グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第62話 遊戯の終幕 

  暗い夜空の中、サーチライトが瓦礫と化した中央司令部を照らす。 多数の米軍兵士達が、瓦礫を運び出している。
 「ダグラス副司令は、見つかったの?」
 「ノーマム、捜索中です」
 「見つかったら報告して」
 「イェスマム」
 オペ子に将校が敬礼し、天幕から出ていく。 現在オペ子は、NEO埼玉司令部の臨時司令官をしている。
 非常時のマニュアルは決まっている。 指揮権は司令⇒副司令⇒オペ子&参謀と決まっている。 参謀達も先程のクーデータで、2階級特進している。
 (本国には連絡をしましたが、フィリピンの状況が悪い様ですね)
 オペ子は、タブレット端末に目をやる。 フィリピンは南部をビーストに占領された。 現在は、コレヒドール要塞から反攻作戦が行われている。
 米国・大漢民国の合同国連軍が、合同作戦を行っている。 互いに、思惑が絡み上手く連携を取れて無い。
 南沙諸島方面に人民開放軍が展開し、米海軍も南沙諸島に展開している。 大漢民国がビーストから、奪還したと既成事実を作らせない為で有る。
 その為、国連軍によるフィリピン以南の奪還がとどこおっている。
 (国連軍がグンマーの力を借りたいのも分かりますわ)
 別なウィンドウからオペ子は、グンマー校の戦果を確認する。
 グンマー校は5年前の2095年夏に襲学旅行アサルトトラベリングで、イタリア半島及び地中海を奪還。 イタリアは、2085年にビーストに全土が占領されれ以来10年ぶりに奪還される。 特にヴァチカンが奪還された事で、世界にグンマーの名前が広がる。 臨時イタリア政府は、グンマーを県として承認。 ヴァチカンは、異例の祝福を適合者フィッタ―に与えた。
 同年冬に冬期攻習ウィンターテスタメントで、スイスを奪還する。 グンマーは臨時政府に、各生徒の銀行口座を開設を依頼。
 以後は、グンマーの動きは止まる。 仏及び英国、露がグンマー校を隷下れいかに置き欧州奪還を国連に提案。 グンマーは拒否し、最低限の人員を置きグンマーに帰省。 3カ国は、独自に欧州開放作戦を行うが膨大な人員の損害を出し作戦は失敗。 以降は、グンマーとの交易でイタリアの一人勝ちが続く。
 (スイスは世界の銀行……何故にイタリア?を開放したのでしょう)
 オペ子は思いながら、崩れ落ちた中央司令部を眺める。 彼女は、この時3人の事はすっかり頭の中から抜けていた。
 3人は一体何処に行ったのだろう……。 まさか、瓦礫の下で下敷きに……。
 ◆  ◆  ◆
 ダンっと音がし、賢治が立っている壁に穴が空き別な通路へ道が出来る。
 「壁ドンって奴だね」
 「で、賢治首席!どうしてこんな事をしたかな?」
 乙姫が賢治の顔に寄り詰問する。
 「彼女達を守る為、日本人は大きな事件に飛びつく」
 スマホを取り出し、米軍中央司令部が爆発したニュースを見せる。 先日までの少女暴行事件から、在日米軍の話題に切り替わった。
 「暴行事件等のマスメディアの屑さは、君も知っているだろ?」
 「だが、何故ダグラス副司令を使った?」
 「グンマーの潜在的驚異は排除しないとね!」
 「まぁ、良いだろう……私の後輩達も絡んでくる問題だし」
 乙姫は、壁から手を離す。 壁ドンで罅が入り、パラパラと塵が舞い落ちる。 3人が現在いるのは、中央司令部の地下。
 「で、賢治首席。どうやって、此処から抜け出す」
 「まぁ、そこの扉から出ればいいんじゃないかな?」
 賢治が指差すのは、【非常口】と書かれた扉。
 「だけど、ちょっと調べたい事がある。君も感じるだろう?」
 「確かに、違和感のあるマギウス反応が大量に有る」
 「地上に出る途中で、うっかり●●●●何かを発見するかもしれない」
 「そうだな、うっかり●●●●見つけるかもしれない」
 大剣を振り上げ、【非常口】手前の天井を破壊する。 見事に、天井は崩落し【非常口】は通行不可になった。
 「さて、地上へ行きますか!」
 「「ウン、ハイ」」 
 賢治は、別な扉を開け中の安全を確認し合図をすると3人は中に入った

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