、せいぜい健と武司とゲーセン寄って帰るくらいだし」
「そ、そっか……」
若干距離があるにも関わらず、誠実には沙耶香が顔を真っ赤に染めて、緊張している様子がよく分かった。
「き、昨日の事だけど……結果はどうだった……の?」
「あ、あぁ…案の定振られちゃったよ……相談に乗ってくれたのに、結局ダメだった」
「そう……なんだ………ごめんね、こんな事聞いて…」
「いや、部長だって協力してくれたんだ……知りたい気持ちは、わかるよ……」
言いながら、誠実は考える。
自分が綺凛の事を相談しているとき、沙耶香はどんな気持ちで話を聞いていたのだろうかと、アドバイスをしてくれていた時も、どんな気持ちだったのだろう。
考えれば考えるほど、彼女の気持ちに気が付かず、へらへら笑って相談をしていた自分が馬鹿に思えてきた。
「ごめん……」
「え、どうしたの??」
「いや、部長が俺にアドバイスをしてくれてる時の事を考えたら、俺って最低な事してたなって思って……」
「そ、そんな事ないよ! 私は、誠実君と話ができるだけで……その……楽しかったから……」
「部長……」
顔をさらに真っ赤に染めて言う沙耶香に、誠実は思う。
この人は自分の事を本当に好いてくれているんだと、それに気が付かなかった自分が、今はどうしようもなく憎かった。
「ここまで言ったら、分かるよね……私が今、ここで伊敷君に何を言いたいか……」
「うん……」
誠実は短く返事をし、沙耶香の言葉を待った。
沙耶香は顔を真っ赤にし、誠実の方にゆっくりと近づき、誠実の手を握って言う。
「……好きです。私と付き合ってください……」
誠実の手を握りながら、潤んだ瞳で顔を見上げて言ってくる沙耶香。
誠実は、そのあまりにも積極的な告白に、顔を真っ赤にし、目をそむける。
今、誠実はようやく沙耶香を恋愛対象として認識し始めた。
沙耶香の小さく柔らかい手が、誠実の手を優しく握って離さない。
「……部長……ごめん、わがままかもしれないけど……」
答えを待ってほしい、そう言おうとした瞬間、沙耶香は誠実に抱き着いた。
「え! ぶ、部長!?」
突然のことで驚く誠実。
しかし、沙耶香が離れることは一切ない。
それどころか、次第に抱きしめる力を強めていく。
「私じゃ……やっぱりダメ?」
ごめん、までの誠実の言葉しか聞き取れなかった沙耶香は、焦って強行手段に乗り始めた。
誠実は誠実で、腹部に丁度当たる、二つの柔らかい感触と、女子特有の良い匂いに危険を感じながら、どうにか沙耶香に離れてもらおうと、説得を試みる。
「ぶ、部長! これは色々まずい! 一旦落ち着いて、離れてくれない?」
(このままでは、俺の息子が大人になってしまう……)
そんなアホな心配をしながら、誠実は沙耶香の肩をつかんで引きはがそうとする。
しかし、離れない。
沙耶香もものすごい力で誠実を抱きしめ、離れまいとしている。
「やっぱり……山瀬さんの方が良い?」
(その顔でその質問は反則だろぉぉぉ!!!)
今にも泣きそうな表情で、誠実の顔を見上げながら言って来る沙耶香にそんな事を思う誠実。
いつにも増して、積極的な部長の行為に、誠実はアタフタしながら、とりあえずは沙耶香から離れようと、力を込めるが、やはり離れない。
そうこうしているうちに、力みすぎて、誠実は足を滑らせ、後ろに倒れてしまう。
「うわっ!!」
「きゃっ!」
周りにおいてあった椅子や机を巻き込み、倒れ込む誠実と沙耶香。
「イテテ……部長…だいじょう……ぶっ!」
誠実の倒れた腹の上に、丁度沙耶香が倒れ込み、今まで目を背けていた誠実の目に、ムニュウっと体に押し付けられた、沙耶香の胸が視界に入って来た。
絶対に見ないようにしていた誠実だったのだが、倒れた衝撃で思わず視界に入ってしまい、もう理性が限界に近づいていた。
「う……イタタ……あ、ごめんね誠実君!」
「い、いや……ぶ、部長に怪我がなくて……良かったよ……」
気が付き、沙耶香は倒れた誠実の上に四つん這いになる。
誠実は更に目のやり場に困ってしまった。
この状況だと、沙耶香のとても立派な二つの核ミサイルが、誠実のほぼ目の前に来てしまい、誠実は目を開けることが出来なかった。
「あ、あの……部長、勘違いしてるかもだから言うけど……俺は考える時間をもらいたかったんだ」
「え……」
「しょ、正直、俺はまだ山瀬さんの事が好きだよ。でも、昨日今日で諦められるわけないんだ。だから、ちゃんと考えるから、少し待って欲しくて……」
言われて、沙耶香は再び寝ている誠実に抱き着く。
断られると思った告白が、ちゃんと考えてくれると言ってくれた。
自分を見てくれる、それだけで沙耶香はうれしかった。
「ありがとう……私も昨日急に変な事言ってごめんね」
「わ、分かったから、お願いだから離れて! やばい! このままじゃやばい!!」
誠実の言葉に、沙耶香は今の状況を冷静に考え、理解した。
なぜ誠実がこんなに焦っているのか、考えれば直ぐに分かった。
自分が誠実から離れれば、事は解決する。
しかし、今は少しでも自分を意識してほしい沙耶香。
逆に更に強く誠実を抱きしめる。
「えぇぇ!! な、なんで!! お願い! 離れてもらわないと、俺は……」
「どうなるのかな? フフ……ねぇ、どうなるの?」
「ぶ、部長??」
小悪魔のような表情を浮かべながら、誠実にいたずらぽく言う沙耶香。
誠実は、いつもと違う沙耶香の様子に戸惑っていた。
流石に理性にも限界が訪れ、誠実は最後の手段で無理やり起き上がり、部長から離れよう試みる。
「ごめん! 部長!!」
「え……きゃ!!」
部長を抱え、無理やり起き上がろうとする誠実。
しかし、周りは倒れた机や椅子だらけで、うまくバランスが取れない。
そして……。
「うわ! しまった!!」
「きゃっ!」
またしてもバランスを崩し倒れる誠実と沙耶香。
しかし、今度は立場が逆だ。
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