グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第60話 地獄の傀儡師 中編


 ダダダっという銃撃音で、オペ子は目を覚ます。
 「一体何が?」
 呟きながら、周りを見渡す。 白い部屋にほのかに残る、ツンとする薬品の匂い。
 (私は気絶して、医務室に運ばれたのですね)
 そんな事を思っていると部屋内のテレビに映像が映る。
 (ダグラス副司令なぜ?)
 【私はダグラス副司令である!基地を占拠した】
 思わず意識が飛ぶが、暫くしてオペ子は我に変える。
 (ジョン司令が意識が無い中、クーデータを起こしたの?)
 オペ子は、点滴を抜くと急ぎ制服に着替える。 腰のフォスターに、愛銃を差し込む。
 銃撃音がする基地内を身を隠しながら歩いていく。 とある病室の前で、多数の兵士達が倒れていた。 床は赤く兵士達の命で染まっている。
 鼻腔に生臭い金属の匂いに、思わずわず嘔吐いた。
 (状況から見るに、病室の人間を襲った?ジョン司令も危ない?)
 オペ子は、ジョン司令が居そうな病室を探す。 暫くして、パシュパシュというサイレンサー音とベチャっと何かが潰れた音が聞こえる。
 「よし、3、2、1で行くよ!」
 「分かった」
 「ハイ」
 1人は男、2人は女……っと思いながらオペ子は割れた鏡で相手の姿を確認する。 黒髪に黒目、黒に金の制服は至誠賢治。 銀髪に紅い瞳、白に金の制服は白虎乙女。 ツインテールで紫髪の少女は、中居屋銃子なかいやじゅうこ
 「3、2、1、ハイ」
 賢治が左手で刀の柄を触ると壁が消失した。 室中には、4人の男達がベッドを囲んでいた。 突然の事に、賢治に銃を向けるが2人は額に穴が空き。 もう2人は、ベチャッとトマトに様に潰れた。
 オペ子は、3人の会話に耳を立てる。
 「オーイ、ジョンおじさん?起きてる」
 「駄目だね……起きないね」
 「首席どうします?処します、処します?」
 ガチャっと銃の音を立てる。
 「ねぇ、後ろで見ているお姉さんはどう思う?」
 オペ子はひと呼吸し、銃を構えながら3人の前に出た。
 「そうですね、殺されては困ります」
 「そうよかった……貴女が敵で無くて」
 「!?」
 賢治が言った事をオペ子は、反芻してある考えに行き当たる。
 (わたしもクーデータ軍の1人だと思われていた?)
 司令官秘書のオペ子、様々な事に通じている。 今回のクーデータ、副司令官と内通していたと思われも可笑しくない。
 「私が、もしかしてクーデータ軍の一味だと?」
 「違うならいいけど」
 「で、貴方達の目的は?」
 「「糞みたいなイベントを消化する」」
 (この事たちは……クーデータをイベント扱いですか)
 オペ子は思わず思った。
 「貴女は、其処の眠り司令官スリーピングコマンダーを見ていて下さい」
 「私は、この糞の様なイベントを終わらせる」
 「女の子が糞なんて、頭までAAAですか……」
 「なんですって!」
 乙姫が銃子の言葉に、声を上げる。 そんな2人を無視し、賢治はオペ子に質問する。
 「質問ですが、副司令官は何処にいると思います?」
 「恐らくは、中央司令部です」
 「成程!分かった。其処に行けば良いのか」
 「対適合者トゥフィッター装置が有りますが……」
 その言葉を言った瞬間、オペ子の肌がゾワリと鳥肌が立った。 そして、目の前にいる3人の姿がグラリと揺れたのだ。
 「対適合者トゥフィッターか……米国製か」
 「私も、日本製の対適合者トゥフィッターは、弱くて駄目だな」
 「対適合者トゥフィッター……私の力がどう使えるか楽しみですね」
 何か黒い湯気の様な物が、3人から流れ出す。
 「ヒッ!」
 思わず悲鳴を上げたオペ子を3人は見る。 3人の視線は、オペ子の躰を突き抜ける。
 (こ、ころされる)
 ぺたっと腰を落とした。
 そして、賢治の右手がオペ子の肩に触れる。 ゾワリ、ゾワリ……躰が本能が死を告げる。
 「ん?どうしたの?じゃ、行ってくるね」
 賢治と2人は中央司令部へ向かって歩き出す。
 「ふぁああ」
 緊張が緩んだオペ子と声と同時に、緊張が緩む。 ジョロジョロっという音がし、床には米国・カナダが描かれる。 見事に、アリューシャン列島まで描かれていた。

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