グンマー2100~群像の精器(マギウス)
第77話 殺戮兎《キラーラビット》中編★
――2100年4月23日10時00分東京都心。 東京都心、黒スーツに黒サングラスの男達が歩いている。 その様子は、極道の親方を守っている様で有る。 男達は、白人で合ったり黒人だったり様々だ。 周囲の人々は、珍しそうにスマホで映像を撮ったりしている。
『全く有名人みたいに、写真撮られる何て』
「宇佐美さん、貴女がいう?」
銀髪に朱い瞳の少女が言う。 少女は、首都圏首席の乙姫。
何故、首席がワザワザ同行しているのだろうか?
『フーン、まぁ何もなければいいけど』
何気ない言葉と同時に、ボキっと音がしビル屋上の看板が落下する。 人々の悲鳴が聞こえ、蜘蛛が散るかの様に逃げ始める。
『人がゴミの様だね』
「全く、大人気が無い」
乙姫がパチンと指を鳴らしすと看板は黒い渦に飲み込まれ消滅した。 キリッキリッと音がした先には、手の先に持った手板が有った。
『何か問題でも?』
「貴女の能力使用は、控えるべき」
『まぁ、そうしとくわ……都会は縁が多い』
手板に集まった糸が解けていく。 宇佐美の能力は、縁に関係する能力の様だ。
「で、私を連れて来たのはどういう要件かな?」
『そうだね、第3の客観的で適切な評価が欲しくてね』
宇佐美が指差すのは、高級下着店。
「な、ななんと下着店……」
『そう、女性用下着店。首席とデートする事になって』
「あの主席が、デート、デっと」
虚ろな瞳で呟きながら乙姫は、店内に入っていく。 宇佐美は、ウサ耳をピョコピョコさせ嬉しそうに店内に入る。
◆ ◆ ◆
そんな2人が下着専門店に入った時、人混みを掻き分ける少年達がいた。
「先輩、何の混雑ですかね?」
『まぁ、それはいい此処だ』
高級ビル内のそうな中華料理店に入っていく。 入口には、チャイナドレスを着た美人が立っている。
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「ニーハオ」
『注文はチャーハンホイホイ、ガトツエロスタイルで』
「先輩?」
「ご注文は?」
『ピョンピョンするウサギですか?』
「13番テーブルアルね」
指さされたのは、一番奥にある部屋。 2人が入ると中には、老人がタバコを吸っていた。
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「朝から病院送りで、死体を見つけるとは最近のワカモノは凄いな」
フーッと煙管から煙を吐き言う。
「さらに、後ろの少年はグンマー校を放校処分、一体何をしたのかな」
思わず鉄斎少年は、身構える。
『張老、流石の情報網ですね』
「で、お前さんが知りたいのは何だ」
『地獄の傀儡師が東京に来た理由』
ビクンと老人は躰を震わせ、煙管を落とす。 カタカタと震えた躰は、先程までの威厳が嘘の様に消滅した。
『どうされたのですか?』
汗を滝の様に垂らす老人に、先輩少年は首を傾げる。
「い、言えない。金はヤルから出て行ってくれ」
『張老、いったい何を?』
キリッキリッつ部屋の中を糸が引っ張る様な、嫌な音が聞こえる。 音の主は、張老人の様だ。 その老人はというと封筒を手に持ち、彼等に投げる。
「500万入っている、今回はそれで見逃してくれ」
『分かった、今回は見逃すかよ!』
先輩少年は、手に持ったナイフを老人の後ろに投げる。 ナイフが刺さった所から、チャイナドレスの女性がナイフを持ったまま倒れる。
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「蘭オマエだったのか……」
「老、まだ来るぞ」
バンとドアが開けられ、先程のチャイナドレス美人が牛刀を持っている。 40センチ近い大包丁を美人が持っているのは、それだけで絵だ。
牛刀は鉄斎少年に振り下ろされるが、鉄斎少年の刀に弾かれる。
「武装解除に成功……」
呟きが止まり、鉄斎少年は有る物を凝視した。 チャイナドレスが脱がれ、肌の周りに巻かれた黒い板達。
「や、やめ、死にたく」
美人で、チャイナ服を着た女性は震える右手を掲げる。 右手にある物それが、何を意味するのか3人には分かった。
『鉄斎!!窓から飛び出すぞ!』
「ハイ!!」
先輩少年が老人を抱え、鉄斎少年が窓を破ったと同時。 強烈な爆風が彼等を押し出し、隣のビルへ吹き飛ばす。
ガラガラがっシャーン。 埃が周りを包み込む。
『鉄斎大丈夫か?老は大丈夫そうだ』
「ええ、此方も大丈夫でッ」
『どうした?』
土煙が晴れると周りには、女性物の下着だらけ。 そして、鉄斎少年の前には下着姿の少女が驚いた顔で立っている。
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「え、ちが、これは違うんです……」
鉄斎少年が言い訳をする前に、後ろから意識を刈り取られる。
「乙姫ちゃん大丈夫?」
後ろから宇佐美が声を掛ける。
「大丈夫だよ、私の服は何処かな?」
「テーブルの上に置かれていたはずだけど?」
有ったはずのテーブルは無く、瓦礫に埋もれている。 慌てて入って来た護衛官が見たのは、下着姿で制服を探す乙姫だった。
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